【進撃の巨人】ベルトルト「僕のために生きてよ、ユミル」【厳選名作SS】

進撃の巨人の厳選名作SSを掲載しています。今回のメインキャラクターはベルトルトとユミル。2人がだらだらと様々な会話をするだけのSSです。カップリング要素がありますのでご注意ください。

121: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/01(木) 22:36:31 ID:TjoywSYQ

ユミル「今まで通り芋でいいだろ芋で」

ベルトルト「芋と魚の組み合わせには飽きてきた」

ユミル「我儘め」

ベルトルト「米か麦を強く希望します」

ユミル「考えておく。今日はとりあえず小麦粉買って帰るか」

ベルトルト「服も買い足しておきたいな。肌着足りないんだろ?」

ユミル「あー、香辛料も切れかかってる」

ベルトルト「昼間の内に買っていこうか」

ユミル「ああ。金ならあるし」

ベルトルト「……テングサって、凄いね」

ユミル「冗談半分で市に出したら予想外に売れたな」

ベルトルト「自給自足回避。やったね」

ユミル「なんとも言い難いあの食感」

ベルトルト「海産物という珍しさ」

ユミル「食べられるようになるまで面倒なのになあ」

123: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/01(木) 22:37:44 ID:TjoywSYQ

ベルトルト「社会の歯車から解放されたと思ったのはたった一瞬」

ユミル「現金無きゃやってけないだろ」

ベルトルト「テングサブームが下火になったら乾物を売り出そう」

ユミル「生産者生活にも慣れてきたなあ」

ベルトルト「最近サシャたちと話が合うようになってきたんだ」

ユミル「それはちょっと危ない」

ベルトルト「海には真っ先に塩を狙うに商会が来ると思ったんだけど」

ユミル「家の近くの海にはベルトルさんがいる噂が立ってるから来ないんだろ」

ベルトルト「こんなに大人しい巨人になんてことを言うんだ」

ユミル「大人しいの概念が私とベルトルさんでは違うみたいだ」

ベルトルト「夜だって大人しいよ」

ユミル「借りてきた狼みたいだな」

ベルトルト「ユミルったらこんな街中で大胆」

ユミル「頬を赤らめるなよ」

ベルトルト「思春期は継続中なんだよ」

124: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/01(木) 22:39:12 ID:TjoywSYQ

ユミル「とりあえず買い物行くぞ」

ベルトルト「ねえユミル、お腹空いてない?」

ユミル「空いてない」

ベルトルト「僕はお腹が空いた」

ユミル「さっきからずっとベルトルさんが見つめいる屋台以外で何か買おう」

ベルトルト「でも軟骨入りつくね棒が僕を呼んでいるんだ」

ユミル「食べるなら一人で食べろ」

ベルトルト「ユミルも食べようよ」

ユミル「トラウマだって言ってるだろ」

ベルトルト「美味しいのに」

ユミル「美味しさはずっと前から知っているんだよ、それでも避けたくなる理由があるんだ」

ベルトルト「好き嫌いは良くないって言うじゃないか」

ユミル「私は大人だからいい」

ベルトルト「大きくなれないよ」

ユミル「これ以上大きくなってたまるか」

126: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/01(木) 22:43:23 ID:TjoywSYQ

ベルトルト「すみません、この軟骨入りつくね棒二つー」

ユミル「あっ」

ベルトルト「トッピング?えっと、一つは月見で、もう一つははおろし梅を」

ユミル「立ち食いするのに難易度高いものを」

ベルトルト「だって君はどっちも好きだろ」

ユミル「あー、なんかベルトルさんといると調子狂う」

ベルトルト「そんな今更な」

ユミル「っと、ほら、きたぞ」

ベルトルト「はいユミル、どうぞ。あーん」

ユミル「こんな熱々なものをあーんされても。串ごと寄越せ」

ベルトルト「じゃあ月見あげるよ。半分残しておいてね。交換しよ」

ユミル「はいはい。いただきます」

ベルトルト「僕もいただきます。……あつ」

ユミル「大根こぼれそうだから気をつけろ」

ベルトルト「そうなったらひょいってしてぱくってして」

127: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/01(木) 22:44:24 ID:TjoywSYQ

ユミル「大根おろしは米粒やパンと住んでる世界が違うだろ」

ベルトルト「あっつ、美味しいけどあっついこれ」

ユミル「ちゃんと冷まさないから。……うん、美味しいわ。複雑な心境だけど」

ベルトルト「うん、美味しいね。骨軟らかいし」

ユミル「硬い骨に軟骨って名前は付けないだろうさ」

ベルトルト「君の骨は歯茎にくるんだ」

ユミル「全身軟骨まみれの女と同居したいのなら考えてやらんこともない」

ベルトルト「そう言ってこの間はタコを獲ってきたね」

ユミル「美味しかっただろ?」

ベルトルト「いくら喧嘩したからって起きたらベッドにタコはちょっと」

ユミル「誰かさんが人を家から追い出そうとするから」

ベルトルト「君は犯罪者扱いされてない。君が望めば戻れるって言っただけだよ」

ユミル「この体は人を食べた。それをあいつらには教えてやってないだけ」

ベルトルト「軟骨入りつくね棒の気分で?」

ユミル「ああ。あんたと私は一緒だ、ベルトルさん」

128: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/01(木) 22:46:16 ID:TjoywSYQ

ベルトルト「君って人は!君って人は!!」

ユミル「食べ物を振るな行儀が悪い。大根おろしと梅が吹っ飛んだ」

ベルトルト「もう!大好き!」

ユミル「はいはいどうも」

ベルトルト「軟骨入りつくね棒よりも君の方が美味しいよ」

ユミル「それは食事的な意味だよな?他意は無いよな?」

ベルトルト「聞きたい?」

ユミル「家に帰ってからにしよう」

ベルトルト「ねえユミル、僕は気付いたことがある」

ユミル「何だ?」

ベルトルト「君があの家に帰るって言うとき、僕はとっても嬉しくなるんだ」

ユミル「……そうか」

ベルトルト「それともう一つ。おろし梅全部食べちゃった」

ユミル「途中からただの軟骨入りつくね棒になってたけど」

ベルトルト「それは君が興奮させるから」

129: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/01(木) 22:46:26 ID:TjoywSYQ

ユミル「なんだか理解し合えてない気がするけどいいや、そんなに食べたかったのなら私の分もやるよ」

ベルトルト「ありがとう。君は素敵な人だ」

ユミル「これ食べ終わったら買い物して酒飲んで帰って寝るか」

ベルトルト「デートみたいだね」

ユミル「最初は同期会のはずだったんだけどなあ」

ベルトルト「酔った頭でちゃんと壁は超えられるかな」

ユミル「上りさえいけたなら、下りはアルミンが用意してくれた避難装置で楽勝だ」

ベルトルト「人が壁の外に出ることを避難って呼ぶ日が来るなんて」

ユミル「世界は変わっていくものだ」

ベルトルト「超大型巨人はテングサの商売を始めるし」

ユミル「私には苗字が出来てしまったし」

ベルトルト「アルミンは敬語を使わなくなってくれたし」

ユミル「変わるもんだなあ」

ベルトルト「君の一番は僕になったし」

ユミル「自意識過剰め」

130: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/01(木) 22:49:00 ID:TjoywSYQ

ベルトルト「え、違うの?」

ユミル「否定はしない。肯定もしない」

ベルトルト「そっか。えへへ」

ユミル「クリスタが言うと可愛いけどベルトルさんが言うと…なんか……」

ベルトルト「そんな目で僕を見ないでよ傷つく」

ユミル「おーよしよし」

ベルトルト「気持ちがこもってない」

ユミル「込めてないから」

ベルトルト「つんけんするのが君の愛情表現だと知らなかったときの僕なら泣いてたよ」

ユミル「お前はクリスタと自分の扱いの差を一度比べてみろ」

ベルトルト「美少女になったらもっと甘やかしてくれるってこと?」

ユミル「一回医者に行け」

ベルトルト「大丈夫だよ、僕怪我しても治っちゃう」

ユミル「今ばかりはその体質が恨めしい。この超大型巨人め」

ベルトルト「痛い。ローキック痛い。一撃が鋭い。痛い」

131: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/01(木) 22:51:22 ID:TjoywSYQ

ユミル「食べ終わったな?」

ベルトルト「うん。君は律儀に半分残してくれたんだね」

ユミル「頼んだ本人がそういうこと言うな」

ベルトルト「君は僕のことが好きなんだなあって」

ユミル「嫌いな人間と住むほど自虐的な趣味はしてない」

ベルトルト「知ってるよ」

ユミル「ならいいんだ」

ベルトルト「次にここに来たときは、みんなと会えるといいね」

ユミル「次はクリスタ重視でスケジュールを組もう」

ベルトルト「クリスタを大好きな君を愛している僕は、クリスタも好きなことになるのかな」

ベルトルト「あれ、ユミルの顔も真っ赤…ちょ、うなじはやめて、まじやめて!!」

ユミル「相変わらず恥ずかしい男だなベルトルさんは。ほら、行くぞ」

ベルトルト「ねえねえユミル、顔まだ赤いよ」

ユミル「気が変わった置いて行く」

ベルトルト「君はそうしないし、万一そうなったらどこまでも追いかけるよ」

132: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/01(木) 22:59:20 ID:TjoywSYQ

