新世紀エヴァンゲリオン劇場版(旧劇場版)のネタバレ解説・考察まとめ

『新世紀エヴァンゲリオン劇場版(旧劇場版)』とは、ガイナックス制作による庵野秀明監督のアニメーション映画。主たるジャンルはロボットアニメに分類される。同名TV作品のリメイク映画作品。
地球に突如として謎の巨大生命体「使徒」が出現。これへの対処に組織された特務機関「ネルフ」は、巨大人造人間「エヴァンゲリオン」を創造した。操縦には資格を持った14歳の少年が必要である。操縦者に選ばれた少年碇シンジと、彼を取り巻く人間たちの複雑怪奇な愛憎劇を描く。

第3新東京市の地下に広がる大空洞。その中央にはネルフ本部があるという設定であり、地上までは22層もの装甲に厚く守られている。
その正体は、リリスの卵あるいは本体である「黒き月」そのものであり、いわば超巨大生命体の内部を人間の手で改造した秘密基地といえる。

ネルフ本部よりも潜った位置に巨大連絡路が設置され、これをセントラルドグマという。
また、そこからさらに地下へ進むと、ロンギヌスの槍によって活動を停止したリリスが配置(幽閉)される最深部ターミナルドグマが現れる。

(なお『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』では、二つのドグマの名称が逆になっているので注意)

その他

人類補完計画

本作の物語を知っていく上で中核となる設定。
だが、非常に複雑怪奇な設定であり、劇中の描写だけではまったく全貌が理解できず、そのうえ公式が完全な設定をすることを意図的に避けている(庵野秀明がよく用いる制作手法)ため、本気で付き合おうとすると学術レベルの探求・研究時間が必要になってしまう恐れがある。

従って、真の意味での「正解」は存在せず、これを考察した人間次第で解釈が分かれている。並行して、公式非公式問わず『エヴァ』系の解説文で人類補完計画について扱ったものは、どれを見ても完全に同一なものがなく、執筆者によって結論が異なってしまうという頭の痛い問題が存在する。

そのため、ここではあくまで「『新世紀エヴァンゲリオン劇場版(旧劇場版)』でなにが起きたのか、ある程度は理解すること」のみを目的にして、情報を絞る。

基本的には「出来損ないの群体たる人類を、人工的に一個の完全な生命体に変えること」となっているが、関わる者によって少しずつ解釈と目的が異なる。

計画に関わる主な個人・組織の目的
・ゲンドウ個人:その性質を利用して、碇ユイに再会すること。
・ゼーレ:基本の通り。
・ネルフ:実態をあまりよく知らない。
・カヲル個人:自分でも起こせるが、それは違うと考えた(ように見える)。

発動後
・全人類がL.C.L.に還り、ひとつの意識を共有する液体の原初生命体になってしまう。

発動の条件
・使徒(アダム系列)とネルフ地下ジオフロントに設置される神の一柱リリスが接触する。
・リリスのコピーであるエヴァ初号機と、アダムのコピーであるエヴァ量産機が儀式を行う。
・リリスの化身である綾波レイと、アダムの肉体を右手に宿したゲンドウが融合する。

最終的な結末
・エヴァ初号機とエヴァ量産機の儀式の最中に、シンジの元へ飛んだ巨大な綾波レイ(魂が戻ったオリジナル・リリス)が、神としての力をすべてシンジにゆだねた結果、一度はシンジの絶望で全人類がL.C.L.化したが、その後の再考によって取り消しとなった。

セカンドインパクト

かつて南極体力で発生し、世界中に大洪水をはじめ大災害をもたらした事件の名称。

南極の調査によって発掘された神の一柱であり、第1使徒であるアダムに対してロンギヌスの槍を突き刺した結果、エネルギーの暴発が起こって世界に影響を与えてしまった。
情報操作によって隕石衝突によるものと偽装されており、このため月の生成起源説の一つであるジャイアントインパクトになぞらえて、セカンドインパクトと名付けられている。

サードインパクト

使徒もしくはアダムが、ネルフの地下に広がるジオフロントに設置されている神の一柱、リリスと接触することで起こるとされる現象。
また、これが人類補完計画発動のためのトリガーとなっており、ゲンドウやゼーレは使徒の意志ではなく、人間の意志によって発生させることで人間を単一の生命体へ還元しようとした。

