逃亡者(1993年の映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『逃亡者』とは、1993年にアメリカ合衆国で制作されたサスペンス映画である。妻殺害の罪を着せられた著名な外科医キンブルは死刑判決を受けるが、護送中の事故に乗じて脱走する。決死の逃亡を続けながら、妻殺害の真犯人を見つけ出していくスリリングなストーリーが展開する。逃亡を続ける外科医をハリソン・フォードが、キンブルを執拗に追う連邦保安官補ジェラードをトミー・リー・ジョーンズが演じている。監督は『チェーン・リアクション』、『守護神』、『沈黙の戦艦』などを手掛けたアンドリュー・デイビス。
CV:山野史人(ソフト版)/銀河万丈(テレビ朝日版)
キンブルが追い続けている片腕の男で、彼の妻ヘレンを殺害した犯人。元警察官であり、現在はニコルズが理事を務める製薬会社の警備員。警備員という肩書きを持つが、実は殺しの仕事も請け負っている。ニコルズの部下レンツを交通事故に見せかけて殺した男。事件の真相を知り、ニコルズが滞在するホテルに向かうための列車に乗ったキンブルを待ち伏せし、殺害しようとする。キンブルと列車内で激しい格闘を繰り広げるが、奪われた銃で頭をキンブルに殴られて手錠でポールにつながれ、後に警察に逮捕される。
クック病院関係者
アン・イーストマン(演:ジュリアン・ムーア)
CV:佐々木優子(ソフト版)/高島雅羅(テレビ朝日版)
クック病院に勤める若き女性医師。片腕の男の手がかりを求めて清掃員に扮したキンブルが病院を訪れた際、急患の少年を放置できずに独自で診断する姿を目撃する。
『逃亡者(1993年の映画)』の用語
陪審員
陪審員とは、一般市民の中から無作為に選ばれた12人の男女で、裁判に参加して被告の有罪か無罪かを決める役割を担う。映画では、裁判に提出された証拠や捜査関係者の証言からキンブルは有罪とされた。
『逃亡者(1993年の映画)』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
サミュエル・ジェラード「知ったことか」
キンブルは護送中に1人の囚人が起こした事故に乗じて脱走し、決死の逃亡を続けていく。そして、救急車を走らせてダムを目指すキンブルをジェラードが執拗に追い詰めていく。ダム内にあるトンネルに足を踏み入れたジェラードがそこで足を滑らせてしまい、流れる水の中に銃を落としてしまうシーンがある。落とした銃を必死に探すジェラードがふと顔を上げると、目の前にジェラードが落とした銃を手にしたキンブルが立っていた。「私は妻を殺していない」、とキンブルは水音に負けじと主張するが、ジェラードは「知ったことか」、と冷たく言い放つ。いくらキンブルが自分の妻を殺していないと主張したとしても、ジェラードには全く意味のないことだ。あくまでも彼の役割は逃亡者キンブルの身柄を確保することであり、裁判官ではないジェラードにキンブルが有罪であるのか無罪であるのかを判断する権限はない。そのことがこの一言に集約されている。
聖パトリックス・デイのパレードに紛れて追跡をかわすシーン
病院に清掃員を装って潜入したキンブルは右腕が義手である男の情報を手にする。5人の該当者を見つけ出したキンブルは1人ずつ電話を掛けていく。そして強盗の罪で服役している男に会いに行くのだが、顔を見た瞬間に人違いであるとわかる。すぐに刑務所を出ようとしたキンブルであったが、片腕の男に会いに来ていたジェラードに階段で見つかってしまう。その場から必死に逃げるキンブルをジェラードが執拗に追っていく。しかし寸前のところでキンブルはジェラードの追跡をかわし、刑務所から出る。その後もジェラードはキンブルの身柄を確保しようとするが、キンブルはその日行われていた聖パトリックス・デイのパレードに紛れ込み、ジェラードの追跡を見事にかわすのだった。逃げるキンブルと追うジェラードの間に漂う緊迫感が伝わってくる追走劇シーンである。
『逃亡者(1993年の映画)』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
ワイアット・アープ
列車事故が発生した現場に駆けつけてきた連邦保安官補サミュエル・ジェラードに1人の保安官が「ワイアット・アープが後始末をしてくれる」、と冗談を言い、これにジェラードが「面白い」と言って笑うシーンがある。西部劇『荒野の決闘』、『OK牧場の決斗』、『トゥームストーン』や『ワイアット・アープ』などに登場している西部開拓時代の伝説的な生き証人であり、親交を持った映画監督ジョン・フォードの西部劇製作に影響を与えたと言われる保安官だ。
