コエンマ（幽☆遊☆白書）の徹底解説・考察まとめ

コエンマの概要

コエンマとは、冨樫義博の漫画『幽☆遊☆白書』に登場するキャラクター。霊界の長・閻魔大王（えんまだいおう）の息子で、交通事故で命を落とした主人公・浦飯幽助（うらめしゆうすけ）に生き返るきっかけを与えた人物。
赤ん坊のような姿だが、実年齢は700歳を超えており、人間界に来る際にはイケメンな青年の姿になる。
作品序盤から中盤ではコミカルな面が強かったが、「仙水編」以降は霊界探偵だった仙水忍（せんすいしのぶ）へ贖罪の念を抱えていることや、父・閻魔大王の汚職を暴く姿が描かれ、キャラクターの魅力が増した。

常におしゃぶりをくわえているが、おしゃぶりはただの飾りではなく、最強クラスの防御技「魔封環」を使うエネルギーを貯めるための道具。

持ち主のエネルギーで成長する霊界獣の卵を孵化させることを条件に、幽助に生き返りの試練を与えた。
幽助が復活したあとは、部下のぼたんを通じて人間界で悪さをする妖怪と戦う「霊界探偵」の指令を下す。
暗黒武術会には決勝戦前日に命を落としたメンバー、幻海（げんかい）の代理の5人目として登場した。
アニメ版ではオリジナルキャラクターの鬼・ジョルジュ早乙女と行動を共にする姿が描かれ、よく2人で漫才のようなやり取りをしていた。

第1回キャラクター人気投票では第7位、第2回では第5位にランク入りしている。

コエンマのプロフィール・人物像

CV：田中真弓
舞台版演：荒木宏文
実写版：町田啓太

霊界の長・閻魔大王の息子で霊界探偵としての幽助の上司。普段はおしゃぶりをした赤ん坊のような姿をしているが、実際は700歳以上である。人間界に来る際はおしゃぶりはつけたままだが、「人間界Ver.」としてイケメンの青年姿で活動する。
一人称は「ワシ」。長く生きているが、見た目も中身も子供のまま。何か失態を犯す度に閻魔大王からお仕置きを受けている。物語が進むにつれ、幽助とは上司と部下の関係を超えた信頼で結ばれるようになっていき、中盤から終盤にかけて中身のある人物として描かれるようになる。
暗黒武術会の決勝戦では幽助の頼みで幻海に代わる選手として現れ、浦飯チームの大将を務めた。あくまでも数合わせのために来ただけであり、いざという時には脱出用のロケットで逃げる準備をしていた。副将戦では相手チームのオーナー・左京（さきょう）の提案に乗り、自身の命を幽助の勝利に賭けるなど、度胸がある面も見せている。
アニメ版では浦飯チームのオーナーとしても活動しており、ジョルジュと一緒に観戦。決勝戦終了後に死に急ぐ左京を説得するが、彼の意思を変えることはできなかった。
「魔界の扉編」では仙水の人生を歪めた者の1人としての贖罪も込めて人柱になる覚悟で魔封環を発動するが、聖光気の前に防がれてしまう。
その後は幽助やプーと共に魔界に向かい、仙水の最期を見届けている。

コエンマの能力・必殺技

魔封環

常におしゃぶりをくわえているが、霊力を貯めるための魔封環と呼ばれる道具である。これを使って最強クラスの防御技を発動させることが出来るが、大量のエネルギーを費やすため、滅多に使えない。

遊魂回帰の術

「仙水編」でゲームに負けて命を落とした天沼月人（あまぬまつきひと）を蘇生させた術。死亡した者の魂を元の肉体に戻す蘇生術で、大量の霊力を消費する。

コエンマの来歴・活躍

浦飯幽助との出会い

皿屋敷中学校2年の浦飯幽助（うめらしゆうすけ）は、不良少年として学校内外を問わず悪名を響かせていたが、ある日、道路に飛び出した子どもを助けようとして命を落とす。
その行動は死を司る霊界でも予想外の出来事だった。閻魔大王（えんまだいおう）の息子・コエンマは極楽にも地獄にも行き先が無い幽助に、霊界から生き返るための試練を受けるチャンスを与える。その内容は、人の心から発するエネルギーに影響を受けて成長する霊界獣の卵を育てることであった。
三途の川の水先案内人・ぼたんを助手にし、幽助は人々を勇気づけていく。
そして、幽助をライバル視する腐れ縁の桑原和真（くわばらかずま）や幼馴染の雪村螢子（ゆきむらけいこ）らの助けもあり、幽助は復活を遂げる。
長く体と魂を分離させていると戻れなくなってしまうという体と魂の関係から時期は早まり、霊界獣の卵が羽化する前に幽助が復活。卵はコエンマが預かることになった。

