ラ・ラ・ランド(La La Land)のネタバレ解説・考察まとめ
『ラ・ラ・ランド』とは2016年公開のミュージカル映画。売れないジャズピアニストのセバスチャン(セブ)が弾くピアノに惹かれてバーに入った女優志望のミア。後日あるパーティ会場でミアはセブに再会する。2人は急速に恋に落ち、互いの夢のために励まし合いながら共に暮らすが、ミアの夢を叶えるチャンスを掴むために別れる決断をする。往年の名作ミュージカル映画をオマージュした美しい映像や楽曲、ミアとセブの表現力溢れる歌声やダンス、切ないストーリーで観るもの全てが恋に落ちる極上のエンターテイメント。
ミアは一人芝居の舞台の準備に忙しくしていた。舞台のタイトルは「さらばボールダーシティ」。夏のデビュー以降、セブのバンドはツアーに出てしまい、会えないどころか電話をしてもすれ違いで声も聞けていなかった。家に帰ったミアは、セブがいることに驚く。セブは多忙な中、明朝またすぐに発たないといけないのに少しでも会いたいからと戻ってきて、ミアのためにサプライズで夕食の準備をしていたのだ。
夕食を食べながら近況を話す2人。舞台に一人で立つのが不安だと吐露するミアに対し、この芝居を観ることができる観客は幸せだとセブはミアを励ます。セブはミアにツアーに同行しないかと誘う。芝居の稽古はどこでもできるとセブは頼むが、ミアは一人芝居の舞台が2週間後に迫っているため断る。「もっと会えるようにしたい」と言うセブにツアーがいつ終わるか尋ねるミア。「ツアーが終わっても次のアルバム制作、そのアルバムを抱えてまたツアーで2年くらいかかる」と答えるセブ。ツアー終了後も2年も続くことに驚いたミアは、セブに「あの音楽好き?」と訊く。「夢をあきらめるなら好きかどうかは大問題よ」と続けるミア。セブが音楽性の合わないバンドで何年もツアーを回る仕事を続けていていいのかミアは気になっていた。セブはミアがバンドに入って安定した仕事につくよう望んだからやっているのだと答える。しかしミアは「安定した仕事を望んだのは店を開くお金を稼ぐためよ」と答え、夢である自分の店はどうするのかセブに問う。店を出す夢を諦め成功したバンドを続けるというセブとミアは口論になる。口論の末、セブはミアに「バンドが成功するとは思っていなかったんだろう。君は優越感のために不遇の俺を愛したんだ」と心無い言葉をぶつけてミアを傷つけ、彼女は怒って家を出て行った。
ミアの挫折
ミアの一人芝居の舞台の当日、セブがスタジオから帰ろうとすると、キースから雑誌の写真撮影が予定されているため残るように言われる。仕事のため断り切れなかったセブは撮影修了後、急いで劇場に駆けつけたが、すでにミアの舞台は終わっていた。観客は友人を含む10人程度で、しかも舞台終了後、観客から「ひどかったな。女優は無理だ」「わけがわからないよ」と悪評が聞こえてきて、ミアは心が折れてしまう。駆け付けたセブがミアに観劇に間に合わなかったことを謝るが、傷心のミアは「もう終わり。故郷の家に帰るわ」とセブの制止を振り切り、車に乗って実家に向かったのだった。
オーディションの誘い
ミアが実家に帰ってから、セブは姉ローラの結婚式パーティでピアノを弾いた(『Engagement Party』)。幸せそうな姉たちを見て心から喜ぶものの、ミアがいなくなった自分の状況にやるせない思いを抱くセブ。
しばらく経ち、セブが家で寝ていると、セブの携帯に配役事務所から電話が入った。ミアの一人芝居を見てミアを気に入った配役ディレクターが、映画のオーディションを受けてほしいとミアに連絡したが、連絡がとれなかったため、不在時の連絡先となっていたセブに電話がかかってきたのだ。携帯の電源を切っていたミアに連絡が取れず、セブは車を飛ばし、以前一度聞いた図書館の前にあるというミアの実家を探し出し、クラクションを鳴らした。実家で夕食をとっていたミアが外に出ると、セブはオーディションの連絡があったことを説明する。配役ディレクターが絶賛していることを伝え、明日、大作の映画のオーディションを受けるよう必死でミアを説得するセブ。しかしミアは今度オーディションに落ちたら二度と立ち直れないと尻込む。自分には才能がないというミアを説得し、明朝8時に迎えに来ると言いセブは去っていく。
