イルーゾォ（ジョジョの奇妙な冒険）の徹底解説・考察まとめ

イルーゾォのプロフィール・人物像

CV：成田剣（TVアニメ版）、中井和哉（ゲーム『ジョジョの奇妙な冒険 アイズオブヘブン』）、根岸朗（ゲーム『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の旋風』）

イルーゾォとは、荒木飛呂彦の漫画作品『ジョジョの奇妙な冒険』Part5『黄金の風』に登場する敵キャラクターで、スタンド使いである。
ギャング組織パッショーネに所属し、暗殺チームの一員として任務をこなしていた。危険な仕事の割にボスからの報酬が少ないことに不満を持っていた仲間のソルベ、ジェラートが悲惨な殺され方をしたことから、組織内でも冷遇される立場に甘んじることとなる。そんな折、ボスの娘トリッシュの存在を知る。トリッシュを手に入れればボスを倒すチャンスができ、組織を乗っ取ることができると考え仲間たち共々組織を裏切った。
鏡の中に特定したものを引きずり込むスタンド「マン・イン・ザ・ミラー」を持つ。スタンド使いであっても、本体だけが鏡の世界に入れられスタンドと引き離されてしまう為マン・イン・ザ・ミラーの能力を知られてもあまり弱点にはならない。
登場時は堂々とした余裕の態度だったが、逆転されるなど不測の事態に陥ると小物めいたビビり方をする。それでも、カラスの死骸からフーゴのスタンドの能力を知る、ウイルス感染から身を守る為に自ら片腕を失うなどそれなりの覚悟や機転は持ち合わせている。

イルーゾォの来歴・活躍

ボスの秘密と制裁

イルーゾォは、イタリアのギャング組織「パッショーネ」の暗殺チームに所属していた。イルーゾォも含め、チームのメンバーは「スタンド」と呼ばれる特殊能力ゆえに一般人には気づかれにくい方法で暗殺を行ってきた。ところが、危険の伴う仕事ながらボスからの報酬は少なかった。組織そのものは麻薬の密売でかなりの利益を上げており、賭場を仕切る幹部はその儲けで自分たち以上に美味しい汁をすすっていることに、暗殺チームのメンバーは不満を抱いていた。
ある日、チームのメンバーであるソルベとジェラートが姿を消す。イルーゾォたちは二人が組織内でも最大の禁忌であるボスの秘密を探っていることを知っており、「消されたのではないか」と推測する。そんな中、ジェラートの窒息死体が発見された。ジェラートの死体は猿轡代わりのタオルを口に吸いこんだような形であり、服には「罰」と書かれた紙が貼られていた。
後日、暗殺チームのアジトに差出人不明で奇妙な小包が届く。中身は額に入った立体の奇妙なオブジェで、それは連日届けられた。すべて開封し、並べるとホルマリン漬けにされた輪切りのソルベの死体であることが判明した。
ソルベ、ジェラートは共に捕まり、ソルベは生きたままつま先から輪切りにされ、ジェラートはその光景を見て恐怖のあまりタオルを飲み込んでしまったのではないかと推測された。「自分の正体を探るな」という無言のメッセージに、イルーゾォたち暗殺チームは圧倒される。
以降冷遇される立場に甘んじることとなった彼らだが、「ボスの娘がいる」との情報が入った。15歳になる娘トリッシュ・ウナを手に入れることでボスを倒し、麻薬ルートを手に入れる。暗殺チームは組織を裏切ることに決めた。
ボスの方も黙ってはいなかった。トリッシュが自分の娘だと直感で認め、組織の者に匿わせる。そして、スタンド能力を持った新たな幹部ブローノ・ブチャラティのチームにトリッシュの護衛をさせた。

イルーゾォは、死の町と称されるポンペイ（かつて火山の噴火で滅んだ都市）でブチャラティの部下であるレオーネ・アバッキオ、IQ152の頭脳と切れやすい性格を持つパンナコッタ・フーゴ、新入りのジョルノ・ジョバァーナを見つける。彼らがトリッシュ絡みの護衛で来ていることを察したイルーゾォは、自らのスタンド「マン・イン・ザミラー」で攻撃を仕掛ける。それは、特定したものを鏡の世界に引きずり込む能力だった。