元の身体に戻った幽助は対し、コエンマは人間界で悪事を働く妖怪たちが関わる事件を解決する「霊界探偵」としての使命を与える。
幽助は霊界の探偵七つ道具と死からの復活により高まった霊力を駆使し、霊界の秘宝を盗み出した妖怪盗賊の蔵馬（くらま）、飛影（ひえい）、剛鬼（ごうき）を捕える。
次の指令は霊力を駆使して戦う霊光波動拳の師範・幻海（げんかい）の奥義を奪おうと目論む妖怪・乱童（らんどう）の退治。それに成功すると、その後、人間界への移住権を要求してきた四聖獣討伐の指令が下る。
幽助が四聖獣を討伐すると、コエンマはBBCと呼ばれる賭博団体のメンバーの1人・垂金権造（たるかねごんぞう）によって監禁された妖怪の少女・雪菜（ゆきな）の救出作戦を指示した。金によって雇われた傭兵らを次々と倒していった幽助と桑原は、最後に立ちはだかった闇ブローカーの戸愚呂兄弟（とぐろきょうだい）を激しい死闘の果てに撃破し、無事に雪菜を救い出したのだった。

暗黒武術会編

コエンマからの指令がひと段落した幽助の前に戸愚呂弟が現れ、闇の世界で暗躍する最強の実力者たちによって行われるチームトーナメント「暗黒武術会」に招待された。
垂金邸での戦いはBBCのメンバーで、戸愚呂兄弟の本当の雇い主・左京（さきょう）により操作された前哨戦に過ぎなかったのだ。
幽助は桑原・蔵馬・飛影・幻海と共に、トーナメントに挑むことになった。
優勝した者はどんなものでも望むものを手に入れる事ができるが、負ければ死が決まっており、生き残るすべは勝ち残る以外にない。浦飯チームのゲスト出場を受け、コエンマはすらりとした長身のイケメン姿で会場に現れ、VIP席で試合を観戦する。

幽白六遊怪チーム、Dr.イチガキチーム、魔性使いチーム、裏御伽チームを撃破した幽助たちは決勝戦へと進む。トーナメント戦の最中で、コエンマが預かっていた幽助の霊界獣の卵が孵化し、幽助の分身のような存在の獣「プー」が誕生した。

戸愚呂チームとの決勝戦の前日、幽助は規格外の能力を持つ戸愚呂弟を超えるため、幻海の持つ莫大な霊気を継承。その後、戸愚呂弟が幻海の前に現れ、彼女を殺した。目の前で師匠を殺された幽助は慟哭を上げ、茫然自失となる。
そんな彼の前にコエンマが現れ、霊界に幻海の霊がやって来たこと、そして「負けるんじゃないよ」という彼女からの言葉を幽助に告げた。それを聞いた幽助は吹っ切れた表情になり、特大の霊丸をそれに向かって放つと、気持ちを切り替えて決勝戦へと挑む。

迎えた決勝戦当日。会場に幻海が現れないことに文句を言う桑原、彼女の死を察しているものの何も言えない蔵馬と飛影の前に幻海の代理人としてコエンマが現れた。戦闘能力のなさを突っ込まれると、相手チームの左京の発言に乗っかって、自分まで番が回ってくることはないと宣言。さらに副将戦に自分の命を賭けるという左京の提案に応じ、コエンマも幽助の勝ちに命を賭けた。
先鋒戦は蔵馬が対戦相手の鴉（からす）の命を奪うものの10カウントを取られて試合に負けてしまう。その後の次鋒戦は飛影はバトルオーラの使い手・武威（ぶい）と戦い勝利、桑原は中堅戦で強敵・戸愚呂兄を撃破した。
そして迎えた戸愚呂弟と幽助の戦いは苛烈を極め、100％中の100％になった戸愚呂弟を幽助が倒した。その後、左京は宣言通り会場ごと爆破して自害した。
実は戸愚呂弟から「浦飯チームの優勝の望みは幻海の復活」だと告げられていたコエンマは、幻海の亡骸を冷凍保存していた。こうして幻海は復活し、再び幽助たちに日常が戻ったのだった。

仙水編

コエンマは幽助に、「魔界と人間界をつなぐ界境トンネルが広がっている」と知らせる。トンネルが完全に開ききれば、戸愚呂兄弟を容易に超える能力を持つ妖怪たちが人間界を自由に行き来できるようになってしまう。

黒幕はかつて幽助と同じ霊界探偵であった仙水忍（仙水忍）という男。
彼は純粋で強い正義感を持った青年だったが、霊界探偵を務める内に妖怪をいたぶって楽しむ残酷な人間たちを目撃し、人間の持つ醜悪さに絶望してしまったのだ。
トンネルの影響により、不思議な能力に目覚める人間が多発しているという蟲寄市へと向かう幽助たち。
能力者の高校生、城戸亜沙斗（きどあさと）、海藤優（かいとうゆう）、柳沢光成（やなぎさわみつなり）と出会い、彼らと共に情報収集をしつつ、仙水からの刺客を退けていく。その最中、人間界と魔界を繋ぐ「界境トンネル」を開く最後の鍵である能力「次元刀」を桑原が秘めていることが判明し、仙水によって攫われてしまう。
敵の本拠地である蟲寄市郊外・入魔洞窟に辿り着いた幽助・蔵馬・飛影・海藤・柳沢・幻海は、洞窟の入り口で仙水からの刺客・天沼月人（あまぬまつきひと）と戦い勝利。幽助・飛影・蔵馬は仙水のいる場所へ進み、刺客・巻原定男（まきはらさだお）と戦うことに。対象を食うことでその能力を手にすることができる巻原は、実は生きていた戸愚呂兄を捕食していた。しかし内側から侵食され、意識を乗っ取られていたのだ。それを見抜いていた蔵馬により、邪念樹という種を植え付けられ、戸愚呂兄は永遠に悪夢を見続けることになった。

