聖戦士ダンバイン(アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ
『聖戦士ダンバイン』は、1983年から富野由悠季が名古屋テレビと日本サンライズで放送・制作したロボットアニメである。
異世界と地上で起こる戦争に巻き込まれた人々がおのれの愛と憎しみ、エゴに翻弄され自滅していくさまを残酷なまで丁寧に描き切っている。 美しいファンタジー風の世界観と救いようのない人の業のコントラストが特色である。
ギブン家
ニー・ギブン
CV:安宅 誠
アの国の地方領主ロムン・ギブンの息子。23歳。バイストン・ウェルを統一しようと企むドレイクの野望を阻むため、父とともにオーラシップ・ゼラーナやオーラバトラーを駆使して戦っていた。ドレイクとの戦いの中両親が死んだためギブン家の当主となり、ゼラーナ隊のリーダーとして反ドレイクの戦いに身を投じる。
品行方正で女性受けは良く、ゼラーナの女性クルー(マーベル、キーン、チャム)から好意をよせられていたが、当人はドレイクの一人娘リムルと惹かれあっていた。リムルを思うあまり周囲の者に当たり散らすこともあったが戦いの日々が続く中、ギブン家の当主としても一人の男としても成長していった。
最終決戦では我が子リムルを手に掛けたルーザと、敗戦を察して逃走しようとするドレイクを討ち取るも、その直後にドレイク軍の攻撃を受け死亡。最期に呼んだのはキーンの名であった。
キャラクターデザイン担当の湖川友謙によると、彼の個性的な髪型は「魔法のプリンセス ミンキーモモ」が元であるらしいが、その理由は不明である。
チャム・ファウ
CV:川村 万梨阿
ニーに一目惚れしてくっついているミ・フェラリオ。 知り合ったいきさつは不明である。
作中序盤は成り行きからドレイクについていたショウを罵倒して蹴飛ばすなどしていたが次第に彼の優しさを知り、仲間として信頼を深めていく。当初はムードメーカーや雑用係でしかなかったが、たまたまショウと一緒にダンバインに乗ったら彼のオーラ力が急に増幅した。この事実により、フェラリオは相性のいいパイロットのオーラ力を増幅させることができるという事実が判明したので、以降ショウと共に戦いに身を投じる。手先が器用で、チャム専用戦闘服やロングスカートもお手製で縫い上げることができる。
最終決戦中にドレイクの策略をシーラに伝えるため単独で向かうも、シーラの浄化によってバイストン・ウェルに属する人間や機械が消滅した後、ただ独り地上に残されてしまった。気を失って海上を漂っていたところをアメリカ海軍に救出される。自分の知る限りの物語を語り終えたチャムはいずこへかと去り、その後の行方は不明である。
キャラクターデザイナー湖川友謙によると、いわゆるオタク狙いのキャラクターである。
キーン・キッス
CV:高田 由美
ギブン家に仕えるキッス家の娘。16歳。明朗快活で行動的で面倒見が良い。
ギブン家に対する忠義とニーへの好意から、物語当初からギブン家陣営に付いている。父はドレイク軍の圧倒的勢力にかなわないギブン家を見限り、キーンは父と刃を交わす運命に陥った。父はショウと交戦中に死亡。ショウはキーンに恨まれると思っていたが、キーンは仕方ないことだと泣くだけだった。本音は定かでないが、それ以降もキーンはショウに恨み言をこぼすことはなかった。
初めからオーラ力の強い地上人のショウやマーベルに比べればパイロットの技量は高くないが、多くの戦いの中で地味だが着実にスキルを上げていった。恋敵のリムルがゼラーナにいた時には、内心面白くないなりに先輩クルーとして戦闘に関して素人のリムルに何かと注意するも、逆に反発されて受け入れられることはなかった。しかし、勝手に出撃したリムルをフォローして意外といいコンビネーションプレイを披露したこともある。
最終決戦の最中ドレイクを攻撃した際返り討ちにあい、最期にニーの名を呼びながら消えていった。その断末魔のオーラは彼の憎しみのオーラを増幅させるに至った。
キャラクターデザイナー湖川友謙の好みのキャラクターであるとインタビューで語っているが、外見のことか内面についてかは不明である。
ドレイク軍およびルフト家
ドレイク・ルフト
CV:大木 正司
