ピナコ・ロックベル(鋼の錬金術師)の徹底解説・考察まとめ
ピナコ・ロックベルとは、『鋼の錬金術師』の登場人物で、主人公エルリック兄弟にとっては親代わりでもあるベテランの機械鎧(オートメイル)技師。
エルリック兄弟の実父であるヴァン・ホーエンハイムとは長い付き合いで、トリシャ・エルリックとの仲を取り持つなど家族同然の交流を重ねる。そのホーエンハイムが旅立った後、病で死去したトリシャの代わりに、自身の孫娘のウィンリィ・ロックベルともどもエルリック兄弟を育て上げる。エルリック兄弟やウィンリィの旅に同行することはなかったが、故郷から彼らを見守り続けた。
ピナコ・ロックベルの概要
ピナコ・ロックベルとは、『鋼の錬金術師』(はがねのれんきんじゅつし)の登場人物で、主人公エルリック兄弟にとっては親代わりでもあるリゼンプール出身のベテラン機械鎧(オートメイル)技師。
エルリック兄弟の実父であるヴァン・ホーエンハイムとは長い付き合いで、トリシャ・エルリックとの仲を取り持つなど家族同然の交流を重ねる。そのホーエンハイムが「国家を生け贄にしたなんらかの儀式」を目論むホムンクルスたちを止めるために旅立った後、病で死去したトリシャの代わりに、自身の孫娘のウィンリィ・ロックベルともどもエルリック兄弟を育て上げた。
作中には「錬金術」という特殊な技術が存在しており、ホーエンハイムはこの術の達人だった。エルリック兄弟もその才を受け継いでいたが、幼い彼らは母恋しさから「錬金術を用いたトリシャの蘇生」という無謀な試みに取り憑かれていく。結局これは失敗し、代償として弟アルフォンスは全身を失い、兄エドワードが自身の右腕を犠牲にして彼の魂を甲冑に定着させる。ピナコは2人がどれほど母との再会を望んでいたかを察してやれず、結果としてこのような愚挙に走らせたことを悔い、「どんな技術や力があったって死んだ者は生き返らないし、生き返らせてはならない」と彼らを諭す。
ピナコの話を重く受け止めたエルリック兄弟は、母の復活を諦める一方、「自分たちの肉体を取り戻す」ことを目的にリゼンプールを出立。ピナコから機械鎧技師としての技術を学んだウィンリィも、やがて彼らの後を追いかけていく。ピナコはエルリック兄弟やウィンリィの旅に同行することはなかったが、リゼンプールから彼らを見守り続けた。
ピナコ・ロックベルの人物像
CV:麻生美代子(第一期/FA)/豊口めぐみ(第一期青年期)/小山茉美(FA青年期)
演:風吹ジュン(実写映画版)
小柄で丸顔、眼鏡をかけた老女。タバコを愛好しており、作中ではキセルを口にしていることが多い。
矍鑠たる人物で、いかにも“頑固な職人”といった性格。若い頃は輪をかけて手に負えないじゃじゃ馬であったらしく、ラッシュバレーの機械鎧技師ドミニク・レコルトはウィンリィがピナコの孫だと知ると当時の彼女を思い出して戦慄していた。
一方で女性らしい優しさや人生の先達としての包容力も併せ持ち、母を蘇生せんとして失敗しそれぞれに肉体を失ったエルリック兄弟が助けを求めてきた時は「自分がもっとちゃんと叱ってやるべきだった」と激しく後悔している。ピナコに教え諭されて母の蘇生を諦めたエルリック兄弟が、自分たちの肉体を取り戻す方法を求めて旅に出んとした時は、手製の機械鎧を与えて彼らを見送っている。
ホーエンハイムによると料理が上手らしく、ホムンクルスとの決戦を間近に再会した際に、彼が「(自分は恐らく生きては帰れないだろうから)ピナコの料理が2度と食えないのは残念だ」と漏らすシーンが存在する。
ピナコ・ロックベルの来歴・活躍
ホーエンハイムとの出会い
アメストリス国のリゼンプール村に生まれ、成長して機械鎧技師となる。当時はかなりじゃじゃ馬だったらしく、ラッシュバレーの機械鎧技師であるドミニク・レコルトとケンカして彼のアゴに傷を残している。
リゼンプールで家族を作り、友人たちも交えて暮らす中、ヴァン・ホーエンハイムという人物と飲み仲間になる。ホーエンハイムは「錬金術によって不老不死となり、2000年以上の時を生きている」という空前絶後の人生を歩む存在だったが、ピナコや彼女の仲間たちは彼を1人の人間として受け入れ、親しくなっていく。