ユミル「ベルトルさんの愛は重いなあ」

ベルトルト「体格差1.1倍から最大で4倍の僕に勝てるかな?」

ユミル「私も最大化しなくちゃいけないんだなその計算だと」

ベルトルト「君が1.7mのままだと潰しちゃうかもしれないし」

ユミル「しかし思い出してみると状態のベルトルさんは意外とスローペースだったような」

ベルトルト「本気出したら早いし」

ユミル「ここで本気を出されたら困るから、今のところは腕でも組むか」

ベルトルト「君と一緒で良かった」

ユミル「何も泣くことはないだろ」

ベルトルト「まだ泣いてない。雫が頬を伝うまではノーカン」

ユミル「懐かしいことを言ってきて」

ベルトルト「鼻水も出てないし」

ユミル「今の私はどうにかなってしまったらしくて、鼻水でも拭いてやれるけど」

ユミル「ひとまずは涙目で視界がぼやけてそうなベルトルさんを引っ張っていってやることにするよ」

133: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/01(木) 23:05:40 ID:TjoywSYQ

おまけの話一つ目終わり
軟骨入りつくね棒は美味しい

139: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/06(火) 00:46:59 ID:8z0880tA

おまけ2

癖になるから気を付けてと医務官に言われたのが遠い昔に思える。

何がきっかけかはわからない。夜中に起きた僕は泣いていた。

ぼたぼたと布団に涙が落ちては滲みる。辛い。苦しい。消えてしまいたい。

必死に息を吸って、吸って、吸って、まだ足りない。気付いたときには酸素過剰になっていた。

「っは、ぁ、あっ」

ベッド横に用意してあった紙袋を掴もうとしたら勢い余って落下した。

鈍い音からノータイムで扉の開く音。足しか見えないけどミカサが入ってきたとわかる。

「ユミルを呼ぶ。待ってて」

「まっ、て」

止める間もなく彼女は部屋を飛び出す。数十秒後には寝ていたはずのユミルが連れてこられるのだろう。

足音がだんだん鈍く聞こえるようになる。視界に白いもやがかかる。気持ち悪い。

こんなに苦しいのに死ねないなんてあり得ないだろ。神様って奴はなんて酷いんだ。

140: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/06(火) 00:48:06 ID:8z0880tA

「連れてきた」

土下座に近い形で床に座り込んでいる僕の隣に、ミカサに連れられたユミルが座った。

「落ち着いたら教えて。部屋の外にいる」

替え刃同士が当たって生まれる金属音と共にミカサは廊下へ向かう。

扉が閉じる音を確認してから僕はユミルに抱き着いた。

これからすることはミカサだって知っているのに、必要の無いプライドはまだ残っているらしい。

「落ち着いて、ちゃんと息を吐いて。ベルトルさんなら出来るだろ?」

ユミルの手が僕の背を撫ぜる。ゆっくりとした動きに合わせるように息を吐いてもすぐに肺は空気を求める。

「……紙袋を使うよりも私を呼べよ」

床に転げ落ちた紙袋を見つけたのだろう。ユミルの声が少しだけ低くなる。

「だっ、て、ゆみう、寝てる、っ」

「ミカサなんて容赦なく起こすぞ」

少しだけ笑って、ユミルはまた僕の背中を撫でてくれる。

過呼吸を起こす度にミカサ経由でユミルを叩き起こすわけにはいかない。

だから自分でどうにかしなきゃいけないのに、どうやら二酸化炭素は僕のことが嫌いのようだ。

141: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/06(火) 00:49:24 ID:8z0880tA

「ベルトルさんは仕方ないな」

背中に当てられていた手が僕の後頭部を支えるように掴む。

床と見詰め合っていたはずなのに、今は目の前にユミルの顔があった。

反射的に目を閉じる。それでも彼女の顔がもっと近づいてくるのがわかった。

「……んっ」

僕の唇にやわらかいものが触れる。舌が口腔に侵入するのはたった一瞬。

「ふぁ、あ」

意味のない言葉が僕の口から漏れる。それを押し出すように生温い空気が入ってくる。

何度も繰り返してきたことだ。僕は彼女の吐いた息を受け入れて飲み込む。

「上手になった」

これが直接の治療にはならないと、ユミルも僕も知っている。

それでも僕の呼吸が落ち着くのは本当だからやめるわけにはいかない。

ぼやけていた視界がだんだんとクリアになる。ユミルの顔はいつかと同じ様に僕の涙で濡れていた。

「治まったか」

「うん、もう大丈夫」

142: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/06(火) 00:50:54 ID:8z0880tA

ユミル「ミカサ、終わった」

ミカサ「わかった。じゃあ戻ろう」

ベルトルト「僕が言えることじゃないけど、ミカサはいつ寝てるの?」

ミカサ「昼に。ちゃんと休んでいるので気にしなくていい」

ミカサ「顔色がサシャがうっかり腐らせてしまった備蓄の肉のよう」

ベルトルト「ミカサ、その表現は辛いものがある」

ミカサ「なら骨付き肉に変更しようか」

ユミル「戦闘力の10分の1くらいを言語力に振っておけよ」

ミカサ「善処する。私には足りないことがまだまだあるみたい」

ベルトルト「戦闘能力が高すぎるんだ」

ミカサ「あなたを紙袋で殺しかけたのもそのせいだろうか」

ユミル「ああ、ペーパーバッグはお前じゃなくても殺せるから大丈夫だ」

ベルトルト「僕の命は大丈夫じゃなかったよ。走馬灯が12歳くらいまで見えた」

ミカサ「次からは5歳くらいで止めるように気を付ける」

ユミル「ぜひそうしてやってくれ」

143: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/06(火) 00:51:29 ID:8z0880tA

ミカサ「呼吸しているのに酸欠になるなんて不思議な気分」

ユミル「空気と酸素はイコールじゃないからだ。袋の中に酸素が無ければ酸欠になる」

ベルトルト「僕の口に紙袋を押し当てたまま動かないからミカサは僕を遂に殺すのかと思った」

ミカサ「座学のときああしろと教わった」

ユミル「適度に調節できるならいいけどな、お前は0か1かの人間だから」

ベルトルト「僕のためにやってくれてるからありがたいことはありがたいんだけど」

ミカサ「ペーパーバッグが危険なものなら、やはりユミルを呼んだ方がいい」

ミカサ「それに今日は紙袋を拾おうとしてベッドから落ちたようだし」

ユミル「へぇ。それは初耳だなあベルトルさん」

ベルトルト「今日はたまたまだよ、毎回ユミルを起こすわけにはいかないし」

ミカサ「ユミルを起こすのは私だから問題ないと思う」

ベルトルト「いや、うん。そうなんだけどそうじゃなくってね」

ユミル「隣の部屋で監視されてるのはベルトルさんの過呼吸の都合もあるんだ」

ミカサ「その通り。だから気にしなくていい」

145: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/06(火) 00:52:37 ID:8z0880tA

ベルトルト「でも情けないじゃないか。毎回どうしてるかミカサも知ってるだろ?」

ミカサ「もちろん。最初の5回くらいは同じ部屋にいて見ていたから」

ユミル「そういう趣味があったなんてなあ」

ミカサ「ベルトルトへの信頼度がマイナスだっただけ」

ミカサ「今は気を使って室外に出るくらいには信頼している」

ベルトルト「その割に右手はずっと剣の柄にかかっているよね」

ミカサ「今の体調なら万が一の時も右手だけで沈める自信がある」

ユミル「ドアを取っ払っていつもブレードを握っていた時期よりはいいだろ」

ベルトルト「うん。そうだね」

ミカサ「プライバシーというものを尊重してみた」

ベルトルト「ミカサは僕のことが嫌いなのか好きなのかよくわからないよ」

ミカサ「私もよくわかっていないから大丈夫」

ユミル「ちょっと威張る感じで言うセリフじゃねーぞミカサ」

ミカサ「好き嫌いといった自分の感情よりもエレンとアルミンの方が大切だから」

ベルトルト「待って、急に話を重くしないで」

146: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/06(火) 00:53:30 ID:8z0880tA

