ニャルラトホテプ(ペルソナ2)の徹底解説・考察まとめ
ニャルラトホテプとは、株式会社アトラスのジュブナイルRPGシリーズ『ペルソナ』の2作目に登場するキャラクターである。2枚ディスクで構成されている『ペルソナ2』において、両ディスクにおけるラスボスキャラクターとなっている。本作の導き手役であるフィレモンの半身でもある。フィレモンと共に行っていた「人は完全な存在となり得るか」という議題に対する己の考えが正しい事を証明する為、人類の破滅を目論むようになる。
闇属性の攻撃技。
敵全体に、技を使用した者のレベル×1~8分のダメージを与える事ができる。
刻の車輪
万能属性の攻撃技。
敵全体にダメージを与える事ができる。使用するたびに、技の威力があがる。
這いよる混沌
万能属性の攻撃技。
敵全体にダメージを与える事ができる。状態異常「魔封」を付与できる場合もある。
拡散閃影殺
投具属性の攻撃技。
敵全体にダメージを与える事ができる。
運命の車輪
バステ系スキル。
使用した者が8回行動するまで、敵全体のペルソナ交換を不可能にさせる事ができる。
泡沫の波紋
補助系スキル。
敵全体にかけられている持続可能な補助系スキルを打ち消す事ができる。
ニャルラトホテプの来歴・活躍
『ペルソナ2 罪』
「人類のネガティブマインド」を具現化した存在として誕生したニャルラトホテプ
『ペルソナ2』本編が始まる、遥か昔。ニャルラトホテプは「人類のネガティブマインド」を具現化した存在として、人の「心の海」から、己の半身あたり「人類のポジティブマインド」の具現化であるフィレモンと共に生まれた。半身でありながらも真逆の性質を具現化した存在であった彼等は、同時に敵対する存在ともなり、「人は完全な存在となり得るか」という命題について議論を交わしていく事となる。ポジティブマインドの具現化であるフィレモンは己の性質から当然、その命題に肯定的であり、ネガティブマインドの具現化であるニャルラトホテプの方も当然、己の性質から命題に対して否定的であった。しかし2人の議論に結論が出る事はなく、長い時だけが過ぎ去っていく事となる。
そこでニャルラトホテプは、自分の考えが正しい事を証明する為、人類を破滅させる計画を目論む。そこで先立ち、絶望の淵にいた少年・黒須淳の心に付け入る。この頃、小学生であった淳は、高校教師の父・橿原明成と女優の黒須純子の間に生まれた子どもであったが、父が夢想事に心を奪われ、母が仕事ばかりに目を向け家庭を顧みなかった事から、家庭崩壊という絶望を味わっている最中だった。さらにそこに、幼い自分や友人達と一緒に遊んでくれていた、大好きな近所の「お姉ちゃん」が、自分のせいで放火事件に巻き込まれるという事態が発生する。さらに深い絶望に陥った淳を見たニャルラトホテプは、彼の前に、明成のフリをして現れる。この時、明成はすでに故人となっていたのが、ニャルラトホテプが淳に偽の記憶を植え付けた事で、淳は彼が本当の父親だと思ってしまう。さらには「お姉ちゃん」が放火事件に巻き込まれた理由も、淳の所為ではなく、その場にいた淳の友人達、本作の主人公である周防達哉やリサ・シルバーマン(愛称:ギンコ)、三科栄吉(みしな えいきち)(愛称:ミッシェル)の所為だと、偽の記憶にすげ替えられる事となる。それにより淳は、仲が良かった筈の達哉達を恨むようになる。
一方ニャルラトホテプがそのような動きを見せている事を知ったフィレモンは、人類の行く末と可能性を見守る為、己が認めた人間として、達哉とその仲間達に、「ペルソナ」の力を授ける事にする。このペルソナとは、心の底に潜む「もう1人の自分」が実体化したものである。「困難に立ち向かうための人格の鎧」として、ゲーム作中において主人公達と共に、敵と戦ってくれる存在・力となっている。しかし、放火事件に「お姉ちゃん」が巻き込まれた事で、心に傷を負っていたのは達哉達の方も同じで、彼等は淳と一緒に遊んでいた当時の記憶をなかったもの、または「夢」という形で、自分の心の奥深くに封印する事となってしまう。
ニャルラトホテプによる人類破滅計画の始まり
