ニャルラトホテプ(ペルソナ2)の徹底解説・考察まとめ
ニャルラトホテプとは、株式会社アトラスのジュブナイルRPGシリーズ『ペルソナ』の2作目に登場するキャラクターである。2枚ディスクで構成されている『ペルソナ2』において、両ディスクにおけるラスボスキャラクターとなっている。本作の導き手役であるフィレモンの半身でもある。フィレモンと共に行っていた「人は完全な存在となり得るか」という議題に対する己の考えが正しい事を証明する為、人類の破滅を目論むようになる。
『ペルソナ2 罰』
再び人類破滅計画を開始するニャルラトホテプ
達哉達が世界をリセットした為に、自分の行ってきた行為が全てなかった事にされてしまったニャルラトホテプ。だが、ない事になったのであればまた同じ事をすればよいだけだと、ニャルラトホテプは新しく生まれた世界線(通称:こちら側)でも、人類破滅の計画を目論む。こちら側では、淳の家庭に問題は起きていなかった為、彼は淳に付け入るのは辞め、代わりに別の手段として、珠閒瑠市の政治家の須藤竜蔵に目をつける。彼は『ペルソナ2 罪』の世界線(通称:むこう側)では、県議会議員をしていた男であった。そんな彼が持つ野心につけこみ、ニャルラトホテプは彼が持つ戦国武将・澄丸清忠のミイラを通して、竜蔵に様々な啓示を行っていくようになる。結果、竜蔵は法務大臣兼外務大臣にまで上り詰め、ニャルラトホテプこと澄丸清忠を「御前」と呼び妄信し始める。そうして新世塾と呼ばれる秘密結社を作り、その本尊として御前を扱うようになる。ニャルラトホテプはそれ以外にも、あちら側の珠閒瑠市と同じように、こちら側の珠閒瑠市も「噂が現実と化す街」に仕立てたり、街中に多くの化身を蔓延らせたりして、むこう側の時と同じように人類破滅計画を進ませていく。
一方その頃、こちら側でも雑誌記者として働いていた舞耶に、ある異変が起きていた。実は、度々むこう側での出来事を夢に見るようになっていたのである。そのきっかけは、ある日、たまたま街中で達哉と出会ってしまった事にあった。舞耶は達哉の事を覚えていなかったが、達哉の方はむこう側で仲間との記憶が消える事を恐怖してしまった為に、記憶を持ったまま、この世界に来てしまっていた。それは本来ならばあり得ていい事ではなく、こちら側では起こっていない筈の出来事を記憶している達哉は、こちら側にとって「特異点」にあたる存在となってしまう。舞耶が達哉と出会い、むこう側の事を思い出し始めたのも、それによる影響だった。さらに街中では殺人鬼・JOKERの噂が蔓延っていた。JOKERは、あちら側で仮面党の幹部の1人であった須藤竜也(すどう たつや)だった。彼はむこう側での記憶を取り戻しており、その事が起因してJOKERとして舞耶をつけ狙うようになっていたのである。しかしそんな事など知らない舞耶は、自分とJOKERの間にある因縁を探る為、こちら側で新しく得た3人のペルソナ使いの仲間達と共に、JOKERの正体を探る事になる。
ニャルラトホテプの行動が導き出してしまった皮肉な結末
JOKER達の後を追いかける舞耶達。その最中、舞耶達は度々達哉と出会うようになる。達哉は舞耶達がJOKERを追っていると知ると、「この件に関わるな」と忠告と共に去っていってしまう。実はこの頃の達哉は、この世界で起こっている異変は自分のような異物(特異点)が居てしまった事にあると考え、その責任を取る為、1人でニャルラトホテプとの戦いに挑んでいた。そんな達哉の事情に舞耶達が気づくことはなかったが、事ある毎に自分達の前に現れ、忠告をして去っていく彼の事を、舞耶達は気にかけるようになる。