やがてホーエンハイムはトリシャ・エルリックという女性と恋仲となるも、「普通の人間としての人生を歩むことができない自分が、そこに愛する人を巻き込むわけにはいかない」との考えから彼女との関係を進めることを躊躇する。それを察したピナコは、仲間たちと共に2人の仲を応援し、ついに結婚させることに成功する。
しかしピナコに孫娘のウィンリィ・ロックベルが、ホーエンハイムとトリシャの間にエドワードとアルフォンスの兄弟が生まれて間もない頃、ホーエンハイムは「自分を不老不死にしたホムンクルスという存在が、アメストリスの国民全てを生け贄にしたなんらかの儀式を行おうとしている」ことに気付く。大切な家族のために、自分を友人として受け入れてくれたピナコたちのために、これをなんとしても阻止しなければならないと考えたホーエンハイムはトリシャにだけ事情を話してホムンクルスの儀式を阻止するための旅に出る。
家族の別離
この頃、アメストリスは周囲のへの侵略戦争を繰り返していた。そうやって併合した土地の1つがイシュヴァールだったが、軍将校が子供を射殺した事件をきっかけに内乱が勃発。1人でも多くの怪我人を救おうと現地に飛び込んだ息子夫婦が命を落とすという悲劇に見舞われる。
同じ頃、トリシャも病で命を落とす。結果として自身の孫娘であるウィンリィ、トリシャの遺したエドワード・エルリックとアルフォンス・エルリックの兄弟の親代わりを務めることとなり、厳しくも優しく彼女たちを見守っていった。
しかし、ホーエンハイム譲りの錬金術の才を持つエドとアルが、母恋しさから禁忌とされる「錬金術による死者の蘇生」を密かに試みてしまう。結果としてトリシャは蘇らず、禁忌に挑んだ代償としてアルは肉体を喪失。エドは咄嗟にアルの魂を甲冑に定着させることで彼を救うも、自身はその代償として右腕を失うこととなる。右腕の無いエドと、アルの声で話し中身のないまま動き回る甲冑を見たピナコは、「自分がもっとちゃんと叱ってやるべきだった」と激しい後悔に囚われる。
「どんな力や技術でも人を蘇らせることはできないし、できたとしてもやってはいけない」とピナコに諭されたエドとアルは、母の蘇生を諦める一方で自分自身の肉体を取り戻すための旅に出ることを決意。国家錬金術師の資格を獲得すると、「本当の肉体を取り戻すまで帰らない」との決意表明として自分たちの家を焼却する。この時、ピナコからは失われたエドの右腕の代わりに彼用に調整した機械鎧の義手が送られている。
国を覆う暗雲
しばらくした後、エルリック兄弟がリゼンプールに戻ってくる。どうしてもここで調べなければならない情報があるというのが理由だったが、ピナコは彼らを歓迎し、家を燃やしてしまった彼らを自宅に招く。この頃にはウィンリィも一端の機械鎧技師に成長しており、「エドのこともアルのことも心配だから」と言って彼らの旅についていく。
一方、ホムンクルス対策のためにアメストリスを東奔西走していたホーエンハイムもリゼンプールに戻り、トリシャの死や息子たちが彼女を蘇らせようとしたこと、それに失敗して家を燃やして旅に出たことを知って驚愕する。ホーエンハイムは「友人とはいえ、自分とホムンクルスの事情に無関係のピナコを巻き込むわけにはいかない」と考え、自分が何を追っているのかについては言葉を濁したまま、エドとアルの面倒を見てくれたことについてピナコに深く感謝しつつ再び出立する。
ホーエンハイムとエルリック兄弟は旅の中でニアミスを繰り返した末に再会し、エドとアルはついに父の口からホムンクルスたちの恐るべき計画と、自分たちも彼らに狙われていることを知る。兄弟にとってホーエンハイムは「何年も自分たちを放置し、(知らなかったとはいえ)母が死んでも帰ってこなかった最低の父」ではあったが、旅の中でそれぞれに成長した2人はその軋轢を飲み込んで協力を約束。旅の中で得た仲間たちと共に、ホムンクルスの計画の阻止に乗り出していく。
