風立ちぬ(ジブリ映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『風立ちぬ』とは、2013年にスタジオジブリが公開したアニメーション映画で、監督は宮崎駿。キャッチコピーは「生きねば。」。主人公の堀越二郎は、幼い頃から飛行機が大好きで飛行機乗りになりたかった。しかし近眼という決定的な欠陥から飛行機乗りの道を諦め、設計者を志すこととなる。そして大学生のころ関東大震災にあい、その時に出会った結核の少女、里見菜穂子と恋に落ちる。大正から昭和へと流れゆく時代に、生と死の間で苦悩する青年を描いた感動作となっている。

イタリアの航空機設計者、経営者カプローニが設計した機体。設計した大型飛行艇。大西洋を100人の乗客を乗せて飛ぶ計画のために、この大型機には三枚重ねの翼が前、中、後ろと三つ付いている。エンジンは前翼と後翼に4つずつの計8機が付いている。1921年に初飛行したが、わずか数十m進んだところで墜落してしまった。試験飛行中に墜落。劇中で「撮るな」と言ってカメラを投げ捨てたシーンは、この飛行機の墜落シーンである。

忠実では、1921年3月4日、イタリアのマッジョーレ湖で乗客60人分に相当する重量を積載して試験飛行を行なった。しかし機体はわずか60フィート(約18メートル)の高さまで上昇しただけで、その後すぐに墜落。機体は衝撃で破壊され急速に浸水、数分で湖の底に沈んだ。引き上げて修理を試みたが、その後火災によって機体は完全に失われてしまった。

Ca.36

カプローニの多発大型爆撃機。初飛行は1916年。機体の前に2台と後方に1台のエンジンを積んだ特徴的な3発機で、小改良を加えながらイタリア主力爆撃機として活躍した。
1915年8月〜1916年12月の間に総計で166機のCa.1系の機体が製造された。
劇中では少年時代の二郎の夢で「飛行機は戦争や経済の道具ではない。それ自体が美しい夢なのだ」と語るシーンにこの機体と思われる飛行機が登場している。
ただし、Ca.1を元に小改良を加えたCa.31、Ca.32、Ca.33、Ca.36などが爆撃機として軍に採用されており、劇中では機体の名称に言及されないため、このいずれであるかは不明。

Ca.90

非常に大きい巨大戦略爆撃機。当時世界最大の航空機で、下翼の幅が46mある。機体にはエンジンを6機装備する6発複葉機。
劇中では、夢の中で二郎がカプローニに再び出会った際に、みんなでワイワイ乗っている飛行機がCa.90となっている。1929年に初飛行したドルニエ Do X飛行艇のほうが翼幅と重量でCa.70を上回っていたが、1934年にツポレフ ANT-20が登場するまでCa.90は最大の陸上機だった。

Junkers F.13

1919年に初飛行した世界初の全金属製航空機。当時としては先進的な単葉旅客機で、4名の乗客と2名の乗員を乗せることができた。300機以上が生産され、生産期間は13年、商用での使用期間はほぼ20年に渡った。航空機技術が急速に進化する時代に20年もの使用期間は驚異的であった。
劇中では、二郎が会社の同僚たちとドイツのユンカース社に見学に訪れた際に、Junkers F.13をはじめとした技術先進国ドイツの画期的な機体の数々を目の当たりにしている。

Junkers G.38

ドイツのユンカース社が製造した大型旅客機。初飛行は1929年。1930年代当時としては陸上最大の旅客機。30名の乗客と7名の乗員が乗ることが出来た。
主翼内を通って4基のエンジン全ての元へ行くことのでき、飛行中でもエンジン整備が出来たという。劇中、ドイツで二郎達が乗せてもらった巨大飛行機がJunkers G.38となっている。

九六式陸上攻撃機

日本海軍の陸上攻撃機。当時としては高い航続性能を有し、支那事変から太平洋戦争の初期まで第一線で活躍した。海軍の仕様要求を満たすため主翼の大部分を占める燃料タンクに防弾は施されていなかった。このことを本庄は劇中で「これに爆弾を積んで3000キロを飛ばすつもりらしいが、あんなものは数発の被弾で火達磨だ」と評した。
忠実の九六式陸上攻撃機は、優れた設計で九六式艦上戦闘機と共に日本航空会のレベルを一気に押し上げた機体の1つとなっている。
スマートな機体で優れた飛行性能と長大な航続距離を有していた。しかし、防弾装備・防御火力不足がネックとなっていた。
日中戦争では台湾や九州から中国本土爆撃を行う渡洋爆撃を実施。国内外に大きく宣伝されたが、実際には敵戦闘機による被害も甚大であった。

九六式陸上攻撃機は九六式艦上戦闘機と並んで、日本の航空技術が欧米と同等のレベルまで進んだことを示した最初の機体である。当時としては高い航続性能を有し、支那事変から太平洋戦争の初期まで第一線で活躍した。
日本航空会にとって単発戦闘機のエポックメイキングが堀越二郎の九六式艦上戦闘機であるとすれば、こちらは大型爆撃機のエポックメイキング的な機体と言える。

ポリカルポフ I-16

1930年代後半のソ連軍主力戦闘機。単葉引き込み脚を持った新鋭機で、日本陸軍の97式戦闘機と死闘を繰り広げた。空戦性能に優れる日本軍機に対して、I-16は速度と重武装で勝るという特長があった。
劇中では九六式陸上攻撃機を攻撃して炎上させている。

実在の堀越二郎が設計した機体

七試艦上戦闘機

七試艦上戦闘機は昭和7年度から始まる海軍機の試製3ヵ年計画の一環として、九〇式艦上戦闘機の更新を目的として、三菱、中島に対して競争試作の形で発注された。
「七試単戦」とも呼ばれていた。当時、戦闘機の設計は複葉から単葉への移行期にあったため、同社設計のパラソル翼単葉の陸軍九一式戦闘機を海軍の要求仕様に沿って改設計した中島に対して、三菱は七試艦戦をより進歩的な低翼単葉で設計した。七試艦上戦闘機は競合した中島機と同様に、兵器採用されることはなかった。

九六式艦上戦闘機

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