ニャルラトホテプが淳の父親のフリをするようになってから、10年が経った頃。ニャルラトホテプは本格的に人類破滅計画を開始する。まず本作の舞台である珠閒瑠市(すまるし)を、己の力で「噂が現実と化す街」に変貌させる。その後、そこへ怪人・ジョーカーとなった淳を送りつけた。家族の愛情に飢えていた淳は、父が偽物である事にも気づかずに、父の為にと、ニャルラトホテプから授かったジョーカーとしての力を使っていく。怪人・ジョーカーには人の願いを叶える能力が備わっており、淳はその存在を珠閒瑠市の人々の間に知らしめる為、「自分の携帯から自分の携帯へ電話をすると願いを叶えてくれる怪人・ジョーカー様が現れる」という噂を広めていく。そうして自分(ジョーカー)を呼び出した人々の願いを次々に叶えていく。だがそれはあくまでも表向きの噂であり、本当の狙いはそうする事で現れるであろう「願いも何もなく、遊びでジョーカーを呼び出した人間」から「夢見る心」を奪う事にあった。この「夢見る心」は別名「イデアルエナジー」といい、淳の本物の父・明成が作り上げた書籍「イン・ラケチ」によると、世界を滅ぼす事が可能な力を持ったエネルギーなのだという。ニャルラトホテプは己の企てを成功させる為、淳を利用して、この「イデアルエナジー」を人々の心から吸い取っていたのである。
利用されているとも知らず、偽の父の為に奮闘する淳。そんなある時、達哉達が淳を呼び出す事態が起こる。その頃達哉達は、お互いがかつて仲の良い友だちであった事を忘れたまま、偶然再会を果たし、ペルソナ使いとしての力に覚醒していた。そしてその事に気付いたフィレモンから、自分達の未来に破滅が待ち構えている事実を教えられ、あまりにも非現実過ぎる状況に混乱している最中であった。すると、そんな状況をどうにかする為に、ギンコが「ジョーカー様」をやる事を提案。噂通りにジョーカーが出てきたら、今起きた非現実は夢ではなく本当の出来事だったという証明になる、というギンコの考えに乗り、達哉達はジョーカー様を行う事になったのである。
恨みを晴らすチャンスだと思った淳は、ジョーカーの力を使い達哉達を殺そうとする。だが、達哉達が当時の事を何も覚えていないと知り、絶望する。ショックを受けた淳は「こんな状態での復讐には意味がない」と彼らを殺すのをやめる。そして達哉達に、復讐の為に悪魔を差し向ける事を告げ、「自分達のしでかした『罪』を思い出せ」と言い残して、その場を去っていくのだった。
拡大していく人類破滅計画
その後、達哉達はジョーカー(淳)と自分達の間にある因縁を知る為に動き出す。その最中に、新たに天野舞耶(あまの まや)と黛ゆきの(まゆずみ ゆきの)、2人のペルソナ使いも仲間にし、ジョーカーが率いる仮面党、そしてジョーカーから「復讐」として差し向けられる悪魔と戦いながら、ジョーカーの後を追いかけていく。結果、達哉達はジョーカーの正体を知ると共に、淳の事や、自分達の関係を思い出す。さらに「お姉ちゃん」が、一緒に戦っている舞耶である事も発覚する。実は、放火事件によって「お姉ちゃん」は亡くなっていると思っていた達哉達は、「お姉ちゃん」である舞耶が生きていた事に驚きながらも、彼女が生きていた事実に喜ぶ。そして彼等は、淳が何か勘違いをしている事に気づき、その目を覚まさせる為に、淳のもとへと向かう。その頃、淳も、心の奥底では薄々と自分の記憶のおかしさに気づき始めていたが、それを認める事が出来ずにいた。そんな時、偽の父ことニャルラトホテプから「イン・ラケチ」を受け取った淳は、珠閒瑠市内の出版社で発行し、その書籍の存在を市内に広める。「イン・ラケチ」は明成による夢想事が書かれた本であったが、「噂が現実と化す街」となっていた珠閒瑠市内に広がり、話題の作品となる事で、その内容は実現してしまう。結果、「イン・ラケチ」に記載されていた、ナチス・ドイツの政治家アドルフ・ヒトラーの残党「ラストバタリオン」が現実世界に生まれてしまう。達哉達は仮面党に加え、ラストバタリオンとの戦闘も行いながら、ジョーカーのもとへ向かう事になる。
