アンブレイカブル(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『アンブレイカブル』とは、2000年製作のアメリカ映画。日本公開は2001年の6月。大ヒットとなった「シックス・センス」の次にM・ナイト・シャマランが手掛けた作品。脚本もシャマラン自身が担当した。凄惨な列車事故に遭いながら、ただ一人かすり傷ひとつ負わずに生き残った男が辿る数奇な運命を描く。主演は「シックス・センス」に続きブルース・ウィリス。共演はサミュエル・L・ジャクソン、ロビン・ライト・ペン。
テーマ曲『Visions』
シャマラン監督の前作「シックス・センス」でも音楽を務めたジェームズ・ニュートン・ハワードが、本作も続けて音楽を担当した。彼の作曲した、本作のメイン・テーマとなる「Visions」が、サスペンスフルな本作の物語に色を添えてくれている。このテーマ曲は、2017年製作のシャマラン監督作「スプリット」のエンディングで、本作の主人公デヴィッド・ダンが登場するシーンにも使われている。(動画では2分少し前あたりからの部分が、「スプリット」で流れる)
『アンブレイカブル』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
2017年度作品「スプリット」との繋がり
本作が製作された17年後、本作の監督M・ナイト・シャマランが監督した映画「スプリット」のエンディングに、本作の主人公デヴィッド・ダンが登場する。しかもデヴィッドは居合わせたダイナーで、「15年前に起きた事件の、車イスの悪党についたあだ名」について交わされた会話に、「ミスター・ガラスだ」と答えるのだ。映画を見ていた観客にとってそれまで全く「単独のストーリー」と思われていた「スプリット」という作品が、最後の最後に同じシャマラン監督作「アンブレイカブル」と繋がる作品である、世界観を同じくする作品であったのだと判明する。
「スプリット」とは
2017年製作の、M・ナイト・シャマラン監督作。多重人格者により誘拐されてしまった女子高生3人が遭遇する、予測不可能な恐怖を描く。映画の前半から中盤にかけては、次々に違う人格を現す誘拐犯に翻弄されつつ、女子高生たちが拉致監禁された場所から逃亡しようとする様が描かれるが、映画終盤になると、多重人格者が現す新しい人格であり、その体格を強靭なものに変貌させた「ビースト」というモンスターの登場とその行動に焦点が当てられる。映画の様相が、誘拐された女子高生の逃亡を描くサスペンス・スリラーから、ビーストというモンスターが登場するモンスター・ホラーへと変貌を遂げるのだ。そして最後の最後に、2001年にシャマランが監督した「アンブレイカブル」の主人公デヴィッド・ダンが登場し、この作品はヒーローの誕生をシリアスに描いた「アンブレイカブル」と世界観を同じくする映画だったのだと気付かされる。「スプリット」は、シャマラン監督が17年振りに手掛けた「ヒーロー”デヴィッド・ダン”シリーズ」の第二作目だったのだ。
「アンブレイカブル」に登場する少年
イライジャ・プライスから、自分が現代社会に於ける、アメコミで描かれる「ヒーロー」であると聞いたデヴィッド・ダンは、自らの持つ「触れた人間の悪意を読み取る力」を試そうと、警備員として勤務中のスタジアムで、すれ違う様々な人の意識を読み取ろうとする。その中で、母親と手を繋ぎながらすれ違った少年が、心の中で「ぶたないで、ママ!」と叫んでいるのを耳にする。この少年こそが、「スプリット」の多重人格者、ケビンだとされている。ケビンは幼少期に母親からの虐待を受け、人格を分裂させることによって自らの精神を崩壊させることを防いでいたのだった。
デヴィッドが遭遇する列車事故
「アンブレイカブル」の冒頭で、主人公のデヴィッド・ダンは、131人もの犠牲者を出すことになる、凄惨な列車事故に遭遇する。デヴィッド・ダンはその列車に乗り合わせながら唯一生き残った人間だったのだが、この列車事故の犠牲者に、「スプリット」の多重人格者ケビンの父親がいたとされている。「スプリット」の終盤、ケビンが新しい人格「ビースト」に変貌を遂げる直前、地下鉄のホームに花束を手向けるシーンがある。これは、デヴィッド・ダンが遭遇した列車事故で死んだ父親に捧げた花束である。しかも、この列車事故を引き起こしたのがイライジャ・プライスであるということから、ケビンの分裂したモンスターのような人格「ビースト」は、イライジャ・プライスが生み出したのだとも言えることになる(父親がもし存命だったら、ケビンに対する母親からの虐待もなかった、ケビンが多重人格者になることもなかったと考えられる)。そういった意味でも、「アンブレイカブル」と「スプリット」は「繋がっている」と言える。
イライジャの母親のセリフ
「アンブレイカブル」のラスト間際、ヒーローとしての活動を始めたデヴィッド・ダンが、アメコミの原画展示会を開催しているイライジャを訪ねていく。そこに居合わせたイライジャの母親が「息子は、アメコミに出てくる悪役には2つの種類があると言っているわ。ひとつは強靭な力でヒーローと対決する、戦士としての悪者。もうひとつはその卓越した頭脳でヒーローを苦しめる悪役。ヒーローにとって本当に恐ろしいのは、頭脳で苦しめる方なのだと」とデヴィッドに語る。この、「その頭脳によってヒーローを苦しめる、恐ろしい悪役」というのがイライジャだったという結末に繋がるセリフなのだが、このセリフは同時に、17年後に製作された「スプリット」の内容も暗示している。母親が語るもうひとつの悪役、「強靭な力でヒーローと対決する悪役」こそが、「スプリット」で登場する、その肉体をも人格にあわせて変貌させた、強靭な肉体を持つ「ビースト」である。この時、母親が語った「ふたつの種類の悪役」の共演が、2019年公開のシャマラン監督作「GLASS」で実現することになる。
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目次 - Contents
- 『アンブレイカブル』の概要
- 『アンブレイカブル』のあらすじ・ストーリー
- 『アンブレイカブル』の登場人物・キャラクター
- デヴィッド・ダン(演:ブルース・ウィリス)
- イライジャ・プライス(演:サミュエル・L・ジャクソン)
- オードリー・ダン(演:ロビン・ライト・ペン)
- ジョセフ・ダン(演:スペンサー・トリート・クラーク)
- イライジャの母(演:シャーレイン・ウッダード)
- マシソン医師(演:イーモン・ウォーカー)
- ケリー(演:レスリー・ステファソン)
- 13歳のイライジャ(演:ジョニー・ヒラム・ジェイミソン)
- ベビーシッター(演:ミケリア・キャロル)
- オレンジ色の服の男(演:チャンス・ケリー)
- デュービン医師(演:マイケル・ケリー)
- 老秘書(演:サリー・パッシュ)
- ノエル(演:リチャード・E・カウンシル)
- ドラッグの売人(演:M・ナイト・シャマラン)
- 『アンブレイカブル』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- デヴィッドが、ヒーローとしての行動を始めるシーン
- デヴィッドがイライジャから「衝撃の真実」を告げられるシーン
- 「僕は何をすればいい?」「人のいるところへ行け。そして、救うのだ」
- 『アンブレイカブル』の用語
- 骨形成不全症
- ミスター・ガラス
- アメリカン・コミックス
- 『アンブレイカブル』の主題歌・挿入歌
- テーマ曲『Visions』
- 『アンブレイカブル』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 2017年度作品「スプリット」との繋がり
- 「スプリット」とは
- 「アンブレイカブル」に登場する少年
- デヴィッドが遭遇する列車事故
- イライジャの母親のセリフ