アンタッチャブル(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『アンタッチャブル』とは、1987年にアメリカで制作されたアクション映画。禁酒法が敷かれた大都市シカゴを舞台に、酒の密造と密売で莫大な利益を得るギャング、アル・カポネに敢然と戦いを挑む4人の男たちの姿をロマンあふれる演出で描き出していく。『ボディガード』で知られるケビン・コスナー、『007 ドクター・ノオ』で知られるショーン・コネリーが出演した。
監督は『殺しのドレス』や『カジュアリティーズ』などで知られるブライアン・デ・パルマが務めた。

マローン(画像左)はネス(画像右)にカポネとの戦いの厳しさを聞かせる

誰にも買収されない精鋭の捜査チームを作ることを決めたネス。彼は初老の警察官マローンを仲間に誘う。一度はネスの誘いを断ったマローンであるが、ネスの熱い思いに動かされて彼の前に姿を現す。そしてシカゴに赴任して間もないネスに、「奴らがナイフを出したら、銃を抜くこと。仲間を病院送りにされたら、奴らの誰かを死体置き場へ送れ。これがシカゴのやり方だ」とマローンはカポネとの戦いの覚悟を問う。シカゴを牛耳る大物ギャングであるカポネとの戦いが厳しいものであることが伝わる言葉だ。

ジム・マローン「腐ったリンゴが嫌なら、樽のところに行っちゃいかん。木からもぎ取るんだ」

マローン(画像中央)は射撃の名手ストーン(画像左)をネス(画像右)の捜査チームに迎える

警察内部に信頼できる人間がいない状況に置かれているネスに対して、警察官マローンはどのようにして信頼できる人間を見つけるべきかを教える。「腐ったリンゴが嫌なら、樽のところに行っちゃいかん。木からもぎ取るんだ」と教える。樽の中にあるリンゴは腐っているが、木からもぎ取るリンゴは腐っていない。つまり、警察はカポネの買収によって腐敗しており、信頼できる人間などいないことがわかる。警察官になる前の人間ならまだ買収などされていないので信頼できることが伝わる言葉だ。

エリオット・ネス「試合が終わるまで、戦い続けないとな」

カポネ(画像左)が記者に勝ち誇ったように語った言葉をネス(画像右)が叫ぶ

陪審員を買収していたカポネだったが、裁判長が隣の法廷にいる陪審員と入れ替えを命じる。このことによってカポネの弁護士は一転して有罪を認め、法廷内は瞬く間に大混乱となった。カポネは自身の弁護士を殴りつけた。そのような状況の中、ネスはカポネに近付いていき、「試合が終わるまで、戦い続けないとな」と叫ぶ。カポネが自分の不利になる証人を殺害させ、勝ち誇ったように記者に語った言葉を、今度はネスがカポネに言っている。どれだけ不利に見えるような状況でも、最後まで結果はわからないということをボクシングの試合に例えた言葉だ。

『アンタッチャブル』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

実像と異なるエリオット・ネス

ケビン・コスナーが熱演した財務省特別捜査官エリオット・ネスの実像は映画で描かれている姿と実像はかけ離れている。映画の中では良き夫であり、良き父親として描かれているネスであるが、実際のネスは仕事中毒であったために結婚生活は長続きしなかったという。また、重度のアルコール依存症であったという。

俳優の変更

アル・カポネの右腕と言われるフランク・ニッティ役は当初、アンディ・ガルシアが演じることになっていた。しかし、ガルシアの演技力の高さから射撃の名手ジョージ・ストーン役をガルシアが演じることに決まり、ニッティ役をビリー・ドラゴが演じることに決まった。
ちなみに、アル・カポネ役は制作会社の意向によって、イギリス人俳優ボブ・ホスキンスが演じることになっていたが、監督のブライアン・デ・パルマがロバート・デ・ニーロをカポネ役に推した。
他の出演者と異なり、多忙だったデ・ニーロは頭髪を剃り、顔だけを太らせてカポネ役を憎々しく演じた。

変更されたシーン

映画の最大の見せ場はユニオン駅の階段で繰り広げられるネスとストーン対カポネ一派との銃撃シーン。乳母車が駅の階段を一段、また一段と落ちていくシーンは緊張感に満ちているが、実は当初は列車を舞台にした大規模なアクションシーンになる予定だった。しかし、予算の都合によってユニオン駅での銃撃シーンになったという。

『アンタッチャブル』の主題歌・挿入歌

主題歌:エンニオ・モリコーネ 『The Strength Of The Righteous (Main Title)』

挿入歌:エンニオ・モリコーネ 『Four Friends』

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