グリード(鋼の錬金術師)の徹底解説・考察まとめ
グリードとは『鋼の錬金術師』に登場するホムンクルスであり、「強欲」の感情をもっている。ホムンクルスの創造主である”お父様”から離れて活動していたが、キング・ブラッドレイことホムンクルスのラースに捕獲され、”お父様”によって一度存在を抹消された。物語の中盤、”お父様”の手により、東の大国シンの皇子リン・ヤオの身体を乗っ取る形で復活。己の求めるものも追いかけつつ、リンと協力しながら”お父様”の野望が叶う「約束の日」に向けて動き出す。
国土錬成陣・逆転の国土錬成陣発動後
その後“お父様”は、エルリック兄弟、イズミ・カーティス、エルリック兄弟の父であるヴァン・ホーエンハイム、国軍大佐で国家錬金術師のロイ・マスタングら国土錬成陣の発動に必要だった人柱の面々、シン国の皇女でシン国版の錬金術である錬丹術師のメイ・チャン、そしてグリードの全員を排除するために攻撃を仕掛けようとする。
このタイミングで、”お父様”と同じく賢者の石でできた身体をしているホーエンハイムが仕込んだカウンターが発動。その後国土錬成陣を用いて、本来あるべき錬金術の仕組みにできる逆転の錬成陣も発動する。
”お父様”との戦闘が可能になると、グリードはかつて自身が制裁された際に入れられた地獄の業火に”お父様”を入れようとするなど人間側として戦闘に参加。”お父様”が賢者の石の原料である人間の命を求めて地上に行くと、彼を追って地上に移動した。
その途中でリンの臣下であるランファン、そしてエドワードに協力している傷の男(スカー)との戦闘で死んだラースと再会。ラースの幸せそうな死に顔を目にした。
このとき、地上で”お父様”が中央司令部を半分以上吹き飛ばす攻撃をする。この状況に驚愕する人々にここから先は戦える人間だけ向かうよう諭す。結果、ロイ・マスタング、ランファン、国軍少佐で国家錬金術師のアレックス・ルイ・アームストロング、国軍中尉でマスタングの部下であるリザ・ホークアイが地上での戦闘に参加することになった。
”お父様”の能力を見て、あの能力があれば自分の中にある空っぽが埋まるかもしれないとリンに語りかける。そうではないと答えるリンをねじ伏せ、”お父様”に肉弾戦をもちかけるも逆にグリードの中の賢者の石を奪われかけてしまう。しかし、これは”お父様”の隙を作るためのフェイントだった。”お父様”が使っていたバリアが外れ、肉弾戦を仕掛けられるようになり、”お父様”は窮地に追い込まれる。”お父様”に果敢に挑むエドワード、それを応援する声援を見て、自分がほしかったのは仲間だったと悟る。
窮地に追い込まれた”お父様”はグリードの賢者の石を求めるようになる。己のベースである”お父様”に急激に引き込まれるグリードに対し、シンに連れて帰らねばならないと懇願するリン。自身が次期皇帝として選ばれるためにグリードが必要だったのだ。
このときにグリードはシンの王になるのもいいと、リンに嘘をついた。これを聞いた瞬間、文字通り一心同体である仲間が祖国に帰ってくれると思い、リンは安堵した。しかしその瞬間に彼の身体から離脱。嘘をつかないことを信条としていたグリードが、最初で最後の嘘をついてリンの身体の中からいなくなった。
”お父様”のからだの中に入ったグリードは、最強の盾を応用して”お父様”の身体を消し炭にしようとした。しかし、自身に歯向かったことに対し怒った”お父様”の手により消滅させられた。最期はリン、エドワードに目配せをして魂の友へ別れを伝えて消えていった。
グリードの関連人物・キャラクター
リン・ヤオ
”お父様”によって封印されたのちに宿主となった東の大国シンの第12皇子。
一時的にグラトニーの腹の中に閉じ込められ、脱出した先がちょうど”お父様”の拠点であった。そこでホムンクルスらと戦闘したのを見た”お父様”がリンを気に入り、彼の身体ベースのグリードを作ることを思いついた。
通常、身体を乗っ取られる側の魂はかき消されることが多いが、リンの場合は次期皇帝になるためにはグリードのような存在も受け入れなければ、ホムンクルスという強敵から逃れるために左腕を犠牲にした臣下のランファンに顔向けできないという強い意志があったため、自我を保ったままでいる。