ミカサ「だから今はそれ以上の考えを持つことが出来ない」

ユミル「あっはっは!ベルトルさんが振られたみたいになってる!」

ベルトルト「ユミル、やめて。僕泣きそう」

ミカサ「ベルトルトに抱くのも好きとか嫌いとか、そういったものとは違う気持ち」

ユミル「てっきりお前はエレンが好きなんだと思っていたよ」

ミカサ「家族としてなら。でもアルミンは家族じゃないけど好き。私にはこの違いがわからない」

ベルトルト「難しいよね。わかるよ」

ミカサ「サシャには牛肉だけどロースやサーロインのように名称が変わることと同じだと言われた」

ユミル「余計ややこしくなるから忘れろ」

ミカサ「私はサガリが好き」

ベルトルト「僕は鶏肉の方が好きだな」

ユミル「この話続けるなら私は帰るぞ」

ベルトルト「話題に関わらず君は寝た方がいいよ。起こしてごめんね」

ユミル「気にするな。じゃあおやすみ」

ミカサ「おやすみなさい、ユミル」

147: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/06(火) 00:54:40 ID:8z0880tA

ベルトルト「……ミカサ、さっきの話なんだけど」

ミカサ「鶏肉?」

ベルトルト「もうちょっと戻って」

ミカサ「走馬灯?」

ベルトルト「戻りすぎだよ。好きとか嫌いとかって話ね」

ミカサ「私はこの話を上手に出来ない。ユミルを呼ぶ?」

ベルトルト「ユミルについてのことをユミルの前でするってとんだ羞恥プレイだよ」

ミカサ「なら呼ばない」

ベルトルト「良かった」

ミカサ「それで、ベルトルトはユミルが好きなの?」

ベルトルト「この子ったらいきなり剛速球を投げてきた」

ミカサ「表現力に欠けがあっても話の流れくらいは読める」

ベルトルト「うん。僕はきっとユミルが好きなんだ。大切なものの中に入っている」

ミカサ「大切なものがあるのは良いこと。人類的にも都合がいい」

ベルトルト「本音をぶっちゃけたね」

148: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/06(火) 00:56:05 ID:8z0880tA

ミカサ「それで何が問題なの?好きならそう言えばいい」

ベルトルト「人殺しの化け物が人並みの幸せを手に入れようだなんてどうかと思うんだ」

ベルトルト「ユミルが一緒にいるときに感じる楽しさを享受する権利は僕にはないのかもしれない」

ミカサ「誰かがそう言った?」

ベルトルト「寝ていたり、ぼーっとしているときに頭の中で罵倒する声が聞こえる」

ミカサ「あなたは医師にかかる必要があるけど、他に問題はない」

ミカサ「ユミルに拒否されない限りは好きにしていいと思う」

ベルトルト「拒否されることも怖いし、今までの大切なものが無くなってしまうことも怖い」

ミカサ「そう言い訳して、キスだけする関係は正直不潔」

ベルトルト「もっと罵ってくれて構わない」

ミカサ「私に…加虐趣味はない……」

ベルトルト「違うんだミカサ、そうじゃなくて」

ミカサ「大切なものはたくさんあっていいし、ユミルは私と違って優しいからきっと受け入れてくれる」

ベルトルト「それは君が人間だからだよ」

149: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/06(火) 00:57:25 ID:8z0880tA

ミカサ「私はあなたとライナーを定期的に削いできた」

ベルトルト「もうちょっと優しいやり方の模索をお願いしたかったな」

ミカサ「だから知っている。あなたは人間と同じ様に血が噴き出る」

ベルトルト「巨人の体でも血は出るよ」

ミカサ「……それを言われると困ってしまう」

ベルトルト「ごめんねミカサ、意地悪なことを言ってしまった」

ミカサ「ユミルー!」

ベルトルト「えっちょっ」

ユミル「なんだよ。もう半分以上寝てたぞ」

ベルトルト「来るの早いね」

ユミル「隣の部屋だからな。で、どうしたミカサ」

ミカサ「ベルトルトがあなたに話があるらしい。けれど私は睡魔に負けてしまう予定なので仮眠する」

ユミル「お前溌溂と喋ってるじゃないか」

ミカサ「突発性の睡魔だから。では失礼する」

ユミル「……なんだったんだ?」

150: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/06(火) 00:59:32 ID:8z0880tA

ベルトルト「僕に発破を掛けたついでに谷底へ突き落したんだ」

ユミル「肉の部位で盛り上がってたんじゃないのかよ」

ベルトルト「一瞬だけ走馬灯と肉の話も出来たんだ、ほんのちょっとね」

ベルトルト「……あの、ね。驚かないで聞いてほしいんだけど」

ユミル「ベルトルさんが今にも死にそうな表情をしてるからとっくに驚いてるよ」

ベルトルト「僕は君が好きです」

ユミル「え、知ってた」

ベルトルト「は?」

ユミル「いつだったかの過呼吸の後に呻きながらユミル大好きーってさ」

ベルトルト「僕は過去の僕に負けたってこと?体中の血液が逆流しそうなくらい緊張したのに!」

ベルトルト「ミカサ、ちょっと首削いで!人生やり直してくる!!」

ミカサ「私は寝ている。ぐーぐー」

ベルトルト「この世界は残酷だ……」

ミカサ「人の台詞を盗らないでもらいたい」

ユミル「お前ら扉越しに楽しそうだな」

151: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/06(火) 01:00:44 ID:8z0880tA

ベルトルト「あーもー!とにかく君が好きです!」

ユミル「だから知ってるって」

ベルトルト「君が僕の好きな人であるように、君も僕を好きになってほしい!」

ユミル「私は結構ベルトルさんのことが好きだぞ。知らなかったのか?」

ベルトルト「し、知らなかった」

ユミル「好きじゃない男に何度もキスをする趣味は無いさ。紙袋でも渡してるよ」

ベルトルト「幸せすぎて死んでしまいそうだ」

ミカサ「それは困る。あなたにも人類の安寧のために戦ってもら……あっ、ぐーぐー」

ユミル「ミカサ、慣れないことしなくていいぞ。やりにくいから部屋入れ」

ミカサ「でも妹か弟が欲しければ寝室には入ってはいけないって言われてきたから」

ベルトルト「今はその場面じゃないから大丈夫だよミカサ」

ミカサ「あと、眠い」

ユミル「少しくらい寝ておけ。その間にベルトルさんが暴走したら私が噛み殺しておく」

ベルトルト「そんなことしないよ。出来ないよ。僕は世界で一番幸せな人間だ」

ユミル「そうだな。ベルトルさんは人間だ」

152: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/06(火) 01:01:26 ID:8z0880tA

ベルトルト「ミカサの保証付きだよ」

ユミル「安心していいのか疑えばいいのか」

ベルトルト「そして君も人間だ」

ユミル「それに関しちゃ核心を持てないんだけど、そういうことにしておこう」

ベルトルト「君は僕のために生きてくれるって言ったよね」

ユミル「条件付きだけどな」

ベルトルト「なら僕は君のために生きるよ、条件無しで」

ユミル「私が心の狭い人間に聞こえるじゃないか」

ベルトルト「ユミルはそれでいいんだ。僕の頑張る糧になるし」

ユミル「じゃあそうしておこう」

ベルトルト「明日からは大人しく眠れる気がする」

ユミル「良かったな。ミカサの仕事が減る」

ベルトルト「だけどたまには夜に会いたいな」

ユミル「そんなのはベルトルさんが大団円を見せてくれた後にいくらでも出来るだろ」

ベルトルト「そうだったね。うん、楽しみだ」

153: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/06(火) 01:03:17 ID:8z0880tA

おまけの話二つ目終わり
あまりだらだらと続けるのもどうかと思うので次ぐらいでちゃんと終わらせる

165: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/11(日) 02:24:41 ID:WUQDSSA.

おまけ3

ベルトルト「僕と君が一緒に生活するようになって結構経ったね」

ユミル「ボロボロになったベルトルさんの故郷が機能するようになるくらいには」

ベルトルト「喧嘩もしたね」

ユミル「ジェネレーションギャップって大きな壁だよなあ」

ベルトルト「でも最後には理解し合えてきた」

ユミル「他人と暮らすってそういう過程が必要だろ」

ベルトルト「喧嘩の後にクリスタのとこに3週間近く行っていたときは寂しかった」

ユミル「話さなきゃいけないことが沢山あったんだ」

ベルトルト「訓練兵のときに女子トイレは迷宮だって学んだけど内地もそうだなんて」

ユミル「シーナまでがまず遠いだろ」

ベルトルト「僕が送っていけたら良かったのに」

ユミル「ベルトルさん、巨人化能力は運送のためにあるわけじゃない」

ベルトルト「僕の特技ってそれくらいだし」

ユミル「他にもあるさ。私は知ってる」

166: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/11(日) 02:25:48 ID:WUQDSSA.