白き月

はるか古代の地球に飛来・落下した神の一柱、アダムの核のようなもの。

生命の実を持った寿命がない生命体、すなわち使徒を生み出す力を持っていたが、後になって飛来した黒き月の落下が原因(同じ惑星に二つの神は住めないという『エヴァ』世界の法則)で白き月は機能を停止し、すべての使徒が眠りについてしまった。

落下場所は南極。セカンドインパクトは、この白き月を人類が調査で不用意に刺激したため、アダムの覚醒を促してしまったことで起きたとされている。

黒き月

白き月よりも後に古代の地球へ飛来・落下した神の一柱、リリスの核のようなもの。

知恵の実を持って進化する生命体、すなわち白き月由来の使徒以外の地球生命体を生み出す力を備えており、同時に死者の魂を回収するものでもある。人類補完計画は、単純にいえばアンチA.T.フィールドを世界中に発生させることで強制的に全生命体をこの黒き月に、L.C.Lの形で戻してしまおうとするもの。
その落下場所は箱根。現在のネルフ本部地下に広がるジオフロントの最深部である。

ガフの部屋・扉

明確な設定が存在せず、言葉と若干の映像として出てくるだけで詳細不明。
だが、本作では終盤、人類補完計画発動の寸前、冬月がそれを見届けつつ「ガフの部屋が開く……世界の始まりと終局の扉が、遂に開いてしまうか」と、独白の中で使っている単語でもあり、この緊迫したシーンを理解するための措置として「多くのファンの間で考察されているパターン」を解説する。
それは、

「絵コンテなどから推察して、アダム=白き月、リリス=黒き月であり、それぞれの体内に存在するのが、ガフの部屋である。扉はその入り口。この部屋こそ、二つの神が自らの子孫となる生命体の魂を生み出す場所であり、同時に死んだ者の魂が還ってくる場所である。つまり「あの世」のような場所。そしてリリスの黒き月の扉が開くということは、人類補完計画が発動し、多くの人間の魂が還っていく準備ができたのだ」

と、いう考察である。
再度になるが、あくまでファン間に多く見受けられる考察であり、公式が決めている設定というわけではないことに注意。

アンチA.T.フィールド

A.T.フィールドを強制的に瓦解させるもの。
その正体はよく判っておらず、人類の祖先たる神の一柱リリス(あるいはそのコピーであるエヴァ初号機)を媒介に、人類補完計画を実行することによって世界中に発動するものとされている。

不定形らしく、劇中では特に他人へ想いのない人間には、全裸の綾波レイの姿で、誰かに強い想いを抱いている人間には、その想い人の姿で現れた。ただし、ゲンドウの前にだけはエヴァ初号機の姿で現れており、そのことをゲンドウ自身は「シンジに構わなかった報い」だと認識し、独白している。

MAGI

「マギ」と読む。ネルフ本部および世界中の支部にそれぞれ1基ずつ配備された第7世代有機スーパーコンピュータ。
正確には三つの独立したスーパーコンピュータ(メルキオール ・バルタザール・カスパー)が集合したシステムであり、プログラムの進行においては三者すべての合意が必要になる合議制を採用している。そのため、人間が思考するのと同等の意志決定を行えるとされる。

開発者は赤木リツコの母ナオコであり、独立した各コンピュータには、彼女の人格を立場で三つに分けて模倣したOSがそれぞれインストールされている。すなわち「科学者としてのナオコ=メルキオール」「母親としてのナオコ=バルタザール」「女性としてのナオコ=カスパー」である。

これによって本作の最終局面において、娘リツコがゲンドウと共に心中しようとして入力した自爆コマンドに対し、メルキオールが承認、バルタザールが承認、カスパーが拒否を行使、コマンド実行は却下された。リツコに「母さんは自分の娘より、自分の男を取るの!?」と侮蔑、怒り、悲痛が混合したショックを与えた。母が女としての自分を優先し、家族を裏切ったシーンとして有名である。

チルドレン

エヴァンゲリオンを操縦する資格を持つとされる、14歳の子どもの事。
本作の物語内では、シンジ・綾波・アスカ・トウジ・カヲルの5人がその該当者となっている。
(ただし、カヲルのみは15歳。その理由は明らかにされていない)

また、本作の中では明かされないが、設定上では第3新東京市立第壱中学校の生徒全員がチルドレン候補だったとされている。
(ただし、14歳の生徒限定なのか、年齢問わず全校生徒が対象なのかは不明)

