ドラクエのルーツが垣間見える『堀井ミステリー三部作』

堀井雄二氏が制作した『堀井ミステリー三部作』の紹介。
RPGとはまったく違うアドベンチャーゲームですが、後のドラクエに繋がっている事が分かります。

堀井雄二氏が手がけたアドベンチャー(ADV)ゲーム

『ドラゴンクエスト』シリーズの生みの親として有名な堀井雄二氏ですが、かつてはアドベンチャーゲームも作っていた事をご存知でしょうか。
堀井氏の堀井節と呼ばれる文章センスはライター経験で培われたものであり、当初は文章が中心のアドベンチャーゲームも制作しています。
以下の3タイトルは堀井ミステリー3部作と呼ばれています。

ポートピア連続殺人事件

ADVゲームの黎明期において宝探しもの、冒険もののゲームが主流な中、ミステリーをテーマとしたADVゲームとして発売された

出典: www26.atwiki.jp

システムは当時一般的だったコマンド入力式。ただし、英語入力のゲームも少なくなかった当時での日本語入力となっている。
(中略)
コマンド自体は比較的少なく、コマンド入力式にありがちな言葉探しはそう手間がかかるものでもなかった。またよく使われる用語はファンクションキーに割り当てられているため、コマンド入力をある程度省く事ができた。

出典: www26.atwiki.jp

堀井ミステリー三部作の第1作。 探索ADVものが多かった当時に登場した推理ADVです。

実は、本来なら世に出る事がなかったかもしれない作品です。 当初はRPG(後のドラゴンクエスト)を制作する計画でしたが、プロデューサーの千田が「アクションゲームしか知らない子供たちに、いきなりRPGをやらせるのは敷居が高過ぎる」と予想し、まずはコマンド形式のゲームに慣れてもらう為に本作が作られました。 探索ADV中心の時代に推理ADVを出したのはこれが理由です。

ミステリーがゲームで楽しめるという方向性は新鮮なものであり、またコマンド入力式を可能な限り簡単にしようとするなど、この頃からゲーマーが遊びやすくなるよう工夫されています。

北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ

コマンド選択式を初めて導入したADV。
本作はコマンド選択性を採用する事により、ADV本来のゲーム性とは関係ない言葉探しを排除した。これによりプレイテンポは格段に良くなり、プレイヤーはよりストーリーや謎解きに集中する事ができるようになったのだ。

出典: www26.atwiki.jp

ストーリーとしては非常に良く練りこまれている。所々無駄な情報があるかのようで、実はそれが後への伏線だったりと、なかなか考えさせられる。さらには一連の事件に潜む暗い物語。昭和という雰囲気がよく出ている。

出典: www26.atwiki.jp

昔のアドベンチャーゲームは”コマンド入力式”というシステムでした。 これは選択式と違い、自分で何をするかをキーボードで入力する方式です。 当然、TRPGなどと違って、入力された言葉全てが対応している訳ではありません。 正しい言葉が分からず先に進めなくなるという問題も起きていました。

こういった問題を解決する為、コマンド選択方式が発案され、これ以降アドベンチャーゲームのシステムは大きく変わっていきました。 (前作『ポートピア連続殺人事件』も元々はコマンド入力型でしたが、本作を受けてコマンド選択式に変更したという経緯があります)

コマンド選択式のおかげでテンポがよく進む上、堀井氏らしいお遊び的な選択肢も多い所がポイント。 ストーリーもうまく出来ており、関連性の見えない事件が次々と起こり、それらがやがて一つへと収束していく様はプレイしていて事件の盛り上がりを感じさせます。

軽井沢誘拐案内

サスペンスを主題としつつ、刑事を主人公にした殺人事件の調査がテーマではなく、誘拐事件に巻き込まれた一般人である主人公とその恋人を操作して行方不明になった恋人の妹を探し出す。
RPG風のゲームシステムを取り入れた実験的なシステムやコメディ要素が含まれており、世界観そのものの雰囲気も含め、前二作と比較してかなり異色な作風になっている。

出典: www26.atwiki.jp

これまでの作品のような地名を選択して移動する形式ではなく、RPGのスクロールマップの様な画面で移動をするという形式となっている。
従来のように地名を選択して移動する事も可能。
特に後半戦はどういうわけかRPG要素が更に強まり、「スタミナ」「ストレングス」「ディフェンス」 *1 といったステータスや敵との戦闘シーンまでが追加され、もはやRPGといっても遜色がない程。更にヒロインの2人が援護攻撃を行ってくれるようになっている。
本作の発売は初代ドラゴンクエストの前年であるため、発売前段階の実験的な色合いもあったのかもしれない。

出典: www26.atwiki.jp

ドラクエ開発に向けての最終実験的な作品です。 引用にあるとおり、RPG要素が多く組み込まれています。
シナリオもコメディチックであり、お色気シーンの多さも特徴です。 一昔前のサスペンスドラマにあったような濡れ場やパンチラなどのアダルトなシーンがかなり多く収録されています。

ドラクエのルーツが垣間見える『堀井ミステリー三部作』

ドラクエが開発される前に作られたアドベンチャーゲーム3本。 こうして見ると、後のドラクエ開発につながっている事が分かります。 ゲーム面は文章が中心という事で、堀井氏の文章センスが楽しめるかと思います。

現在は携帯アプリ版が『ポートピア』『オホーツク』と共にプレイ可能で、性的な表現は大人しめになっています。未経験のユーザーは挑戦してみてはいかがでしょうか。

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