父から授かった「イン・ラケチ」がどんどんと現実化していく事に喜ぶ淳。だが、やはり心の底では「こんなのは望んでいない」と思い悩んでいた。だがニャルラトホテプの強大な力により、その思いは淳の心の奥底に追いやられてしまう。達哉達は、淳がいるダンジョン「カラコル」を巡る事で、ダンジョン内に隠されていた部屋で目にした少年時代の淳の幻影から、淳が今の自分に苦しんでいると知る。淳の本音を知った彼等は、淳を助ける為にカラコルの最奥に居る淳のところへ向かう。辿り着いた先には、淳ことジョーカーだけではなく、噂で生き返ったヒトラーとラストバタリオン達もいた。一触触発の空気が場に漂う中、淳は世界の破滅に大きく関わる事になる巨大宇宙船「シバルバー」を起動。珠閒瑠市ごと、空へと浮上させる。ラストバタリオン達はシバルバーを手に入れようとシバルバーの中枢へ向かってしまう。淳は、シバルバーに彼らの手に渡らせないように、自分の部下に命じる。そうして、自分自身は長年の恨みを晴らすべく、達哉達への攻撃を開始する。だが激闘の末、淳は達哉達に敗れる。その瞬間、ニャルラトホテプの力から解き放たれた淳は、達哉達に関する自分の記憶が間違っていた事に気づく。そして達哉達と和解しようとした瞬間、明成の姿をしたニャルラトホテプが淳の前に現れる。淳が明成を除く全てを思い出し、自分の思い通りにはならなくなってしまった事を察したニャルラトホテプは、淳からジョーカーとしての力を奪い取り、ジョーカーの代わりに仮面党を率いる形で、淳と達哉達の前から姿を消してしまう。
待ち受けていた悲しい結末
ニャルラトホテプが去った後、淳は自分がしてきた事の罪滅ぼしをする為、達哉達と共にニャルラトホテプの策略を止める事を決意する。そこで達哉達の仲間であったゆきのからペルソナ能力を譲り受け、ペルソナ・ヘルメスを手にする。戦う力を手にした淳は、まずはシバルバーをどうにかする為、そのもととなるエネルギーを解放しようと達哉達に提案する。シバルバーは、淳がこれまで集めてきたイデアルエナジーをもとに動いていた。イデアルエナジーは4つの水晶髑髏にしまいこまれ、それぞれ別々の神殿に置いてある事を達哉達に告げる淳。達哉達は淳の提案にのり、水晶髑髏がある神殿へと向かう。
だがそれぞれの神殿には、達哉・ギンコ・ミッシェルの心の闇から生まれた「シャドウ」がおり、達哉達の行く手を阻んでくる。達哉達3人は自分の心の闇と向き合い、シャドウの言葉を跳ね除け、仲間達と共にシャドウを撃退させる。なんとか無事に全ての水晶髑髏を解放する事に成功した淳達は、シバルバーそのものをどうにかする為、シバルバーの中枢へ訪れる。だがそこで淳達を待っていたのは、「人の思考」が現実化するというシバルバーの仕組みだった。道が長いと思えば道が長くなり、罠があると用心すれば罠が生まれる、という不可思議な仕組みで作られたシバルバーは、特に人の「恐怖」に対する思考に大きく影響を及ぼされるようになっており、淳はそこで自分の「恐怖」から生まれた母親を模した敵「メタル・マム」と対面する事になる。メタル・マムに「うっとうしい子」、「消えてしまえばいい」と言われた淳は、その言葉に対する恐怖からか本当に身体が消えそうになる。だが達哉達が彼女を倒し、淳を励ました事でなんとか元の淳に戻る事に成功する。同時にその瞬間淳は、ずっと父だと思っていた相手が偽物であった事を思い出し、ニャルラトホテプの野望を食い止める事を改めて強く決心する。
メタル・マム撃退後もシバルバーの中枢を目指して進む達哉達。「人の思考」に左右されるシバルバーの中には、「イン・ラケチ」に記載されていたコールドスリープ中の宇宙人ボロンティックや、ヒトラー達ラストバタリオンがおり、達哉達の行く手を阻んできた。達哉達は彼らを撃退しながら、なんとかシバルバーの奥へ向かう。達哉達が来るのを待っていたニャルラトホテプは、彼等がシバルバーの奥にまでやってくると、彼等を消し去る為に戦闘を開始する。
激闘の末、ニャルラトホテプは達哉達に敗北してしまう。だがニャルラトホテプは、達哉達の力が自分の予想以上だった事から、もしかしたら彼等が自分とフィレモンの議論に何か変化を生み出すのではないかと考え、彼等の力に感心するような賛辞を述べる。その事に驚く達哉達。するとそこへフィレモンが現れ、ニャルラトホテプがなぜこのような事態を引き起こしたのかという説明を始める。だがその説明が終わった直後、そこへ突然、イデアルが現れる。イデアルは七姉妹学園の教師であり、かつて明成と共に「イン・ラケチ」を作った人物だった。イデアルの手には「イン・ラケチ」によって、アンチ・ペルソナ能力を身にまとった聖槍が握られており、「イン・ラケチ」に記載されていた世界の滅びの予言を現実化させようと、それを使ってペルソナ使いである舞耶の胸を貫く。舞耶はその身体を支えようと手を伸ばした達哉の腕の中で亡くなってしまう。その絶望的な光景を前にしたニャルラトホテプは、やはり「人が完全なる存在」になる事はできないと考えた自分の方が正しかったのだと思い、最後に珠閒瑠市以外の世界を全て滅亡させ、「お前達は一つ大きな事を学んだ」「どうにもできない事もあるという世の中の理だ」と笑いながら、その場を去っていく。
