シン・仮面ライダー(庵野秀明)のネタバレ解説・考察まとめ
『シン・仮面ライダー』(シンかめんライダー)とは、改造手術でバッタと融合させられた青年と、それを成した秘密結社ショッカーとの戦いを描いた、2023年の映画作品。日本を代表するクリエイターである庵野秀明が監督を務める、国民的特撮ヒーロー『仮面ライダー』の生誕50周年記念作品である。
バッタとの融合人間に改造された本郷猛は、恩師の娘である緑川ルリ子に巻き込まれる形で秘密結社ショッカーと戦うこととなる。当初成り行きで戦っていた彼は、やがて正義の意志に目覚め、ショッカーの暴威に立ち向かっていく。
人間と人間以外の生物を融合させて生み出された、人外の力を持つ超人の総称。このための施術が「人外合成型オーグメーテーション」である。作中ではほとんどの場面で「オーグ」と呼称される。
ショッカーでは「昆虫と人間こそもっとも進化した種である」との研究成果が報告されており、この2つを掛け合わせたものを特に「昆虫合成型オーグメント」と呼んでいる。
プラーナ
生命体が持つエネルギーの総称。生命力そのものであり、俗に“魂”と認識されるものとほぼ同義。
オーグは周囲の生物からプラーナを少しずつ強制的に吸収することですさまじい戦闘力を獲得している。半面、“肉体そのものをプラーナで構成している”ため、プラーナを急速に消耗するとそのまま死亡する。
プラーナを扱う技術はショッカーが開発したもので、その扱いに関して他の組織は大きく差を付けられている。
ハビダット世界
生物の体から押し出されたプラーナが最終的に行き着く先だとされている世界。全てのプラーナが溶け合って一体化し、あるゆる嘘や虚飾が存在しない。チョウオーグは人類全てをここに導くことで人類の永遠の平和と幸福を実現しようとしているが、ルリ子は「自我の成立しないあんな世界は地獄だ」と断言している。
『シン・仮面ライダー』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
本郷「俺はライダー、仮面ライダーだ」
コウモリオーグから「バッタオーグ」と呼ばれた本郷は、ショッカー側がつけたその呼び方を否定した後に、「俺はライダー、仮面ライダーだ」と改めて名乗る。日本を代表するヒーロー「仮面ライダー」が、本作の中で初めてその名を語った印象的なシーンである。
本郷「俺は父のように優しく、父のように使うべき時に力を使うことをためらわない人間になりたい」
ルリ子の死後、立花たちと今後について話し合う中で、本郷は己の父親がかつて通り魔を説得しようとして刺されて殉職したことを明かし、「俺は父のように優しく、父のように使うべき時に力を使うことをためらわない人間になりたい」との言葉を口にする。
本作における“ヒーローの定義”を端的にまとめたものである。ただ優しいだけでなく、必要な時には悩みながらも迷わず力を振るう本郷の姿は、すでに自身が夢見たヒーローそのものだといえる。
チョウオーグ「ルリ子が信じた人間を俺も信じてみることにする」
それが人類に永遠の平和と幸せをもたらすと信じてハビダット世界に全てのプラーナを導こうとしていたチョウオーグは、実妹のルリ子と本郷の決死の説得と頑強な抵抗の前に己の過ちを認め、「ルリ子が信じた人間を俺も信じてみることにする」といって敗北を受け入れる。
本郷が駆け抜けた短くも激しい戦いが報われた瞬間であり、通り魔に母親が殺されてからずっと擦れ違っていた緑川家が再び家族となるきっかけでもある。美しくも切ない勝利は、しかし代償も大きく、直後にチョウオーグばかりか本郷も力尽きて死亡。仮面ライダーの名は、その場に居合わせた唯一の生存者である一文字に受け継がれることとなった。
一文字「これでだいぶスッキリした」
チョウオーグとの決着後、一文字はかつて本郷が使っていた仮面を渡され、その中に彼のプラーナがまだ宿っていること、これを受け継いでほしい旨を遺言として残していったことを伝えられる。
一匹狼を気取っていた一文字は、唯一“共に歩む相棒”として認めた本郷を失い、彼曰く「スッキリしない」日々を送っていた。本作は「目的を果たすと同時に、主人公も命を落とす」という、完全なハッピーエンドとはいえない形で決着するも、その本郷の意志は新たな仮面ライダーである一文字にしっかりと受け継がれたのである。彼の「だいぶスッキリした」という言葉は、見る側の心とも同調し、物語に綺麗に幕を下ろす効果を担っている。
『シン・仮面ライダー』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
“4人目のオーグ”の正体に関する混乱
作中では、ルリ子は「ショッカーにはクモオーグの他に4体のオーグがいる」と語っている。この内の3体はコウモリオーグ、サソリオーグ、ハチオーグで確定している。
