バレット・ウォーレス（ファイナルファンタジーVII）の徹底解説・考察まとめ

コレル村

コレル山を抜けた一行は砂にまみれ、荒れ果てた小さな集落に辿りつく。そこの住人達はバレットの顔を見るなり集団で取り囲むと、「どの面下げて戻ってきたんだ？」などと罵声を浴びせながらバレットを殴っていた。「スマン」と言いながら何もやり返さないバレットを見て、住民たちは「面白くねえ」と言いながら元の場所へと引き上げていく。バレットは仲間達に「聞こえただろ？俺のせいでこの町は壊れてしまったのさ」と呟くと、集落の奥の方へと向かって行ったのだった。

クラウド達が慌てて追いかけると、バレットは「砂漠に建てられた楽園・ゴールドソーサー」に向かうロープウェイ乗り場で物思いにふけっていた。「いったい何があったの？」とティファが尋ねると、バレットは「このあたりに俺の故郷があった。四年前に砂に埋もれちまったらしく、今はもう無い」と事情を明かす。それでもエアリスは「そうだとしてもあんなひどいことを言うなんて」と納得していない様子だったため、バレットは自らの過去を振り返って仲間たちに話し始めた。

バレットの過去

バレットの故郷「コレル村」は古くから炭鉱業を営んでおり、貧しかったがのどかな場所だった。ある日神羅カンパニーの幹部であるスカーレットがコレル村を訪れ、魔晄炉建設の提案をする。バレットを始めとした住民たちは、魔晄エネルギーが生み出す豊かな暮らしを夢見て魔晄炉建設に賛成していたが、バレットの親友ダインだけは「親父たちが守ってきた炭鉱を捨てる事などできない」とただ一人反対していた。
しかしスカーレットの「魔晄炉が完成した暁には、神羅が住民の生活を保障する」という言葉と、バレットの「女房のミーナにこれ以上苦しい生活をさせたくないんだ」という説得を受け、最終的に魔晄炉建設が行われる。
ところがバレットとダインが少しの間村を離れている隙に、コレル村は神羅の軍によって焼き払われていた。魔晄炉で起こった爆発事故の罪を「建設反対派の責任だ」と言って擦り付けられ、バレットは妻のミーナを失った挙句逃げ延びた住民たちから憎み蔑まれることになったのだった。

話を聞き終えそれぞれ考えに耽る一行の元に「ゴールドソーサーへ向かうならロープウェイに乗ってくれ」という声が聞こえてくる。バレットは沈んだ気持ちを抱えながら、ロープウェイへと乗り込んだ。

ゴールドソーサー

ゴールドソーサーに着いた一行だが、相変わらずバレットの気分は晴れなかった。その一方賑やかなアミューズメント施設を見てエアリスは「うわぁ～、楽しまなくっちゃ！」とはしゃぐ声をあげている。エアリスの様子に腹を立てたバレットは怒って一人どこかへ飛び出してしまったが、ティファは「大丈夫みたい。なんだかいつものバレットに戻ってる。少し元気出たみたい」と安心するのだった。

しばし別行動をとることになったクラウドは仲間を一人誘い、ゴールドソーサーの中を見て回る。そして「ワンダースクウェア」という施設に着くと、入り口で占いをしているという「ケット・シー」に声を掛けられた。情報を得たかったクラウドがセフィロスの行方について占いを頼むと、「今日のラッキーカラー」など関係のない結果が出てくる。呆れて移動しようとしたクラウドに「もう一度だけやらせてくれ」と頼み込んで出てきた結果が、「求めれば必ず会えます。しかし最も大切なものを失います」というものだった。占いの結果が気に食わないというケット・シーは、強引にクラウド達の仲間に加わる。

そしてケット・シーを加えたクラウド達が「バトルスクウェア」という施設に着くと、施設にいた人たちは倒れており中は血の海だった。遺体を調べたクラウドが銃で撃たれていることを発見した時、生き残っていた女性から「片腕が銃の男」という犯人像を伝えられる。それと同時にゴールドソーサーの園長を務めている「デュオ」が現れ、弁解をする間も与えずクラウド達を闘技場の真ん中に空いた穴へと投げ込んだのだった。

