レミーのおいしいレストラン(ピクサー映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『レミーのおいしいレストラン』とは、2007年に公開されたディズニー/ピクサー制作のハートウォーミング・コメディな長編アニメーション映画である。監督はブラッド・バード。物語の舞台はフランス・パリ。料理を愛し、フランス料理のシェフになることを密かに夢見るネズミのレミーと、料理が苦手な青年リングイニが出会い、かつて5つ星だったが星を2つ失ってしまったレストラン「グストー」に新風を巻き起こしていく。自分に自信がもてないネズミと人間の成長と友情が描かれた、子どもから大人まで楽しめる作品。

『レミーのおいしいレストラン』の概要

『レミーのおいしいレストラン』(原題:Ratatouille)とは、アメリカ合衆国の映像制作会社ピクサー・アニメーション・スタジオ(以下、「ピクサー」と称する)によるハートウォーミング・コメディな長編アニメーション映画。ピクサーの長編映画としては8作目の作品となる。配給はウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ 。
アメリカでは2007年6月29日、日本では同年7月28日より公開され、第80回アカデミー賞(長編アニメーション映画賞)、第65回ゴールデングローブ賞(アニメーション映画賞)、第50回グラミー賞(最優秀スコア・サウンドトラック・アルバム)を受賞した。
監督は『アイアン・ジャイアント』や『Mr.インクレディブル』を手掛けたブラッド・バード。元々はチェコ人アニメーターのヤン・ピンカヴァが監督を務めていたが、経験上の懸念(ピンカヴァはそれまで短編しか制作したことがなかった)により降板し、ブラッド・バードが引き継ぐこととなった。映画公開まで残り20ヵ月という期間であったが、ブラッド・バードはそれまでに仕上がっていたキャラクターデザインや脚本を大幅に変更し(主人公のレミーは現在のようなリアルな造形ではなく、ミッキーマウスのようなネズミがデフォルメされたデザインだった)、作品を完成させた。
ピクサーのスタッフたちはこの映画のためにフランスに赴き、フランス料理の講習を受けたり、厨房を見学して、作品作りに生かした。
声の出演には、パットン・オズワルト、イアン・ホルム、ブライアン・デネヒー、ピーター・オトゥールなどのベテラン俳優たちが名を連ねているが、準主役であるリングイニ役にはスタッフの一人でもあったルー・ロマーノが仮の収録から正式に採用されることになった。(ピクサー作品はスタッフが製作途中にセリフを仮収録していき、そこから正式な声の出演を決定するという流れがあった)他にも、レミーの兄・エミール役の声優であるピーター・ソーンも俳優ではなく、ピクサー所属のアニメーターである。(ピーター・ソーンは他のピクサー作品の声優も務めている)

物語の舞台はフランス。天才的な味覚と嗅覚をもち、料理を愛するドブネズミのレミーが家族や仲間と離ればなれになり、パリへと流れ着く。今は亡き憧れのシェフ・グストーの幽霊に導かれ、レストラン「グストー」に辿り着いたレミーはそこで雑用係として働く青年リングイニと出会う。料理の才能はないリングイニと、料理がしたいレミーが密かにタッグを組み、やがてリングイニはレミーの陰の力によってパリの料理界で名声を得ていく。それと同時に、リングイニの料理の秘密を暴こうとする料理長や、グストーの死の原因となった料理批評家の再来など、レミーとリングイニに危機が迫る。

『レミーのおいしいレストラン』のあらすじ・ストーリー

ネズミのレミー登場

人間の家に忍び込み、食材を盗むレミー

野原に建つ古い一軒家の屋根裏に、ネズミのレミーは大勢の仲間たちと一緒に住んでいた。レミーの特技は“舌”と“鼻”が効きすぎること。そのため父親・ジャンゴから毒見役を命じられ、嫌々ながらも仲間のために、日々その役目をこなしていたのだった。

レミーの頭の中は、いつもおいしい料理のことで一杯である。「人間には近づくな」との父のいいつけを破っては、兄のエミールと一緒に家のキッチンに忍び込み、テレビで料理番組をみたり、憧れのシェフ・グストーの料理本を覗いたりしていたのである。

仲間との別離

ある嵐の日、いつものようにキッチンに侵入したレミーは、ついたままになっていたテレビをみて驚いた。憧れのグストーは、フランスNo.1評論家のアントン・イーゴの厳しい批評に意気消沈し、失意のうちに亡くなっていたのだ。レストランも、星を2つ失っていた。

ショックを受けたレミーが呆然としていると、居眠りしていた老婆が目を覚まし、レミーたちを見つけて仰天する。屋根裏に逃げるエミールめがけてショットガンを連射したため、何十匹というネズミもろとも、天井は崩れ落ちたのである。