ピナコはこれらの事情については何も知らない状態だったが、「凄腕の錬金術師で不老不死のホーエンハイムが入念に準備して動き回っている」ことから、近々大きな事件が起きるだろうことは予感していた。ウィンリィは一時期人質としてホムンクルスたちの息のかかった人間たちの監視下にあったが、エルリック兄弟の工作でうまいこと脱出し、そのままピナコと合流。戦場から離れた場所で、エルリック兄弟やホーエンハイムの勝利を祈ることとなる。
友の死と新たな家族
ホムンクルスたちの計画は危ういところで阻止され、エドとアルはそれぞれに失った肉体を取り戻す。一方、この戦いであらゆる力を使い果たしたホーエンハイムは、自分なりに息子たちに別れを告げてリゼンプールへと帰還。妻であるトリシャの墓の前で力尽きる。トリシャはこれに気付き、心から安堵し満足した表情で死んでいるホーエンハイムに彼女なりの労いの言葉をかける。
その後エドはウィンリィと結婚し、ピナコと正式に血族となる。アルは旅の中で出会った異国の少女と親しくなり、アメストリスを離れて活動することも多くなるが、定期的にリゼンプールを訪れてはピナコの家に顔を出している。
多くの友と仲間と家族を失いながらも、ピナコはベテランの機械鎧技師としての活躍を続け、孫やひ孫たちに囲まれて穏やかに時を過ごしていった。
ピナコ・ロックベルの関連人物・キャラクター
エドワード・エルリック
友人であるホーエンハイムの長男。そのホーエンハイムがホムンクルスの野望を食い止めるために旅に出た後、病に倒れた彼の母の代わりに実質的な保護者として育てる。このためピナコに対しては本当の肉親のように接しており、ピナコもまた彼のことを実の孫同然に扱っている。
母を蘇生させようとして失敗し、右腕を失った後は、ピナコとウィンリィが調整した機械鎧の義手を用いるようになる。
アルフォンス・エルリック
友人であるホーエンハイムの次男。そのホーエンハイムがホムンクルスの野望を食い止めるために旅に出た後、病に倒れた彼の母の代わりに実質的な保護者として育てる。このためピナコに対しては本当の肉親のように接しており、ピナコもまた彼のことを実の孫同然に扱っている。
母を蘇生させようとして失敗し、“甲冑を魂に定着させる”という方法でなんとか現世に留まっている。「アルの声で話して動き回る中身が空っぽの甲冑」という異形と化した彼を見て、ピナコは「自分がもっとアルとその兄であるエドの“母を失った寂しさ”に寄り添えていたら、もっとちゃんと道理について教えて叱ってやっていれば」と深く後悔。自分の体を取り戻すために兄と共に旅立つ彼のことを黙って見送っている。
ウィンリィ・ロックベル
孫娘。容姿は若い頃のピナコによく似ている。子供の頃から機械いじりが好きで、ピナコの工房に出入りする内に自然と機械鎧に精通。やがて彼女を師として機械鎧技師を目指すようになっていった。
ヴァン・ホーエンハイム
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目次 - Contents
- ピナコ・ロックベルの概要
- ピナコ・ロックベルの人物像
- ピナコ・ロックベルの来歴・活躍
- ホーエンハイムとの出会い
- 家族の別離
- 国を覆う暗雲
- 友の死と新たな家族
- ピナコ・ロックベルの関連人物・キャラクター
- エドワード・エルリック
- アルフォンス・エルリック
- ウィンリィ・ロックベル
- ヴァン・ホーエンハイム
- ユーリ・ロックベル
- サラ・ロックベル
- ピナコ・ロックベルの名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「なめんじゃないよ、三日だ」
- 「いつの間にか自分で道を決めて歩くようになったんだねぇ、あの子は」
- 「バカたれが、なんて幸せそうな顔して死んでんだい」
- ピナコ・ロックベルの裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- ピナコの髪型は藁納豆がモチーフ