敵スタンド封じ

フーゴを引きずり込んだのは、彼が鏡に映ったイルーゾォに気付いたからだった。フーゴ、アバッキオのことは資料にあったが、ジョルノのことは資料がなく新入りということしか分からない。フーゴは仲間をどこへやったのかと怒鳴るが、腕時計が右手首にあり、文字盤が逆になっていること、針が逆時計回りに動いていることに気付く。近くのごみ箱の文字も反転していた。「鏡から離れろ」と言って突き飛ばしたアバッキオ、ジョルノが消えたのではなく、フーゴ自身が鏡の中の世界に引きずり込まれたのだ。
イルーゾォは、トリッシュのことも重要だが、「何故お前たちが死の町と呼ばれるポンペイに来たのか。それは知っておかなくちゃならない事柄だ」と口にする。トリッシュを守る為に必要な何か。それを探しに来たのではないかとフーゴに突きつけ、それは自分がもらうと宣言する。それが何なのか教えろとイルーゾォは迫るが、もちろんフーゴは教える気などなかった。
スタンド戦になるかと思われたが、フーゴのスタンドは現れなかった。イルーゾォは説明する。鏡の中には、「フーゴだけ」を引きずり込んだ。鏡の中を支配するのがマン・イン・ザ・ミラーの能力で、イルーゾォが許可していないものは何一つない。入るよう許可をしたのはフーゴだけで、彼のスタンドは許可していない為、鏡の中ではスタンドが使えないのだった。
鏡の外でスタンドを出したらしいことが、突如破壊された遺跡から分かった。それでもイルーゾォには何の脅威でもない。フーゴのスタンドが外で何をしようが、鏡の中にいる以上決してイルーゾォに当たることはなく、逆にイルーゾォは自由にフーゴを殴って止めを刺すこともできる。
その時、突如カラスが落ちてきた。カラスは内側から腐るようにして死んでいた。細菌やウイルスにでも感染したような死体で、それがパープル・ヘイズの能力らしかった。とはいえ、鏡の中には許可していないウイルスは入ることはできない。

スタンドが使えないフーゴを、マン・イン・ザ・ミラーで徹底的に叩きのめす。鏡の外では、フーゴのスタンド「パープル・ヘイズ」が発動していた。アバッキオは、パープル・ヘイズを知らないジョルノに「フーゴのスタンドだ」と説明した上で「そいつ（パープル・ヘイズ）から離れろ」と言う。パープル・ヘイズは、自身の涎を気にして拭き取るという行動に出る。アバッキオが言うには、フーゴは無事なようだが制御できていない状態にあるとのことだった。鏡を破壊するのも制御できていない証拠だとアバッキオは言うが、ジョルノには何か意味のある行動に思えた。
イルーゾォは、フーゴを痛めつけ「何を探しに来たのか」と聞く。しかし、フーゴには答える気などなかった。フーゴからは何も情報を得られないと判断したイルーゾォは、彼を始末しようとした。

ムーディー・ブルース戦

フーゴにとどめを刺す寸前、足音がした。鏡の外で誰かが走っている。足音は、遺跡の名所である「犬の絵」に向かっているようだった。始末したも同然のフーゴをいったんおいて、イルーゾォは足音の主を追った。足音の主はアバッキオで、犬の絵の所から何かを拾おうとしていた。
アバッキオが拾おうとしているのは鍵らしかった。それを分捕ってやろうと、イルーゾォは近づく。アバッキオがイルーゾォに気付いた。慌てて鏡に映らないよう離れたアバッキオは、フーゴが突如消えた理由について、フーゴが消える直前に鏡について言及していたことと、スタンドだけが現れたことからフーゴが「鏡の中」にいるらしいこと悟った。
それでも鍵を取ろうとしたアバッキオだが、マン・イン・ザ・ミラーに腕を掴まれてしまう。鏡に映れば、それは外と中の出入り口。鏡が落下して粉々になった為、アバッキオを掴める出入り口が増えた。「お前だけを鏡の中に入れることを許可してやる！」と言い、マン・イン・ザ・ミラーは相手を掴んだ。
次の瞬間、マン・イン・ザ・ミラーの喉をアバッキオが掴んだ。スタンドを掴めるのはスタンドのみ。鏡が粉々になった分、イルーゾォは自分が有利になったと思っていたが、実際には外を覗くスペースが狭くなっていた。その為、相手が本体かスタンドか確認ができなかった。
掴んだのはアバッキオ自身ではなく、特定した人物の姿と行動を再現・再生する能力を持ったスタンド「ムーディー・ブルース」だった。ムーディー・ブルースにより、マン・イン・ザ・ミラーは圧倒されてしまう。マン・イン・ザ・ミラーは直接対決には向かないスタンドのようだった。
イルーゾォは倒れて起き上がらない。しかし、立てないのではなくしゃがむ為であった。アバッキオに蹴られる為ではなく、鏡の破片を拾うのがイルーゾォの目的だった。鏡に映ったアバッキオを、別の鏡で写せばそれも出入り口になる。アバッキオ本体を半分だけ鏡の中に入れ、ムーディー・ブルースもまた半分外へと出す。これでアバッキオもムーディー・ブルースも動けなくなる。それでも尚カギを入手しようとしたアバッキオだが、口の中にガラスの破片を入れられた。スタンドと半々にされたアバッキオには動く力があまりなく、口に入れられた破片を動かされれば簡単に死んでしまう状況に陥った。
勝ち誇るイルーゾォだが、床の隙間にあったはずの鍵がない。見ると、アバッキオの体の下に血だまりができている。アバッキオは自身の片手を切り落とし、外にいるスタンドの手に持たせ、逆再生することでジョルノに渡そうとしていた。
アバッキオに煽られ彼を始末しようとしたイルーゾォだが、鍵が落ちた音がした。石畳に落ちたようだった。ジョルノに鍵が渡れば、今回のアバッキオたちの任務は完了する。アバッキオはジョルノを認めてはいなかったが、命令を実行することを優先させた。
ジョルノを始末しようと音がした方へ向かったイルーゾォは、ジョルノがカギを持ったまま逃げることもせずたたずんでいるのを目にする。アバッキオは鍵を持って逃げるよう怒鳴るが、鏡の中からの声は鏡の外にいるジョルノには聞こえない。
鍵をゲットしてからジョルノを始末する方法と、鏡の破片でジョルノを殺してから鍵をゲットする方法。イルーゾォには二つの選択肢があった。先にジョルノを倒そうと、彼本体だけを鏡の中へと引きずり込む。
しかし、掴んだジョルノはパープル・ヘイズのウイルスに感染していた。
「鍵を渡すことはない。そしてフーゴもアバッキオも無事でみんなのところに帰る！」それがジョルノの決意だった。

