蛇のひと(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ
2010年3月7日に「ドラマW」でテレビ放送され、同年9月25日より角川シネマ新宿ほかで1週間限定で劇場公開されたサスペンスドラマ。会社の金を横領した疑いをかけられ行方不明になっている今西。同僚の三辺が居所を探るうちに彼の意外な姿が露わになっていく。ギャラクシー賞テレビ部門2010年3月度月間賞受賞。2009年3月に受賞した『第2回WOWOWシナリオ大賞』受賞作品を三好晶子脚本で映像化した。
『蛇のひと』のあらすじ・ストーリー
ベテランの独身OL三辺陽子がある朝出社すると、部長の伊東が自殺し大変な騒ぎになっている。
会社の幹部や同僚から今西と親しい関係にあると誤解された三辺は副社長に呼ばれ、今西が会社の金1億円を横領して行方をくらました疑いがあると聞かされる。
今西を探すよう命じられた三辺は手掛かりの名刺から次々と今西に関係のある人たちに会う。
今西にふられて今西の友人と結婚し、離婚した女性柴田のりこ。
今西にはげまされ分不相応のマンションを購入し、ぎくしゃくしている夫婦。
不倫関係が妻にバレて泥沼になったあげく、今西の仲裁で愛人と妻と3人で住むことになった友人。
会社から三辺を見張るよう命じられた田中一と一緒に、話を聞いていった。
彼らの話を聞いた三辺は、今西は口車に乗せ人を言葉で転がしていく能力があると知る。
「今西さんと関わった人って微妙に不幸になってるよね」という三辺に「みんなが好きで悪気なく変な提案をしてしまうのでは?」という田中。
会社に戻ると、自殺した部長の妻が、横領したのは夫だった、と謝罪し返金しにきていた。
部長が死ぬ前、今西は部長の自宅を訪ねていた。
横領を今西のせいにしようとしていた部長にその証拠を突き付け、問い詰める今西。
部長は仕事ができる今西に嫉妬していたことを告白する。
それを聞いた今西は部長を責めず、自分が生きているだけで不幸になる人がいる、これは自分が悪い、自分が横領犯として消える、という。
今西は部長の罪を被るつもりで行方をくらましていたことがわかる。
三辺は大阪にある今西の実家を訪れる。そこで今西の幼馴染に会い、幼少期の凄まじい過去を知る。
今西は義太夫の師匠である父が妾に産ませた子供だった。
腹違いの兄と共に兄弟弟子たちと生活を共にし、稽古に励んでいた。
才能のある今西は父に認められていたが、嫉妬から兄や兄弟弟子たちにいじめられていた。
ある時今西が大切にしていた万華鏡を、兄や兄弟弟子に捨てられてしまう。
それから今西の義太夫の語り口は平凡なものになり、父からも見放される。
ある時、口笛を吹きながら風呂掃除をしていた今西に兄が「夜に口笛吹くと蛇がくる。邪悪なものがくる」という。
「邪悪なものって僕ですよね?どうしよう、もうここにいられなくなる」と言う今西を励ます兄。
今西が父から見放されていたからか、兄は今西に心を開いていた。
ところが、兄の初舞台の日に今西は兄をだまし、自分が舞台にあがり見事な語りをしてみせる。
平凡になったようにみえた語りは演技だった。
裏切られた兄は絶望から親や兄弟弟子を殺してしまう。
三辺は今西の行きそうな場所を考えた。
自分の人生をも変えようとしているのではないか、と思い婚約者のいるところに行き今西と再会する。
自分は人を殺している、これからも殺すかもしれない、という今西。
三辺は「私が見張ってます。ずっと、見張ってます」と告白に近い言葉で連れて帰ろうとする。
それでも三辺から去ろうとする今西は、死ぬつもりなのか海に向かって車を走らせる。
海に落ちる直前、ダッシュボードにある三辺からの贈り物に気づく。
子供のころなくされたのと同じ万華鏡だった。
今西は思いとどまり、三辺は元の生活に戻った。
日常に戻った三辺は、今西が励まして漫画家を目指した島田という人物が賞を取ったことを知り、彼が幸せにした人物もいたのだと知る。
夜道、口笛を吹きながら歩く三辺。
手には今西が持っていたのと同じ万華鏡。
明るい顔で、万華鏡のキラキラした世界を覗く。
『蛇のひと』の登場人物・キャラクター
三辺陽子(演:永作博美)
商社営業事務・独身OL。今西と同じアラフォー世代ということで、同僚や重役から今西と親しいと思われている。
副社長に命じられて今西を探すが、最後には告白に近い形で今西を連れ戻そうとする。
今西由起夫(演:西島秀俊)
商社課長。いい人だと思われていたが、行方不明になり三辺が探るうちに意外な側面が見えてくる。
東京で働いているが関西弁を崩さない。
父は義太夫の師匠で、妾の母に今西を産ませた。複雑な過去がある。
今西の幼なじみ(演:板尾創路)
今西の幼馴染で、彼の凄まじい過去を知る人物。
今西の母の面倒を見ている。
田中一(演:田中圭)
三辺の同僚。会社の重役に命じられて三辺を見張る。
一緒に今西を探す。
伊東部長(演:國村隼)
今西の上司。会社の金を横領し、今西に罪を負わせようと細工をした。
そのことを今西に問い詰められた伊東は今西の能力の高さに嫉妬していること告白。
今西は自分が行方をくらますから自分のせいにしてください、という。
良心の呵責に耐え兼ね、自殺する。
『蛇のひと』のアイテム
万華鏡
今西が大切にしていたもの。
「これで見ると何もかもきれいに見える」
幼馴染はそれが心の支えだったのだろう、と言う。
義太夫の師匠の父の元に弟子入りした時にいじめられ、兄に捨てられてしまった。
心の支えをなくした今西は口車に乗せて人の人生を狂わせる能力を見せ始める。
最後には三辺が同じものを探して今西に贈る。
今西は「大事にしていた美しいもの」を取り戻し、車と共に海に突っ込もうとしていたのを思いとどまる。
『蛇のひと』の名言・名セリフ
「大体予想通りや」
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