Dolls ドールズ（映画）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】
『Dolls（ドールズ）』とは、2002年公開、北野武が監督を務めた日本のラブストーリー映画である。
北野武監督第10作目。人形浄瑠璃『冥途の飛脚』をモチーフに3つの物語から構成される。
青みがかった色彩のキタノブルーで知られる北野武監督だが、本作ではさまざまな色彩に満ちた映像になっていることが話題になった。
第59回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門正式出品作。衣装を山本耀司、音楽を久石譲が手がけた。
キャッチコピーは「あなたに、ここに、いてほしい。」である。
「キミノヒトミニコイシテル」
アイドル歌手山口春奈が歌っている曲名。
温井はこの曲を聴いて踊ったり、春奈が入院している病院の前でこの曲のメロディーをハーモニカで吹いて春奈に届けようとした。
『Dolls』の名言・名セリフ／名シーン・名場面
松本「ごめんな。」
自分が見ていないとどこかに行ってしまう佐和子を松本は車のヘッドレストに繋ぐ。
佐和子はそれでもどこかへ行こうと動くため、ドスドスと座席を引っ張る音が響きわたる。
たまらなくなった松本は佐和子をぎゅっと抱きしめ、「ごめんな。」と泣く。
もうどうにもできなくなった松本は、この後、佐和子と自分を繋いで放浪の旅に出る。
松本が一生、佐和子と一緒にいる覚悟をし、繋がり乞食になる決意をする場面であり、第一章のクライマックスになっている。
抱きしめられた佐和子の表情はうつろなままであるが、それに対し、松本は感情を出して泣く。
良子「ひろちゃん、私いつまでも待ってる。お弁当作って、土曜日には必ず待ってるから。お弁当作って待ってるから。お弁当作って土曜日には必ず待ってるから。お弁当作って待ってるから。」
親分が若い頃の良子との思い出を回想するシーン。
良子に別れを告げた時に親分。その後ろ姿に向かって、若き日の良子が叫んだセリフである。
この言葉通り、良子は毎週土曜日に公園のベンチで待つ続ける。何回も待っていると叫ぶ良子の情念が伝わってくる。
春奈「目、どうしたんですか？」温井「あの、見ないほうがいいかなと思って。」
療養先に訪ねてきた温井を見て、春奈は驚く。
事故後の自分の姿を見られたくないと思っている自分の気持ちを読んで、温井は盲目になったということを知ったからだ。
へへっと照れ隠しのように笑う温井をただ茫然と見つめる春奈だが、その淡々とした表情の裏に温井の自分に対する気持ちの強さに驚いているようにみられる。
親分「彼氏まだ来ませんか？」良子「来ないんです。」親分「そうですか。」良子「でも、もういいんです。最近はあんたが来てくれるから。もう待つのやめようかと思って。」
親分は自分の正体は明かさずに、敢えて彼氏は来ませんか？と聞くのだが、来ないと答える良子。良子には若かったころの親分の姿しか見えていない。
複雑な思いの親分だが、お弁当食べませんか？と良子に言われ、自分のマフラーを良子にかけてやる。これからの二人に希望が見えた瞬間である。
松本「ごめんな。」佐和子「ありがとう。」
松本は泣きながら佐和子を抱きしめる。
雪の中、賑やかな声がする建物を窓から覗く松本と佐和子。そこはかつて2人が結婚の約束をした場所であった。
当時の松本が佐和子に「（お金がなくて指輪を買ってあげられなくて）ごめんな。」と言うと、佐和子は「ありがとう。」と微笑む。
その状況を回想し佇む松本に、佐和子は今でもそのネックレスをつけているよとても言うように首元のネックレスを見せる。そして少し微笑み、泣きそうな表情になる。
松本も泣き佐和子を抱きしめる。この「ごめんな。」は繋がり乞食になるときに言った「ごめんな。」と同じ言葉ではあるが、意味合いが違う。そして佐和子の反応も違うのだ。
2人の気持ちが少し通じたかのよう希望を感じるシーンである。
