マネーボール(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『マネーボール』とは、2011年にアメリカ合衆国で制作されたスポーツ映画。マイケル・ルイスによるノンフィクション『マネー・ボール 奇跡のチームを作った男』を原作としている。野球に統計学を用いて、弱小チームを常勝チームに変えていくゼネラルマネージャーのビリー・ビーンの栄光と苦悩が描かれていく。実在のゼネラルマネージャー役を演じたオスカー俳優ブラッド・ピットの演技が見どころである。
オーナーの決めた予算に基づいてチームを作り上げていく球団編成の責任者。GMと省略される。メジャーリーグの球団内では重要な役職と認識されている。以前はスカウトマン出身や選手出身者が多かったが、一流大学を卒業してゼネラルマネージャーになる者もいる。
オークランド・アスレチックス
映画の中でビリー・ビーンがゼネラルマネージャーを務めている球団がオークランド・アスレチックスである。1901年に創設され、本拠地はフィラデルフィアに置かれていた。1955年にミズーリ州カンザスシティへ移り、1968年にカリフォルニア州オークランドへ本拠地を移した。1970年代にはオーナーの奨励によって選手全員が長髪に口ひげという姿であったことから「口ひげギャング」と呼ばれていた。
セイバーメトリクス
『マネーボール』で、ビリー・ビーンがイエール大学経済学部卒業生ピーター・ブランドから教えられた理論。SABR(セイバー)というアメリカ野球学会の略称と「測定基準」を意味するmetrics(メトリクス)を組み合わせた造語。1970年代に野球データの研究をしていたビル・ジェイムズという人物が提唱した。データに基づいて客観的な研究を行い、野球選手の評価やチームの戦略を考えていく分析手法である。
『マネーボール』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
ビリー・ビーン 「イヤなら辞めろ」
統計に基づいて選手を集めていくセイバーメトリクスを採用したゼネラルマネージャーのビリー・ビーンに対して、新しいやり方についていけないスカウト部長グレイディ・フソンはビリーに対する不満を募らせていく。しかし、旧来のやり方ではなく新しいやり方を採用するビリーは「イヤなら辞めろ」と言い放つ。弱小球団オークランド・アスレチックスを常勝チームに変えていくためには従来のやり方ではなく、新しい考えが必要であると信じるビリーの強い決意が感じられる。
ビリー・ビーン 「勝ちたいよりも負けたくない気持ちが強い」
オークランド・アスレチックスのゼネラルマネージャーのビリー・ビーンは試合に勝つための理論を選手に伝えた。例として、ヒットを出したくてボール球を打つよりも、フォアボールを選んで塁に出る方が得点につながる可能性があることを教える。つまり、試合に勝ちたいと強く思ってプレーしているとエラーの可能性があるというのだ。そしてビリーは、「勝ちたいよりも負けたくない気持ちが強い」と選手に伝える。負けたくないという気持ちでプレーをしていると自然に勝利へ導かれていくことが伝わるセリフである。
ビリー・ビーン 「なかなか立ち直れない」
2011年のアメリカン・リーグ地区優勝戦でオークランド・アスレチックスはニューヨーク・ヤンキースに敗れてしまう。その後、球団オーナーはゼネラルマネージャーであるビリー・ビーンに選手の様子を尋ねた。ビリーはオーナーに「なかなか立ち直れない」と伝える。一見すると無茶苦茶に思えるセイバーメトリクスを用いて選手を起用し、スカウトマンや監督からの非難を受けながらも、弱小チームを地区優勝戦にまで進めてきた。そのような選手たちが地区優勝戦に敗れたことに参ってしまい、敗北を受け入れることができていない様子が伝わってくる。
『マネーボール』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
ビリー・ビーンの補佐役のモデルが実名の使用を拒否した理由
映画の中でビリー・ビーンの補佐役を務めているピーター・ブランドのモデルはポール・デポデスタという人物である。デポデスタはハーバード大学で経済学を学び、1999年から2004年までオークランド・アスレチックスでビリー・ビーンの補佐を務めた。映画化に際しては、あまりにも外見が異なる俳優ジョナ・ヒルが自身を演じること、そしてデータオタクであるかのような描かれ方に納得ができずに実名の使用を拒否した。
脚本家はアカデミー賞受賞者