パニックになる老婆をしり目に、ジャンゴの指示でいっせいに川に向かって駆け出すネズミたち。あとを追うレミーは、大切なグストーの本を運ぼうとして仲間に追いつけない。ジャンゴたちは船の代わりの空き缶に乗り、出発してしまった。

レミーはグストーの本を船代わりにして必死に仲間を追うが、下水の激流に巻き込まれ、仲間たちとは離れ離れになってしまうのだった。

グストーのレストラン

下水道の中で一人ぼっちでいるレミーに、突然、本の中に描かれたグストーが動き出して語りだす。下水から上がって街に行けというのである。グストーの声に従って勢いよく屋根裏を駆け出したレミーは、高い建物の屋根の上に飛び出した。

そこには素晴らしいパリの夜景が広がっている。そして、すぐ近くにネオンに彩られたグストーのレストランの看板を見つけたのだ。グストーに導かれたと喜んだレミーは、一目散にレストランへと向かうのだった。

はじめてのキッチン

お客でにぎわうグストーの店の屋根裏では、キッチンの様子をみて感動しているレミーがいた。キッチンの片隅には青年・リングイニがたたずんでいる。彼はグストーの元恋人だった女性の息子であり、雑用係としてレストランで働く事になっていたのである。

その時、キッチンを掃除していたリングイニが、火にかけてあったスープの鍋をひっくり返してしまう。あわてたリングイニは、鍋にこっそりと適当な具材を投げ入れ、減った量をごまかそうとした。
「ムチャクチャやってる!スープが台無しだ!」と驚きあわてるレミー。その拍子に屋根裏から落ちてしまう。

キッチンでの大騒動

キッチン内を逃げまどいながら、少しずつスープの鍋に近づいていくレミー。やっとたどり着いたスープの、あまりにひどい匂いに顔をしかめていると、幻のグストーから「君なら味を直せる。チャンスだぞ!」との声がした。レミーは周りに置いてある調味料でスープの味を調整し始めるのだった。

そこへ料理長のスキナーが、お客に出すスープを探してやってきた。リングイニの挙動不審な様子を見たスキナーは、リングイニが勝手にスープに手を加えたと勘違いして怒りだす。
しかしスキナーがリングイニに気を取られている間に、スープは店に来ていた評論家ルクレアの元へと運ばれてしまうのだった。

あわてるスキナーの予想に反してルクレアに気に入られたスープは、一躍評判になったのである。
この一件で、リングイニは雑用係から見習い料理人になり、「同じスープをもう一度作る」との条件付きで、女性コックのコレットの下につくことになった。

この騒ぎのスキにキッチンを逃げ出そうとしていたレミーだったが、スキナーに見つかり大騒ぎになる。結局リングイニによって捕まり、瓶に詰められてしまうのだった。

共同生活のはじまり

リングイニは、瓶詰めにされたレミーをセーヌ川に投げ込もうとするが、どうしてもできない。そして、瓶越しにレミーを見つめてグチをいっていたとき、レミーが人間の言葉を理解している様子に気づいて驚くのである。リングイニは、同じスープを作るのに協力してくれるならとレミーを瓶から解放する。

その日から、レミーはリングイニの部屋でいっしょに生活することとなった。
翌日、レミーを抱えるリングイニは、彼をリトルシェフと呼びながら、グストーの店へと急ぐのだった。

不思議な協力関係

スキナーは、スープの評判がよいリングイニが気に入らない。どうせ同じ味などできるわけないと思いながら、出勤してきたリングイニに同じスープを作れと命令するのである。

レミーはリングイニのコック帽の中に隠れながら、彼の髪の毛の引っ張り具合によって、動作を操れることに気づく。その日の夜、部屋で猛特訓したレミーとリングイニは、お互いの意思を通じ合えるまでのレベルに到達するのだった。

次の日、コック帽の中に隠れたレミーの指示によって、リングイニは見事にスープの味を再現する。スキナーはイヤミたっぷりにリングイニをほめたあと、コレットからスープ以外の料理を教えてもらうようにと指示をだすのだった。

怪しみだすスキナー

スキナーは、リングイニの母親レナータの手紙の内容に驚いていた。なんとリングイニは、グストーとレナータの間にできた子供だったのだ。これは、グストーの店を手に入れようとしていたスキナーにとって大問題である。
スキナーから相談された弁護士タロンは、グストーとリングイニのDNA検査をすることを約束し、帰っていった。

そのころリングイニは、コレットから料理のイロハを厳しく教わっていた。基本は“レシピに忠実に”である。そんなリングイニに、彼の失脚を狙うスキナーは、グストーさえ封印していた難易度の高い料理を作るように命令したのであった。

レミーはやっと完成した料理を美味しくするため、レシピに忠実を訴えるコレットの目を盗んで、料理のソースをレシピと違うものに変えてしまう。
その結果、リングイニの料理はお客に大好評を得て、彼の新メニューを食べようと、注文が殺到したのであった。