アの国の地方領主。43歳。禿頭の偉丈夫。
地上から召喚したショット・ウェポンによってもたらされたオーラマシンの武力を使い、バイストン・ウェル全土を征服する野望を抱く。なぜ地上人を召喚すれば戦力になると思ったのかについての経緯は不明である。
主君だったアの国王フラオン・エルフを討ちバイストン・ウェル統一にむけて邁進するが、バイストン・ウェルでの戦乱に怒ったフェラリオの長ジャコバによって、敵味方関係なくオーラバトラーに関係する人間は全員地上に飛ばされた。二度とバイストン・ウェルに戻れなくなっても、今度は地上の覇権を取得しようと野心を燃やす。
ショウたち反ドレイク派からすれば悪の権化であるが、実際はドレイクのバイストン・ウェルの統一は利己心からではなく国の安定のためであり、娘であるリムルを案じたり部下への気配りも欠かさず、無能な国王よりも領民からの信頼は高かった。しかしドレイクの野心の大本は、実はルーザの悪しきオーラの支配化によるものであった。地上に出て初めて、自分の野心は妻の影響でしかないことと、妻の不貞を知らなかった自分の家庭人としての甘さを嘆く、人として弱い面も持っている。
最終決戦の際、ルーザの死によって悪しきオーラから脱しアメリカでの再起を目指したが、リムルやキーンを失い憎しみのオーラに取り込まれたニーに討ち取られる。
ルーザ・ルフト
CV:火野 カチコ
ドレイク・ルフトの妻。38歳。クの国王ビショットと密通し、自覚があるかは不明だが夫のドレイクを自分の悪しきオーラの影響下に置いている。夫のドレイクや情夫のビショットはもちろん、娘のリムルすらも自らの野望を果たすための手駒としか見ておらず、リムルから嫌われている。
最終局面では自らを「全ての混乱の元」と断罪するリムルを罵り、ナイフを持って突っ込んでくるリムルを射殺した。その直後にリムルを救いに来たニーに殺される。
ダンバインはチャム・ファウ視点の物語であるため(名場面「物語の終わり」参照)、物語におけるルーザの行い全てが事実かどうかは永遠の謎である。ビショットとの不倫も、作中では仲がいいくらいしか判明しておらず、利用し合う同盟関係だったのか恋愛関係だったか定かではない。
リムル・ルフト
CV:色川 京子
ドレイク・ルフトの一人娘。17歳。俗に言う箱入り娘だが、いざとなれば愛する人の元へ向かうべく一人で脱走したり、実の母の誅殺も実行できる父親譲りの大胆すぎる行動力も持ち合わせる。
父ドレイクからは溺愛されており、リムルも父として愛しているがゆえドレイクがバイストン・ウェルを戦乱に陥れている事実を受け入れられないでいた。その一方母親のルーザとの関係は、普段から厳しく扱われ、後にはルーザの野心の道具とされたこともあり最悪だった。
ドレイクと敵対関係のニー・ギブンとは相思相愛の仲で、ニー恋しさに一人で屋敷を抜け出しゼラーナに身を寄せたこともあった。しかしお嬢様育ちゆえのわがままでクルーを振り回し、ゼラーナを何度も危機に陥らせる。その際ニーは容赦なくリムルに鉄拳制裁を加えている。しかも平手打ちではなく握りこぶしであった。それ以来リムルはおとなしくなり、ゼラーナの一員として働いていた矢先にドレイク軍に連れ戻され、再び生きてニーと会うことはなかった。
物語終盤になってルーザがドレイクとビショットを手玉に取っていたことを知り、同じ女としてルーザを許せないと思い独断でルーザの誅殺を試みる。が、ルーザは拳銃で応戦、リムルは眉間を撃ち抜かれ即死した。
バーン・バニングス
CV:速水 奨
ドレイク軍の騎士団長。23歳。バイストン・ウェル人であるが地上人にも劣らぬ高いオーラ力を持ち、オーラバトラーのパイロットとしても、昔ながらの騎士としても実力は十分である。主君であるドレイクからの信頼も厚く、 ドレイクの一人娘であるリムルの婚約者であるが、リムルにはニーという想い人がいるためバーンは部下としてしかみてもらえない。それでもバーンはリムルを何かと気にかけており、後に身分を隠して黒騎士を名乗ったころも、リムルの危機を救っている。
気質は勇猛果敢かつ忠義一筋な反面、自信過剰ゆえの詰めの甘さが目立つきらいがある。ただでさえガラリアやトッドなどアクの強い部下を持て余し、目の前の手柄に飛びついてはしっぺ返しを食らうことが多々ある。
