エンリコ・プッチ(ストーンオーシャン)の徹底解説・考察まとめ
エンリコ・プッチとは、『ジョジョの奇妙な冒険』Part6 『ストーン・オーシャン』の登場人物で、作中の黒幕である。グリーン・ドルフィン・ストリート刑務所で教誨師を務めるプッチは、かつて親友のDIOから聞いた「天国へ行く方法」を知る為に空条徐倫に無実の罪を着せて彼女の父でDIOの仇である承太郎の記憶を奪った。他者を利用し、邪魔者は徹底的に排除するなど、聖職者でありながらプッチの正義感は歪んでいる。その思想の背景には、自身の哀しい過去があった。
「14の言葉」を唱えたプッチが、緑色の赤ん坊と融合することで生まれたスタンド。一言で言えば、重力の反転が能力である。本体のプッチを中心に重力が球場に反転し、彼の頭上にあるものは天空、宇宙に向かって、水平方向にあるものは水平方向に「落下」する。あらゆる物体は、プッチから離れる方向へと落下し、地面が壁、壁が地面のようになる。一方、プッチ自身は自分の足元方向を重力としている為、普通に歩行ができる。
C-MOONに触れたものが裏返るのも能力の一つで、C-MOONが壁を殴れば、裏側が表面になろうとして包み込むように裏返り、タイルを殴ればタイルが反り返る。裏返る時、破壊を伴う。つまり、人体を殴ると皮膚が体の一部にのめり込んで肉をちぎり骨を砕くようにして裏返る為、触れただけで重傷、或いは即死に至らしめる恐ろしい能力である。
徐倫は、体を糸にする能力を生かし、自身の体を裏も表もない「メビウスの輪」の状態にして裏返り能力を封じた。
メイド・イン・ヘブン
ステータス
破壊力-B / スピード-無限大 / 射程距離-C / 持続力-A / 精密動作性-C / 成長性-A
能力:時を加速させる
緑色の赤ん坊と融合したプッチが、「天国の時」に重力を最も軽減できる位置に到達したことでC-MOONがさらなる進化を遂げた。プッチのスタンドの完成形にして、天国へ行く方法を実現させる鍵といえる。
「メイド・イン・ヘブン」の能力は時間の流れを加速させるというもので、プッチ以外のあらゆる生物は時の加速についていけず、はた目にはプッチや物体が高速で移動しているように見える。時間に影響を与えるスタンドである為か、メイド・イン・ヘブンの発動後、プッチはスタープラチナにより止められた時間を認識できるようになった。
車やボールなどが凄まじいスピードで移動する為、メイド・イン・ヘブンが発動すると、冗談でも比喩でもなく世界が滅ぶ。野球選手はボールで顎を砕き、冷凍庫に入った人物は一瞬で凍死する。日の出や日没と言った天体運動も加速し、傍目には太陽が物凄いスピードで動く姿が光の帯としてしかとらえられなくなる。非生物はとてつもない勢いで劣化し、生き物は死んだ端から腐敗していく。
メイド・イン・ヘブンの真価は強さではなく目的にあり、アナスイ、エルメェス、徐倫、承太郎はついでの戦闘で殺された。プッチは「これはお前たちを始末する為の能力ではないし、私が『最強』になる為の力でもない」と口にしている。
プッチの目的は、時を無限大に加速させ続けることで宇宙を一巡させることであった。宇宙の一巡により、すべての生物は「これから先の未来において、自分の身にいつ何が起きるか」という運命を体験することになる。運命を魂に刻んだ上で作中の時間軸である2011年から次の宇宙の2011年に至らせるのがプッチの目的であった。運命を知ってもそれを変えることはできず、多少の誤差はあっても運命が履行される。運命に干渉できるのはプッチのみである。
最強のスタンドと評されるが無敵ではなく、時間経過によってダメージを与えるタイプの攻撃の影響を受けやすい。作中において、暴走したウェザー・リポートの集めた純酸素により、プッチは中毒症状を起こし立つこともままならないままラッシュを受け、倒された。
エンリコ・プッチの関連人物・キャラクター
空条徐倫(くうじょう じょりーん)
CV:沢城みゆき(ゲーム『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル』 / 『ジョジョの奇妙な冒険 アイズオブヘブン』 / ウルトラジャンプCM) / ファイルーズあい(テレビアニメ版)
Part6の主人公で、空条承太郎の娘。父・承太郎の愛情を感じたことがなく、非行を繰り返していた。恋人とのドライブ中にわき見運転による人身事故を起こさせてしまい、無実であるにもかかわらず轢き逃げと殺人の罪を着せられてG.D.st刑務所に収監された。当初は母の声が聞きたいと涙ぐんでいたが、父が自分を大事に思っていたことを知り、奪われた父のDISCを取り戻す為に敢えて刑務所に残り、ホワイトスネイクの正体を探ることを選ぶ。
