【スタジオジブリ】映画・風立ちぬのモデルとなった実在の人物や場所をまとめて紹介！

映画『風立ちぬ』

かつて、日本で戦争があった。
大正から昭和へ、1920年代の日本は、不景気と貧乏、病気、そして大震災と、まことに生きるのに辛い時代だった。
そして、日本は戦争へ突入していった。当時の若者たちは、そんな時代をどう生きたのか？
イタリアのカプローニへの時空を超えた尊敬と友情、後に神話と化した零戦の誕生、薄幸の少女菜穂子との出会いと別れ。この映画は、実在の人物、堀越二郎の半生を描く――。
堀越二郎と堀辰雄に敬意を込めて。

−−風立ちぬ公式HPより

堀越二郎

本作の主人公。子供のころから飛行機に憧れ、東京の大学で航空工学を学んだ。その後、ドイツへの留学を経て、航空技術者として数々の戦闘機を設計することになる。七試艦上戦闘機の開発では、初めて設計主務を任されるが、同機は飛行試験中に垂直尾翼が折れて墜落した。失意の中、休暇で訪れた長野県北佐久郡軽井沢町で菜穂子に出会う。その後、九試単座戦闘機の試作一号機に逆ガル翼や沈頭鋲を採用するなど、独創的な設計を行い、その非凡な才能を開花させる。のちに零式艦上戦闘機など優れた飛行機を次々と生み出した。

--wikipediaより

堀越二郎

本作主人公のモデル。
第二次大戦時の日本を代表する航空機設計者。
東大の航空学科を主席で卒業後、三菱内燃機に就職。
映画内でも登場した「七試艦上戦闘機」「九試単座戦闘機（九六式艦上戦闘機）」「零式艦上戦闘機」を設計。その他に「局地戦闘機雷電」「艦上戦闘機烈風」の設計にも携わる。戦時中は零戦の改良と雷電の開発に追われ、過労で度々倒れてしまっていた。
戦後、日本初の国産ターボプロップ旅客機YS-11の設計に参加。新三菱重工の参与や東大、防衛大、日大などで教鞭をとった。
1982年1月11日死去（享年78歳）。
ちなみに実際の堀越二郎は1932年に結婚し、子宝にも恵まれている。

堀辰雄

本作主人公のもう一人のモデル。小説「風立ちぬ」の作者。
東京帝国大学文学部卒業後、「聖家族」で文壇デビュー。
肺結核を病み、度々軽井沢に療養していた。1933年にその軽井沢で矢野綾子（里見菜穂子のモデル）と出会い翌年婚約する。しかし、綾子も肺結核を患っており1935年には二人で八ヶ岳山嶺の富士見高原療養所に入る。その年の冬に綾子は亡くなり、この体験を元に書かれたのが代表作の「風立ちぬ」である。後年、加藤多恵と知り合い、結婚。身近な人が多く亡くなり、自身も肺結核を患う堀辰雄を妻として支えた。
戦争末期から体調を崩し、作品発表もままならない状態のまま1953年5月28日に没した。享年48歳。

里見菜穂子

本作のヒロイン。
関東大震災時に大学生の二郎に助けられる。
その後成長した二人は軽井沢で再会し、互いに惹かれ交際することとなる。
肺結核を患っており、軽井沢へも療養のために訪れていた。

矢野綾子

里見菜穂子のモデルの女性。
肺結核を患い、軽井沢で療養中に堀辰雄に出会う。1933年に辰雄と結婚するも翌年死去。
堀辰雄は彼女との経験を「風立ちぬ」にて著し、さらに「菜穂子」の中でもヒロインに彼女を重ねている。
この小説「菜穂子」が「里見菜穂子」の名前の元となっている。