ベルトルト「照れる」

ユミル「褒めてるから思う存分照れてくれ」

ベルトルト「自己申告するけど、僕の顔は茹でたタコみたいになってる」

ユミル「私には見えないんだ。こんなに近くにいるのに」

ベルトルト「少し動いただけで鼻がぶつかるくらいなのにね」

ユミル「今日は月が雲に隠れてる」

ベルトルト「ランプも消してしまったから寝室は真っ暗だ」

ユミル「ドキドキするだろ」

ベルトルト「僕の心臓は君といるだけでドキドキして壊れそうだよ」

ユミル「生命活動の一種じゃなくて?」

ベルトルト「一人でいるときよりも鼓動が速くなる」

ユミル「怯えさせるようなことは控えているつもりだけど」

ベルトルト「僕の伝えたいことと噛み合っていないのが残念だな」

ベルトルト「でもできればその努力はこれからも続けてほしい」

ユミル「わかった」

167: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/11(日) 02:26:47 ID:WUQDSSA.

ユミル「それで、だ。いくら鈍いベルトルさんでもこれから何をするかはわかるよな?」

ベルトルト「僕はそんなに鈍くないよ。少なくともエレンよりは」

ユミル「エレンは次元が違う」

ベルトルト「ミカサは大変だろうね」

ユミル「アルミンも」

ベルトルト「……言わなくちゃ駄目?」

ユミル「ベルトルさんの口から聞きたい」

ベルトルト「僕の筆おろしタイム」

ユミル「子作りしましょ」

ベルトルト「ダイレクトすぎるよユミル」

ユミル「これくらいストレートじゃないとベルトルさんは気付かないってライナーが」

ベルトルト「なんてことだ。同じ人から二度も裏切られるなんて」

ユミル「アルコールを入れたら一発だった」

ベルトルト「ちょろすぎるよライナー」

ユミル「アルコールは偉大だな」

168: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/11(日) 02:27:36 ID:WUQDSSA.

ベルトルト「もっとライナーの話をしようよ」

ユミル「逃がさないぞベルトルさん」

ベルトルト「君がホールドしているせいで僕の頭に胸が当たってるんだ」

ユミル「ベルトルさんのベルトルさんがスタンドアップするの待ち」

ベルトルト「おっぱい押し当てられて起立しないXYは不能かホモだよ」

ユミル「ベルトルさんはどっちだ?」

ベルトルト「3つ目のチキンでお願い」

ユミル「そうか」

ベルトルト「キスだけでも緊張して頭が沸騰しちゃう僕だよ」

ユミル「籍まで入れたのに」

ベルトルト「君の名前で商売するのには苗字が必要なだけでしょ?」

ユミル「それだけならクリスタのをもらっただろうよ」

ベルトルト「本当に?」

ユミル「ここで嘘をついたら私にいいことありそうか?」

ベルトルト「僕が三日三晩くらい泣き続けるくらいしかないね」

169: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/11(日) 02:28:52 ID:WUQDSSA.

ユミル「あんたは信じるとか一緒だとか言いながらもどっかで疑ってるんだ」

ベルトルト「今があまりにも幸せすぎて怖いんだ」

ユミル「ここにいる私は偽物か?」

ベルトルト「僕の幻覚かも。ミカサに斬られたあの時からずっと夢を見てる」

ユミル「想像力豊かなんだな」

ベルトルト「現実の僕は土の中で微生物に分解されてる真っ最中」

ユミル「似たことが起きる寸前で私とベルトルさんは起きたんだよ」

ベルトルト「いつかの朝にはこの生活が消えてしまうのかも」

ユミル「だからいつも寝つきが悪いのか」

ベルトルト「朝が来るのが恐ろしくてたまらない」

ユミル「無職じゃないんだから」

ベルトルト「僕の脳内はこんな心配事とユミルで占められてるよ」

ユミル「割合は?」

ベルトルト「3:7」

ユミル「気に食わない」

170: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/11(日) 02:29:55 ID:WUQDSSA.

ユミル「人には何度もあんな恥ずかしいことを言っておいてたったの7割かよ」

ベルトルト「悩み事も君との生活もどっちも僕のキャパを超えてる」

ユミル「過去に経験があればもっとうまく立ち回れたろうに」

ベルトルト「君以外と暮らそうとは思わないよ」

ユミル「それは困る。私は子孫を残す気満々だ」

ベルトルト「どうしてそんなに行動的なの」

ユミル「誰かさんへの愛が限界点を突破したから」

ベルトルト「…………ユミル」

ユミル「声震えてるぞ」

ベルトルト「君は男前すぎる」

ユミル「ミカサほどじゃない」

ベルトルト「ミカサは僕たちと住む世界が違う」

ユミル「異世界と異次元の住人同士であそこはうまくやっていってるんだろうさ」

ベルトルト「それに付いていけるアルミンは凄いや」

171: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/11(日) 02:30:29 ID:WUQDSSA.

ベルトルト「……後悔しない?」

ユミル「襲われている側の台詞には聞こえないなあ」

ベルトルト「たぶん僕は悩むことからは抜け出せないよ」

ユミル「私だって毎食の献立、とっても悩んでるんだぞ」

ベルトルト「歴史に残る大惨事の原因だし」

ユミル「その原因にトラウマ植えつけたのは私だったな」

ベルトルト「一回死んでるし」

ユミル「私の半分だ」

ベルトルト「どんなこともマイナスに受け取ってしまう」

ユミル「考えを放棄するよりマシさ」

ベルトルト「僕の全てを君に捧げても幸せには出来ないかも」

ユミル「じゃあ私が2人分頑張るか」

ベルトルト「頭撫でないで、泣きそう」

172: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/11(日) 02:31:10 ID:WUQDSSA.

ユミル「ベルトルさんは泣いてばっかりだなー」

ベルトルト「君が僕の泣いてる場面を見つけるのが得意なだけだよ」

ユミル「これから子作りするのに大丈夫かチキンさん」

ベルトルト「ねえ」

ユミル「ん?」

ベルトルト「もしかしての話だけど」

ユミル「どうしたよ」

ベルトルト「地上最強の子ができたりしないよね?」

ユミル「現人類最強とミカサの子供じゃないんだから」

ベルトルト「ミカサが聞いたら怒るよ」

ユミル「エレンが聞いても怒るぞ」

ベルトルト「あ、遂にそうなったんだ」

ユミル「ミカサ曰く長かった、だって」

ベルトルト「家族からのスタートなんだってね」

ユミル「結婚したらまた家族になるけどな」

173: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/11(日) 02:33:03 ID:WUQDSSA.

ベルトルト「どこで聞いてきたの?」

ユミル「ライナー。そのライナーはアルミンから」

ベルトルト「まだ工業都市にいるんだ」

ユミル「就職しそうな勢いだな」

ベルトルト「原材料として?」

ユミル「力の要る仕事の手伝いをしてたらしいぞ」

ベルトルト「剥ぎ取りの後に?」

ユミル「多分そうだろ」

ベルトルト「労基を教えてあげたい」

ユミル「心配しなくても原材料の役割はもう終わったみたいだ」

ベルトルト「全部剥いだの?」

ユミル「必要な量を削いだからもういいらしい。変わらず元気だったよ」

ベルトルト「そうなんだ。良かった」

ユミル「メンタルも変わらず、強化されてない」

ベルトルト「自分は強化の材料になっていたのにね」

174: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/11(日) 02:33:58 ID:WUQDSSA.

ユミル「そのライナーは私らの子供におじさんと呼ばれたいって」

ベルトルト「他人事だと思って。地上最強になったらどうするんだ」

ユミル「遺伝子的に無理だろ」

ベルトルト「ミカサがいるから?」

ユミル「ミカサがいなくても、ベルトルさんは私が内臓スクランブルエッグになるまでを知ってるじゃないか」

ユミル「ポテンシャルがどこぞの超大型とは違うんだよ」

ベルトルト「君の歯は肉食動物寄りだしね」

ユミル「どうしてそんなことを覚えてるんだ」

ベルトルト「特徴的だった」

ユミル「そうかい」

ベルトルト「君は強いよ」

ユミル「いちいち内臓をぐちゃぐちゃにするつもりは無い」

ベルトルト「体も心も強いよ。羨ましい」

ユミル「どんなに強くても金髪の子供は産めないけどな」

ベルトルト「えっ」

175: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/11(日) 02:34:31 ID:WUQDSSA.

ユミル「いや、ベルトルさんの両親によってはなくもない……?」

ベルトルト「どこで聞いたの」

ユミル「座学でやったろ」

ベルトルト「そっちじゃなくて」

ユミル「どっち?」

ベルトルト「金髪がどうとかって話」

ユミル「酔っぱらった金髪ゴリラから」

ベルトルト「皮を削ぎ取ってやりたい」

ユミル「バイオレンスだな」

ベルトルト「子供の頃の話だからね」

ユミル「その年で「どうして僕の髪だけ黒いの?」って言われたら困るわ」

ベルトルト「そっち?」

ユミル「他に何があるんだよ」

ベルトルト「知らないならいいんだ」

ユミル「まあ知ってるけど」

176: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/11(日) 02:35:23 ID:WUQDSSA.