その後、JOKERこと竜也を追い詰める事に成功した舞耶達は、竜也の口からむこう側の事を教えられる。さらに竜也を追い詰めた事で、JOKERによる殺人事件はもう起こらない筈だったのに、なぜか巷で新たなJOKERによる事件が次々と起こるようになる。それは全て、ニャルラトホテプによる人類破滅計画の1つだった。舞耶達は、再びJOKERにまつわる事件に関する調査を開始。そこで、再び達哉と出会った舞耶達は、彼を捕まえ、知っている事を全て話すように問い詰める。舞耶達に問い詰められた達哉は諦めて舞耶達に自分の抱えている事情を全て話す。そこでニャルラトホテプの企みを知った舞耶達は、達哉と共にニャルラトホテプの企みを阻止する事を決める。
一方その頃、ニャルラトホテプの方は、新たな人類破滅計画の段階に進もうとしていた。実はこちら側の世界を破滅させるには、達哉と舞耶、そしてギンコ、ミッシェル、淳、5人の記憶が戻る事が必要条件にあったのだ。ニャルラトホテプは、自分の手下を使い、ギンコ・ミッシェル・淳の3人を捕らえる事にする。達哉と舞耶達は、3人を助けに向かう。それを予想していたニャルラトホテプは、3人の救出条件として、彼等に自分が用意したゲームを行わせる。無論、そのゲームを受ける達哉と舞耶達。しかしそこで彼等を待っていたのは、仲間達それぞれの「心の闇」から生まれたシャドウだった。
認めたくない自分の「心の闇」が具現化したシャドウ達に、心をかき乱されかける達哉と舞耶達。だが、かつてむこう側で達哉達がそうしたように、彼等は己の「心の闇」と向き合い、受け入れていく。そうして、これまでの仲間達との戦いの経験を糧に、シャドウを撃退する。その後、全てのシャドウを倒し、ギンコ・ミッシェル・淳を助ける事に成功した達哉と舞耶達。そんな彼等の様子を目にしたニャルラトホテプは、自分の計画を成功させる為、自ら彼等の前に出向き戦う事にする。だが激闘の末、ニャルラトホテプは達哉と舞耶達に敗れてしまう。
自分が敗れた事実に驚愕するニャルラトホテプ。そんな彼の前にフィレモンが現れる。そうして、人の心の「暗黒面」から生まれたニャルラトホテプの行動その全てが、達哉や舞耶達、人類の心を「成長」させる為の糧となった事を告げる。それを聞いたニャルラトホテプは、己の行動が導き出してしまった矛盾した結果を嘲笑う。そして、人類が消えない限り、その暗黒面を具現化した存在である自分は何度でも蘇るという事を彼等に告げたのを最後に、人の普遍的無意識の深淵に沈んでいったのだった。
ニャルラトホテプの関連人物・キャラクター
フィレモン
達哉達の前に度々現れる謎の男。達哉達にペルソナの力を渡してきた張本人でもある。自らを「意識と無意識の狭間に住まう者」と称している。達哉達ペルソナ使いの手伝いを行う謎の青い部屋「ベルベットルーム」の住人達の主でもある。前作『女神異聞録ペルソナ』にも登場しているが、その際の容姿は『ペルソナ2』とは異なるものになっている。
ニャルラトホテプとは、互いに半身にあたる存在にある。公式によれば、フィレモンが「人類のポジティブマインド」の化身、ニャルラトホテプが「人類のネガティブマインド」の化身とのこと。「人は完全な存在となり得るか」という命題について、ニャルラトホテプと長い間議論を続けている。肯定派であるフィレモンに対し、否定派であるニャルラトホテプが己の考えの方が正しい事を証明する為に人類の破滅を目論んだ事がきっかけで、本作の物語が始まるに至った。
周防達哉(すおう たつや)/P2罪主人公
2枚ディスクで構成されている『ペルソナ2』において、1枚目のディスク『ペルソナ2 罪』の主役を務める少年。2枚目のディスク『ペルソナ2 罰』でもキーキャラクターとして登場する。『ペルソナ』シリーズにおける主人公にしては珍しく、ゲーム内でのデフォルト名が存在しているキャラクター(なお、名前を自由に変更可となっている)。