しかし“残りのもう1体”が誰なのかについては、「チョウオーグだ」とする説と「一文字のことだ」とする説の2つが存在する。
ルリ子はショッカーから脱走する際に本郷と行動を共にしており、チョウオーグが“人外合成型オーグメントの完成型0号”だとすれば本郷より先に完成していたはずで、その存在はルリ子も承知していて当然である。しかしルリ子はチョウオーグのことを「まだ未完成」だとも語っており、完成する前に打倒することを目指して様々に手を打っている。
一方、一文字ことバッタオーグの2体目は、ルリ子が本郷と共に逃げ出す前に完成していた保証はどこにもない。しかしそのルリ子は、カマキリ・カメレオンオーグを見て「こんなオーグは知らない」とかなり驚いていたにも関わらず、ショッカーのアジトで一文字を目撃した時は特に反応していない。“本郷と同型のオーグ”が予想外の存在であればそれなりの反応を見せるのが自然で、ここで驚いていないということはショッカー離脱の段階で一文字の存在を知っていたとする方が無理が無いように思える。
ルリ子が語っていた「4体目のオーグ」はチョウオーグのことなのか、これを“未完成”として除外した上で一文字のことを勘定したのか。公式の回答は特になく、設定資料集などの販売を待つばかりの状況となっている。
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仮面ライダー(初代)のネタバレ解説・考察まとめ
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仮面ライダーゼロワン(Zero-One)のネタバレ解説・考察まとめ
『仮面ライダーゼロワン』とは、東映制作で2019年に放送された仮面ライダーシリーズの特撮テレビドラマ。令和初の仮面ライダーシリーズ。主人公の飛電或人/仮面ライダーゼロワンは祖父が亡くなったため飛電インテリジェンス社長兼仮面ライダーゼロワンとして戦うことになる。人工知能搭載型ロボットヒューマギアを暴走させようとするサイバーテロリスト組織滅亡迅雷.netとの闘いや夢と情熱の大切さを描く。キャッチコピーは「令和仮面ライダー元年」、「世界最強の社長はただひとり!オレだ!」。
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仮面ライダーガッチャード(GOTCHARD)のネタバレ解説・考察まとめ
『仮面ライダーガッチャード』とは、錬金術をモチーフとするヒーローの活躍を描く、令和仮面ライダーシリーズの第5作目にあたる特撮番組。複数の仮面ライダーが登場するのが当たり前だった令和仮面ライダーシリーズの中にあって、「仮面ライダーは主人公が変身する1人だけ」という原点回帰的な工夫で話題となった。 錬金術により生み出された、101体の人口生命体ケミーが解放された。その現場に居合わせた高校生の一ノ瀬宝太郎は、成り行きからガッチャードライバーを与えられ、ケミーの回収を任されることとなる。
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目次 - Contents
- 『シン・仮面ライダー』の概要
- 『シン・仮面ライダー』のあらすじ・ストーリー
- 仮面ライダーの誕生
- オーグたちとの戦い
- 衝突と和解と別離
- 受け継がれる正義の意志
- 『シン・仮面ライダー』の登場人物・キャラクター
- 仮面ライダー1号:本郷猛(ほんごう たけし/演:池松壮亮)
- 緑川ルリ子(みどりかわ ルリこ/演:浜辺美波)
- 緑川弘(みどりかわ ひろし/演:塚本晋也)
- 仮面ライダー2号:一文字隼人(いちもんじ はやと/演:柄本佑)
- 立花(たちばな/演:竹野内豊)
- 滝(たき/演:斎藤工)
- チョウオーグ:緑川イチロー(みどりかわ イチロー/演:森山未來)
- クモオーグ
- コウモリオーグ(演:手塚とおる)
- サソリオーグ(演:長澤まさみ)
- ハチオーグ:ヒロミ(演:西野七瀬)
- カマキリ・カメレオンオーグ(演:本郷奏多)
- 『シン・仮面ライダー』の用語
- ショッカー/SHOCKER
- 人外合成型オーグメント
- プラーナ
- ハビダット世界
- 『シン・仮面ライダー』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 本郷「俺はライダー、仮面ライダーだ」
- 本郷「俺は父のように優しく、父のように使うべき時に力を使うことをためらわない人間になりたい」
- チョウオーグ「ルリ子が信じた人間を俺も信じてみることにする」
- 一文字「これでだいぶスッキリした」
- 『シン・仮面ライダー』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- “4人目のオーグ”の正体に関する混乱