ベルトルト「君は意地悪だ!」

ユミル「クリスタにもよく言われた」

ベルトルト「天国行きを否定されてたけど君はクリスタに何したの」

ユミル「雪山でダズが死にかけているのを見ながら少々」

ベルトルト「クリスタはほわほわしただけの子じゃないよね」

ユミル「あれでいて頑固だし押しの強いところがある」

ユミル「ちなみにクリスタからは男の子と女の子どっちも産んでとお願いされた」

ベルトルト「迷宮に棲む魔物はクリスタだったか」

ユミル「あんな天使をよくそんな言葉で表現できるな」

ベルトルト「女の子の話ってえげつないよね」

ユミル「女子寮に3年もいたらそりゃ」

ベルトルト「せめて一番は僕に話してほしかった」

ユミル「ベルトルさんに迫るための下準備を本人に言っても面白くない」

ベルトルト「詳しく聞かせて」

177: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/11(日) 02:36:27 ID:WUQDSSA.

ユミル「きっとベルトルさんは子供が出来たら出来たで悩むだろう」

ベルトルト「出産どこでどうするの」

ユミル「学校とか」

ベルトルト「兵士になりたいって言われたら僕泣くかも」

ユミル「将来どうやって生活していくのかとか」

ベルトルト「あと戸籍」

ユミル「そういうのを全部クリスタにお願いしてどうにかしてもらった」

ベルトルト「貴族の力って凄いね」

ユミル「クリスタは私の管理責任者でもあるからな。笑えるくらいちょろかった」

ベルトルト「じゃあどうして3週間も行ってたの?」

ユミル「アルコールって素敵な液体だよな」

ベルトルト「そして偉大だね。君の心を掴んで離さない」

ユミル「これから2年近くは飲めなくなるわけだし」

ベルトルト「クリスタのお願いを聞くならもっと長くなる」

ユミル「ようやくやる気になったか」

178: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/11(日) 02:37:05 ID:WUQDSSA.

ベルトルト「手加減とか出来ないよ」

ユミル「普通は優しくするよって言うもんだ」

ベルトルト「経験無いんだ」

ユミル「どこからどう見ても非童貞には見えない」

ベルトルト「緊張してるし、君のおっぱいやわらかいし」

ユミル「硬い乳を揉みたかったらライナーのところに行け」

ベルトルト「嫌だよ。筋肉とはまた違うんだ」

ユミル「私にはよくわからない」

ベルトルト「牛で言うならサーロインとスネだよ」

ユミル「またサシャみたいなことを」

ベルトルト「どっちかっていうとミカサの受け売り」

ユミル「鶏肉が好きなんじゃなかったのか?」

ベルトルト「チキンからの卒業。ばいばい草食系こんにちは肉食系」

ユミル「目覚めさせてはいけなかったのかもしれないなあこの流れは」

ベルトルト「手遅れだよユミル」

179: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/11(日) 02:37:48 ID:WUQDSSA.

ベルトルト「君の唇はやわらかいから好き」

ユミル「筆おろしされる男がいきなりベロチューか」

ベルトルト「ランプ点けてもいい?」

ユミル「絶対に嫌だ」

ベルトルト「天井のシミのカウント出来ないよ?」

ユミル「さっきまでの純粋なベルトルさん戻ってきて」

ベルトルト「それでも僕はおっぱいを離さない!」

ユミル「悩み事はどこに行ったんだ」

ベルトルト「脳みそと一緒に沸騰かな?」

ユミル「どうして私はこんな男と生きようと思ったのか」

ベルトルト「優しくは出来ないけど、大切にはするから」

ユミル「この場面以外で言われたかった」

ベルトルト「照れるからまた今度ね」

ユミル「いやこの体勢より恥ずかしいことなんて滅多に無いような」

ベルトルト「未経験だからよくわからないよ。じゃあ、いただきます」

180: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/11(日) 02:40:09 ID:WUQDSSA.

三つ目終わり

191: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/14(水) 03:12:40 ID:9U.n22oo

朝起きるとユミルがいなかった。

こんな早くから海に出ているのかと思ったけど、靴は玄関に置いたままだ。

裸足で出かけたのか。そう思って僕も外に出てみたけど彼女はどこにもいなかった。

またいつかみたいにクリスタのところにでも行ってるんだろう。

せめて書置きを残してもらうようにしようと思って家を見ると、無かった。

「……え?」

家が無い。気付いた瞬間視界が急にぐるりと回る。

水に油を入れてかき混ぜたようにぎらぎらと光る。気持ち悪い。

よし、夢だこれ。絶対夢だ。昨日アルコール飲みすぎたんだ。

ベッドに戻ろう。あ、でもベッドなんてどこにも見当たらない。じゃあ地面でいいや。

醒めたらユミルが隣で寝てますように。朝ごはんはお茶漬けがいいです。

人に恨み言を言われるよりもユミルがいない夢の方が僕の心に与えるダメージは高い。

そんなことを彼女に言えばまた頬を赤く染めてくれるだろうか。楽しみだ。

「おやすみなさーい」

* * * * * *

192: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/14(水) 03:13:17 ID:9U.n22oo

ライナー「起きろベルトルト、起きろ!」

ベルトルト「ゆみるがやさしくおこしてくれないからぱす」

エレン「何言ってるんだこいつ」

ユミル「寝ぼけてるんだろ」

ベルトルト「あれユミル、おはよう。朝ごはんもう用意しちゃった?」

エレン「ライナーだけじゃなくてベルトルトも頭おかしいのかよ」

ベルトルト「何でエレンとライナーがいるの。あ、ユミルが呼んだ?」

ユミル「おい本当に大丈夫か」

ライナー「大丈夫じゃないかもしれん」

エレン「お前もイカれてるしな」

ユミル「エレン、ちょっと頭叩いてみ。直るかも」

ベルトルト「そこ、僕を家電扱いしないの」

エレン「カデン……?」

ライナー「落ち着けベルトルト、現状説明するから」

193: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/14(水) 03:15:19 ID:9U.n22oo

ベルトルト「説明もなにも。君らが僕らの家に遊びに来たんだろ?」

エレン「どこの誰が遊びに来るだけで両腕失うっていうんだよ」

ベルトルト「ライナーが雑な運び方したんだろうね」

ライナー「それは正しいんだけど間違いまみれだぞ」

ユミル「ライナーさんよ、このノリだとアニもおかしいんじゃないのか?」

エレン「俺たちはこんな奴らに襲われたっていうのか」

ベルトルト「エレンは婚前旅行の下見?」

エレン「……ライナー、こいつ落としていいか」

ライナー「待ってくれ。これでも大切な仲間なんだ」

ユミル「今からでもエレン使って脱出する方に変えようかな」

ベルトルト「ユミル、目の前で他の男の話題されるとちょっと悲しいよ」

ユミル「おい寄るな触るな抱き上げるな気持ち悪い」

ベルトルト「だからってその怪我のまま木の上にいさせるわけには……木の上?」

ライナー「そこから遡って説明すべきか?」

ベルトルト「久々にこんな高さから地面見たよ。こわ」

194: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/14(水) 03:16:15 ID:9U.n22oo

エレン「は?さっき巨人化してなんやかんやしただろ」

ベルトルト「あー、あの時期か。僕がミカサに削がれたときの」

ライナー「本当に大丈夫かお前」

ベルトルト「おっけーおっけー。どうせ夢だし大丈夫だよ」

ユミル「エレン、こいつ全力で蹴ってくれ」

エレン「ユミルを膝の上からどかしてやれよ」

ベルトルト「いくら夢の中だからってお嫁さんを手放すわけにはいかない」

ライナー「ここで戦士の顔を取り戻すのはやめてくれないか」

エレン「蹴りたい顔面」

ユミル「待て待て待て待て誰が誰の嫁だって?!」

ベルトルト「ユミルは僕の嫁」

ライナー「クリスタは俺の嫁」

エレン「なあ、どっちを先に蹴ればいいと思う?」

ユミル「ベルトルト!」

195: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/14(水) 03:16:46 ID:9U.n22oo

ベルトルト「こんなつんけんしてた時期がユミルにもあったなー今もつんけんだけど」

ユミル「どうしよう背後で恐ろしい台詞が聞こえる泣きたい助けてクリスタ」

エレン「待ってろよ今蹴り落とすから」

ライナー「立体機動装置あるから無駄だろ」

ユミル「一発で気絶させるんだ!」

エレン「ってか止めないのかライナー」

ライナー「……いや、俺もちょっと気持ち悪いかなって」

ユミル「その台詞さっきのあんたにお返しするよ」

エレン「気持ち悪かったよなー?」

ユミル「いくら疲れたからって自意識過剰はいけないよなー?」

ベルトルト「僕も構って」

ユミル「甘えてくるなよ怖いんだよ!」

ベルトルト「全力で甘えるって決めたから」

ユミル「私の同意は!」

ベルトルト「過去に取ってる」

196: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/14(水) 03:17:22 ID:9U.n22oo

