物語シリーズの怪異まとめ

『物語シリーズ』とは西尾維新による『化物語』をはじめとする小説シリーズや、それを原作とするアニメなどのメディアミックス作品の総称である。21世紀初頭の日本の田舎町を舞台に、阿良々木暦と「怪異」に関わる不思議な物語が描かれる。
「怪異」は都市伝説・街談巷説・道聴塗説など、人間の信仰や噂から生まれた存在であり、一般の生物とは違うカテゴリーに属する。姿かたちは様々で、実体として存在するタイプ以外にも毒などの特性だけ存在するものなどがいる。

貼交帰依(はりまぜ きえ)

暦の住む田舎町にスーサイドマスターが訪れた際、彼女に懇願して吸血鬼になった私立直江津高校の1年生。直江津高校女子バスケ部のスターだった神原駿河(かんばる するが)が引退した後、ハードな練習内容に嫌気がさして現実逃避していたところ、スーサイドマスターと出会う。貼交帰依を吸血鬼化した際に、口に合わなかったのかスーサイドマスターは食中毒により死亡してしまうが、貼交帰依は無事に吸血鬼となる。その後は部活仲間を襲ってミイラにしていった。

初代怪異殺し(しょだいかいいごろし)

キスショットの1人目の眷属。本名は死屍累生死郎(ししるい せいしろう)。代々妖怪退治を生業とする一族の末裔で、怪異を殺す妖刀「心渡」のオリジナルと心渡で斬った怪異を再生する小太刀「夢渡」という2本の刀を持った人間だった。神を演じていたキスショットと仲良くなったのちに正体不明の「くらやみ」に襲われて死亡する。しかし南極に逃げたキスショットが、寂しさから眷属として生き返らせた。しかし死屍累生死郎は「くらやみ」の事件をキスショットの仕業と誤解し、数年後に太陽の下に飛び出し自殺した。
しかし灰となっても死ぬことができず、暦の町にある北白蛇神社で怪異の材料となる「よくないもの」をよせ集め、400年後に蘇った。死屍累生死郎はキスショットとの仲直りの為に2人目の眷属である暦と一騎討ちを行うが敗北。最期は忍に食べられた。

ハイウエストとローライズ

真っ黒なドレスを着た少女と真っ白なタキシードを着た少年という双子の吸血鬼。存在しない城塞都市を拠点としている。一時期は保護観察処分となっていたが、活動を活発化させたために専門家による処分が決定する。羽川に敗れた後は「趣味を奪われた」と判断し、互いに食らいあい自殺した。

おもし蟹(おもしかに)

作中では主に蟹と呼ばれる怪異。重いし蟹、おもいし神、重石蟹とも呼ばれる。忍野メメ曰く「九州山間部の民間伝承」が由来で、蟹であったりウサギであったり、美女の姿をとることもあるという。人の願いを聞き入れ「思い」とともに「重さ」を引き受ける支える神であり、おもし蟹と遭遇した戦場ヶ原ひたぎ(せんじょうがはら ひたぎ)は、悪徳宗教にはまりついには家庭崩壊まで引き起こしてしまった母親の思い出と体重をなくした。アニメでは無数の「蟹」の漢字で構成されたタカアシガニのような姿で表現されている。

蟹に行き遭った少女:戦場ヶ原ひたぎ(せんじょうがはら ひたぎ)

蟹に行き遭った少女。幼いころは病弱で、あるときに9割がたは助からないという大病を患ってしまう。すると心のよりどころを求め、母親が宗教にはまるようになる。手術の結果、戦場ヶ原は九死に一生を得たが、母親は「進行のおかげで娘は助かった」としてますます宗教にのめり込んだ。やがて娘のために入信したはずなのに、主客転倒を起こし、娘を悪徳宗教の幹部に差し出すという暴挙に出る。戦場ヶ原は抵抗したが、その結果家庭は崩壊。中学生でも高校生でもない、そのときにおもし蟹と出遭った。戦場ヶ原はおもし蟹に、母親との思い出を差し出した。彼女は母親について思い悩むことがなくなり、楽になったが、その代償として重みをなくしてしまった。以来、人との接触を避けて生活するようになる。
高校3年生のときに暦の紹介で忍野メメと知り合い、おもし蟹にお願いをすることで「思い」と「重さ」を返してもらった。

迷い牛(まよいうし)

作中では主に蝸牛と呼ばれる怪異。「家に帰りたくない」と思う者の前に現れ、ついてくる者を永遠に迷い続ける。これは迷い牛本人が目的地に「帰る」ことができず、永遠に迷い続けるからである。しかし同行者は、迷い牛から離れれば迷うことはなくなる。また道以外を歩くことで回避することができる。

八九寺真宵(はちくじ まよい)

母の日にとある公園で暦と出会った、ツインテールの小学生。背中には大きなリュックを背負っている。「迷い牛」という怪異そのもので、離婚の末に離れて暮らすことになった母親に会いに行く際に、車にはねられて死亡してしまった。それ以降は幽霊となり、母親の家にたどり着くことができず道に迷い続けている。
暦や忍野の協力で家に帰ることができた後は地縛霊から浮遊霊になる。しかし本来は家に帰った時点で成仏していなければならず、理に反したことで真宵は世界の修正力ともいえる「くらやみ」に狙われてしまう。真宵は成仏することを選択するが、その後地獄に来た暦に連れられて現世に帰還。北白蛇神社の神になった。

レイニー・デヴィル

作中では主に猿と呼ばれる、雨降りの悪魔。泣き虫の悪魔とも呼ばれる。親と喧嘩した子供が雨の日に家を飛び出し、サルの群れに食い殺されたことが起源とされる、低級の悪魔。人間のネガティブな感情や暗黒面を好んでエネルギー源とし、契約した者の裏の願いを読んで暴力的な叶え方をする。願いは魂と引き換えで、3つ全て叶えると願った者は生命と肉体を奪われて悪魔そのものとなるという。
作中で登場したレイニー・デヴィルは、厳密にいえば本物のレイニー・デヴィルではない。作中では神原駿河がレイニー・デヴィルに願うが、これは母親の遠江(とおえ)が幼いころに生み出した正体不明の怪異である。遠江は正体不明の怪異を「レイニー・デヴィル」と定義づけることで退治し、その後娘の駿河に「猿の手」として遺した。

猿に願った少女:神原駿河(かんばる するが)

猿に願った少女。直江津高校の1年生で、暦や戦場ヶ原の後輩にあたる。直江津高校の弱小バスケットボール部を全国区クラスに引っ張り上げた学校のスターである。
レイニー・デヴィルという悪魔の左手は母が遺したもので、駿河は小学校4年生のときに「足が速くなりたい」と願った。レイニー・デヴィルは「運動会の徒競走で駿河と一緒に走る予定だった同級生を襲う」という形で、駿河の願いを叶える。レイニー・デヴィルを恐ろしく思った駿河は、左手を封印したが、高校1年生になり、憧れの戦場ヶ原の隣に立つ暦を見て、再びレイニー・デヴィルに願ってしまった。駿河の「戦場ヶ原を奪った暦を殺したい」という裏の願いを聞き入れたレイニー・デヴィルは、雨合羽を着た悪魔となり暦に襲い掛かったが、忍野の連絡により戦場ヶ原が現れたことで願いが叶わなくなり、レイニー・デヴィルは消えた。しかし駿河の左腕は悪魔の腕のままとなった。

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