傾物語(物語シリーズ)のネタバレ解説・考察まとめ
『傾物語』(カブキモノガタリ)とは高校生の青年が少女たちとの関わり合う中で、日常に潜む怪異現象などに困惑しながらも、解決する姿を描いた西尾維新の小説。『〈物語〉シリーズ』の第5弾であり、同シリーズのセカンドシーズン第2弾(通算8巻)に当たる作品。
本作は夏休みの宿題をし忘れた暦が忍に昨日に戻ることを提案。それを忍は快諾するが予想外にも11年前に飛んでしまう。しかし暦は、その時期に事故に遭って死んだ八九寺真宵を、タイムパラドックスや運命の強制力などの問題を考慮しながらも、救うために奔走する。
CV:坂本真綾
金髪金眼の幼女。年齢は役400歳、(途中で数えるのを辞めたらしいが本当は600歳)地上最強の、冷血にして鉄血にして熱血の吸血鬼。キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードのなれの果て。
彼女は『傷物語』において、春休みに四肢を切断された状態で暦と出会い。彼の血液を全て吸い生き長らえた。そして、暦を眷属として迎え入れ自分の四肢を奪った三人から四肢を取り返して、自分を完全体にしさえすれば人間に戻すという条件で暦やメメの協力を得ながら戦うことになる(主に暦が)。
忍と暦の関係は少し変わったもので、場面や状況によって、主従関係が変化するというものである(仮に暦が死ねば、キスショットに戻れる)。
『傷物語』において2人は死闘を繰り広げた。暦は人間に戻るために、かたやキスショットは、暦に殺してもらうため決死の覚悟で戦った。しかし結局は暦は人間に戻らず、キスショットは死ねず、「両者が半怪異になる」ことで一応の終焉を迎えた。
その事件以降、忍は無口になりミスタードーナツを差し出されたとき以外は、基本的には喋らなくなった。
八九寺真宵(はちくじまよい)
CV:加藤英美里
『〈物語〉シリーズ』のメインキャラクターの一人であり、本作ではとても重要な、キーパーソンの1人である。
『化物語』では、迷い牛の怪異として登場する。暦が妹達との間に亀裂が出来てしまい、家に帰るのを渋っていた時に遭ってしまった怪異。出逢った人間を迷わせるのを本分とする怪異。
年齢は10歳。ツインテールがかわいい小学5年生。その背丈に合わない大きなリュックを背負っている。本人が当該年齢の時に交通事故に遭ってしまい母親の家に帰れなくなってしまったことで迷い牛となってしまった。
シリーズ第1巻の『化物語』では、それを不憫に思った暦が戦場ヶ原ひたぎや、忍野メメの協力を得て、八九寺を家に帰すために奔走する模様が描かれている。
そして本作の後半では、荒廃した世界で強く生きるオトナなお姉さんとして登場する。シリーズでは暦との会話をする描写が多く書かれている。
特に顕著にあらわれているのが先述べた『偽物語』である。
羽川翼(はねかわつばさ)
CV:堀江由衣
眼鏡に三つ編みと眼鏡といういかにも真面目という姿で、シリーズ全般通して様々な場面で暦を支えてくれるようなしてくれる偉大な存在。暦にとっては大切な友人であり、命の恩人。『化物語』では、暦への思いが爆発して障り猫が覚醒した。
彼女を主軸に置いた『〈物語〉シリーズ』第7巻の『猫物語(黒)』においてとある白猫に魅せられた少女。
今作では11年前にタイムスリップしてしまった暦と忍が綱手(つなで)の家を見つけられず、途方に暮れている所に可愛らしい女児の姿で登場するシーンがある。
斧乃木余接(おののきよつぎ)
CV:早見沙織
暴力陰陽師こと影縫余弦(かげぬいよづる)の相棒のような存在。影縫余弦により生まれ変わった元人間の付喪神の少女。
特に『偽物語』においては不死鳥の怪を宿す阿良々木月火を巡って、忍と戦った。
本作では、序盤で出番は終わってしまうのだが、暦に対して彼女は、ある質問を投げかける。しかし暦は答えを濁してしまった。
その質問とは、怪異になって幸せか否かというものだった。
忍野扇(おしのおおぎ)
CV:水瀬いのり
自称、忍野メメの姪というなんとも怪しげな立ち位置である彼女(性別不明)は、暦を助けるでも救う訳でもなく慕うわけでもなく軽蔑する謎多き少女。
本作の冒頭では、縦の信号機の色が変わってから横の信号機が変わるまで3秒間のラグがあるという信号機に纏わるトリビアを暦に話していた。
