宮崎駿や高畑勲が綴っていた「ジブリ日誌」が興味深い!制作裏話から日常の出来事まで盛りだくさん
本記事では世界的に有名なアニメ制作会社「スタジオジブリ」の中心人物である、鈴木敏夫、宮崎駿、高畑勲などが綴っていた「ジブリ日誌」の内容について、まとめて紹介している。書かれている内容は映画の制作に関する裏話の他、日常の出来事やイラストなど非常に多岐にわたる。かなりのボリュームがあるのでぜひコーヒー片手にじっくりと楽しんでみてほしい。
8月31日(木)
某関連会社より、鈴木さん宛に山のような外国のお菓子が送られてくる。早速お菓子置き場に置かれたため、スタッフが先を争って食べる。
みんなはおいしく食べていたのだが、制作渡辺さんが一部にしけっているものや、カビがうっすら生えているモノを発見する。よく見ると賞味期限が2年前の日付になっているものがあるではないか。
たちまち今流行りの「回収騒ぎ」となる。巷の騒ぎには「ちょっと神経質すぎる」と思っていたスタッフも、この2年前の日付には絶句。
しかしそれを聞いても宮崎監督は少しも騒がず「大丈夫だよ、こんなの」と、ばりばり食べ続けていた。因にこれを裏付けるようにお菓子の回収率も50%を下回っていた。
出典: www.ghibli.jp
10月8日(日)
朝6時すぎ。多摩川沿い稲城大橋の下を58名もの自転車乗りが一斉に西へ向いスタート。
そう、今年も毎年恒例にとなったツール・ド・信州の開始だ。
ちなみに一昨年に続きただ一人リタイアが予想されていたムゼオ・三好氏もへろへろでゴール。宮崎監督に「どうです」と勝ち誇ったように完走を報告していた。
ところで今年のコースは最後の30キロがほとんど登りという過酷さに加え、最終到達高度が昨年よりはるかに高く、初参加者には地獄のコースになっていた。
提案者は勿論高坂氏。そのため、最後の坂の途中では、高坂氏を呪う声が森の中に響き渡っていたという。
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最後の坂の途中では、高坂氏を呪う声が森の中に響き渡っていた
10月14日(土)
居村氏が明日行われる自分の結婚式の事で頭が一杯なのか、反応が妙である。
一方高橋さんは明後日行われる予定の徳間康快氏お別れの会の準備で半分おかしくなっている。
またその両方に出席(お別れ会では委員長の役割)する宮崎監督は「もう子供までいるんだから結婚式やめよう」と居村氏にむちゃくちゃな提案をしている。
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10月19日(木)
制作新人・伊藤君がご飯にふりかけで1食100円計画を実行中。別にお金が無いわけでもないのだが、なんとなく、昼飯をご飯にふりかけだけですごしているらしい。
スタッフの粗食ぶりにとどめを刺すキャラクターの登場か?
ジブリの玄関正面に掲げている故徳間社長の写真に、「毎朝ちゃんとおはようございますって、頭下げてるの俺ぐらいだぞ」と宮崎監督。
さらに寂しいからと「お別れの会」のときに付けていたリボンを飾っていた。
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10月24日(火)
高橋さんが痔瘻になり手術することに。それを聞いた鈴木プロデューサー、早速来客があるごとに「実は高橋は…」と図解入りで病状を解説。
一方高橋さんは付き合いの長い鈴木プロデューサーのやることに慣れっこなのか涼しい顔。
宗教学者の山折哲雄氏の講演会が試写室で開かれる。宮崎監督が提案した「現代の三つの神話~自分探し、トラウマ、癒し」というテーマに応えて語ってくださった話の題材はなんと宮沢賢治。
その生涯と作品の知られざるエピソードから宗教学者ならでは解釈が実に興味深く披露された。近代文明の恩恵に頼らずには生きられない自分をちょっと反省したりもした。
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12月25日(月)
宮崎監督が○フタヌーンに載っている○田○黄が描いた自転車レースマンガを見て興奮している。
昼休みにはその頁を切り取って皆に見せてまわり、いまいち理解出来ない人間には、「面白さがわからない? だからお前は駄目なんだ」とむちゃくちゃな言いがかりを付けていた。
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◆ スタジオジブリ日誌 2001年
2月3日(土)
鍼治療のため宮崎監督は午後からの出社。「全身に打った鍼から電流を流して…」と強烈なのを打ったという。
それにしても遅い出社だと思ったら、「帰り道は世界が輝いて見えたので、隣の駅から歩いて来た」そうだ。そのエネルギーは仕事に…。さらに夕方からは整体も受けていた。
2月10日(土)
『アフタヌーン』連載の「茄子」のあまりの面白さにはまったスタッフ数名が、作者の黒田硫黄氏宛に出したファンレターに返事がきた。
なんとロードレーサーに乗ったキキのイラストも描かれていて、みんなで盛り上がる。