コレルプリズン

クラウド達が投げ込まれた場所は砂漠の中に建てられた集落のような場所だった。側にいたケット・シーが「サバクのかんごくコレル・プリズン」と場所の説明をしていると、もう一人の仲間がバレットを見つけたためクラウド達はバレットの後を追いかける。バレットは倒れている人間を前に、呆然と立ちすくんでいた。
クラウドが「バレット、あんたまさか本当に？」と言い募ると、バレットは「来るんじゃねぇ。これは俺がカタをつけなきゃならねえ問題だ」と言い置き再び姿を消す。更にコレルプリズンの中を捜索したクラウド達は、民家の中にいるバレットを発見した。
現れたクラウド達に対して銃を向けるバレットを見てケット・シーは慌てるが、バレットが引き金を引くとクラウド達の後ろに隠れていた男が倒れる。「お前たちを巻き込みたくなかった」というバレットに対して「それはクラウドのセリフだ」と言いながら現れたほかの仲間たちは、バレットに説明を求めた。重い口を開いたバレットは「もう一人片腕が銃の男がいる」と言いながら、四年前の事件についての詳細を説明し始めるのだった。

バレットと親友のダインが建設中の魔晄炉を見物しに行った帰り道、村長が「村が神羅軍に襲われている」という情報をもって駆け付ける。丘の上から燃え盛る村を見て急ぎ戻ろうとしたダインとバレットだったが、村長は神羅兵によって撃たれてしまった。何とか村に戻ろうとするバレットとダインに対して、スカーレットは部下に命令し執拗に銃撃を浴びせかける。その内崖から落ちかけたダインの手をバレットが掴んだが、非情にもスカーレットは二人の腕部分を狙うよう指示しダインは崖下へと転落した。
生き延びたバレットの右腕は使い物にならなくなっており、悩んだ末右腕を銃に改造し神羅に復讐するための新しい腕を手に入れる。その際手術を担当した医者から「同じ手術を希望した男が一人いた」という情報を聞き、バレットはダインが生き延びて左手を銃に改造したことを確信したのだった。

話終えたバレットは「ダインに謝らなくちゃならねぇ。だから一人で行かせてくれ」と仲間を説得するが、クラウドは「ここであんたに死なれちゃ、夢見が悪い」と拒否する。ティファも「星を救うんでしょう？」とバレット一人を生かせることに反対するが、「星を救うなんてカッコつけちゃいるが、本当は神羅に復讐したいだけなんだよ」とバレットは自分の正直な気持ちを吐露した。
それを聞いてもティファは「それでいいじゃない。私だって似たようなものだわ」とバレットの想いを肯定する。結局バレット、クラウドともう一人仲間を連れてダインを探す事となった。

親友ダインとの決闘

広大に広がる砂漠を横目にアジトへたどり着いたバレットは、左腕が銃の男に「ダインなのか？」と呼びかける。男が「懐かしい声だな。忘れようにも忘れられない声だ」と言いながら振り向くと、その男はやはりバレットの親友ダインだった。
バレットはダインに近づこうとしたが、突然ダインは銃口をバレットに向けてその行動を阻んだ。ダインは「エレノアの声が聞こえるんだ。お願いだからバレットを恨まないでってさ」と、死んだ妻の声が聞こえると呟きながら銃を手当たり次第に放つ。バレットは自分の愚かさや過ちを認めつつも「無関係の人間を殺して何になる？なぜだ？」とダインに問いかけるが、憎しみに捕われたままのダインには響かない。辺りかまわず銃を撃ちながら「壊してしまいたいんだよ、何もかも。この世界にはもう何もない。コレル村…エレノア…マリン…」と呟いた。マリンの名を聞いたバレットは「マリンは生きている」とダインに打ち明けた。
訝しげな顔をするダインに、「あの後俺はもう助からないと思って村に戻った。最後は女房のミーナの側にいてやりたいと思ったんだ。そこでお前の娘マリンを見つけた」と事情を説明する。続けて「マリンはミッドガルにいるんだ。会いに行こう」と説得するが、ダインは「やはりお前とはやり合わなければならないようだな」とバレットに銃を向けてきた。
「エレノアが一人で寂しがってる。マリンもエレノアの元へ連れて行ってやらなくちゃな。マリンだって母親に会いたがっているだろう？」とバレットに向けて銃を撃つ。思わずクラウドは加勢に入ろうとしたが、バレットは「手を出すな！これは俺の問題だ」とクラウドを止めると、ダインと向かい合った。

決着をつけた後、バレットはダインに「俺たち本当にこんな形でしか決着をつけられなかったのか？」と問いかける。ダインは苦し気に「言っただろう。すべてを壊したかった。俺自身も…」と言葉を返した。そしてダインは首からペンダントを外し「マリンに…。エレノアの…形見…」とバレットに投げ渡す。バレットが頷いたのを見届けると、ダインは「マリンを…泣かせるなよ…」と言い残すと、崖から飛び降りたのだった。突然の行動に驚愕したバレットは膝をついて涙を流しながら、親友の死を悼んだ。