グリードが中に入ってからは基本的にグリードが身体の主導権を握っているが、グリード本人が錯乱すると一時的にリンが主導権を握ることもあった。約束の日前後では互いの特性を生かして戦闘を行うなど協力する場面も多い。
そして、互いの考えがいい影響を及ぼしあっている。リンに対してはもちろん、グリードへの影響は非常に大きかった。強欲の名にふさわしく、あらゆるものを求めて世界の頂点を目指していたが、リンに本当に欲しかったものは仲間だと指摘され、グリードもそれを認めていた。
最期はリンが生き延びるために最初で最後の嘘をつき、リンを「魂の友」と認めながら消えていった。
アルフォンス・エルリック
本作の主人公エドワード・エルリックの弟。ダブリス滞在中に、空の鎧で生きているアルフォンス・エルリックの噂を耳にし、彼の身体の秘密を知るべくキメラたちに捕獲を命令。拠点のデビルズネストの地下でアルフォンスに自身がホムンクルスであること、アルフォンスの身体の仕組みを知りたいことを話す。アルフォンスは即答できず、兄に聞いてほしいと答えている。
エドワードとの戦闘、その後のアメストリス軍による作戦行動の際、アルフォンスはグリードの部下と共に地下水道に逃げている。グリードとラースとの戦闘を目にし、グリード捕獲までの一部始終を目にしている。
グリリン状態になる前からエドワードと別行動をとっていたため、グリリン状態になったグリードに会ったのは「約束の日」が近づいたタイミングだった。
エドワード・エルリック
本作の主人公である。ダブリス滞在中に、弟のアルフォンス・エルリックがグリードの部下によって誘拐され、アルフォンスを追ってグリードの下に来る。グリードはアルフォンスの体の仕組みを教えてほしいと交渉するも決裂。戦闘に入るも国軍の突入により逃げざるを得なくなった。
グリリン状態になってからはともに行動する場面が多い。ビドーを殺したことでかつての部下の記憶を思い出し、ラースを襲撃して”お父様”から離反して以降はエドワードを部下として従え、約束の日に向けて協力体制を敷いている。
国土錬成陣および逆転の錬成陣が発動し、”お父様”が地上に出て戦闘を始めてからはともに”お父様”の弱体化を図る。グリードが文字通りの命懸けで”お父様”を弱体化させたことで得意の肉弾戦へと持ち込み、“お父様”の野望に終止符を打った。
”お父様”
グリードを生み出した存在である。
そもそもホムンクルスとは、2000年以上前に存在したクセルクセス王国の錬金術師が作り出した“真理に近しい人工生命体”が最初の一体である。後に“お父様”と呼ばれるようになるこの存在は、クセルクセス王国の全国民の命を使って錬金術の秘宝にして禁忌である賢者の石を精製し、これと同化することで不老不死の肉体を得る。その後真理(=神)との完全な一体化を目論み、物語の舞台であるアメストリスも同様に神を呼び出す供物にしようと画策した“お父様”は、「己の中で邪魔だと感じた七大欲求」を切り離し、個別の人格と肉体を与えて自分の部下とした。これが本作におけるホムンクルスと呼ばれる者たちの概要である。
離反から100年後、ラースの手によって再び”お父様”の元に戻ってきた。自身から離れたことに対してグリードに質問するも望む回答が出なかったため、一度存在を抹消して”お父様”本人の体の中に取り込むという選択をした。
リンと出会った際に彼の能力を買って、リンの身体ベースのグリードを作った。はじめは従順だったもの再び離反。約束の日では自身が手に入れようとしていた神を奪いに来ることを読み、錬成陣の中心を変えていた。
国土錬成陣、逆転の錬成陣発動後は賢者の石の供給先としてグリードを襲撃するも、逆に隙をつかれ弱体化させられてしまった。
ラース/キング・ブラッドレイ
アメストリス国軍の大総統であり、グリリン同様生きている人をベースにしたホムンクルス。グリードがお父様の元から離反した後に作られたホムンクルスである。
