いま、会いにゆきます(いまあい)のネタバレ解説・考察まとめ
『いま、会いにゆきます』とは、市川拓司による恋愛ファンタジー小説を2004年に映画化したものである。秋穂巧(あいお たくみ)は、息子の祐司と二人で暮らしていた。妻の澪はすでに他界しており、「一年後の雨の季節になったら戻ってくる」と言い遺していた。実際に澪は一年後の梅雨の到来とともにあらわれたが、記憶をなくしていた。次第に家族としての生活を取り戻していく三人。しかし雨の季節はいつまでも続かない。この物語は、ファンタジー要素をとり入れつつも家族の愛、そして女性の強さを感じられる作品となっている。
巧は、野口医師に澪が消えてしまったことを報告していた。寂しそうだが、どこか幸せそうな巧の表情を見た野口医師は、「あなたたちは出会ったら必ず恋をしてしまう、互いにそう決められたたった一人の相手なんですね」と告げるのだった。巧は澪の日記を開いていた。そこには、澪が高校生の頃から巧のことを好きだったことが記されていた。澪が学級委員の権力でいつも巧と席を隣同士にしていたことや、卒業式で巧にコメントを書いてもらい、そのボールペンをわざと返さなかったことなどが書かれていた。澪はそのボールペンのお陰で巧と再会し、巧の隣にいられることに喜びを感じていた。しかし二度目のデートの前に巧との連絡が途絶えた。そして巧が澪の大学まで会いに来てくれていたことに気付き追いかけたが、そこで澪は交通事故にあってしまう。その20歳の澪が生死を彷徨っているとき、脳内では29歳の澪が雨の季節に巧と祐司と暮らしている風景が映し出されていた。実は、交通事故にあった澪は、あの雨の季節の6週間にジャンプしていたのだった。その6週間は、20歳の澪にとってこの上ない幸せだったが、自分は巧と祐司を遺して死んでしまうことを知ってしまった。そして死んだ一年後に自分が戻ってくることも知っていたので、アーカイブ星の絵本をかいたのだった。
澪の決意
澪は、もし他の人と結ばれたら自分は28歳では死なないかもしれない、でも巧を愛しているから、巧と結ばれて祐司をこの世に授かりたいと決意していた。もう一度巧と会って、たとえ短い間でも愛する二人と過ごすことを選んだのだった。巧が読んだ澪の日記には、最後にこう記されていた。
「巧、祐司、待っていてください。いま、会いにゆきます」
そして巧と澪は、向日葵畑で再会する。
「私とあなたはずっと一緒にいるの、そう決められてるの。お互いにたった一人の相手なのよ」そう澪は巧に言うのだった。
エピローグ
向日葵がたくさん咲いた庭が映し出される。物語は、冒頭の祐司の誕生日に戻っていた。巧は縁側で澪の日記を手にし、綺麗な箱にメッセージカードとともにおさめていた。棚には、祐司の6歳の誕生日に撮られた家族写真が飾られている。テーブルには、澪が予約していた最後の誕生日ケーキが乗せられていた。
『いま、会いにゆきます』の登場人物・キャラクター
秋穂家
秋穂 澪(あいお みお/演:竹内 結子)
巧の妻で、祐司の母親。「一年後の雨の季節に戻ってくる」という言葉を遺し、27歳で亡くなる。しっかりものだが、遺していく巧と祐司が心配。そのため、タイムカプセルや絵本を残していくことにする。実際に、一年後の雨の季節に廃工場に戻ってくるが、記憶をなくしている。戻ってきてからは、戸惑いつつも三人での生活を受け入れようとする。巧を再び愛するようになるのだが、梅雨の終わりとともに自分が消えてしまうことに気付く。
秋穂 巧(あいお たくみ/演:中村 獅童)
澪の夫で祐司の父親。28歳で妻の澪を亡くし、祐司と二人の父子家庭になる。澪を幸せにできないまま死なせてしまったことを、とても悔やんでいる。大学生の時から、脳内で化学物質が異常に分泌されるという病気に苦しめられる。その病気のため、人ごみや物事を順序立ててこなすことが苦手。それでも澪と再会するために電車で東京まで行き、体調を崩してしまったことがある。料理や家事もあまりできないため、いつも祐司になぐさめられている。祐司が18歳になるころには、少なくとも料理は上達しているようである。