ミアの渾身のオーディションと2人の選択
翌朝8時、ミアを待っていたセブが車を出そうとした時、コーヒーを買いに行っていて数分遅刻したミアがやってくる。17時半、オーディション会場で順番を待つ2人。順番になって名前を呼ばれたミアが部屋に入ると、審査員の2人エイミーとフランクは名前を名乗って握手を求めて来てくれて嬉しいと言った。メールをしながら片手間に審査をするような今までの審査員の雰囲気とは全く違い、ミアは落ち着くことができた。撮影はパリで、配役を先に決めて現場で脚本を作ること、リハーサルに3か月、撮影に4か月かかることを告げられたミア。何でもいいので語り部になって話をする自由演技を求められたミアは、叔母がセーヌ川に飛び込んだ話を始めた。凍ったセーヌ川に飛び込み風邪をひいてもまた飛び込むと言った叔母に憧れて自分が女優を目指したという歌(『The Fools Who Dream』)をミアは全身全霊で歌った。
オーディション後、グリフィス天文台の近くに行ったセブとミア。オーディションの結果は2、3日後に出るが期待していないと言うミアに絶対合格すると断言するセブ。合格したら離れ離れになる自分たちの関係はどうなるのか訊くミアに、セブは撮影に全力で取り組まないといけないことや自分はこの町で自分の道を進むことを伝える。その後は様子を見ようと言うセブに「ずっと愛してる」と言うミア。「俺も愛してるよ」と返すセブ。2人は別の道を歩むことを決めた。
5年後の冬・成功し夢を叶えた2人
オーディションに合格したミアは、5年後、ハリウッド女優として成功していた。かつて自分が働いていたハリウッドの撮影所の中のカフェに行き、周囲から羨望の眼差しで見られているミアの姿は、以前のミアが憧れていた女優そのものだった。ミアはセブではない別の男性と結婚し、娘も生まれていた。セブも夢を実現し、ジャズバーのオーナーとなり大成功を収めていた。セブが自分の店に行く途中の道路の壁には「『エレノア』ミア・ドーラン主演」という大きな映画のポスターが貼ってあった。
その日、ミアは娘をベビーシッターに預け、夫と二人で外出したが、渋滞に捕まり高速道路を降りて、夕食を取ることにした。夕食後、車に乗り込もうとすると、近くの店からジャズが聞こえて来た。ミアたちがジャズに惹かれて地下の店に行くと、そこには「SEB’S」という看板がかかっていた。それはミアがセブのために考えた看板のロゴだった。
ミアが看板を見て驚いていると、先に中に入った夫がいい感じの店だと笑顔でミアに入店を促した。
店内はお酒を飲みながら楽しそうにジャズを楽しむ人で溢れていた。ステージでは演奏が終わり、オーナーのセブがメンバー紹介をして客席を見て、ミアがいることに気づいた。セブは驚き、とまどいの表情を浮かべるミアを見てうつむいて「ようこそSEB’Sへ」とつぶやく。ピアノの前に座りしばらく静かに呼吸を落ち着けるセブ。彼が弾き出した曲は2人の思い出の曲『Mia & Sebastian’s Theme』だった。セブを見つめながら演奏を聴くミア。2人の脳裏では実現されなかったもう1つの人生が描き出されていった(『Epilogue』)。
空想の中の2人のもう1つの人生
ビルのレストランでセブが弾く『Mia & Sebastian’s Theme』を聴き、セブに近づき声をかけたミアは、現実ではセブに無視されるが、空想の中ではミアが声をかけた途端セブにキスされる。
さらに、セブはバンドに入らないかと声をかけてきたキースと会話すらしないためバンドにも加入せず、満員となったミアの一人芝居の舞台を鑑賞し拍手喝采する。映画のオーディションに合格しパリに行くミアにもセブは同行する。