エレン「……本当にお前たちは俺の誘拐を実現出来るんだろうか」

ライナー「心配になってきた。故郷に早く帰りたい」

ユミル「エレンまだか?!」

エレン「だってベルトルトがお前離さないんだもん」

ユミル「もう私ごとでいいからこの惨劇を終わらせよう」

ベルトルト「絶対に離さない!夢の中で思う存分いちゃつくんだ!!」

エレン「あと今のベルトルトに接触したくないんだもん」

ライナー「俺もやだ」

ユミル「私だって嫌に決まってるだろ!……あー、クリスタに会いたい」

ベルトルト「仕方ないなあ、僕が起きたら内地旅行の計画立てるからさ」

エレン「あいつはどうやったら治るんだ?」

ライナー「こんなことが起きたのは初めてだからわからん」

エレン「頭殴ればいいのか?」

ベルトルト「だから僕は家電じゃないって」

197: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/14(水) 03:17:55 ID:9U.n22oo

エレン「カデンって何だよライナー」

ライナー「……代々家に伝わりしもの」

エレン「仮にも兄貴分なんだから知らないときは知らないって言う勇気を持ってくれ」

エレン「あと責任取ってあのベルトルトどうにかしてやって」

ユミル「もーやだ…クリスタぁ……」

ベルトルト「だから内地に遊びに行ったら会えるって」

ユミル「この状況でよくそんなことが言えるな!私の未来には死亡フラグしかないのに!」

ベルトルト「夢の中の君はそうでも現実は違うから安心して」

ユミル「出来るわけないだろ!そもそもこれは現実だ!!」

ベルトルト「僕の夢だよ。ちょっと悪夢がパターン変えてきただけで」

ユミル「ベルトルトまじで狂ってる」

エレン「ほらどうにかしてやれよ兄貴分」

ライナー「無理」

エレン「逃げるのか」

ライナー「出来ることなら全力疾走してるさ」

198: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/14(水) 03:18:26 ID:9U.n22oo

ユミル「助けてクリスタ」

ベルトルト「そんなに会いたいなら行っちゃう?僕の背中乗っていいよ?」

ライナー「待てベルトルト!」

エレン「あれこれ俺たち戻れるんじゃね?」

ユミル「お前の背中とか無理」

エレン「待てユミル!生理的嫌悪と戦ってくれ!」

ユミル「だってさっきからこいつ私の腰とか太もも撫でてくる」

ライナー「おいベルトルト」

エレン「無理言ってごめんな。無事に戻れたら憲兵団に突き出そうな?」

ベルトルト「夢の中で自分の妻にセクハラして何が悪いんだ!」

ユミル「妻じゃねーし」

ライナー「夢じゃねーし」

エレン「悪くない要素が一つもねーし」

ベルトルト「この世界は残酷だ」

エレン「人の幼馴染の名台詞になんてことを」

199: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/14(水) 03:19:15 ID:9U.n22oo

ベルトルト「別にわざわざ行かなくてもミカサが僕のうなじ削ぐと思うけどね」

ライナー「は?」

ベルトルト「その衝撃でユミルは僕に噛み潰されて二人仲良く三途の川行き」

ユミル「……お前、その川の名前どこで聞いた?」

ベルトルト「だから現実の君だって。未だに全部思い出してくれてないけど」

エレン「こいつが何言ってるかわからないのって俺が馬鹿なせい?」

ライナー「大丈夫だ俺もわからん」

ユミル「なんでそんなこと知ってるんだよ」

ベルトルト「君から教えてもらったの。もー、夢の中だってのにうまくいかないなあ」

エレン「おい、お前らの故郷の前に病院行かないか?」

ライナー「状況がこうでなかったらその案を飲んだんだが」

エレン「早めの受診が人を救うんだって、お前ら人じゃないけど」

ライナー「ぶっ殺すんじゃなかったのか」

エレン「健康体になった後で見るも無残な死体を二つ作ってやる」

200: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/14(水) 03:19:48 ID:9U.n22oo

ユミル「ベルトルさん、今の話を最初からしてくれ」

ベルトルト「三途の川の?」

ユミル「そうじゃなくて瀕死に至るまでの過程だよ」

ベルトルト「君は僕の夢の中にいるのに知らないの?」

エレン「だから夢じゃないって」

ライナー「ベルトルト…本当に疲れてるんだな……」

ユミル「外野うるさい。ベルトルさんはさっさと話せ」

ベルトルト「わかったよ。壁の上で巨人化して君を口に入れようとした僕はミカサに削がれた」

ベルトルト「驚いた拍子に僕は君を噛み砕いた。もう一人は落としてしまった。はい終わり」

エレン「ベルトルトの妄想のミカサ強い」

ライナー「現実じゃなくって良かった」

ユミル「そうだとしたらこのベルトルトの面倒見なくて良かったんだぞ?」

ライナー「…………」

ベルトルト「待ってライナー、黙らないで」

201: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/14(水) 03:20:33 ID:9U.n22oo

ライナー「故郷に戻ったら、然るべき機関に行こうな」

ベルトルト「僕の深層心理がたまには病院で健康診断を受けろと言ってるのかなこれは」

ライナー「こんな妄想するくらい辛い思いさせて悪い」

ベルトルト「夢とはいえライナーに謝られると心が痛む」

ユミル「だから夢じゃないんだよ」

エレン「現実だからなこれ。いい加減にしろ」

ベルトルト「海の近くで家建てて生計どうにか成り立つようになって今更夢って言われても」

ユミル「考えろ、4人中3人が現実だって言ってるんだ」

ベルトルト「いや夢だったとしても今からあの世界を作ればいいのか……?」

エレン「どうしようベルトルトが本格的にヤバい」

ライナー「俺がいけなかったんだ……」

ユミル「立体機動装置さえ奪えれば私ら帰れそうだな」

エレン「ユミルが背後から完全ホールドさえされてなきゃな」

ユミル「私を置いて行ってもいいんだぞ」

エレン「出来ねぇよ。戻るときは一緒だ」

202: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/14(水) 03:21:06 ID:9U.n22oo

ベルトルト「でも僕の想像力であんな妄想出来るわけないし」

ライナー「お前のイマジネーションは常人のそれを遥かに超えてるよ」

ベルトルト「僕おやすみなさーいって言ったし」

エレン「このまま現実逃避させておいたらどうだろう?」

ユミル「夢のフリをして油断させるか?」

ライナー「そこ、内緒の会話はもっと離れたところでしろ」

エレン「あの腰巾着と夫婦設定らしいし、色仕掛けでもしてみようぜ」

ユミル「絶対に!嫌だ!!」

エレン「さっきまでと比べたらなんかちょろそうだからいけるって」

ユミル「私の立場になってちょっと考えてみ?やりたいか?」

エレン「嫌だ」

ユミル「私だって嫌だよ」

ベルトルト「ねえねえエレンばっかりじゃなくて僕にも構ってよ」

ユミル「ベルトルさんは黙ってろ出来れば息も止めろ」

203: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/14(水) 03:21:59 ID:9U.n22oo

エレン「このままミカサたちが来るのを待つか?」

ユミル「さっきの話を聞く限りそれが一番だよなあ」

ライナー「いくらミカサでも俺たちに勝てるはずがない」

ベルトルト「それはどうかな?」

ユミル「人の肩に顔をのっけるな!」

ベルトルト「24回」

ライナー「それがどうした」

ベルトルト「ミカサ・アッカーマンがライナー・ブラウンの膝から下を切り落とした回数」

ライナー「お前の中で俺はどうなってるんだ」

ベルトルト「彼女は君を地下牢に閉じ込めるためにこれだけの回数、君を斬った」

ライナー「想像の話だろ?お前俺になんか恨みあったりする?」

ベルトルト「彼女は僕と君の討伐を成功させて特別な賞まで貰ってる」

ベルトルト「あの少女は僕たちの想像以上に強いんだよ、ライナー」

エレン「ミカサ強いな」

ユミル「頑張って嫁さんにするんだぞエレン」

204: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/14(水) 03:22:31 ID:9U.n22oo