プッチの差し向ける刺客との戦いの中で成長し、刑務所に隠れ住む少年・エンポリオや同じ女囚のエルメェス・コステロ、知性を持ったプランクトンのフー・ファイタ-ズ、徐倫に恋愛感情を抱くナルシソ・アナスイといった仲間と共に脱獄をする。
世界中の「くたばれ」のジェスチャーを知っている、乱暴な口調になるなど下品な一面もあるが、基本的には優しく正義感もある。口癖は「やれやれだわ」で、父承太郎と似ている。他にもラッシュ時に「オラオラオラ!」と掛け声をかける、初登場時刑務所にいたなど父との類似点が多い。
天国へ行く方法を知ろうとするプッチを止める為に奮闘する。プッチのスタンド能力がメイド・イン・ヘブンへと進化を遂げ時間が加速する中、エンポリオを逃がし、立ち向かうも死亡する。この時かつて車を盗んだ時のことを口にし「何であんなことしちゃったんだろう」と呟いた。
一巡りした世界ではアイリンという名前になっており、アナスイの生まれ変わりと思しき恋人のアナキス、及び父との関係は良好らしいことが伺える。エンポリオに関する記憶はないが、容姿とジョースターの血統の証である星型の痣が受け継がれている。
スタンド能力は、自身の体を糸にして操る「ストーン・フリー」。あまり出しすぎると命の危険があるが、物を絡めとる他、編んで布状にする、糸電話の要領で遠方にいる仲間と連絡を取るなど汎用性が高い。
空条承太郎(くうじょう じょうたろう)
CV:小野大輔(テレビアニメ版)
徐倫の父。Part3では主人公を務め、以降Part6に至るまで登場した。娘の徐倫を脱獄させる為にG.D.st刑務所を訪れ、プッチに記憶とスタンドのDISCを奪われる。
Part3でDIOを倒した後は祖父の代からジョースター一族に援助を続けるスピードワゴン財団の支援を得ながらスタンド使い絡みの案件を扱っていた。沈着冷静な性格で戦い慣れしており、有事の際は頼れる人物である。一方で徐倫が高熱を出して倒れた時も、窃盗罪で補導された時も「忙しい」との名目で家に帰らないなど家族を守る為に取った行動が却って妻に不信感を与え、徐倫を寂しがらせる結果となった。
徐倫たちによりデDISCが戻り、彼女らと共にプッチの野望を止めようとする。戦いの中、プッチはDIOの骨から生まれた緑色の赤ん坊と融合し、ジョースター一族の者と互いの存在を感じるようになった。
スタンド能力は、精密な動きと凄まじいスピード、破壊力を併せ持つ「スター・プラチナ」で、Part3でのDIOとの戦いの中、DIOと同じく時を止める能力を得た。能力の全盛期はPart3の18歳頃である。Part4では1秒程度時を止めることができると描写された。
最終決戦の際、時を止めた状態の中、徐倫に無数のナイフが降り注いでいる光景を目撃し、プッチを倒すことより娘を救うことを優先。結果、死亡してしまう。
エルメェス・コステロ
CV:米本千珠(ゲーム『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル』 / 『ジョジョの奇妙な冒険 アイズオブヘブン』)
徐倫とは留置場で出会い、友人になった女囚。明るく情に熱い性格だが、目的のためならどんなことでもする覚悟を持つ。逮捕されたのは二度目で、G.D.st刑務所のルールを知っている為、豊胸手術の痕に現金を隠し持っている。姉のグロリアを殺した強盗・スポーツ・マックスに復讐する為にあえて銀行強盗を行い、逮捕された。
復讐を遂げた後は徐倫に協力をし、共に脱獄をする。最終戦にも参加し、プッチに両腕を切断されて死亡した。
一巡した後の世界では、姉が殺されることもなく平和に暮らしているようである。
スタンドは、手から出るシールを張った物体を二つに分裂させる能力「キッス」。徐倫が捨てたペンダントを拾った際に負傷し、発熱の後発動した(ペンダントは徐倫のルームメイトとなる女囚のグェスに売った)。
シールを貼られたものは、大きさ、性質、重さに至るまで全く同じで、シールが剝がれると分裂したもの同士が合わさるようにして一つに戻る。この時破壊が起きる。破壊のパワーや反動を利用して攻撃や物を引き寄せることに使える。
フー・ファイターズ
CV:白石涼子(ゲーム『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル』 / 『ジョジョの奇妙な冒険 アイズオブヘブン』)
プッチがプランクトンにスタンドのDISCを与え、生まれたミュータント。「F・F」の通称で呼ばれることもある。普段は黒く小さいミジンコのような姿を取っているが、それらが集結することで人型のスタンドとなる。
刑務所敷地内の湿原にて、保管されているDISCを守る任をホワイトスネイクから与えられていた。そこにあったのはプッチにとって比較的重要度の低いスタンドのDISCのみであったが、誰にも扱えないからとスター・プラチナのDISCも含まれていた(プッチが求めていたのは承太郎の記憶のDISC)。