イルーゾォ敗北

確実に死ぬウイルスに感染した状態で、ジョルノは鏡の世界に入ってきた。イルーゾォには正気の沙汰とは思えなかった。近くにいたイルーゾォにも感染の症状が出始める。パープル・ヘイズのウイルスは30秒で全身に回る。ジョルノを掴んだ時点で、イルーゾォの負けは決まっていたとジョルノは語る。
遺跡の入り口で、ジョルノはパープル・ヘイズの割った破片を並べ直し、イルーゾォの能力を推理した上で敢えて感染したのだった。
恐怖と怒りに震えるイルーゾォだが、まだ助かる方法はある。イルーゾォは自分だけが鏡の外に出ることを許可するようマン・イン・ザ・ミラーに命じた。ただし、ウイルスは許可しない。感染した部分は、ウイルスもろとも鏡の中の世界に置いてくる。
アバッキオは鍵を取る為に自らの腕を切断した。イルーゾォは「俺だってこれしきのこと！」と腕を切断される痛みに耐える。外に出たイルーゾォは「覚悟の勝利」だと勝ち誇った。そんなイルーゾォの目の前に、レンガが這い寄ってきた。見ると、レンガから蛇が生えているようにも見える。それはジョルノの生命を生み出すスタンド「ゴールド・エクスペリエンス」によって作られた蛇で、人間、つまりイルーゾォの体温を感知して寄ってきていた。
レンガの蛇によって、鏡の中にいるフーゴにイルーゾォの位置が特定され、イルーゾォの背後からパープル・ヘイズが忍び寄る。パープル・ヘイズに喉を掴まれたイルーゾォだが、鏡の破片が見えた。パンチを一度でもよけられれば、鏡の破片を拾って鏡の中に引きずり込むことができる。
マン・イン・ザ・ミラーが全力でパープル・ヘイズのパンチを止めたが、その拳に着いたウイルス入りのカプセルが外れて割れた。途端にウイルスが漏れて、イルーゾォは再び感染してしまう。化け物じみた咆哮を上げながらパープル・ヘイズはイルーゾォに執拗なラッシュを食らわせた。
これにより、イルーゾォは肉体が解け死亡する。

イルーゾォのスタンド能力：マン・イン・ザ・ミラー

スタンドとは

「スタンド」とは、精神エネルギーが具現化した一種の超能力である。生まれつき、或いは特殊な矢の鏃で傷を負うことで発動し、個々に異なる特殊能力を持つ。スタンドを持つ者を「スタンド使い」と呼ぶ。スタンドを見る、触れるのはスタンド使いのみで、一人につき能力は一つが原則となっている。

ステータス

破壊力-C、スピード-C、射程距離-「鏡の中」の世界では数百メートル、持続力-D、精密動作性-C、成長性-E

（A-超スゴイ、B-スゴイ、C-人間と同じ、D-ニガテ、E-超ニガテ）

能力：鏡の世界に任意のものを引きずり込む