エレン「いや、そんなんじゃねーし!ただちょっと褒めただけで……」

ベルトルト「今はこんなこと言ってるけど数年後に結婚するからね」

ユミル「ミカサ・イェーガーか」

エレン「ちょっとやめろよ!エレン・アッカーマンかもしれないだろ!」

ベルトルト「婿入りしちゃう系?」

エレン「そこら辺はこだわらないからミカサの好きなようにやらせるよ」

ユミル「式には呼べよ。余興くらいしてやるから」

エレン「気が早いんだよユミルは!」

ライナー「待ってくれ、なんか俺疎外感。さっきまで三人で連携取れてたよな?」

ユミル「チッ」

エレン「今は俺の恋バナタイムだろ?」

ライナー「わかったぞお前たち時間潰すつもりだな!だから盛り上がってるんだろ!」

ベルトルト「わかった、後でライナーが腹筋削がれる話もしてあげるから」

ライナー「なんで俺のはそんなにバイオレンスなんだよ」

ベルトルト「分隊長とアルミンのせい」

205: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/14(水) 03:23:10 ID:9U.n22oo

ライナー「いいかベルトルト、もうふざけるのは終わりだ。ここを離れる」

エレン「空気読めよライナー」

ユミル「私らが無事奪還されるフラグ立ってたろ?」

ベルトルト「どうせミカサには負けるって」

ライナー「本当にいい加減にしてくれ!とりあえずユミル下ろせ」

ベルトルト「はいユミル、片足無いんだから気を付けてね」

ユミル「ありがとよベルトルさん。でも必要以上に私に触れるな。」

エレン「おいユミルも俺もこんなんでどうやって移動するんだよ」

ライナー「俺とベルトルトで背負う」

エレン「やだ」

ユミル「私も」

ライナー「お前らこの時間で仲良くなりすぎだろ……」

ベルトルト「じゃあ僕がユミルで!」

ライナー「わかったから、本当にちょっと黙ろうな?」

206: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/14(水) 03:23:42 ID:9U.n22oo

ベルトルト「ほら背中乗って」

ユミル「あーもー、上手くいけると思ったんだけどなあ」

エレン「空中で首の血管絞めてやろうぜ」

ライナー「だからそういう話は聞こえない場所で!いいのかそのテンションで……」

ユミル「片足片手だとなかなかに辛いものが…」

ベルトルト「気を付けてね。君は落ちやすいんだから」

ユミル「あ」

エレン「滑って落ちた」

ベルトルト「ちょっ、ユミル!!」

ライナー「おいベルトルト!」

エレン「おー、無事にベルトルトが落下してったユミルをキャッチ」

ライナー「したのはいいけど木に激突したよな?」

エレン「パッと見気絶してるけど」

ライナー「マジかよ」

207: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/14(水) 03:24:14 ID:9U.n22oo

エレン「おーい、大丈夫かー?!」

ユミル「ベルトルさんが気絶したぞー!いえい!」

エレン「よっしゃー!」

ライナー「俺のいない場所でやろうな。本当に。お願いだから」

エレン「後はミカサ待ちだなー!」

ライナー「わざとかよ」

ユミル「そんな危険なこと出来るわけねーだろー!」

エレン「偶然だよなー?!」

ユミル「ああー!」

ライナー「人間って追い詰められるとこんなにもコンビネーションを発揮できるのか」

エレン「死の淵にいる人間舐めるなよ」

ライナー「エレン、目怖い。マジ怖い」

エレン「ベルトルトが起きるまでは休憩な」

ライナー「遠足みたいなこと言うなよ」

* * * * * *

208: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/14(水) 03:25:01 ID:9U.n22oo

起きるとベッドの中だった。台所の方から食器の当たる音がする。

「ユミル」

「何かあったか?」

名前を呼べばエプロン姿の彼女が現れた。良かった、あれはやっぱり夢だったんだ。

「呼んだだけー」

「まだ寝ぼけてるのかよ」

夢の中とは比べものにならないくらいやわらかい笑みを彼女は浮かべる。

こうやって笑う彼女の隣に居られる自分はきっと幸せ者なんだろう。

「さっきはうるさかったんだぞ。アルコール抜けてないのか?」

「もう大丈夫だよ。寝たら治った」

「これからは私と同じペースで飲むなよ」

「君が飲んでるのを見るとすごく美味しそうに見えるんだよねえ」

時計は昼を少し過ぎている。お腹が空いているのでお茶漬けをリクエストしてみると、

「さっき食べたばっかりだろ?」

と怪訝そうに言われた。え、なにそれ僕知らない。

209: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/14(水) 03:25:47 ID:9U.n22oo

* * * * * *

ベルトルト「……僕とユミルが結婚していた」

エレン「そこはみんな知ってるんだよ、ほら早く続き」

ベルトルト「朝ごはん作ってもらった。ありえないくらい優しかった」

ユミル「お前は私のことを何だと思ってるんだよ」

ライナー「だからお前疲れてるんだって」

ベルトルト「水貰って、ベッドの中でごろごろしながら質問責めした」

エレン「何やってんだよ。まあいいやとりあえず続き」

ベルトルト「色々あって僕らの故郷壊滅してたよ。ついでに僕は放逐されてた」

ライナー「そういうリアルなこと言うのやめろよ」

ベルトルト「ライナーは工業都市に就職して、アニは故郷に戻ったらしい」

ユミル「さっきの妄想と似た傾向だな」

ベルトルト「君たちさっきから僕が妄想癖みたいなこと言うけど違うからね?!」

エレン「さっきまで凄かったんだぞ。ユミルは僕の嫁って」

ライナー「そんなにユミルのこと好きなら生かす方向で進めようか?」

210: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/14(水) 03:26:19 ID:9U.n22oo

ベルトルト「そうじゃなかったはずなんだけどさあ……」

ベルトルト「僕が…ベッドからいつまで経っても出ないからって……ユミルが………」

ユミル「私が何だよ?」

ベルトルト「布団捲ってほっぺにちゅー……」

エレン「恋に落ちたな」

ミカサ「エレン」

ライナー「恐ろしい女だなユミル」

ユミル「やめろ私のことみたいじゃないか!違うからな!!」

ベルトルト「君を見ても動悸がやばいんだよ!青少年舐めんな!」

ミカサ「エレン?」

ライナー「さっきからミカサの声が……うわ!!」

エレン「あ、ミカサ」

ミカサ「迎えに来た。とりあえず、削ぐ」

エレン「ベルトルトには少し優しくしてやってくれ。傷ついてるんだ」

ミカサ「わかった。努力しよう」

212: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/14(水) 03:31:09 ID:9U.n22oo

四つ目終わり

>>189
本編+おまけ2→放逐→おまけ1、3、4
こんな感じ

219: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/14(水) 19:01:31 ID:9U.n22oo

ベルトルトがちょっとパラレルワールドに行っただけだよ。盆だし
暑くてむしゃくしゃしてやった、反省はしていない

223: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/18(日) 02:00:07 ID:3IqCYUEc

ベルトルト「君はここにいるんだよね」

ユミル「いきなり抱き着いてきてどうしたよ」

ベルトルト「これは僕の妄想なんかじゃない」

ユミル「やっと現実だって受け入れてくれたか。長かった」

ベルトルト「さっきも言ったけど、夢を見たんだ」

ユミル「私が朝出かけていたのは本当だぞ」

ベルトルト「出来るだけ書き置きを残してほしいな」

ユミル「私がこの家以外のどこに行くって言うんだ?」

ベルトルト「クリスタ」

ユミル「…………あー」

ベルトルト「否定しようよそこは」

ユミル「過去にやってるから」

ベルトルト「これからは一言でいいから出かけるって知らせてね」

ユミル「そうするよ」

ベルトルト「ありがとう」

224: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/18(日) 02:01:17 ID:3IqCYUEc

ベルトルト「夢の中の世界は君じゃない君がいた」

ユミル「そりゃこの私とベルトルさんの想像の中の私は違うだろう」

ベルトルト「巨大樹の上で君は足を滑らせて落ちて行った」

ユミル「ベルトルさんは私を殺すのが得意だなあ」

ベルトルト「助けに行ったけど、君をこの腕で抱くことが出来たかわからないんだ」

ユミル「それは別れましょうって言ってるのか?」

ベルトルト「逆だよ。夢の中だとしても君を失いたくない」

ユミル「そういう恥ずかしい台詞はどこで覚えてくるのか」

ベルトルト「君の全部が欲しい」

ユミル「これ以上やれるものはないぞ」

ベルトルト「僕らは死んだ後に川を渡るけど、僕は君と一緒に渡りたい」

ユミル「ベルトルさんが死んだら私も死ねってか?」

ベルトルト「君に求めるつもりは無い。でもきっと君が死んだら僕も死ぬよ」

ユミル「自殺したら天国に行けねえぞ」

ベルトルト「君も僕も仲良く地獄行きって決まってるさ」

225: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/18(日) 02:02:02 ID:3IqCYUEc