だがニャルラトホテプが去った後、とある事態が起こる。彼が人類破滅を目論んだこの「世界」がリセットされ、今までの出来事が全てなくなってしまったのだ。実はそれは、達哉達が起こしたものだった。舞耶を死なせてしまった事に絶望していた達哉達は、そこでフィレモンから、舞耶を救う方法として、彼等の出会いをなかった事にするという提案をされる。そもそも今回の事件は、達哉達が出会った時の出来事を起点に起きていた為、それをなくしてしまえば、今までの出来事全てが破綻し、起きなかった事になるというのである。だがそれを選べば、達哉達が共に仲間として、戦ってきた思い出もなくなってしまい、今度こそ本当の本当になんの関係もない他人になってしまう。それでも達哉達は舞耶を救う為、世界をリセットし、自分達の出会いをなかった事にする道を選ぶ。そうして、フィレモンの力を使って、彼等はニャルラトホテプの目論見によって破綻してしまったこの世界をなかった事にしたのだった。
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目次 - Contents
- ニャルラトホテプの概要
- ニャルラトホテプのプロフィール・人物像
- ニャルラトホテプの能力
- グレートファーザー
- ファイアストーム
- メギドラオン
- 失意の悪夢
- 大地の怒り
- シールズブレイド
- ハイプレッシャー
- 追憶の波動
- 旋風陣
- 迷妄のチャネリング
- フィアトレント
- マスター18
- 月に吼えるもの
- メギドラオン
- 不滅の黒
- 拡散閃影殺
- ガードパニッシュ
- オメガクラスタ
- ニャルラトホテプ
- カオスエレメント
- 刻の車輪
- 這いよる混沌
- 拡散閃影殺
- 運命の車輪
- 泡沫の波紋
- ニャルラトホテプの来歴・活躍
- 『ペルソナ2 罪』
- 「人類のネガティブマインド」を具現化した存在として誕生したニャルラトホテプ
- ニャルラトホテプによる人類破滅計画の始まり
- 拡大していく人類破滅計画
- 待ち受けていた悲しい結末
- 『ペルソナ2 罰』
- 再び人類破滅計画を開始するニャルラトホテプ
- ニャルラトホテプの行動が導き出してしまった皮肉な結末
- ニャルラトホテプの関連人物・キャラクター
- フィレモン
- 周防達哉(すおう たつや)/P2罪主人公
- 天野舞耶(あまの まや)/P2罰主人公
- 黒須淳(くろす じゅん)
- ギンコ/リサ・シルバーマン
- ミッシェル/三科栄吉(みしな えいきち)
- 黛ゆきの(まゆずみ ゆきの)
- 周防克哉(すおう かつや)
- 芹沢うらら(せりざわ うらら)
- パオフゥ/嵯峨薫(さが かおる)
- アドルフ・ヒトラー/フューラー
- 須藤竜蔵(すどう りゅうぞう)
- ニャルラトホテプの名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「お前達は、一つ大きな事を学んだぞ。どうにもできない事もあるという、世の理をだ!」
- 「生に意味などないと知るがいい!答えなど、どこにもないと泣くがいい!ゆえに闇があり影がある!私は、お前たち人間そのものだ!」
- 「だが…憶えておけ…!宇宙の中心で蠢く白痴の塊とは、貴様ら自身だということを…!!貴様らある限り…私は消せんっ…!!」
- ニャルラトホテプの裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 『ペルソナ2』のニャルラトホテプはあくまでも「クトゥルフ神話」とは別物
- 前作『女神異聞録ペルソナ』のボスキャラクターとしても登場していたニャルラトホテプ