ヱヴァンゲリヲン新劇場版：Q（ヱヴァ：Q）のネタバレ解説・考察まとめ

特務機関NERV（とくむきかんねるふ）

使徒の調査、研究、殲滅を目的として結成された世界的な組織。正式名称は「国際連合直属非公開組織 特務機関NERV」。
第3新東京市の地下にあるジオフロントに本部を構え、世界各国に多くの支部を持っていた。国連や各国首脳から使徒殲滅のための絶大な権力を委ねられており、軍事組織としての一面もある。
一方、実態は秘密結社ゼーレの下部組織であり、使徒の殲滅も彼らの都合によるもの。真の目的はゼーレの悲願とする人類補完計画を遂行することにある。

ニアサードインパクト後、人類補完計画の危険性を悟った大多数のメンバーが離反。現在はゲンドウ、冬月、アヤナミ、カヲル以外に所属している者が見受けられない状態となっている。
目下の目的は、次なる世界的大災害フォースインパクトを発生させ、人類補完計画をさらに推し進めることにある。

WILLE（ヴィレ）

NERVに対抗するために結成された組織。人手不足らしく民間人も多く登用されており、具体的な規模は本部の位置は不明。
使徒に対しては蹴散らされるのみだった通常兵器を戦力の要としており、NERVとの戦いでは後れを取り続けていた。

ゼーレ

謎多き秘密結社。正式名称はSEELE。
群体であり、個々に能力も思想も異なるため知的生命体として行き詰まることが予想される人類を、完全無欠の存在として再構築することを目的としている。そのために使徒を利用しようと企てており、彼らが使徒の管理を任せるために創設したのがNERVである。
TV版とは大きく異なり、その正体は「人類に文明を授けた異種の知性体」。人類補完計画の進捗に合わせて、これ以上は不要な存在だと判断したゲンドウによって始末されるも、彼からは「人類を代表して、文明を授けてくれたことに感謝します」と告げられていた。

人類補完計画

ゼーレが秘密裏に進めている計画。「群体であり、個々に能力も思想も異なるため知的生命体として行き詰まることが予想される人類を、完全無欠の存在として再構築する」というもの。
TV版とはいくつかの条件が異なっているため、その具体的な方法についてはまったく分からない状態となっている。

ニアサードインパクト

14年前、シンジが起こしてしまった世界的大災害。
初号機の力を限界以上に引き出そうとした結果、疑似シン化現象が発生。その神のごとき力をついには抑えられなくなり、暴走させた結果地球全土を壊滅させた。
セカンドインパクトの時点で半分まで数を減らしていた人類をさらに追い詰め、もはや地球上の生物は死滅寸前。自分の判断がそれを成したのだという事実は、シンジを決定的に追い詰めていった。

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版：Q』の名言・名セリフ／名シーン・名場面

US作戦

衛星軌道上にある初号機を奪取するため、初の宙域戦闘に臨むアスカの改2号機とマリの8号機。ロケットブースターで飛翔し、目標の十字架状のブロックに近づくも、待ち構えていたMark.04の攻撃を受ける。連携してこれを突破しブロックに取りつくも、さらに待ち伏せていたMark.04の奇襲を受け、アスカは窮地に陥る。頼みの僚機は高度不足で一足先に撤退し、上官は「何があっても初号機を確保しろ」と命じるばかり。孤軍奮闘を続けるアスカは、目の前で眠っているかつての仲間に向かって呼びかける。
「なんとかしなさいよ、バカシンジ！」
刹那、眠っていたはずの初号機が動き出し、強力な光線を放ってMark.04を攻撃。危ういところで作戦は成功を収める。

映画冒頭、いきなり大迫力で展開される戦闘シーン。この場面は宇宙工学の専門家が見ても惚れ惚れするほど物理的に正しい演出が成されており、庵野秀明監督のこだわりがうかがい知れる。

ミサト「ヴンダー発進！」

複数のMark.04に包囲され、絶体絶命のWILLE。これに対し、ミサトはテストの予定を省略してぶっつけ本番でAAAヴンダーを飛翔させることを決断する。
危険だという者、無謀だという者。そんな彼らもミサトの有無を言わさぬ態度に意見を引っ込めるしかなく、虎の子のAAAヴンダーはいきなりの実戦に臨む。
各員が奮起した結果、ギリギリで起動は間に合い、WILLEの希望を乗せた空中戦艦AAAヴンダーはその巨体を雄々しく飛翔させていく。

事情も分からないまま目まぐるしく状況が変わる中、降って湧いたような窮地を一瞬で切り抜ける鮮やかなシーン。『宇宙戦艦ヤマト』を敬愛してやまない庵野秀明監督がとことんこだわった演出と発進シークエンスは、複雑でありながら「何かすごいことが起きようとしている」と見る者の胸を躍らせる。

アスカ「助けてくれないんだ、私を」

フォースインパクトの発動を阻止した後、アスカが最初にしたのはマリが放り投げた13号機のコックピットに駆け寄り、その中を調べることだった。DSSチョーカーが作動したということは、もしかしたらシンジはコックピットの中で死んでいるかもしれない。しかしそこでは目の前でカヲルを失ったシンジが呆然自失のまま悲嘆に暮れており、そんな彼を見下ろしつつ、アスカが口にしたのが見出しのセリフである。

『ヱヴァ：破』で半死半生のまま物語からフェードアウトしたアスカが、あれから何年後に目覚めて動けるようになったのかは定かではない。それでも彼女は滅びを迎えつつある世界の中で、それを回避するために絶望的な戦いを長らく強いられてきたはずである。再会したシンジが、自分の起こしたニアサードインパクトのことなど知る由も無く、中学二年生の頃のままの彼だったことに苛立ちを覚えるのも無理はない。
しかし一方で、彼女は前作でシンジに抱いた恋心を、ずっと胸に秘めたまま彼との再会を待ち侘びていた。シンジが『ヱヴァ：破』で綾波を救うために起こした奇跡を、自分のためにもやってほしいとどこかで願っていた。だからこそUS作戦で追い詰められた際に出たセリフが「なんとかしなさいよ、バカシンジ」で、カヲルを死なせた罪悪感に打ちひしがれるシンジを見て口を突いた言葉が“ささやかな嫉妬”混じりの「助けてくれないんだ、私を」だったのだ。
『ヱヴァ：序』、『ヱヴァ：破』での成長を念入りに磨り潰されたシンジが再起するには長い時間が必要で、アスカの願いが叶うことは無いのかもしれない。それでも、14年もの断絶と“自分の選択が世界を滅ぼした”という現実に打ちのめされているシンジにとって、自分が知っていた頃の彼女の断片をアスカが心に残しておいてくれたという事実は、少なからず希望になったはずである。完結編である『シン・エヴァンゲリオン』にて二人の関係がどのような結末を迎えるか、ファンの注目は高まっている。

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版：Q』の主題歌・挿入歌

主題歌：宇多田ヒカル『桜流し』