ユミル「……私は死んでやれるとは言えない」

ベルトルト「その場合は僕が川のこっち側で待ってるよ」

ユミル「無理矢理川を渡らされたら?」

ベルトルト「爺も婆も君のためなら倒してやる」

ユミル「巨人化すれば最強だもんな」

ベルトルト「そうだね。向こうでも巨人になれたらいい」

ユミル「地獄でイカした生活は送れるのか?」

ベルトルト「君と一緒ならどこでだって幸せだよ」

ユミル「海の見える小さな家だって?」

ベルトルト「ここ以上に僕が居たいと思う場所はない」

ユミル「ちんたら建てた甲斐があったな」

ベルトルト「何度か仮設の小屋でいいかなって思ったけどね」

ユミル「台所とか家電運んでくるのも面倒だったな」

ベルトルト「巨人で良かったなってあのときに初めて思ったかも」

ユミル「ベッド運ぶのが一番面倒だった」

226: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/18(日) 02:03:01 ID:3IqCYUEc

ベルトルト「あれだけの時間をかけたのに今更夢ですなんて神様も言わないよ」

ユミル「ウォール教は言うかもしれないなあ」

ベルトルト「優しく慰めてよ。僕傷ついてるんだ」

ユミル「私だっていきなり殺されたんだぞ?」

ベルトルト「もし現実なら二度目だね」

ユミル「どうやって責任を取ってもらえばいいのかわからない」

ベルトルト「僕の全部は君に捧げてるから」

ユミル「頭を胸に当てるな」

ベルトルト「挟んでくれたっていいんだよ」

ユミル「断る」

ベルトルト「君は着痩せするタイプだって知ってるんだから!」

ユミル「そりゃ知ってるだろうさ」

ベルトルト「押し当てられたからね!」

ユミル「筆おろしのときにな」

227: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/18(日) 02:03:44 ID:3IqCYUEc

ベルトルト「あれ以来、君は攻めの姿勢を見せてくれない」

ユミル「そう毎日毎日やってられるか」

ベルトルト「疲れるの?」

ユミル「誰かさんが色んな体勢でハッスルするから」

ベルトルト「なんて奴だ」

ユミル「ああ、とんでもない奴だ」

ベルトルト「今度はねちっこく行ってみよう」

ユミル「思春期もそろそろ卒業だろ?」

ベルトルト「青年期だって性欲は付き纏うよ」

ユミル「たまには自分で処理してもいいんだぞ?」

ベルトルト「君の名前連呼してもいい?」

ユミル「パス」

ベルトルト「えー、駄目なの?」

ユミル「最初のシリアスな感じに戻ろうか」

ベルトルト「心はまだまだ青少年なのでお断りします」

228: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/18(日) 02:04:53 ID:3IqCYUEc

ユミル「私は誰かさんがずっと悩んでたって付き合うさ。例え夢の中で殺されても」

ベルトルト「惚れた弱み?」

ユミル「放っておけないタイプの男に捕まってしまった」

ベルトルト「一生離さない」

ユミル「最初のころの初々しさを取り戻してみるつもりは」

ベルトルト「ない」

ユミル「これが人類の敵の台詞なんだもんなあ」

ベルトルト「過去の話だよ。僕はもう公式には存在しないんだ」

ユミル「生き返りたいのか?」

ベルトルト「まさか。ミカサに斬られず呼吸させてもらっているだけで幸せ」

ユミル「私がいればもっと幸せだ、良かったなベルトルさん」

ベルトルト「人間は慣れる生き物だって言うけど」

ユミル「辛いことは意外とすぐに慣れるんだってな」

ベルトルト「この幸せは一生慣れないと思う」

ユミル「いつでも新鮮な気持ちでいられるってことか」

229: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/18(日) 02:05:51 ID:3IqCYUEc

ベルトルト「そっか、そういう考えもあるんだね」

ユミル「そしていつまでも同じ飯を美味しいって言ってくれる」

ベルトルト「君のご飯はいつでも美味しいよ?」

ユミル「たまには言葉にしてくれるとモチベーション上がる」

ベルトルト「わかった。今日の晩御飯はうるさいくらいに美味しいって言う」

ユミル「適度でいい」

ベルトルト「加減がわからなくなるのが僕の悪いとこだよ」

ユミル「もうちょっと手を抜いたっていいんだぞ」

ベルトルト「いつでも君に全力投球」

ユミル「大半がデッドボールになってる」

ベルトルト「愛が溢れてしまったせいだね、仕方ないね」

ユミル「溢れたと言えば言わなくちゃいけないことがあったんだ」

ベルトルト「何だろう」

ユミル「子供、出来た」

ベルトルト「はい?」

231: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/18(日) 02:07:34 ID:3IqCYUEc

ユミル「妊娠した」

ベルトルト「この地上で最強の子供を?」

ユミル「それは産んで十数年経たないとわからないなあ」

ベルトルト「……本当に?」

ユミル「赤ん坊の時点で強さなんてわからないだろう」

ベルトルト「いや最強とかじゃなくて……君のお腹に、赤ちゃん?」

ユミル「ああ。朝はそのことでクリスタに鳩を飛ばしてて」

ベルトルト「ユミル!」

ユミル「急に肩を掴むなよ」

ベルトルト「何で赤ちゃんがいるのに僕に朝ごはんなんて作ったんだ」

ユミル「ベッドの中で膝抱えて酔っぱらってたから胃に何か入れないとって」

ベルトルト「そういうこと全部僕がやるからユミル寝てて」

ユミル「ベルトルさん、気が早い」

ベルトルト「僕のことは足置き場か何かだと思っていいから」

ユミル「急なドM宣言はやめてもらいたいんだが」

232: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/18(日) 02:10:04 ID:3IqCYUEc

ベルトルト「僕何すればいい?家事とか商売とか掃除とか神に祈るとか?」

ユミル「最後は産むときだけでいい」

ベルトルト「朝昼晩と祈れば神様もノイローゼになって上手くいくかも」

ユミル「何がどうなったら上手くいくと思うんだ」

ベルトルト「どうして君はそんなに冷静なの!」

ユミル「ちょうどいい時期だろ。家は出来た、生活も安定してる、金にも余裕がある」

ユミル「子供の戸籍やら何やらは済んでるし、ベルトルさんも泣かなくなってきた」

ベルトルト「夜泣きする子供みたいな形容された」

ユミル「事実だろ?」

ベルトルト「うん」

ユミル「だからいいんだ。全力でこいつを育てることが出来る」

ベルトルト「過去に僕は君以外と暮らす気は無いっていったよね、取り消す」

ベルトルト「幸せにするよ。僕はこの子と君のために生きる」

ユミル「今からそんなに気ぃ張っても身が持たないぞ」

ベルトルト「持たせるよ意地でも。男の子だもん」

aya4141
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ミカサ・アッカーマン(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

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ミカサ・アッカーマンとは諫山創による漫画『進撃の巨人』の登場人物で、主人公エレン・イェーガーの幼馴染。本作のヒロイン的ポジションで、幼い時にエレンに助けられた経験から、彼を守ることを自分の使命だと考えている。驚異的な身体能力を持ち、トップの成績で訓練兵団を卒業。実戦でも1人で複数の巨人を討伐する実績を残す。性格は寡黙で口下手だが、エレンのこととなると取り乱す一面もある。物語後半において、母方の祖先が東洋にあるヒィズル国将軍家だったことが明らかになった。

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クリスタ・レンズ/ヒストリア・レイス(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

クリスタ・レンズ/ヒストリア・レイス(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

クリスタ・レンズ(ヒストリア・レイス)とは、諫山創による漫画『進撃の巨人』の登場人物。第104期訓練兵団卒業生であり、主人公エレン・イェーガーは同期の1人。小柄で温厚、思いやりのある可愛らしいアイドル的な存在として登場する。同期のユミルと仲が良い。成績10位以内に入っているが、実際はユミルからその座を譲られただけで身体能力は人並みである。本名はヒストリア・レイスといい、壁内世界の真の王家の末裔であることが後に発覚する。

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イェレナ(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

イェレナ(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

イェレナとは『進撃の巨人』の登場人物で反マーレ派義勇兵の中心人物。マーレに滅ぼされた国の出身で、「獣の巨人」継承者で王家の血を引くジーク・イェーガーの信奉者として活動し、パラディ島の近代化に大きく貢献した。ジークの提唱する「エルディア人安楽死計画」達成のためなら寝食を共にした仲間すら殺害する冷酷な性格の女性。しかし実際にはマーレの被害者というのは虚偽であり、「世界を救う英雄」に憧れているだけのごく一般的なマーレ人である。

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ジャン・キルシュタイン(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

ジャン・キルシュタイン(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

ジャン・キルシュタインとは『進撃の巨人』の登場人物で、調査兵団に所属する兵士。第104期訓練兵団を6番で卒業した。自己の保身を第一に考える現実主義者で、思ったことを率直に言い過ぎる性格からたびたび主人公のエレン・イェーガーと対立していた。当初は巨人の脅威から逃れるために内地への配属を希望していたが、友人のマルコ・ボットが戦死したことで考えを大きく変え、調査兵団に入団する。入団後は持ち前の現状把握能力を活かして同期のまとめ役として活躍した。

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