1993年の映画『シンドラーのリスト』でアカデミー脚色賞を受賞したスティーブン・ザイリアンと2010年の映画『ソーシャル・ネットワーク』で脚色賞を受賞したアーロン・ソーキンが脚本を担当した。ザイリアンは『アイリッシュマン』、『エクソダス:神と王』、『ザ・インタープリター』などでも脚本を手掛け、ソーキンは法廷映画『ア・フュー・グッドメン』、ダニー・ボイル監督による『スティーブ・ジョブズ』、『愛すべき夫妻の秘密』などでも脚本を手掛けている。
ベネット・ミラー監督と2度目のタッグを組んだフィリップ・シーモア・ホフマン
オークランド・アスレチックスの監督アート・ハウを演じていたフィリップ・シーモア・ホフマンはベネット・ミラー監督と2度目のタッグを組んだ。最初は作家のトルーマン・カポーティをホフマンが演じていた2005年の映画『カポーティ』で、この時ホフマンはアカデミー主演男優賞を受賞した。2度目のタッグとなった『マネーボール』でも実在の人物を演じ、卓越した演技力を見せた。
『マネーボール』の主題歌・挿入歌
主題歌:ケリス・ドーシー 「The Show」
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目次 - Contents
- 『マネーボール』の概要
- 『マネーボール』のあらすじ・ストーリー
- 連敗続きの球団オークランド・アスレチックス
- 勝利のための秘策
- 勝利をつかむ無茶苦茶な理論
- 奇跡の20連勝
- ワールド・シリーズ優勝を目指すビリーの選択
- 『マネーボール』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- ビリー・ビーン(演:ブラッド・ピット、若年期のビリー:リード・トンプソン)
- ピーター・ブランド(演:ジョナ・ヒル)
- オークランド・アスレチックス
- スコット・ハッテバーグ(演:クリス・プラット)
- チャド・ブラッドフォード(演:ケイシー・ボンド)
- デビッド・ジャスティス(演:スティーブン・ビショップ)
- ジェレミー・ジアンビ(演:ニック・ポラッツォ)
- マイク・マグナンテ(演:デリン・エバート)
- リカルド・リンコン(演:ミゲル・メンドーザ)
- カルロス・ペーニャ(演:ジェラルド・セラスコ)
- ミゲル・テハダ(演:ロイス・クレイトン)
- アート・ハウ(演:フィリップ・シーモア・ホフマン)
- ロン・ワシントン(演:ブレント・ジェニングス)
- グレイディ・フソン(演:ケン・メドロック)
- ジョン・ポロニ/ロッコ(演:ジャック・マクギー)
- マット・キーオ(演:ニック・サーシー)
- クリス・ピッタロ(演:ヴィト・ルギニス)
- ロン・ホプキンス(演:グレン・モーシャワー)
- スザンヌ(演:タカヨ・フィッシャー)
- ビリー・ビーンの家族
- シャロン・ビーン(演:ロビン・ライト)
- ケイシー・ビーン(演:ケリス・ドーシー)
- ビリーの父親(演:ジェームズ・シャンクリン)
- ビリーの母親(演:ダイアン・ベーレンズ)
- スコット・ハッテバーグの家族
- エリザベス・ハッテバーグ(演:タミー・ブランチャード)
- トロント・ブルージェイズの球団社長兼最高経営責任者
- マーク・シャパイロ(演:リード・ダイアモンド)
- その他
- ジョン・W・ヘンリー(演:アーリス・ハワード)
- アラン(演:スパイク・ジョーンズ)
- 『マネーボール』の用語
- ゼネラルマネージャー
- オークランド・アスレチックス
- セイバーメトリクス
- 『マネーボール』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ビリー・ビーン 「イヤなら辞めろ」
- ビリー・ビーン 「勝ちたいよりも負けたくない気持ちが強い」
- ビリー・ビーン 「なかなか立ち直れない」
- 『マネーボール』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- ビリー・ビーンの補佐役のモデルが実名の使用を拒否した理由
- 脚本家はアカデミー賞受賞者
- ベネット・ミラー監督と2度目のタッグを組んだフィリップ・シーモア・ホフマン
- 『マネーボール』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:ケリス・ドーシー 「The Show」
- 挿入曲:マイケル・ダナ 「The Beauty of Moneyball」