演奏家となったセブは、ミアと結婚して子供も授かり、豪邸に住み、幸せな日々を送っていた。そしてその空想の中では、今、ジャズバーで演奏を聴いている2人はセブとミアだった。
現実に戻り、それぞれの人生を歩む2人
現実のセブの演奏が終わり、2人は空想から現実に戻った。演奏後セブは俯いたまま顔を上げることもせず、じっとしていた。
ミアはもっと聴くかと尋ねる夫に「行きましょ」と告げ、席を立つ。店から出て行こうとする時、後ろを振り返ったミアは顔を上げたセブと目が合う。セブはミアを見つめ、別々の道を歩んだけれど、お互いの人生これで良かったんだというように寂しそうに微笑み、ミアも微笑み返すのだった。
『ラ・ラ・ランド』の登場人物・キャラクター
主人公
セバスチャン(セブ)・ワイルダー(演:ライアン・ゴズリング)
出典: www.google.com
日本語吹替:内田夕夜。
ロサンゼルスに住む売れないジャズピアニスト。大好きな古き良きジャズが衰退していることを嘆き、ジャズの良さを熱く語る人物。自分の好きなジャズを演奏する店を経営するのが夢。自宅のピアノで日々練習し、レストランやパーティで演奏して日銭を稼いでいるが、姉のローラからは定職について落ち着くように言われている。自分は本物のジャズミュージシャンだと言う自負があり、レストランのオーナーに弾くなと言われているジャズを弾いてしまう頑固なところがある。ジャズにしか興味がなかったが、女優になるという夢を目指している明るくユーモアのあるミアと出会い恋に落ちる。旧友のキースのバンドに誘われた時は、自分の音楽の方向性とは違うが、愛するミアのために生活費を稼ごうと思い、バンドに加入する。バンドはそのモダンな音楽性が大人気となり多忙となり、ミアとの生活がすれ違ってしまうようになる。また、バンドの成功により、自分の店を持つという夢を妥協しようとしていたところをミアに指摘され口論となってしまう。しかし、一人芝居後に観客の心無い批評を聞き心が折れて実家に戻ったミア宛てにオーディションの連絡が来たときは、ミアの夢を支えるため、説得しオーディションを受けさせる。映画のオーディションに合格したミアパリに行くことになるが、ミアにとってこれからが大事な時だと考え、お互いの道をそれぞれ歩もうとミアを送り出し、別れた。その5年後、念願の自分の店「SEB’S」を持ち成功させていた。
ミア・ドーラン(演:エマ・ストーン)
出典: k64.tokyo
日本語吹替:武田華
ネバダ州ボールダーシティ出身。市の図書館の前に実家がある。大学を中退して女優を目指し、ロサンゼルスに住んで日々オーディションを受け続けているひたむきで明るい女性。同じく女優志望の友人トレーシー、アレクシス、ケイトリンの3人とルームシェアをしている。ハリウッドにあるワーナー・ブラザーズの撮影所のカフェでアルバイトをしており、そこにくる女優を見ていつか自分もそうなりたいと夢見ている。気が強く、自分の言いたいことははっきり言う性格。グレッグという恋人がいたが、セブと出会い恋に落ち、グレッグとは別れる。セブに勧められて自作の脚本で一人芝居をしたが、観客も少ない上に、酷評している声を聞き心が折れて実家に戻る。しかし一人芝居を観た配役プロジューサーに評価され、映画のオーディションに呼ばれて見事合格。パリでの撮影のためセブと話し合って別れ、女優になる夢を叶えた。セブと別れて5年後、有名女優の仲間入りをしており、優しい夫デヴィッドと可愛い子供がいる。
セブ関係
キース(演:ジョン・レジェンド)
出典: www.kkbox.com
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目次 - Contents
- 『ラ・ラ・ランド』の概要
- 『ラ・ラ・ランド』のあらすじ・ストーリー
- オープニング
- 冬・ロサンゼルスのハイウェイでの出会い
- 再び解雇された売れないジャズピアニスト
- 春・プールパーティで4度目の再会