『ペルソナ2』の舞台「珠閒瑠市」にある「七姉妹学園」の3年生。年は18歳。兄が1人いる。幼い頃、大切な友人から貰ったジッポライターを常に持ち歩いており、作中では時々開け閉めをして遊んでいるさまが見られる。文武両道な上にルックスも良い為、女子生徒からの人気は高い。クールな性格で、過去に尊敬していた父が冤罪を着せられた事で失望した事をきっかけに、家族や友人との馴れ合いを嫌い1人で居る事を好んでいる。だが本当は非常に仲間想いな心優しい少年であったりする。
巷で噂の「ジョーカー」に恨まれており、その原因を探る為、ジョーカーからの「復讐」に立ち向かっていく。その最中、ジョーカーの影に黒幕としてニャルラトホテプがいる事を知り、仲間達と共に彼の目論見を阻止しようと奮闘する。
天野舞耶(あまの まや)/P2罰主人公
2枚ディスクで構成されている『ペルソナ2』において、両ディスク共にメインキャラクターとして登場するペルソナ使いの女性。2枚目のディスク『ペルソナ2 罰』では、主役を務めている。
珠閒瑠市にある「キスメット出版社」で発行されているティーンズ向け情報誌「クーレスト」の編集記者。非常に明るい性格の女性で、「レッツポジティブシンキング」を合言葉に、どんな事にも前向きに取り組んでいる。ただし家事だけはどう足掻いても上手くいかないらしく、珠閒瑠市探索中に彼女が住むアパートに訪問すると荒れ放題となっている部屋を見る事ができる。『ペルソナ2 罪』の世界線では、本編開始より10年前に放火事件に巻き込まれた経験があり、炎に対して強い恐怖心を持っている。『ペルソナ2 罪』では、10年前の放火事件そのものがなかった事になっている為、炎への恐怖はない。
『ペルソナ2 罪』『ペルソナ2 罰』、そのどちらにても、クーレストの編集記者として巷で噂の「ジョーカー」について取材していた最中に、「ジョーカー」が起こす様々な事件に関わっていく事となる。その最中に、ニャルラトホテプの存在を知り、彼の人類破滅の目論見を止める為、仲間達と奮闘する。
黒須淳(くろす じゅん)
2枚ディスクで構成されている『ペルソナ2』において、1枚目の『ペルソナ2 罪』のメインキャラクターとして登場するペルソナ使いの少年。『ペルソナ2 罰』でもサブキャラクターとして登場する。
珠閒瑠市にある「春日山高校(通称:カス校)」に通う高校3年生。本編数ヶ月前に春日山高校へ転入してきた。年は17歳。花を愛でるのが好きな美少年で、花言葉や星占いに詳しいロマンチスト。ピアノも弾ける。
父親は、『ペルソナ2 罪』の主人公の達哉とその仲間であるペルソナ使いの少女・ギンコが通う七姉妹高校の世界史教諭の橿原明成だが、本編開始前に亡くなっている。母親はベテラン女優の黒須純子。「マイヤの託宣」等といった夢想事にのめり込む父と、女優業に執着し家庭を顧みなかった母により家庭が崩壊した為、両親を恨んでいる。しかし幼い頃に少しだけ味わった「仲良し家族」だった頃の思い出を引きずっており、両親の愛情に飢えている一面もあるよう。
「ジョーカー様」の噂が流行る少し前から、学校へ来なくなる。本編開始よりずっと前に、達哉やギンコといった主要メンバー達とすでに出会っている。なかでも達哉とは互いの宝物を託し合える程の親友だったが、世界破滅を目論むニャルラトホテプの策略により、友情は「恨み」に変わってしまう。
ギンコ/リサ・シルバーマン
2枚ディスクで構成されている『ペルソナ2』において、1枚目のディスク『ペルソナ2 罪』に登場するペルソナ使いの少女。2枚目のディスク『ペルソナ2 罰』でもサブキャラクターとして登場する。
