ジョジョとその元ネタになった映画まとめ

「ジョジョの奇妙な冒険」から見える、荒木飛呂彦氏の洋画好き。ジョジョ以前の読み切り作品から既に洋画の影響を垣間見ることが出来るが、その好きさは映画の書籍「荒木飛呂彦の超偏愛! 映画の掟」(集英社新書)を発行してしまうほど。ジョジョでは全ての部から満遍なく影響を見て取れ、同様に映画が好きな人には思わずクスリとなるエピソードも。ここではそんな「ジョジョの奇妙な冒険」の中でも、ロードムービー色の強い「第三部・スターダストクルセイダース」から幾つかを紐解いて見てみる。

激突!(1971年・スティーヴン・スピルバーグ)のあらすじ

セールスマンである主人公、デイヴィッド・マンは商談の為に車でカリフォルニアに向かう。途中で異常に速度が遅いトレーラータンクローリーを追い抜く、しかし追い抜いた直後、トレーラーは主人公の車を執拗に追跡し始める。

「不審な自動車が追跡してくる」「執拗に攻撃される」という共通点がある

物語の流れも一部元になっている為、以下図で示す。

「ジョジョ・運命の輪戦」と「衝突!」での時間軸比較表
大体の流れで類似点がある部分を赤で示した。

死神13とスプラッタ映画

マニッシュボーイ

サウジアラビア方面で一夜の宿を取るジョースター一行。
宿で眠っていると、花京院は遊園地の観覧車にのっている夢を見た。
平和な夢であったが、途中「死神13(死神)」と名乗るDIOの刺客が現れ、反撃を試みるもスタンドを出すことが出来ない。
何故なら夢の中には寝る前に所持していたものしか持ち込めないからだ。
運良くポルナレフが起こしに来たことで難を逃れるが、目が醒めた事で夢の出来事自体を忘れてしまう。
スタンド主は生後11ヶ月(イレブンマンス)の赤ちゃんと解るも自身でも頭がおかしくなったのかと疑心暗鬼になっていく花京院。
夢を見ている時に「BABY STAND」と腕に刻み、目覚めた後に記憶を取り戻しても、突拍子もない話は仲間の誰も信じない。
やがて野宿にしなくてはならない状況に陥り、眠ってしまった全員は夢の中に引きずり込まれてしまう。

「エルム街の悪夢」(1984年初出・ウェス・クレイブン)のあらすじ

エルム街の幼稚園で起きた、園児への性的ないたずら事件。
容疑者として挙げられたフレッドは無実を主張するが、聞き入れない親たちによって火炙りにされてしまう。
数年後。
主人公はいつも悪夢にうなされる。夢で負った傷は目が醒めても残ったままで、夢か現実か混乱していく中、悪夢の中で戦う決意を固める。

「エルム街の悪夢」と「死神13」の描写で異なることは、「エルム街の悪夢」の描写では、主人公に夢の記憶がきちんと残っていることにある。
一方の「死神13」の描写では、花京院には夢の記憶が無かった。
途中腕に文字を刻むという行為で、夢の記憶がきちんと蘇る。

花京院が夢の中の記憶を取り戻したことで、共通点がある描写である、「誰も言うことを信じてくれず、孤立無援になっていく精神的な恐怖」を描いている。

花京院、無事に死神13を再起不能へ

仲間に信じられないなら自らなんとかするしか無い。花京院も「エルム街の悪夢」の主人公も戦う道を選択する。
相手はどちらも冷徹非道の殺人鬼だ。
殺すことにフレディは復讐を、死神13は報酬という意味を持っているからこそ、残酷さや理由を持って、一番人間が無防備な「眠っている時の夢の中」に襲いかかってくる。

スティーリー・ダンとSF(ファンタジー)映画

スティーリー・ダン(鋼入りのダン)

敵は敵の耳から入り込み、脳を中から攻撃できるスタンド「恋人(ラバーズ)」を持つスティーリー・ダン(鋼入りのダン)である。
今ジョセフの脳の中に、自分のスタンドであるラバーズを送り込んだので内面から殺すことが出来る。と宣言した。
スタンドを小さくすることでポルナレフと花京院は体内に入りこみ、血管をたどって脳へと向かっていく。

「ミクロの決死圏」(1966年、リチャード・フライシャー監督)のあらすじ

一時間だけ、物質をミクロ化する技術が研究されていた世界で、アメリカは一時間の時間制限を克服する技術を開発した科学者を亡命させるも、この科学者は敵側の襲撃で脳内出血を起こし意識不明となってしまう。
科学者を救うためにミクロ化して体内に潜入したチームは、無事に任務を成功させることが出来るのか。

原題は「幻想的な旅」で、ファンタジータッチに描かれた人間の体内を調査する物語である。
この作品で描写されたレーザー治療は、当時は先進的な治療法であるが、今日では現実化されている技術だ。
体内に侵入した時の非常に細かい体内の描写は「科学教育効果」があるとして評価された。

共通点である体内の移動。
体内を泳いで移動するのは、体内の血液の流れで到達するという点から考えると、描写としてはこの移動方法が最も自然である。ポルナレフと花京院も体内の血液をたどってジョセフの脳へと向かう。

ンドゥールとパニック映画

ンドゥール(右)
盲目である代わりに非常に優れた聴覚を持っている。
水のスタンドを用いた地中からの攻撃を仕掛けてくる。

ようやくエジプトにたどり着いたジョースター一行。
SPW(スピードワゴン財団・1部からジョースター家を支えている)のヘリコプターで待っていた人間から物資や、イギーというスタンドを使う犬を受け取り、SPWをそのまま帰が、急にヘリコプターが砂漠に落下してしまう。
慌てて落下したヘリコプターの操縦室を覗くと、死んでいる団員の口には水が上空でいきなり溺死させられていた。
相手は「9栄神」の一人、水を操るスタンド使い「ンドゥール(ゲブ神)」だった。

「トレマーズ」(1990年、ロン・アンダーウッド監督)のあらすじ
パニック映画シリーズで、陸の孤島とも言われるアメリカ中部の小さな田舎町が舞台である。
ここで暮らすバルとアールはある日起こり始めた異変に気がつく。
その正体は人を喰う地底生物だった。
主人公たちの軽さと、モンスター物の緊張が混ざりあった「コメディよりのパニック映画」と評価されている。

主人公達を砂漠の地面の中からの襲撃してくる生き物、という共通点がある

トレマーズは最初、息抜き用の映画だったが、映画の回数が進むに連れて、空気は変化していった。ワニ映画の様に派生作品も多く作られており、海外ではかなり世間に浸透している作品だ。

トレマーという言葉が微振動、という意味を持っており、物語の確信に近づくための手がかりでもある。
実際ジョジョの方ではアブドゥルが自身のアクセサリを用いることで微振動(音による空気の震え)がポイントになっていることを証明している。

ンドゥールの鋭い聴覚を利用し、自分のブレスレットを投げることで足音と見せかけるアブドゥル

アレッシーと王道サイコサスペンス

アレッシー

keeper
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@keeper

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