エルリック兄弟及びイズミ・カーティスを訪ねてダブリスを訪れた際にグリードの噂を耳にする。表向きにはエルリック兄弟保護のため、軍を連れてデビルズネストを襲撃。グリードと戦闘した際に自身がホムンクルスであり、どんな攻撃も見切ることができる最強の眼をもっていることを明かす。圧倒的戦闘力でグリードを制圧して拘束し、”お父様”の下へ連れて帰った。
この襲撃の際に当時のグリードの部下を殺めており、グリリン状態になった後その記憶がよみがえってしまった。憎しみの気持ちを抱き、中央司令部内のブラッドレイ私邸を襲撃。再度グリードと戦闘し、彼が離反するきっかけを作った。
約束の日では、リンの臣下であるフーとリッグズ要塞の軍人であるバッカニアと共に戦闘を繰り広げ、この2人の犠牲の上で戦線離脱せざるを得ない状態に追い込まれた。
ビドー
デビルズネストの仲間の一人で、合成獣(キメラ)の人体実験を受けた元軍人。
デビルズネスト滞在時はアルフォンスの噂をグリードに持ちかけ、彼らがアルフォンスを追うきっかけを作っている。デビルズネスト襲撃の際は外にいたことから襲撃を生き延び、ダブリスで過ごしていたが、偶然グリードに関する噂を耳にしてセントラルへ移動。
セントラルをさまよう中で”お父様”が過ごす地下空間につながる地下道に入り、グリリン化したグリードと再会。再会を喜ぶビドーを、グリードは「前のグリードの話だから関係ない」と殺害してしまう。かつての仲間に手をかけたことがきっかけでグリリン状態になる以前の記憶がよみがえり、混乱。リンの怒りのこもった言葉も相まって暴走してしまった。この出来事はホムンクルス一派から離反するきっかけとなった。
フー
宿主であるリンの臣下の1人。賢者の石でできているホムンクルスの気配を読み取ることができるため、グリリン状態になって以降はその気配を持ってリンの位置を把握していた。
ランファンがホムンクルスとの戦闘で左腕を失い、機械鎧のリハビリを行うためアメストリス国を離れていたため、グリリン状態になって以降のリンの行方は彼が追っていた。グリードではなく、自分の主人であるリンを守りたいという意思を全面に出し、グリードが主導権を握っていようともあくまでリンとして扱っていた。約束の日にラースとの戦闘でフーが息絶えた後、犠牲になった部下に報いたいというリンの思いにグリードが共感して圧倒的な戦闘能力でアメストリス軍を倒していった。
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目次 - Contents
- グリードのプロフィール・人物像
- グリードの能力
- ホムンクルスとしての能力
- 戦闘能力
- グリードの来歴・活躍
- ”お父様”からの離反とデビルスネストの仲間たちとの出会い
- ダブリスでの活動とエルリック兄弟との出会い
- ラースとの戦闘と“お父様”による封印
- リンとの出会いと「グリリン」化
- ホムンクルス一派からの離反
- 「約束の日」当日
- 国土錬成陣・逆転の国土錬成陣発動後
- グリードの関連人物・キャラクター
- リン・ヤオ
- アルフォンス・エルリック
- エドワード・エルリック
- ”お父様”
- ラース/キング・ブラッドレイ
- ビドー
- フー
- ランファン
- バッカニア
- グリードの名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「金も欲しい!女も欲しい!地位も名誉も、この世の全てが欲しい!!」
- 「”ありえない”なんて事はありえない」
- 「死んだ奴に会いたいも、金が欲しいも、女が欲しいも 世界を守りたいも、全部欲する心。すなわち、願いだ。 俺に言わせりゃ、欲にいいも悪いもねぇ。 欲っつうもんに偉そうに格付けするから、人間はややこしいんだよ。」
- グリードの裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- ホムンクルスの中で最も人情味がある
- 最強の盾の本気モードは不細工で嫌
- アニメ初期のグリードが欲しかったのは自由