007 スカイフォール(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『007/スカイフォール』(原題: 『Skyfall』)とは、2012年公開のスパイアクション映画で、「ジェームズ・ボンド」シリーズの第23作目。ダニエル・クレイグがMI6諜報員ジェームズ・ボンドを演じる3作目の作品である。全世界での興行収入は約11億ドル。
ボンドはトルコでのミッション中に、女性エージェントの誤射により渓谷に落下し、行方不明となっていた。数か月後、MI6本部が何者かに爆破された。その一報を目にしたボンドはロンドンに戻り、007への復帰テストに臨むのだった。

アストンマーティンDB5

Mを乗せる為にガレージを開け、アストンマーティンDB5をお披露目するボンド(左)。

ボンドの愛車「ボンドカー」といえば、1960年代のアストンマーティンDB5である。
公聴会でシルヴァ一味に襲撃され、命を狙われたMを護衛する為に、ボンドは発信機付きの公用車からアストンマーティンDB5に乗り換えた。よほど愛車にMを乗せてみたかったのか、どこか嬉し気なボンドの様子が印象的である。
この愛車を見たMは一言「とても、目立たない車ね。」といつもの冷静な表情で告げるのだが、乗った途端に「乗り心地が悪い。」と文句をいう。しかしボンドがスピードを上げると「座席ごと吹っ飛ばして。」と言ってみたり、意外に楽しそうな様子であった。

『007/スカイフォール』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

走る列車上での格闘シーン

冒頭の格闘シーン。走行中の列車の屋根の上で肉弾戦を繰り広げるボンド(左)とパトリス(右)。

毎度おなじみの、映画冒頭のボンドと敵のチェイスシーンだ。『007/カジノ・ロワイヤル』では工事現場を走り、『007/慰めの報酬』ではイタリアの海岸線にてカーチェイスを繰り広げ、本作ではトルコ・イスタンブールの市街地をバイクと4WDの車で駆け抜けた。そして走行中の貨物列車に逃げ込んだ敵のパトリスを追い詰め、列車の上で肉弾戦となった。この直後にボンドは、渓谷に架かる橋の上で、イヴが放った銃の弾に当たって落下してしまうのだ。
ミッションは失敗という事になるが、この時点ではボンドの体力がまだ旺盛にある事を示しているシーンであった。

ジェームズ・ボンド「世代交代か」

ロンドンのナショナルギャラリーで初対面したQ(左)とボンド(右)。

本作より兵器開発課長のQが登場した。
ピアーズ・ブロスナン主演版のQは、気さくな初老の科学者というイメージであったが、本作で登場したQはまだ若い。演じたウィシューは公開された2012年時点で31歳と、歴代Q役では最も若かった。写真のシーンは、新装備を受け取る為にナショナルギャラリーでQと落ち合う予定のボンドが、隣に座ったQに突然「もの悲しい絵ですね。」と話しかけられ、戸惑っているところだ。Qから新たな武器と装備を受け取り、その場で別れた後のボンドの台詞が「世代交代か。」である。
「Qは初老の紳士」という従来のイメージを刷り込まれた視聴者の心理を代弁するかのような、1シーンであった。

M「我々が対峙しているのは未知の敵。地図に載らず国家でも無い、個人なのです」

公聴会のシーンで、テニソンの詩を用いて政治家たちを論破するM。

Mが公聴会で、情報漏洩の責任を問われた際の台詞である。MI6の00(ダブルオー)部門解体を求める政治家に対して、Mは「我々が対峙しているのは未知の敵。地図に載らず国家でも無い、個人なのです」と、自身の考えを表明し、諜報部員や00(ダブルオー)部門が時代遅れだと指摘する政治家を黙らせる。そして彼女の夫が愛読していたテニスンの詩を引用して、臆することなく00(ダブルオー)部門の必要性を説いた。だがその直後に議場がシルヴァ一味に襲撃され、公聴会は銃撃戦と化す。政治家達は皮肉にも、不要だと断言していたMI6の諜報員であるイヴやボンドらに守られる形で、命拾いしたのだった。どの様な時も自信に満ち、権力に屈しないMの強さが際立ったシーンである。

ラウル・シルヴァ「さあ、俺と一緒に自由になろう」

重傷のM(左)を抱きしめ、心中を図ろうとするシルヴァ(右)。

Mはシルヴァの手下と撃ち合いになり、重傷を負った。シルヴァは、Mのケガの具合を確かめると、Mに銃口を向ける。思わず恐怖で叫んだMを抱きしめ、「俺と一緒に自由になろう」と囁き、心中を図ろうとしたのだ。だがその直後、ボンドが投げつけたナイフがシルヴァの背中に刺さり、彼は目を見開いてボンドを見た。ボンドが「僕が最後のネズミだ」とシルヴァに告げた瞬間、シルヴァは絶命したのだった。Mへの復讐心を胸に、15年以上の歳月をその為だけに費やした男の、壮絶な最期であった。

『007/スカイフォール』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

シルヴァの活動拠点のモデルは軍艦島

島の中心にある広場にて。到来したMI6のヘリコプターを黙って見つめるシルヴァ。

ボンドとセヴリンが船上で敵の一味に捕らえられ、連行された孤島のシーンを見て、すぐピンときた日本人は多いだろう。この活動拠点のモデルとなった場所は、長崎県の軍艦島である。映画上ではマカオ沖に浮かぶ廃墟の島「デッド・シティ」として登場する。スタジオ内に軍艦島をモデルとした建物などを再現したものだが、荒廃した島内の様子など、本作最大の敵シルヴァの不気味さを際立たせるに相応しい場所だったと言えるだろう。

Mの本名はオリビア・マンスフィールド

ボンドがMからの贈り物を開けた所。箱の外側に、サイン入りのメッセージカードが貼られている。

本作では、謎とされていたMの本名が判明する。
Mの葬儀後、イヴがボンドにMの遺品である犬の置物を渡すシーンがあるのだが、このプレゼントのメッセージカードに彼女のサインが記されているのだ。『007/カジノ・ロワイヤル』では、自分の名前を告げようとしたボンドを厳しく制した事を考えると、感慨深いプレゼントである。死後に本名を伝える事で、ボンドを心から信頼していた事を伝えたMであった。

『007/スカイフォール』の主題歌・挿入歌

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