特にショウがギブン家に寝返りバーンの宿敵として立ちふさがるようになってからは一度たりともショウに勝ったことがなく、バーンの騎士としてのプライドは砕かれ、ショウへの憎しみばかりが増していった。
一度ショウに敗れて行方不明となるが、ショットに拾われ黒騎士と名乗り、素顔も仮面で隠した姿で復活を遂げる。本人は変装しているつもりであろうが、実際は声や仮面でかくれていない長髪から、その正体はバーンを知っている人なら誰でもすぐ察することができる。ドレイクやショット、ビショットが彼をバーンとは呼ばなかった理由は、思いやりなのか嫌味をいうほどの価値もないからなのかはわからない。
最終決戦ではショウを倒すことのみに取り憑かれ、仮面をとって素顔のバーン・バニングスとして生身の一騎打ちを挑み、ショウと刺し違える。地上に出てから地上人の優しさに触れ怨念から解放される機会(名場面集「毛布をかけられるバーン」参照)はあったが、ショウへの憎しみが勝ってしまったがための悲劇であった。
ガラリア・ニャムヒー
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目次 - Contents
- 『聖戦士ダンバイン』の概要
- 『聖戦士ダンバイン』のあらすじ・ストーリー
- 異世界での戦い
- それぞれの野心
- ショウ、地上へ戻る
- 聖戦士ショウ
- 再び地上へ
- 浄化
- 『聖戦士ダンバイン』の登場人物・キャラクター
- 主要人物紹介
- ショウ・ザマ
- マーベル・フローズン
- ギブン家
- ニー・ギブン
- チャム・ファウ
- キーン・キッス
- ドレイク軍およびルフト家
- ドレイク・ルフト
- ルーザ・ルフト
- リムル・ルフト
- バーン・バニングス
- ガラリア・ニャムヒー
- ショット・ウェポン
- トッド・ギネス
- トカマク・ロブスキー
- ミュージィ・ポー
- ゼット・ライト
- アレン・ブレディ
- ジェリル・クチビ
- アの国
- フラオン・エルフ
- クの国
- ビショット・ハッタ
- ミの国
- ピネガン・ハンム
- パットフット・ハンム
- ナの国
- シーラ・ラパーナ
- エル・フィノ
- ベル・アール
- ラウの国
- フォイゾン・ゴウ
- エレ・ハンム
- フェラリオの国
- シルキー・マウ
- ニクス・ティタン
- ジャコバ・アオン
- 地上に住む人々
- シュンカ・ザマ
- チヨ・ザマ
- ヨーコ・川原
- トルストール・チェシレンコ
- 『聖戦士ダンバイン』の用語
- バイストン・ウェル
- オーラ力(ちから)
- オーラマシン
- 聖戦士(せいせんし)
- フェラリオ
- ガロウ・ラン
- ハイパー化
- 『聖戦士ダンバイン』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「バイストン・ウェルの物語を覚えているものは幸せである。 心豊かであろうから。 それゆえに、ミ・フェラリオの語る次の物語を伝えよう」
- シルキーの涙
- 「私とゼット殿と同じようによくなじむオーラバトラーだ」
- 「うさぎはなんで目が赤い?」
- 父をかばう息子のオーラ力
- 「わたしは、騎士の出のはずだ!」
- 毛布を掛けられるバーン
- ハイパージェリル
- トッドの死
- ルーザに射殺されるリムル
- 「俺は人は殺さない、その怨念を殺す!」
- 物語の終わり
- 聖戦士ダンバインの裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- EDに出てくるフェラリオの正体はエル・フィノ
- 英語が分かるショウ
- 赤い三騎士
- 国の名前の由来
- 農耕士コンバイン
- 『聖戦士ダンバイン』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング): MIO『ダンバインとぶ』
- ED(エンディング):MIO『みえるだろうバイストン・ウェル』
- 挿入歌 :小出広美『青のスピーチ・バルーン』
- 挿入歌:小出広美『水色の輝き』