ジョーカー(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ジョーカー』とは、2019年にアメリカ合衆国で作成されたスリラー映画である。DCコミックス『バットマン』に登場するスーパーヴィランであるジョーカーが主人公となっており、2019年10月4日に日米同時公開された。舞台は、まだバットマンが誕生する以前の、不景気により治安の悪化する1981年のゴッサム・シティ。後のジョーカーことアーサーは、発作的に笑い出してしまう病と病弱な母親を抱えながら、一流のコメディアンを目指して貧しい生活を送りながらピエロのアルバイトを続けていた。

冒頭で、アルバイト中のアーサーがピエロの衣装を着て看板を持ちながら踊っている時に流れる曲。Claude Bollingはフランスのジャズピアニストで、タイトルを直訳すると「魅惑のラグ」となる。ラグとはラグタイムという音楽ジャンルの事で、このラグライムはのちにジャズのルーツのひとつとなった、と言われている。

挿入歌:Steve Karmen『Here Comes The King』

アーサーが自宅でくつろいでいる時にテレビから流れる曲。アメリカではバドワイザービールのCM曲として長く親しまれており、1981年のアメリカでもテレビからこのCMが流れていたと考えられる。なお、このシーンの直後に本作品に影響を与えた『キング・オブ・コメディ』で主役を演じたロバート・デ・ニーロがマレー役として登場し、曲のタイトルからキングの登場を予想させるシーンとなっている。

挿入歌:The Main Ingredient『Everybody Plays the Fool』

アーサーが、アルバイト先のロッカールームでランドルから銃を受け取った時に流れる曲。曲のタイトルは「誰だってバカなことをする」で、内容も失敗を励ますようなポジティブなものだが、「Fool」には道化という意味もあるため、誰もが道化を演じているという本作品らしい意味にも受け取ることができる。

挿入歌:Lawrence Welk『The Moon Is a Silver Dollar』

アーサーが母ペニーを介護し、お風呂に入れているシーンで流れる曲。タイトルの直訳は「月は1ドル銀貨」で、いつか苦労が報われるという歌詞の内容は、辛い境遇であっても慎ましく希望を持って生きようとするアーサーの気持ちが現れている。

挿入歌:Fred Astaire『Slap That Bass』

ペニーを入浴させた後、アーサーがランドルに貰った銃をいじっているシーンでテレビから流れる曲。銃を手にして気が大きくなったアーサーは、曲を背景にアメリカン・ニューシネマの代表的な映画の一つである『タクシードライバー』でロバート・デ・ニーロが演じた主人公のように一人語りを始める。曲のタイトルは「ベースを弾け」であり、歌詞はそのベースを弾く理由が政治的かつ次第に内容も過激なものになっていくため、その後の作品内でのアーサーの行動の変化を暗示させている。

挿入歌:Chaim Tannenbaum『If You're Happy and You Know It』

日本では童謡「幸せなら手を叩こう」でお馴染みである。アーサーが病院の小児病棟でピエロを演じている時に歌った曲で、この現場で拳銃を落とし、仕事をクビになってしまう。

挿入歌:Jackson C. Frank『My Name Is Carnival』

クビになったアーサーが、アルバイト先から荷物をまとめて出て行くシーンで流れる曲。歌手のジャクソン・C・フランクはこの曲を発表したのちに精神的な病に悩まされて、生活に困窮する所が劇中のアーサーに重なる。なお、ジャクソンはその後56歳の若さで亡くなっている。

挿入歌:Jimmy Durante『Smile』

アーサーがナイトクラブでコメディアンとしてパフォーマンスするシーンで、演技中はアーサーの声ではなくこの曲が流れている。作曲者はチャールズ・チャップリンで、コメディアンのジミー・デュランテがカバーしている。監督のトッド・フィリップスによると、母が精神疾患を抱え、貧しい生活の末にコメディアンとして大成したチャップリンとアーサーを重ね合わせたとしている。辛い時でも笑っていよう、という曲の内容は、アーサーの抱えた苦しい境遇に残酷に突き刺さるかのようである。

挿入歌:Dean Kay and Kelly Gordon『That's Life』

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