秋穂 祐司(あいお ゆうじ/演:武井 証)
澪と巧の息子。巧があまり上手に家事ができないので、自分で食べた後の食器を片づけたり、家事に協力している。巧の体調を気遣う様子も、良くみられる。母親の澪に似てしっかりものだが、まだ6歳のため澪に会いたがっていた。澪が死んだのは、自分を産んだからだと思っている。澪が雨の季節に戻ってきてからは、ますます6歳らしい明るく元気な描写が多くみられる。梅雨を伸ばすために逆さてるてる坊主を作ったり、消えてしまいそうな澪のために四葉のクローバーを探したり、澪のことが大好きである。
高校時代の澪(演:大塚 ちひろ)
高校時代の澪。学級委員で、巧からは恋愛に興味がないようにみえていた。実際は学級委員の権力で巧と席を隣にし続けたり、陸上の大会で巧の妨害をした選手に腹を立て、表彰式の邪魔をするなどしていた。巧のことは高校1年の頃から知っており、なぜか目の離せない存在だった。
高校時代の巧(演:浅利 陽介)
高校時代の巧。変わり者な上に人付き合いが苦手で、クラスでも浮いている存在。澪に出会うまで、唯一興味があるのは陸上だけだった。陸上部の大会では、県の記録を持つほど好成績を残していた。しかし高校1年の大会で他の選手の妨害にあい、転倒して最下位になる。それ以降、悔しくて毎日早く走ることしか考えなくなった。澪と出会ってからは、澪の隣の席にいられるだけで幸せとまで思うようになった。しかし、卒業まで挨拶程度しか言葉を交わすことはできなかった。
18歳の祐司(演:平岡 祐太)
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目次 - Contents
- 『いま、会いにゆきます』の概要
- 『いま、会いにゆきます』のあらすじ・ストーリー
- 18歳の誕生日
- 雨の季節の始まり
- 澪との再会
- 再び、家族三人での生活
- 巧と澪の出会い
- 穏やかな日々
- 巧の身体のこと
- 動き出す澪
- 雨の季節の終わり
- 別れ
- 澪の日記
- 澪の決意
- エピローグ
- 『いま、会いにゆきます』の登場人物・キャラクター
- 秋穂家
- 秋穂 澪(あいお みお/演:竹内 結子)
- 秋穂 巧(あいお たくみ/演:中村 獅童)
- 秋穂 祐司(あいお ゆうじ/演:武井 証)
- 高校時代の澪(演:大塚 ちひろ)
- 高校時代の巧(演:浅利 陽介)
- 18歳の祐司(演:平岡 祐太)
- 秋穂家が住む町の人々
- アヤ(演:美山 加恋)
- 永瀬 みどり (ながせ みどり/演:市川 実日子)
- 浜中 晶子 (演:YOU)
- 洋菓子店の店主 (演:松尾 スズキ)
- 野口医師 (演:小日向 文世)
- 司法書士事務所所長(演:中村 嘉葎雄)
- 東京の人物
- 澪の大学の友人(演:田中 圭)
- 『いま、会いにゆきます』の用語
- アーカイブ星
- 廃工場
- 逆さてるてる坊主
- 『いま、会いにゆきます』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 雨の季節に戻ってきた澪との再会
- 初めてのデートでつながれる手
- 秋穂 澪「大丈夫、大丈夫よ、私たちは」
- 秋穂 澪「ありがとう、あなたの隣はいごこちが良かったです」
- 秋穂 澪「巧、祐司、待っていてください。いま、会いにゆきます」
- 『いま、会いにゆきます』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 高校時代の二人の恋と授業のリンク
- 巧と澪をつないだ青いペン
- 『いま、会いにゆきます』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:ORANGE RANGE 「花」