『Dolls』の裏話・トリビア・小ネタ／エピソード・逸話
松本の携帯の着信音は劇中で山口春奈が歌っている「キミノヒトミニコイシテル」
松本が結婚式場を抜け出し、おかしくなった佐和子に会いに車を走らせる中、鳴っている携帯電話着信メロディーは、深田恭子演じる山口春奈が歌う「キミノヒトミニコイシテル」であった。
『Dolls』をイメージして作られた曲は浜崎あゆみの「Dolls」
浜崎あゆみの曲「Dolls」（2002年12月18日発売のアルバム「RAINBOW」収録）はこの映画を意識して作られた曲であることは有名である。
浜崎が司会を務めた番組『ayu ready?』第1回に武がゲスト出演した際に浜崎が「Dollsという曲を作りたい」と申し出て、監督ががそれを許可した。
『Dolls』のロケ地
紅葉のシーン
鳥居観音 玄奘三蔵塔付近 埼玉県飯能市上名栗
『Dolls』で一番印象的な紅葉のシーンの撮影に使われた場所である。ここの風景はポスターにも使われている。
繋がり乞食が転げ落ちた石垣
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目次 - Contents
- 『Dolls』の概要
- 『Dolls』のあらすじ・ストーリー
- 『Dolls』の登場人物・キャラクター
- 1つ目の物語～繋がり乞食の話
- 松本（演：西島秀俊）
- 佐和子（演：菅野美穂）
- 松本の父（演：清水章吾）
- 松本の母（演：金沢碧）
- 松本の同僚（演：大森南朋）、 松本の友達（演：大塚よしたか）
- 佐和子の父（演：野村信次）、 佐和子の母（演： 中村万里）
- 佐和子の友達（演：西尾まり）、（演：矢川純一郎）
- 忠兵衛（人形遣い：吉田玉女）、梅川（人形遣い：吉田蓑太郎）、大夫（豊竹嶋大夫）、三味線（鶴澤清介）
- 小学生（演：菅大輝）
- 2つ目の物語～老境のヤクザと待つ女
- 親分（演：三橋達也、津田寛治（若い頃））
- 良子（演：松原智恵子、大家由祐子（若い頃））
- 兄弟分の息子 （演：ホーキング青山）
- 殺し屋 （演：ガンビーノ小林、モロ師岡）
- ヤクザ （演 ：桐生康詩）
- 3つ目の物語～アイドルと熱狂的ファン
- 春奈（演：深田恭子）
- 温井（演：武重勉）
- 春奈のマネージャー（演：大杉漣）
- 春奈の叔母（演：岸本加世子）
- 春奈の母（演：吉沢京子）
- 青木（演：アル北郷）
- 『Dolls』の用語
- 繋がり乞食
- 「キミノヒトミニコイシテル」
- 『Dolls』の名言・名セリフ／名シーン・名場面
- 松本「ごめんな。」
- 良子「ひろちゃん、私いつまでも待ってる。お弁当作って、土曜日には必ず待ってるから。お弁当作って待ってるから。お弁当作って土曜日には必ず待ってるから。お弁当作って待ってるから。」
- 春奈「目、どうしたんですか？」温井「あの、見ないほうがいいかなと思って。」
- 親分「彼氏まだ来ませんか？」良子「来ないんです。」親分「そうですか。」良子「でも、もういいんです。最近はあんたが来てくれるから。もう待つのやめようかと思って。」
- 松本「ごめんな。」佐和子「ありがとう。」
- 『Dolls』の裏話・トリビア・小ネタ／エピソード・逸話
- 松本の携帯の着信音は劇中で山口春奈が歌っている「キミノヒトミニコイシテル」
- 『Dolls』をイメージして作られた曲は浜崎あゆみの「Dolls」
- 『Dolls』のロケ地
- 紅葉のシーン
- 繋がり乞食が転げ落ちた石垣
- タイトルバックのシーンにも登場する桜並木
- 北野武の映画の共通項『死』というもの
- 出演女優との確執
- 「ヨウジヤマモトのファッション・ショーにさせていただく」と宣言
- 映画『Dolls（ドールズ）』受賞歴
- 『Dolls』の主題歌・挿入歌
- 久石譲 『Dolls』
- 『Dolls（ドールズ）』の関連映像
- 予告編