『ペルソナ2 罪』の主人公・達哉と同じ七姉妹学園に通う高校2年生。年は17歳。人種は生粋の白人であるが両親が日本に帰化してしまっている為、生まれや育ちは日本となっている。その為、見た目に反して英語が喋れない事にコンプレックスを抱いている。日本びいきな両親、特に父親の事が嫌い。カンフー映画が大好きで、自我流で学んだ広東語を織り交ぜて喋る。作中では時折、「リサの広東語講座」と称して、達哉に広東語の意味を教えていたりする。達哉に惚れており、達哉の事を「恋人」の意味を持つ広東語「情人」と呼んでいる。
巷で噂の「ジョーカー」に恨まれており、その原因を探る為、ジョーカーからの「復讐」に立ち向かっていく。その最中、ジョーカーの影に黒幕としてニャルラトホテプがいる事を知り、仲間達と共に彼の目論見を阻止しようと奮闘する。
ミッシェル/三科栄吉(みしな えいきち)
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目次 - Contents
- ニャルラトホテプの概要
- ニャルラトホテプのプロフィール・人物像
- ニャルラトホテプの能力
- グレートファーザー
- ファイアストーム
- メギドラオン
- 失意の悪夢
- 大地の怒り
- シールズブレイド
- ハイプレッシャー
- 追憶の波動
- 旋風陣
- 迷妄のチャネリング
- フィアトレント
- マスター18
- 月に吼えるもの
- メギドラオン
- 不滅の黒
- 拡散閃影殺
- ガードパニッシュ
- オメガクラスタ
- ニャルラトホテプ
- カオスエレメント
- 刻の車輪
- 這いよる混沌
- 拡散閃影殺
- 運命の車輪
- 泡沫の波紋
- ニャルラトホテプの来歴・活躍
- 『ペルソナ2 罪』
- 「人類のネガティブマインド」を具現化した存在として誕生したニャルラトホテプ
- ニャルラトホテプによる人類破滅計画の始まり
- 拡大していく人類破滅計画
- 待ち受けていた悲しい結末
- 『ペルソナ2 罰』
- 再び人類破滅計画を開始するニャルラトホテプ
- ニャルラトホテプの行動が導き出してしまった皮肉な結末
- ニャルラトホテプの関連人物・キャラクター
- フィレモン
- 周防達哉(すおう たつや)/P2罪主人公
- 天野舞耶(あまの まや)/P2罰主人公
- 黒須淳(くろす じゅん)
- ギンコ/リサ・シルバーマン
- ミッシェル/三科栄吉(みしな えいきち)
- 黛ゆきの(まゆずみ ゆきの)
- 周防克哉(すおう かつや)
- 芹沢うらら(せりざわ うらら)
- パオフゥ/嵯峨薫(さが かおる)
- アドルフ・ヒトラー/フューラー
- 須藤竜蔵(すどう りゅうぞう)
- ニャルラトホテプの名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「お前達は、一つ大きな事を学んだぞ。どうにもできない事もあるという、世の理をだ!」
- 「生に意味などないと知るがいい!答えなど、どこにもないと泣くがいい!ゆえに闇があり影がある!私は、お前たち人間そのものだ!」
- 「だが…憶えておけ…!宇宙の中心で蠢く白痴の塊とは、貴様ら自身だということを…!!貴様らある限り…私は消せんっ…!!」
- ニャルラトホテプの裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 『ペルソナ2』のニャルラトホテプはあくまでも「クトゥルフ神話」とは別物
- 前作『女神異聞録ペルソナ』のボスキャラクターとしても登場していたニャルラトホテプ