一方、ずっと前から黒田硫黄ファンなのに、声をかけてもらえず、今回のファンレターに名前を連ねそびれた制作・田中氏は「一生恨んでやる」と呪いの言葉を撒き散らしていた。
出典: www.ghibli.jp
3月26日(月)
『アフタヌーン』連載「茄子」でジブリの自転車好きを沸かせてくれたマンガ家・黒田硫黄氏が夕方に突如の来社。
ようやく戻ってきた宮崎監督は、そのまま長い間黒田氏と会談し、帰られる頃にはとっぷりと日が暮れていた。
ところで、先月のファンレターの件でも忘れ去られ、今回は遠く韓国でそのニュースを聞いた制作・田中氏は「誰かの陰謀に違いない…おのれ~」とまたもや誰とも無しに呪いの言葉を吐いていた。
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呪いの言葉
5月12日(土)
「千と千尋」の動画チェックの所に原画がたまってきたため、整理を行う。今までに整理したものを含めて、コピー用紙の箱に17箱分にまでなってしまった。
まだ動画作業の必要なカットがあるので、最終的には20箱を越える予定。
「これ、全部人が描いたんですよね」と制作の伊藤君が新人らしい感想をもらしていた。確かに冷静になって考えて見ると、アニメーションを作るのは、尋常ではない労力と熱意が必要なのだと改めて実感。
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8月29日(水)
宮崎監督が、道すがら幼い姉弟の二人に声をかけられ、質問を受ける。
「ジブリの映画って、おじさんが全部作ったの?」当然、答えはNOで、正直に「ううん。違うよ。」と答えたところ、「お姉ちゃんのうそつき!」と弟がお姉ちゃんを責めだしたらしい。「幼い子供を傷つけてしまった。」と宮崎監督も浮かぬ顔。真実は時に残酷なものなのだ。
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10月9日(火)
ツール・ド・信州の結果が社内に張り出される。今年も高坂氏が優勝。
ここ何年か道を間違えまくり、宮崎監督から「勝負を避けているに違いない。今年は道を間違えないように地図担当だ」と命令され、現地視察まで行った野崎氏だったが、レース1週間前にコケて肋骨にひびが入るというアクシデントを起こし、結局8分差の二位。
レース前にコケて肋骨にひびが入っていなければ、という想像をさせてしまうところが野崎氏らしいのだが、宮崎監督は「わざとコケたに違いない」と一言。何時になったら万全の状態で勝負をすることになるのやら…。
出典: www.ghibli.jp
◆ スタジオジブリ日誌 2002年
3月20日(水)
毎回定期購読している「キネマ旬報」が送られてきた。今回は毎年恒例のベストテンの表彰が載っている号だ。
ありがたいことに千尋が賞をもらったのだが、宮崎監督の写真の場所に、代理で出席した渡辺氏の顔が大写しで載せられていた。当然、社内中の話題を独占していた。
ところで、一人石迫氏だけは、某電車の短編映画で、主人公の向かいに座り映画デビューを果たしているだけに「私が代理で出れば良かった」という顔をしていたとか。
出典: www.ghibli.jp
5月10日(金)
渡辺・神村と同じダイエット仲間のマンマユートの〇光さん。商品部に来て開口一番「お腹すいた。」と言い。机の上にあった、昆虫用のゼリーを食べようとする。そんなにダイエットが辛いのか…。
5月31日(金)
東宝のスタジオに渡辺・神村が差し入れに行く。何も考えてなかった為、途中で思いつきの品々を買う。
「コロッケ・ハムカツ・メンチカツ・チョコレートパン」と自分達が食べたい物だけを買いあさり、スタッフからも、「見事に自分達が食べたい物だけですね」とあきれられる。
出典: www.ghibli.jp
◆ スタジオジブリ日誌 2003年
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目次 - Contents
- ◆ スタジオジブリ日誌 1994年8月ー1998年7月までのスタジオジブリの毎日の出来事を掲載しています
- ◆ 制作日誌 1994年8月~95年5月
- ◆ スタジオジブリ日誌 1996年
- ◆ スタジオジブリ日誌 1997年
- ◆ 8月3日「ツール・ド・信州」当日である
- ◆ スタジオジブリ日誌 1998年
- ◆ スタジオジブリ日誌 1999年
- ◆「いつものジブリ日誌」1999年9月1日ー2011年9月2日まで。「いつものジブリ日誌」の更新は終了しています。
- ◆ スタジオジブリ日誌 2000年
- ◆ スタジオジブリ日誌 2001年
- ◆ スタジオジブリ日誌 2002年
- ◆ スタジオジブリ日誌 2003年
- ◆ スタジオジブリ日誌 2004年
- ◆ スタジオジブリ日誌 2005年
- ◆ スタジオジブリ日誌 2006年 ◇ 2005/12-2006/6「ゲド戦記」制作日誌
- ◆ スタジオジブリ日誌 2007年
- ◆ スタジオジブリ日誌 2008年