傾物語(物語シリーズ)のネタバレ解説・考察まとめ

『傾物語』(カブキモノガタリ)とは高校生の青年が少女たちとの関わり合う中で、日常に潜む怪異現象などに困惑しながらも、解決する姿を描いた西尾維新の小説。『〈物語〉シリーズ』の第5弾であり、同シリーズのセカンドシーズン第2弾(通算8巻)に当たる作品。
本作は夏休みの宿題をし忘れた暦が忍に昨日に戻ることを提案。それを忍は快諾するが予想外にも11年前に飛んでしまう。しかし暦は、その時期に事故に遭って死んだ八九寺真宵を、タイムパラドックスや運命の強制力などの問題を考慮しながらも、救うために奔走する。

物語の終盤阿良々木暦の(あららぎこよみ)セリフ。別ルートの11年前に助けた八九寺と奇跡的な再会を果たし、忍野メメの手紙で、この世界が別ルートであることを知る。そして忍野の「勝手なお願いながら、世界を救ってほしい」という願いを聞き入れ、忍と2人で歩きながら、暦は「変わらないものがないのなら、運命にも変わってもらうとしよう」と打倒キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードを掲げる。物語を傾けることを忍に宣言して忍野メメのいう目の前の女の子(八九寺真宵)と世界を救いに行くことを2人は誓い合う。

忍「まあ、死ぬときは一緒なのじゃから、生きるときは、尚一緒かの」

全盛期のキスショットに暦と忍挑んだところで、不完全な怪異たる2人が全盛期のキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード勝てる確率は0パーセントに等しく、「戦ったとしても討ち死にという結果は見えている」と言った忍野忍。しかし暦は「八九寺の生きているルートは、幸せなものであってほしい」という願いから、最後の戦いに挑む。忍は「まあ、死ぬときは一緒なのじゃから、生きるときは、尚一緒かの」と返した。

扇「誰かが、例えば私が、言い出すべきなんです。世の中ががどれだけ危険な場所なのか。世界は平和で夢と希望にあふれていて、救いに満ちていて、人と人は愛し合う為に生まれてきて、仲良くすべきで、子供は幸せになる義務がるとか――そんなことをぺちゃくちゃと陶酔しながら言っているから、簡単に足元をすくわれるんです。戦地の子供たちは、たとえ教育を受けていなくてももっとしっかりしていますよ。少なくとも人生に関しては貪欲です。彼らの目には、青信号ではなく赤信号ばかりが映りこんでいますからね」

忍野扇が信号機のトリビアを披露したあと、「基本的に健康なものは味が薄くて不健康なものは、美味しいって言うことだろ。そんな当たり前のこと、大げさに改まって言うことじゃない」と暦が言ったとき、「誰かが、例えば私が、言い出すべきなんです。世の中ががどれだけ危険な場所なのか。世界は平和で夢と希望にあふれていて、救いに満ちていて、人と人は愛し合う為に生まれてきて、仲良くすべきで、子供は幸せになる義務がるとか――そんなことをぺちゃくちゃと陶酔しながら言っているから、簡単に足元をすくわれるんです。戦地の子供たちは、たとえ教育を受けていなくてももっとしっかりしていますよ。少なくとも人生に関しては貪欲です。彼らの目には、青信号ではなく赤信号ばかりが映りこんでいますからね」と世の中の真理をついた言葉を放った。

忍「混沌を支配する赤き闇よ!時の流れを弄ぶ球体をいざ招かん!巡りに巡る終末の灯火をただ繰り返し、溢れ出す雷で空を満たせ!黒を歩む者、灰を泳ぐ者!罪深きその忌み名をもって自らを運び屋とせよ!」

8月20日、北白蛇神社で忍野忍がタイムワープをするためのゲートを出現させるため唱えた呪文。行きは「混沌を支配する赤き闇よ!時の流れを弄ぶ球体をいざ招かん!巡りに巡る終末の灯火をただ繰り返し、溢れ出す雷で空を満たせ!黒を歩む者、灰を泳ぐ者!罪深きその忌み名をもって自らを運び屋とせよ!」と長い呪文を唱えていたが、八九寺を救い現代に帰るために再びゲートを開くとき、忍が唱えることを忘れてしまう。そのことを暦に突っ込まれたときに、実は不必要であることが明かされた。

『傾物語』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

「いかにして幼女と暦が2人で過ごすか」が作品のコンセプト

この『傾物語』を執筆した西尾維新は、本書のあとがきにて、どうにかして幼女と暦が二人きりで過ごせるような小説を書けないかという趣旨のモチベーションでスケジュールもカツカツの中(本当はまよいゾンビにしたかったが)、どうしてもスケジュールの都合が合わず、まよいキョンシーにせざるを得なかったと語っている。

物語を傾(かたむ)けるから『傾物語』

本作のタイトルである『傾物語』の傾くには世界線を斜めに跨ぐという意味が込められている。

他作品に関するメタファー表現的言及

『〈物語〉シリーズ』と言えば読者を意識したメタフィクション的発言が多く散見される。本作にも『ドラえもん』や『ドラゴンボール』などの超有名作品に言及する場面がある。原作を読むことで、さらに深くまで作品に触れ世界観をより鮮明に知ることができる。

『傾物語』の主題歌・挿入歌

OP(オープニング):八九寺真宵(加藤英美里)「happy bite」(『傾物語』)

加藤英美里の歌う『傾物語』のオープニングテーマ。真宵の人生観が踏襲され暦や母親に対しての思いが詰まっている。”迷っても必ず道はつながってる”と温かい気持ちになれる楽曲。

ED(エンディング):春奈るな「アイヲウタエ」(『猫物語(白)』、総集篇I、『傾物語』)

春奈るなの4枚目のシングル。じんにより作詞作曲され、2013年7月24日に「SMERecords」から発売された。純粋でプラトニックな恋愛感情を、軽快なリズムとポップなメロディーに乗せた曲。恋愛中の人も、そうでない人も、何かを成し遂げたくなるパワーをくれる応援ソング。

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