他にも夢は叶えない方が幸せという持論を暦に提唱した。
忍野メメ(おしのめめ)
CV:櫻井孝宏
化物の類に関する専門家、その知識は国内外を問わずあらゆる魑魅魍魎に精通している。『傷物語』、『化物語』では学習塾跡の廃墟に拠点をおき、暦たちにアドバイスをする。
『化物語』以降では消息を絶っている。本作『傾物語』でも暦たちの前に姿を現すことはないものの、自身の書いた手紙を八九寺に託している。
容姿は、アロハシャツに半ズボンと言うとても胡散臭い格好をしており、一見して専門家にはとても思えない。
日頃から煙草を持ち歩くが、火はつけない。
アドバイスの方法は、具体的な内容は伏せ抽象的なものであることが多い。とても達観した心構えの持ち主。
『傾物語』の用語
怪異
一般に言う生物とは違うカテゴリーに属する存在。都市伝説・街談巷説・道聴塗説など、人間の信仰・畏怖・噂によって生まれる。
僵尸(キョンシー)
キョンシーとは、中国に伝わる死体妖怪の一種で、死者を埋葬する前部屋で安置し夜を迎えると、死体が勝手に動き出して襲うと言った言い伝えがある。また、キョンシーの下位妖怪として、俗にいうミイラのことを、「乾屍」
(コンシー)という。
作中では吸血鬼の成りそこないとして登場。日光や米に弱い。
『傾物語』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
暦「世界も救って、女の子も救う。そんな強欲さこそが、今時のヒーロ象だろ!」
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目次 - Contents
- 『傾物語』の概要
- 『傾物語』のあらすじ・ストーリー
- 夏休みの宿題
- いざ昨日へタイムトラベル
- 滅んだ世界
- ゾンビの出現と八九寺真宵との再会
- 忍野メメの手紙
- 最終決戦
- 冒険を終えて現代
- 『傾物語』の登場人物・キャラクター
- 阿良々木暦(あららぎこよみ)
- 忍野忍(おしのしのぶ)/キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード
- 八九寺真宵(はちくじまよい)
- 羽川翼(はねかわつばさ)
- 斧乃木余接(おののきよつぎ)
- 忍野扇(おしのおおぎ)
- 忍野メメ(おしのめめ)
- 『傾物語』の用語
- 怪異
- 僵尸(キョンシー)
- 『傾物語』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 暦「世界も救って、女の子も救う。そんな強欲さこそが、今時のヒーロ象だろ!」
- 忍「まあ、死ぬときは一緒なのじゃから、生きるときは、尚一緒かの」
- 扇「誰かが、例えば私が、言い出すべきなんです。世の中ががどれだけ危険な場所なのか。世界は平和で夢と希望にあふれていて、救いに満ちていて、人と人は愛し合う為に生まれてきて、仲良くすべきで、子供は幸せになる義務がるとか――そんなことをぺちゃくちゃと陶酔しながら言っているから、簡単に足元をすくわれるんです。戦地の子供たちは、たとえ教育を受けていなくてももっとしっかりしていますよ。少なくとも人生に関しては貪欲です。彼らの目には、青信号ではなく赤信号ばかりが映りこんでいますからね」
- 忍「混沌を支配する赤き闇よ!時の流れを弄ぶ球体をいざ招かん!巡りに巡る終末の灯火をただ繰り返し、溢れ出す雷で空を満たせ!黒を歩む者、灰を泳ぐ者!罪深きその忌み名をもって自らを運び屋とせよ!」
- 『傾物語』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 「いかにして幼女と暦が2人で過ごすか」が作品のコンセプト
- 物語を傾(かたむ)けるから『傾物語』
- 他作品に関するメタファー表現的言及
- 『傾物語』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):八九寺真宵(加藤英美里)「happy bite」(『傾物語』)
- ED(エンディング):春奈るな「アイヲウタエ」(『猫物語(白)』、総集篇I、『傾物語』)