その状況が気に入らず、リングイニの身のまわりを探り始めたスキナーは、レミーの存在を怪しみだすのである。

家族との再会

新メニューの成功を祝って、レストランの外でご馳走を食べていたレミーは、離れ離れになっていた兄・エミールに偶然再会する。エミールは大喜びし、家族や仲間のいるところへレミーを案内するのだった。
しかし、レミーに再び毒見役を任せようとする父親を見て、いっしょには住めないと悟るレミー。父親と話すがやはり意見が合わず、レミーはレストランへと向かうのである。

朝方にレストランへ戻ってきたレミーは、眠り込んでいるリングイニを髪の毛で操って掃除をし始めた。
朝早く出勤してきたコレットは、レミーに操られて掃除をしているリングイニを目撃する。しかしふざけているようにしか見えないリングイニの態度に激怒したコレットは、彼を引っ叩いて店を出ていこうとする。

目を覚ましたリングイニは、コレットを引き止めようとした拍子に彼女とぶつかり、なんとキスをしてしまう。突然のキスに戸惑うコレットだったが、リングイニを受け容れて、強く抱きしめるのだった。

アントン・イーゴ再び

書斎でタイプライターを打ち続けていた料理の批評家アントン・イーゴは、執事のアンブリスターから、グストーのレストランがとても繁盛していることを聞き仰天する。彼の中では、グストーのレストランはすでに評価の対象外だったのだ。詳しく話をするようにと、イーゴは執事に詰め寄るのだった。

その夜、リングイニが自分に気があると感じたコレットは、リングイニをバイクの後ろに乗せてパリの街へと走り出す。バイクの勢いにレミーはコック帽ごと路上に放り出されてしまった。

なんとかレストランへ戻ったレミーは、エミールどころか父親と仲間のネズミたちまで待っていたのを見て驚いた。なぜ父や仲間たちまで連れてきたのかとエミールをなじるレミーだが、お腹をすかせている仲間をそのままにはできない。レミーは食料を探すためにレストランへと入り込み、食料庫の鍵を探し始めるのだった。

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@sugawara00793

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プリンセスと魔法のキス(ディズニー映画)のネタバレ解説・考察まとめ

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『プリンセスと魔法のキス』とはウォルト・ディズニー・スタジオが制作した2Dアニメーション・ファンタジー・ミュージカル映画。原題は『The Princess and the Frog』。日本では2010年に公開され、ディズニー初のアフリカ系アメリカ人のプリンセス映画として知られる。アメリカ合衆国ニューオーリンズを舞台に、主人公ティアナと王子ナヴィーンを蛙に変えた魔法と、それを解く「プリンセスのキス」をめぐる冒険を描く。

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美女と野獣(ディズニー映画)のネタバレ解説・考察まとめ

美女と野獣(ディズニー映画)のネタバレ解説・考察まとめ

フランスの民話を元に1991年に制作されたディズニーの長編アニメーション映画作品。魔女の呪いによって醜い野獣に姿を変えられた古城の王子と美しく聡明な街の娘ベルとの奇跡の愛の物語。ロマンティックな音楽と美しい映像が全編を彩り、信じ合うことで起こる不思議な奇跡が深い感動を呼び起こすファンタジー・ラブストーリー。アニメ作品として初のアカデミー作品賞にノミネートされ、さらに作曲賞と歌曲賞を受賞した。

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アリス・イン・ワンダーランド(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

アリス・イン・ワンダーランド(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『アリス・イン・ワンダーランド』とは2010年公開のアメリカの3D映画。監督はティム・バートン。ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ配給。原作はルイス・キャロルの児童文学小説『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』。19歳になったアリスが再びワンダーランドに迷い込み、赤の女王に支配されていたワンダーランドを救う。実写とモーションキャプチャーの技術を使い映画化した。映像が素晴らしく童話の世界観を見事に実写化しており、アカデミー賞では衣装デザイン賞をはじめ、3部門で受賞した。

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ポカホンタス(ディズニー映画)のネタバレ解説・考察まとめ

ポカホンタス(ディズニー映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ポカホンタス』とは1995年に公開されたディズニーアニメ映画33番目の作品。ディズニー映画史上、初めて実在の人物を扱った歴史的映画である。映画中盤の挿入歌「カラー・オブ・ザ・ウィンド(Colors of the Wind)」はアカデミー賞で受賞するほど評判が高い。舞台は17世紀初頭のアメリカ、インディアンのポカホンタスが植民地開拓するためにアメリカ大陸に上陸したジョン・スミスに出会い、お互いに恋に落ちる。人種の壁を越えたロマンスは、ディズニーでは異例ともいえる作品だ。

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