実在のアープは1848年にイリノイ州で生まれ、20歳の頃にバッファロー狩りで生計を立て、ガンマンとして有名になった。1870年に結婚するが、妻とは死別。1875年にカンザス州ウィチタの保安官事務所で勤務したが、翌年の4月に解雇。1878年にカンザス州フォード郡ダッジシティで保安官事務所に勤務し、保安官助手に任命される。1879年に仕事のやり方が荒いという理由で追放される。そしてアリゾナ州トゥームストーンに移住して農業に従事するかたわら、売春宿や賭博場の経営を行う。1881年10月26日にクラントン一家と「OK牧場の決闘」という銃撃戦を展開したことは有名だ。晩年はロザンゼルスへ定住した。1929年1月13日、膀胱炎によって80年の生涯を閉じた。
実話を基にした人気テレビドラマを映画化
『逃亡者』は実際に起きた「サム・シェパード事件」を基にしたテレビドラマの映画化作品だ。実際の事件は、1954年7月4日オハイオ州クリーブランド郊外で起こった。そこに住んでいた医師サム・シェパードは、妻マリリンを何者かに殺害されたのだ。サムは、ひげを生やした侵入者に殴られて気絶していたと主張したが容疑者として逮捕され、終身刑を言い渡されてしまう。サムの母親はショックで拳銃で自殺し、父親も病気で亡くなってしまう。
そして1966年に行われた再審の結果、サム・シェパードは無罪となって釈放された。医師として再び開業したものの周囲からの疑いの目は変わることはなく、患者が訪れることはなかった。やがて酒と薬物に溺れたことで金銭苦となったサムはプロレスラーに転身したのだが、肝不全で1970年に亡くなった。
アメリカの警察・消防・救急への専用電話番号
アメリカで警察、消防、救急を要請する際に掛ける電話番号は911番だ。日本における警察へ掛ける際の110番と消防署へ掛ける119番に相当する番号である。
映画の舞台となったシカゴ
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目次 - Contents
- 『逃亡者(1993年の映画)』の概要
- 『逃亡者(1993年の映画)』のあらすじ・ストーリー
- 無実の罪を着せられる
- 片腕の男を捜し出せ
- 殺人事件の黒幕
- 事件の真相
- 『逃亡者(1993年の映画)』の登場人物・キャラクター
- 主人公
- リチャード・キンブル(演:ハリソン・フォード)
- リチャード・キンブルの家族
- ヘレン・キンブル(演:セーラ・ウォード)
- リチャード・キンブルの同僚
- チャールズ・ニコルズ(演:ジェローン・クラッベ)
- キャシー・ワーランド(演:ジェーン・リンチ)
- アレック・レンツ(演:デビッド・ダーロウ)
- 連邦保安官
- サミュエル・ジェラード(演:トミー・リー・ジョーンズ)
- コズモ・レンフロ(演:ジョー・パントリアーノ)
- ビッグズ(演:ダニエル・ローバック)
- ニューマン(演:トム・ウッド)
- プール(L・スコット・カードウェル)
- ヘレン・キンブル殺害の犯人
- フレデリック・サイクス(アンドレアス・カツーラス)
- クック病院関係者
- アン・イーストマン(演:ジュリアン・ムーア)
- 『逃亡者(1993年の映画)』の用語
- 陪審員
- 『逃亡者(1993年の映画)』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- サミュエル・ジェラード「知ったことか」
- 聖パトリックス・デイのパレードに紛れて追跡をかわすシーン
- 『逃亡者(1993年の映画)』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- ワイアット・アープ
- 実話を基にした人気テレビドラマを映画化
- アメリカの警察・消防・救急への専用電話番号
- 映画の舞台となったシカゴ
- 『逃亡者(1993年の映画)』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:ジェームズ・ニュートン・ハワード「The Fugitive Theme」
- 挿入歌:ジェームズ・ニュートン・ハワード「Kimble In The River」