本庄

二郎の同僚の航空技術者。二郎とは東京帝国大学時代からの友人で八試特殊偵察機、九試陸上攻撃機（のちの九六式陸上攻撃機）の設計主務を務めた。

本庄季郎

東大航空学科、三菱内燃機での堀越二郎の一年先輩にあたる。作中に登場する双発機「八試特偵」の設計を皮切りに、これを攻撃機に改造した「九試陸上攻撃機（九六式陸上攻撃機）」。戦時中の海軍主力双発爆撃機「一式陸上攻撃機」を設計した。
日本の戦闘機設計を世界レベルまで引き上げたのが堀越二郎とすれば、日本の大型機設計を世界レベルまで引き上げたのが本庄季郎といえる。
ちなみに、琵琶湖で開催されている「鳥人間コンテスト」の第一回大会優勝の機体を設計したのもこの人。

服部

二郎が所属する設計課の課長。七試艦上戦闘機の開発の失敗で失意の二郎に、休暇を与えた。二郎の手腕を買っており、九試単座戦闘機の開発では設計主務として二郎を再び推薦する。

服部譲次

三菱での二郎の上司。
東京帝国大学大学院の工学科を卒業後三菱造船に入社。名古屋航空機製作所にて部長などを歴任した。
入社してまだ五年の堀越二郎の才能を見出し、七試艦上戦闘機の主任設計者に任命する。その七試艦上戦闘機が「醜いアヒルの子」と言われる失敗作となってしまった後も堀越二郎の力を信用し、続く九試単座戦闘機でも主任に指名した。その結果、完成した九試単戦は欧米レベルに追いつく初の日本製戦闘機として、日本航空機史上のエポックメイキングといえる機体に仕上がった。

カプローニ

世界的に著名なイタリア人飛行機製作者。
少年だった堀越二郎の夢の中に度々現れ、彼に航空機設計のロマンを語る。

ジャンニ・カプローニ（ジョバンニ・バティスタ・カプローニ）

イタリアの飛行機設計家。
ミュンヘン工科大学で土木工学を学び、その後リエージュ大学で電気工学を学んだ。1908年にカプローニ飛行機工場を立ち上げると、その後の第一次世界大戦での航空機需要に応えて多くの爆撃機などを設計、製造して成功を収めた。
戦後、飛行機の旅客化を推進し、作中にも登場するCa.48やCa.60などの巨大な旅客輸送機設計に尽力した。
1957年8月27日ローマで死去（享年71歳）。

フーゴー・ユンカース

二郎たちがドイツへ視察旅行に出かけた際に工場内で飛行機見学の許可を与えた人物として描かれている。
1859年にドイツで生まれた発明家、実業家。全金属製航空機や初期の高速ディーゼルエンジンの開発に先駆的な役割を果たした。
全翼機の特許や後のルフトハンザ航空となる会社の設立など、その功績は数多い。
70歳を超えた後も航空機関連技術の開発に尽力したが、時のナチス政権に批判的な姿勢をとったことから、政権から会社を奪われ、追放された。晩年は監視下での生活を余儀なくされ、1935年失意の中で亡くなった。

三菱内燃機製造（三菱航空機）株式会社

二郎が入社し、飛行機設計を行うことになる会社。1934年に三菱造船と合併し三菱重工業へと再編された。
二郎の設計した「九六式艦上戦闘機」や「零式艦上戦闘機」「雷電」、本庄の設計した「九六式陸上攻撃機」「一式陸上攻撃機」、その他「一〇〇式司令部偵察機」「四式重爆撃機飛竜」など日本の主力航空機メーカーとして多くの航空機を設計製造した。
2008年に国産旅客機三菱リージョナルジェットの開発が決まり、三菱重工の事業会社として再び事業をスタートさせている。

富士見高原療養所

菜穂子が入った結核治療の高原療養所。
1926年に設立。結核の高地療養を主目的とした施設であったが、初代院長の正木不如丘は周辺住民の結核療養所に対する忌避感情に配慮し、外科・眼科・耳鼻科・婦人科なども設置した。
1981年には長野県厚生連の管理に移管、後に周辺地区の病院・診療所・老人福祉施設を運営する組織として富士見高原医療福祉センターが成立すると、富士見高原病院はその富士見事業部下の本院として位置付けられている。