ダインのペンダントを預かったバレットはコレルプリズンを仕切っている「コーツ」の元へ向かうと、上へ行く交渉を行う。ペンダントを見たコーツはダインの死を悟ると「チョコボレースで優勝して、そいつがデュオと交渉してこい」と伝える。ちょうどそこへチョコボレースのマネージメントをしている「エスト」が現れたため、クラウドが一人で上へ行きチョコボレースに出場することとなった。
クラウドは見事チョコボレースで優勝し、エストから事情を聞いたデュオから「お詫びの品として受け取ってくれ」という言伝と共にバギーを貰う。こうしてコレルプリズンから脱出した一行は、旅を再開することができた。

黒マテリア

旅を続ける中で、セフィロスの目的が「究極の破壊魔法メテオ」を発動させて星を破壊させるほどの傷をつけることだと判明する。クラウド達は「古代種の神殿」でメテオ発動の鍵となる「黒マテリア」を手に入れることに成功するが、古代種の神殿に現れたセフィロスがクラウドに「目を覚ませ！」と呼びかけた途端、クラウドは正気を失い黒マテリアを手渡してしまった。クラウドは黒マテリアを手渡してしまった罪悪感から混乱状態に陥り、側にいた仲間であるエアリスに殴りかかる。何とかクラウドを引き離して気絶させると、一行はゴンガガ村でクラウドを静養させることを決めた。

バレットとティファはクラウドが目覚めるまでずっと側について見守っていたが、気が付いたクラウドに「エアリスが居なくなった」という事を伝えると、クラウドは「エアリスは古代種の都に向かっている」と夢で見た光景を話し始めた。バレットとティファは今すぐエアリスを探しに行くことを提案すると、クラウドは「嫌だ。セフィロスが近くに来ると俺はまたおかしくなるかもしれない。怖いんだ」と頭を抱えてしまう。
そんなクラウドにバレットは「お前のせいでセフィロスは黒マテリアを手に入れたんだ。責任をとれ」と厳しく声を掛けた。つと顔をあげたクラウドにバレットは「お前は自分のことが分かんなくなっちまうくらい、色々抱えてんだろう。だがな、クラウド。オレたちが乗っちまった列車は途中下車は無しだぜ」と続ける。ティファも「ここまで来たのよ？セフィロスと決着つけるんでしょう？」と励ますが、クラウドは頭を抱えて拒否するだけだった。

悩むクラウドをティファは心配そうに見ていたが、バレットは「少し時間をやろうぜ。これはアイツ（クラウド）が自分自身で決客をつけなきゃならねえ問題だ。信じてるんだろ？クラウドを」とティファを諭す。クラウドは住民たちにいろいろな話を聞きバレットとティファの元へ戻ると、バレットが「お前は真実を知りたいのか、それとも怖いのか？」と問いかけてきた。続けて「ここで悩んで頭抱えてても始まらねえぞ。セフィロスが現れてまたお前がおかしくなっちまったら、俺がぶん殴って正気に戻してやるよ」とクラウドを不器用ながらにも力強く励ます。その言葉を受けてクラウドは、迷いながらも旅をつづける決心をするのだった。

メテオ発動後

行方不明になったエアリスを追い「古代種の都」に辿りついたクラウド達だったが、エアリスは目の前でセフィロスに刺されて息絶える。深い悲しみと怒りを抱えながらセフィロスの待つ「北の大空洞」に辿りつくが、最深部でセフィロスに揺さぶりを掛けられたクラウドの自我が崩壊し、クラウドはセフィロスに黒マテリアを手渡してしまうのだった。
その瞬間北の大空洞は星を滅ぼす怪物「ウェポン」の目覚めと同時に崩壊し、ティファとバレットは調査に来ていた神羅カンパニーのルーファウスに捕われて脱出を果たす。ティファは崩壊から一週間後神羅ビルのジュノン支社で目覚めるが、クラウドを始めとした仲間たちは行方知れずとなっており、空にはセフィロスが発動した「メテオ」が怪しく光っていた。