- 恋の予感
- お互いの夢を語り共感し合う2人
- 恋に落ちた2人
- 夏・幸せな2人の生活
- バンドに加入したセブと一人芝居の準備をするミア
- 秋・多忙ですれ違う2人
- ミアの挫折
- オーディションの誘い
- ミアの渾身のオーディションと2人の選択
- 5年後の冬・成功し夢を叶えた2人
- 空想の中の2人のもう1つの人生
- 現実に戻り、それぞれの人生を歩む2人
- 『ラ・ラ・ランド』の登場人物・キャラクター
- 主人公
- セバスチャン(セブ)・ワイルダー(演:ライアン・ゴズリング)
- ミア・ドーラン(演:エマ・ストーン)
- セブ関係
- キース(演:ジョン・レジェンド)
- ローラ(演:ローズマリー・デウィット)
- ビル(演:J・K・シモンズ)
- アリステア(演:マイルズ・アンダーソン)
- ミア関係
- トレイシー(演:キャリー・ヘルナンデス)
- アレクシス(演:ジェシカ・ローテ)
- ケイトリン(演:ソノヤ・ミズノ)
- グレッグ(演:フィン・ウィットロック)
- デヴィッド(演:トム・エヴェレット・スコット)
- カルロ(演:ジェイソン・フュークス)
- ジョシュ(演:ジョシュ・ペンス)
- ミアの母親(演:ミーガン・フェイ)
- 『ラ・ラ・ランド』の用語
- ラ・ラ・ランド
- グリフィス天文台
- CHICKEN ON A STICK
- 『ラ・ラ・ランド』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ハイウェイで一斉に歌って踊り出す圧巻のオープニング
- ルームメイトと共にパーティに向かうミア
- 同じ店で二度も解雇されるセブ
- 丘の上でのセブとミアの息の合ったダンスシーン
- ミアの渾身のオーディション
- 実現されなかったもう1つの人生
- セブの微笑み
- 『ラ・ラ・ランド』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- アカデミー賞授賞式の作品賞発表間違いのハプニング
- 高速道路を貸し切ってのオープニング撮影
- ピアノシーンはすべてライアン本人の演奏
- 当初のセブとミアのキャスティングはマイルズ・テラーとエマ・ワトソン
- 主演2人合わせて100着の衣裳替え
- 夕焼けの見える丘でのダンスシーンの撮影チャンスは30分間
- 過去の名作映画への愛に溢れたオマージュ
- 『ラ・ラ・ランド』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:ラ・ラ・ランド・キャスト『Another Day of Sun』
- 挿入歌:エマ・ストーン、キャリー・ヘルナンデス、ソノヤ・ミズノ、ジェシカ・ローテ『Someone In the Crowd』
- 挿入曲:ジャスティン・ハーウィッツ『Mia & Sebastian's Theme』
- 挿入歌:ライアン・ゴズリング&エマ・ストーン『A Lovely Night』
- 挿入曲:ジャスティン・ハーウィッツ『Herman's Habit』
- 挿入歌:ライアン・ゴズリング『City of Stars』
- 挿入曲:ジャスティン・ハーウィッツ『Planetarium』
- 挿入曲:ジャスティン・ハーウィッツ『Summer Montage/Madeline』
- 挿入歌:ライアン・ゴズリング&エマ・ストーン『City of Stars』
- 挿入歌:ジョン・レジェンド『Start a Fire』
- 挿入曲:ジャスティン・ハーウィッツ『Engagement Party』
- 挿入歌:エマ・ストーン『Audition』
- 挿入曲:ジャスティン・ハーウィッツ『Epilogue』
- 挿入曲:ジャスティン・ハーウィッツ『The End』
- 挿入曲:ジャスティン・ハーウィッツ feat.エマ・ストーン『City of Stars(Humming) 』