『新世紀エヴァンゲリオン劇場版(旧劇場版)』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

碇シンジ「助けてよ……またいつものように僕をバカにしてよ! / 最低だ、俺って……」

『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』の冒頭より。
意識を消失して入院しているアスカに対して、なんの支えもなくなったシンジが未練がましく独白するシーン。あまりにも彼女の身体を揺らしたために病衣がはだけてしまい、乳房があらわになったのを見て自慰行為に耽るが、射精後、自身の浅ましさに気づいて絶望を深める。

本作の封切り当時、このシーンについて賛否両論のすさまじい議論が巻き起こった。

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惣流・キョウコ・ツェッペリンとは、『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズの登場人物で、メインヒロインの1人である惣流・アスカ・ラングレー/式波・アスカ・ラングレーの母親。 特務機関NERV(ネルフ)の前身の1つであるゲヒルンという組織のドイツ支部に所属する科学者だったが、エヴァンゲリオン弐号機の実験中に事故に遭い、魂の大半を機体に取り込まれてしまう。この結果精神を病み、人形のことを娘のアスカだと思い込み、突発的に自殺する。しかしエヴァンゲリオン弐号機の中から娘のことを見守り、彼女と共に戦い続けた。

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北上ミドリ(エヴァンゲリオン)の徹底解説・考察まとめ

北上ミドリ(エヴァンゲリオン)の徹底解説・考察まとめ

北上ミドリ(きたかみ ミドリ)とは、『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズに登場するキャラクターで、反NERV(ネルフ)組織WILLE(ヴィレ)のメンバーの1人。 WILLEが保有する空中戦艦AAAヴンダーの艦橋要員で索敵担当。特徴的なピンク色の髪は、染めているわけではなくエヴァンゲリオン・インフィニティの廃液を浴びて変色したものである。かつて碇シンジが発生させたサードインパクトによって家族やそれ以前の生活を失っており、14年ぶりに目覚めた彼のことを冷ややかな目で眺めていた。

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赤木ナオコ(エヴァンゲリオン)の徹底解説・考察まとめ

赤木ナオコ(エヴァンゲリオン)の徹底解説・考察まとめ

赤木ナオコ(あかぎ ナオコ)とは、『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズの登場人物で、高名なコンピュータ技師。 特務機関NERV(ネルフ)の活動を支えるスーパーコンピュータシステム「MAGI(マギ)」の開発者。NERVの前身である人工進化研究所で働き、娘である赤木リツコとは手紙でのみやりとりする多忙な日々を送っていた。同組織の代表である碇ゲンドウとは愛人の関係にあったが、次第に彼から飽きられ、綾波レイからこの事実を突きつけられて激昂。衝動的に彼女を殺し、直後に自害した。

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キール・ローレンツ/ゼーレ01(エヴァンゲリオン)の徹底解説・考察まとめ

キール・ローレンツ/ゼーレ01(エヴァンゲリオン)の徹底解説・考察まとめ

キール・ローレンツ/ゼーレ01とは、『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズに登場するキャラクターで、人類補完計画を主導する秘密結社ゼーレの中心人物。 その遂行を特務機関NERV(ネルフ)の総司令官である碇ゲンドウに任せるが、彼が独自の目的に合わせて計画を歪めていることを知ると、これを裏切り行為と判断して戦略自衛隊に本拠地を襲撃させる。新劇場版では大きく設定が異なり、人間ではなく地球外で発生した知性体の成れの果てで、「自身の目的と大きく異なるものではない」とゲンドウの計画変更を許容した。

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洞木ヒカリ/鈴原ヒカリ(エヴァンゲリオン)の徹底解説・考察まとめ

洞木ヒカリ/鈴原ヒカリ(エヴァンゲリオン)の徹底解説・考察まとめ

洞木ヒカリ(ほらき ヒカリ)/鈴原ヒカリ(すずはら ヒカリ)とは、『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズの登場人物で、主人公碇シンジのクライメイト。 学級委員を務めるしっかり者で、父、姉、妹に自分を加えた4人家族。家の中では母親代わりを務め、家事全般を得意とし、弁当も自分で作っている。クラスメイトの鈴原トウジに片思い中で、仲良くなるきっかけを探している。弐号機のパイロットである惣流(式波)・アスカ・ラングレーからは、その面倒見の良さから頼りにされるようになり、やがて友人としての関係を築いていった。

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