ティファとバレットが話をしているところにルーファウスとハイデッガーが現れる。ティファとバレットは「メテオを呼び寄せ、世界を危機に陥れた元凶」として処刑されることが決まっていたのだった。縛り上げられ報道室に連行されると、大勢の記者やカメラマンが揃っている。報道室にいたスカーレットは二人をカメラの前に晒しあげ、「まずはこの女（ティファから）処刑を開始する」と宣言し、ティファをガス室へと連れて行った。
バレットが何とか止めようと抵抗しているところ、突如として「ウェポン襲来」の警報が鳴り響き、報道室は一人の記者を残して誰も居なくなる。しかしこの記者はスカーレットを催眠ガスで眠らせると、ケット・シーが変装を解いて現れた。
「神羅の人間がなぜ？」と訝しがるバレットに「死刑には反対なんです。この女（スカーレット）も嫌いやし」と答えると、早くティファを救出するよう促す。しかしガス室の扉は固く閉ざされていたため、ケット・シーは作戦を変更してエアポートに急ぐように指示を出した。
途中変装したユフィと合流したバレットは無事にエアポートに辿りつく。一方のティファも兵士がガス室に落とした鍵で拘束を解いており、「ウェポン」の襲撃によって破壊された穴から脱出して、海に向けられた砲台の先端部分へと到達していた。
追いかけてきたスカーレットと対峙したティファが壮絶なビンタ合戦を繰り広げていると、ティファの耳に「海へ走れ」という声が響いてくる。こうしてティファは砲台の下に待機していた飛空艇「ハイウィンド」によって、無事脱出を果たすのだった。

クラウドの捜索

散り散りになった仲間たちは神羅に捕われたバレットとティファを救出するため、一週間をかけて準備を整えていた。救われたティファがハイウィンドのコックピットに行ってみると、仲間達や乗組員が「無事でよかった」と声を掛けてくる。しかしその中にクラウドの姿だけが無かった。ティファはクラウドがいないことに絶望し「ウェポンが暴れていて、メテオも迫ってきている。どうしたらいいかわからないの」と嘆く。弱気になっているティファにバレットは「何言ってんだティファ。一緒に考えようぜ！俺たちの乗っちまった列車は途中下車はできねえぜ！」と励ました。
クラウドが居ない事がこれ程辛いという事に驚くティファだったが、他の仲間たちの励ましと情報を受けて立ち直り、クラウドを探して世界中を飛び回る。そして辺境の島ミディールを訪れると、「金髪の若い男が一週間前に流れ着いた」という情報を得ることができた。

村の診療所でクラウドを発見するが、ライフストリームに流されたクラウドは重度の魔晄中毒に陥っており、自我を失っていた。ティファはクラウドの変わり果てた姿に絶望するが、自分を見失ってしまったクラウドを支えたいと考え看病のためにミディールに残ることを決意する。
ティファの決断を受けた仲間たちは、メテオを止める手段を探すために再び世界中を回ることとなった。その時神羅カンパニーの社員でスパイ活動をやっていたケット・シーは、神羅が「ヒュージマテリア」を集めてメテオにぶつける作戦を立てているという情報を明かす。仲間たちは神羅に先んじてヒュージマテリアを回収する方針を立てると、バレットはシドに「アンタがリーダーになってくれ」と頼んだ。「そんな面倒なことは嫌だぜ」と断るシドだったが、バレットは「これからの戦いにはアンタとこの船・ハイウィンドが必要だ。これは星を救う船だぜ。この船を仕切っているのはアンタだろ？だから俺たちのリーダーはアンタしかいねえ」と説得する。シドはバレットの熱い想いを受け取るとリーダーを引き受け、ヒュージマテリアの回収任務を開始した。

無事ヒュージマテリアの回収に成功した一行は、クラウドとティファの様子を見にミディールを訪れる。しかし突然のウェポンの襲来とライフストリームの噴出が重なり、逃げ遅れたクラウドとティファはライフストリームの中に落下してしまう。
ライフストリームに落下したクラウドとティファを救出したバレットたちは心配そうに二人の様子を見守っていたが、やがてティファが目を覚ます。ホッとしたバレットは「お前にゃ負けたよ。大した女だ」と声を掛けたのだった。

目覚めたクラウドは、自分自身の本当の姿を取り戻していた。そしてジェノバの操り人形だった「元ソルジャークラスファースト」の偽りの姿を捨て、俺は俺の現実を生きて戦うと誓う。オペレーションルームに集まってクラウドの話を聞いていた一同だったが、ケット・シーは「これからどうするんですか？まさか船を降りるとか言わないですよね？」とクラウドに尋ねる。するとクラウドは「バレットがよく言ってただろ」と前置きすると、「オレたちの乗った列車は、途中下車はできないんだ」と力強く宣言した。クラウドと同時にティファとバレットも同じ言葉を発し、セフィロスと決着をつける為「ヒュージマテリア奪還作戦」を進めた。