なわばりに近づいた囚人を殺したため行方不明事件が起き、徐倫、エルメェスを含む5名の女囚が捜索に当たることとなった。そこに死んだ囚人の肉体を利用して6人目として紛れ込み、徐倫とエルメェス以外の全員を始末する。徐倫との戦いに敗北するが、命を繋ぐ水を与えられたことで感服し、死んだ女囚エートロの肉体を利用して復活、以降徐倫の味方となる。
水鉄砲の要領で微生物を発射して攻撃をしたり、負傷箇所に微生物を埋め込んでふさぐなど、攻撃や手当の面で活躍する。知能自体は高いが知識はあまりなく一般常識に欠け、当初は奇妙な行動をとっていた。
中盤で囚人のDアンGを倒そうとした際にホワイトスネイクの本体がプッチであることを知った。DアンGのことは倒せたが、ホワイトスネイクに攻撃されて肉体を失い、スタンドのみになりながらも徐倫の下へとたどり着き、ホワイトスネイクの正体を教えることに成功した。
プッチに敗れはしたが、承太郎のDISCを守り抜き、アナスイの命を救い、「知性を持ったまま、友達にさよならを言えたこと」に感謝をし、昇天した。
ウェザー・リポート / ドメニコ・プッチ / ウェス・ブルーマリン
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ジョジョの奇妙な冒険シリーズのモデル・元ネタ・由来まとめ
“ジョジョ”の名を冠する勇者たちの戦いを描いた『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズには、膨大な数のキャラクターが登場し、その中には現実の人物やグループがモデルとなっているものも少なくない。 伝説的殺人鬼のジャック・ザ・リパー。ゾンビ騎士ブラフォードとタルカス。波紋の戦士リサリサ。ナチスドイツのサイボーグ戦士シュトロハイム。恐るべき柱の男たちに、4部以降の数々のスタンドたち。ここでは、『ジョジョの奇妙な冒険』に登場するキャラクターのモデルとなった人物やグループを紹介する。
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目次 - Contents
- エンリコ・プッチのプロフィール・人物像
- エンリコ・プッチの来歴・活躍
- DIOとの出会い
- 若きプッチを襲った悲劇とスタンド能力開花
- DIOから「天国へ行く方法」を聞く
- 空条徐倫収監・DISCの奪い合い
- 新たなスタンド・C-MOON
- メイド・イン・ヘブン発動
- 最後の戦い
- エンリコ・プッチのスタンド能力
- スタンドとは
- ホワイトスネイク
- ステータス
- 能力:人の記憶とスタンドをDISCにして奪う
- 能力:DISCでスタンド能力を与える
- 能力:空のDISCに命令を吹き込み人を操る
- 能力:視力をDISCにして抜き取ることで失明する
- C-MOON(シー・ムーン)
- ステータス
- 能力:プッチを中心に重力が反転する
- メイド・イン・ヘブン
- ステータス
- 能力:時を加速させる
- エンリコ・プッチの関連人物・キャラクター
- 空条徐倫(くうじょう じょりーん)
- 空条承太郎(くうじょう じょうたろう)
- エルメェス・コステロ
- フー・ファイターズ
- ウェザー・リポート / ドメニコ・プッチ / ウェス・ブルーマリン
- ナルシソ・アナスイ
- エンポリオ・アルニーニョ
- ペルラ・プッチ
- 緑色の赤ん坊
- DIO(ディオ)
- エンリコ・プッチの名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「落ち着くんだ…素数を数えて落ち着くんだ…」
- 「『天国』だよ。人は『天国』へ行くためにその人生を過ごすべきなのだ」
- 「ペルラに罪はない…。ペルラは、恋をしただけなんだ」
- 「君は王の中の王だ」
- エンリコ・プッチの裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 名前が「ロベルト・プッチ」になっている場所があった
- 「メイド・イン・ヘブン」は雑誌では「天国への階段(STAIRWAY TO HEAVEN)」という名前だった
- ホワイトスネイクの名前の元ネタである「White snake」はイングランドのロックバンド
- C-MOONの名前の元ネタはイギリスのミュージシャンのポール・マッカートニーとウィングスの楽曲「C-MOON」
- メイド・イン・ヘブンの名前の元ネタはイギリスのロックバンドQUEENの楽曲「Made in Heaven」