仙水のパートナー・樹（いつき）は、次元を自由に移動出来る能力「影ノ手」によって飛影・蔵馬そして桑原を「裏男」という樹のペットの体内に閉じ込め、幽助に仙水と1対1の戦いを強いた。上半身を攻撃に転ずるための防御に使い、破壊力のある足蹴りを主体に戦う仙水の「霊光裂蹴拳」は、真っ向からの拳での戦いを挑む幽助にとって非常に不利だった。

一方、入魔洞窟に到着したコエンマは、遊魂回帰の術で天沼を蘇生。仙水に利用されていた少年は息を吹き返したものの、この技を使用したことで、コエンマは霊力を消費してしまう。
その後、仙水のもとに辿り着いたコエンマは、かつて霊界探偵をさせ仙水の人生を歪めてしまった贖罪として、霊力を貯めてきたおしゃぶり「魔封環」の力を使って仙水を止めようと試みる。しかし幻海すら持ち得なかった究極の闘気「聖光気」を仙水が操り、失敗してしまった。

幽助は苦戦を強いられ続け、仙水によって心臓を貫かれ倒れる。一部始終を見ていた桑原は、幽助を助けようとする衝動で霊力が高まり次元刀を出し、裏男を斬って体内から脱出。だがもう幽助の心臓は止まっており、蔵馬・飛影・桑原は幽助の弔い合戦をすると決める。仙水は聖光気を纏った状態で界境トンネルの結界を通りぬけ、自分を倒したければ結界を切ってこちらに来いと挑発。
桑原はその挑発を受け入れ次元刀で結界を斬り、一同は仙水の望み通り魔界へと行った。

しかし心臓が止まっていた幽助は突如立ち上がり、復活する。
実は幽助は隔世遺伝により魔族の血を濃く受け継いでおり、仙水との戦いで死んだことよりそれが発覚し魔族として覚醒したのであった。
この影響で幽助と共に成長するプーも大きな鳥の姿に成長し、洞窟に駆けつけ、魔族になった幽助を危険視した霊界の使者たちから幽助を守った。
強大な妖気を手に入れた幽助は、プー・コエンマと共に魔界へ行き、蔵馬たちと再会。
幽助は仙水との戦いを続行するが、戦い続ける中で突如何者かによって身体を乗っ取られてしまう。
乗っ取られた幽助は普段とは段違いのパワーを発揮し、仙水は一方的に幽助に屠られるのだった。

樹はコエンマたちに仙水の亡骸を触れさせず、仙水の「死んでも霊界には行きたくない」という遺言を伝え、「これからは2人っきりで静かに過ごしたい」と言い裏男の中に消えていった。

父を告発・霊界のたてこもり事件発生

魔界の人間界への台頭を抑えて人間界における霊界の利権を守るため、不正な手段で魔界住民の人間界での非道行為の件数を水増しし、魔界と人間界を隔てる結界の維持の根拠としていた。
後にその事実をコエンマが告発したことにより、罷免された。

仙水との戦いが終わり、魔界の覇者を決めるトーナメントも済んだ後、人間界に戻った幽助は探偵業を復活させ、桑原は進学。蔵馬は中小企業に就職し、飛影は魔界に迷い込んだ人間を助ける役割を担っていた。
その一方で、霊界ではコエンマが閻魔大王が人間界で起こした妖怪の事件を水増しし、悪さをする妖怪を取り締まるという名目で人間界を霊界の領土として扱おうとしていたことを告発する。
この件に加え、魔界はトーナメントの覇者・煙鬼（えんき）によって「人間に迷惑をかけない」というルールが作られ、殆どの妖怪がそれを守っているため、霊界は界境トンネルにある結界を解いた。
しかし結界を無くしたことに反感を覚える霊界人がクーデターを起こし、霊界では立てこもり事件が起こる。この時、コエンマやボタンも人質に取られていた。
幽助はその事件解決のために借り出され、クーデター犯たちを制圧。爆弾解除のための銅線を赤と青のどちらを切るか迷っていると、プーが現れて突然しゃべり出し、幽助を励ます。
コエンマも幽助から見えない影で待機しており、彼と運命を共にする覚悟でいた。
幽助は青を選び、見事爆弾解除に成功した。
幽助たちが人間界・魔界それぞれで自分たちの人生を歩んでいく中、コエンマはその後も霊界でいつものように業務をこなすのだった。

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