Mr.インクレディブル(ピクサー映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『Mr.インクレディブル』とは、ディズニー配給・ピクサー製作、ブラッド・バード監督による長編フルCGアドベンチャー・アニメーション映画。一般市民として暮らしていた驚くべき怪力を持つ元スーパーヒーローが、謎の伝言が届いたことから、再びスーパーヒーローとして同じように特別なパワーを持った妻や子供たちとともに邪悪な敵に立ち向かう。2004年製作・アメリカ作品。

街で暴れまくるオムニドロイドを倒そうとMr.インクレディブルが家族やフロゾンと共に立ち向かう。

街に襲来し暴れまくるオムニドロイドの暴走を止めようとMr.インクレディブルの家族やフロゾンが激しいアクションを繰り広げる痛快このうえない名シーン。
展開も実にスピーディで、それぞれがスーパーヒーローとして一致団結して持てる能力を目いっぱい使って立ち向かう姿は、スリリングでハラハラの連続。家族ならではの連係プレーにより見事オムニドロイドを倒せたときは、ほっと一息ついてしまう。

オムニドロイドがリモコンで動いていると知り、リモコン操作で阻止しようとするヘレン達。

オムニドロイドの固い体を突き破って破壊しようと千切れたロボットの欠片を持ち上げるロバート。

「マントはなし!」

エドナがロバートに新しいスーツを作ってあげるけどマントはなしと言い放つ。

ロバートが古い自分のスーツにほころびを見つけデザイナーのエドナに直してもらおうと訪れたるが、それはもう古いから新しいスーツを作りましょうと言い、彼がデザインの希望を話した時に彼女が答えるセリフ。
「伝統的なスタイルで、かっこいいマントにブーツ」とロバートが言うと彼女は「マントはなし!」と声高に言い、マントがロケットに引っかかり遠くに飛ばされた者やマントのおかげで竜巻にま巻き込まれた者、それにジェット機のエンジンにマントが吸い込まれた者もいて、みんなマントのせいで命を落としてると説明する。
ちなみにシンドロームもマントを着けたばっかりに飛行機のエンジンに吸い込まれ、この世を去った。
コミックのスーパーヒーローにはスーパーマンを初めマントが付き物のヒーローが多いが、それを皮肉っているようでクスリとさせられる。

マントのせいで竜巻に吸い込まれて命を落としたスーパーヒーローのスプラッシュダウン。

「僕は強くないから」「お前たちを失いたくない」

オムニドロイドを倒そうと街に辿り着いたロバートが、ヘレンや子供たちに「ここで隠れているんだ」と告げて車に残し、一人で立ち向かおうとした時にヘレンが「何もせずに見ていろってこと?」と文句を言うが、彼の「子供たちのそばについててくれ」と返す。
「夫婦は一心同体よ。いい時も悪い時も」とまたもやヘレンが反論した後のセリフ。
シンドロームの基地で改良された巨大オムニドロイドに苦戦したことから、ロバートは自分がヘレンや子供達を守ってやれないかも知れないと思い「僕は強くないから」と心情を吐露し、「お前たちを失いたくない」と呟いてしまう。
それを聞いてヘレンは、ロバートの家族への深い愛情に改めて気づきに抱きついて熱い口づけをかわす、なかなか感動的なシーンでもある。
そしてヘレンは、心配する彼に向かって「力を合わせれば大丈夫。スーパーヒーローには何も起きないわ」と元気づける。

『Mr.インクレディブル』の見どころ

家族それぞれのスーパーパワーを駆使して敵に立ち向かうMr.インクレディブル達。

スーパーヒーローが活躍する世界に家族のドラマを絡めたファミリー・ピクチャーとして人気を博した『Mr.インクレディブル』。
原題が『The Incredibles』と複数形になっているように、家族それぞれのスーパーパワーがバラエティに富み、そのパワーで互いに助け合って敵に挑むところが見どころだ。
脚本も書いたバード監督は、家族それぞれの役割や特性を反映させるようにスーパーパワーを設定したそうで、父親ロバートは力持ちじゃないといけないから強靭な肉体と怪力の持ち主にし、母ヘレンは家族みんなから引っ張りだこの存在だから伸縮自在のボディにしたんだそうだ。
長女ヴァイオレットは、不安をいろいろ抱えるティーン・エイジャーだから、隠れてしまいたい消えてしまいたいと考えるかもしれないと考えて体を消せる能力にし、弟のダッシュは10歳でヤンチャ盛りだしエネルギーの塊みたいなところがあるので超高速で走れるパワーにしたらしい。
子供達は、最初は自分のパワーを制御できなかったり、パワーをもったおかげで普通に暮らせないと悩んだりするが、冒険を通してパワーを上手く扱えるようになり自信を取り戻していく彼らの成長物語として見ることも出来る。
Mr.インクレディブルを陥れようとするシンドロームの目的が、自分がスーパーヒーローになることで、その願望を遂げるために過去のスーパーヒーロー達を亡き者にするという少々屈折した思考なのもユニーク。
悪役のシンドロームが最後に死んでしまうというのは、それまでのディズニー作品ではありえなかったそうだが、監督の主張が受け入れられ、事故死という形だが描くことが出来たそうだ。

飛行機のエンジンに吸い込まれて命を落とすシンドローム。

『Mr.インクレディブル』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

赤ん坊の名前ジャック=ジャックはバード監督の息子からとった

バード監督には3人の息子がおり、2番目の息子の名前がジャックで、赤ん坊の頃の彼をジャック=ジャックと呼んでいたんだそうだ。本作のストーリーを構想をした時、映画に登場する赤ん坊と同じ年齢だということでジャック=ジャックという名前にしたと語っている。

ディズニーの伝説的アニメーターがカメオ出演

伝説的アニメーター、フランク・トーマス(左)とオリー・ジョンストン(右)

Mr.インクレディブル達がオムニドロイドを破壊した直後に登場する二人の老人。
かってディズニー・スタジオに在籍していたアニメーターの中でも中心的な役割を果たした"ナイン・オールドメン"と呼ばれた伝説的アニメーター9人のうちの二人が、フランク・トーマスとオリー・ジョンストン。
フランク・トーマスは、世界初のカラー長編アニメーション『白雪姫』(1937年)で、毒りんごを食べて倒れた白雪姫を囲んで小人たちが悲しみの涙を流すシーンの見事な感情表現で広く知られるようになった。
オリー・ジョンストンは、ナイン・オールドメンの中でもキャラクターの豊かな感情表現をとことん極めたと言われる人物で、『バンビ』(1942年)でのバンビや子ウサギのとんすけなど動物の感情を見事に表現している。

金庫破りボム・ボヤージュの名前が最初は違っていた

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