『ピエロがお前を嘲笑う』(ピエロがおまえをあざわらう)とは、2014年に公開されたドイツの映画。2014年にトロント国際映画祭のコンテンポラリー・ワールド・シネマ部門で上映され、ドイツ・アカデミー賞では6部門にノミネートされた。命を狙われていると訴え、保護を求めて警察に出頭した天才ハッカー、ベンヤミン。彼が語る事件の顛末と、その自白によって進められる捜査の行方を描いたテクノスリラー作品となっている。
『ピエロがお前を嘲笑う』(映画)の概要
『ピエロがお前を嘲笑う』(ピエロがおまえをあざわらう)とは、2014年に公開されたドイツの映画。ヤンチェ・フリーセによる共同執筆の脚本も手掛けた、バラン・ボー・オダーによる監督作品として制作された。保護を求めて警察に出頭した、ひとりの天才ハッカーの青年が語る事件の顛末と、その自白によって進められる捜査の行方を描いてたテクノスリラー作品である。視聴者に挑戦状を叩きつけるかのような煽り文句を携えて登場し、優れたストーリーとどんでん返しの連続で、強気な文句に違わぬ出来で観客を魅了した。ストーリーの構成上、1995年の映画『ユージュアル・サスぺクツ』との類似性を指摘されつつも、観客を「騙す」という点においては同作の数歩先を行くと称賛の声が上がっている。
2014年にトロント国際映画祭のコンテンポラリー・ワールド・シネマ部門で上映され、ドイツ・アカデミー賞では6部門にノミネートされた。また、ハリウッドでのリメイク版制作もされている。
ネット上で多くのハッキング事件を起こし、殺人の容疑をかけられて指名手配されていたハッカー、ベンヤミンが警察に出頭する。ベンヤミンは自身で指名した捜査官のハンネに対し、これまでの経緯を語るとともに命を狙われていると訴えた。
ハンネはベンヤミンの供述にもとづいて捜査を進めていったものの、証言の内容と食い違う点が次々と明らかになっていくのであった。
『ピエロがお前を嘲笑う』(映画)のあらすじ・ストーリー
出頭したハッカー
ある日、最重要指名手配犯となったハッカーのベンヤミンが、自ら警察に出頭した。欧州サイバー犯罪センター捜査責任者のハンネを指名した彼は、自身の犯行について自供を始める。
父親の顔を知らず、母親も8歳の時に自殺した過去を持つベンヤミンは、祖母に育てられた。学校では変人扱いされ、友達もいない孤独な日々。ベンヤミンは、14歳の時にコンピューターと出会い、自分にハッカーの才能があることに気づく。
ベンヤミンは、ハッカーたちの交流サイト「ダークネット」に出入りするようになり、ハッカー界のスター・MRXに憧れるようになる。MRXは「安全なシステムはない」「不可能に挑め」「サイバー世界と現実世界を楽しめ」という持論を展開していた。
ベンヤミンはある日、中学時代から好きだったマリが、学士課程の試験問題を欲しがっていることを知り、深夜の大学へ潜り込む。しかし警備員に捕まってしまい、50時間の奉仕活動という罰を受ける。
ベンヤミンは奉仕活動でマックスという男に出会い、パーティーに誘われる。会場には、マリの姿もあった。マックスはそこでシュテファンとパウルにベンヤミンを引きあわせ、彼のハッカーとしての腕を試す。ベンヤミンは3人の前で近隣の家を停電させてみせ、マックスたちは、彼の凄腕に感心するのであった。
警察に踏み込まれて逃げ回ったベンヤミンは、朝方自宅へ帰った。しかし祖母の姿が見えず、探しに行くことになる。祖母はアルツハイマーが進行しており、精神科医に専門的な介護が必要だと言われてしまった。ベンヤミンは、祖母を施設に預ける決断をする。
ハッカー集団「CLAY」(クレイ)の結成
電車でマックスと再会したベンヤミンは、シュテファンとパウルと合流し、ドイツ国民同盟の集会会場に忍び込む。4人はそれぞれ役割分担して、新しい選挙運動のビデオをアニメに入れ替え、放映される様子をネットで中継する。この映像は多くの視聴数を獲得し、4人は大喜びする。
4人はベンヤミンの家を活動拠点として、ピエロの仮面がトレードマークのハッカー集団を結成する。チーム名は、「Clowns Laughing At You(ピエロがお前を嘲笑っている)」を略した「CLAY」(クレイ)に決まった。
彼らは次のターゲットを金融会社に定め、株式市場の情報にいたずらをする。他にも大手製薬会社や大手通販サイト、さらにはポルノサイトなども攻撃し、クレイは話題のハッカー集団として名を馳せるようになった。しかし憧れのMRXには完全に無視され、マックスは怒りを募らせる。
実際、クレイはまだまだ小物で、ハンネが捜査責任者を務めるサイバー犯罪センターの捜査対象にもならない。ハンネがこの頃追っていたのは、欧州中央銀行やドイツ連邦軍のサーバーを攻撃した「フレンズ」と呼ばれるロシアのサイバーマフィアたちだ。ハンネはフレンズを3年間も追い続けていたが、目立った収穫はなかった。
マックスたちはポルシェを盗み、酒やコカインで憂さ晴らしをしていた。そんなある日、ついにMRXがクレイに接触してきた。MRXは、ハンネがユーロポートに送った特捜班の極秘捜査資料をメールに添付してきており、そこには「クレイは無害で大物ハッカー集団ではない」という記述があった。
MRXも警察も、自分たちなど眼中にないのだと知ったマックスは、なんとか彼らを驚かせたいと考え始める。ベンヤミンの提案によって、クレイの次のターゲットは連邦情報局という超大物に決まった。
連邦情報局への侵入
彼らはまず連邦情報局のゴミの山を漁り、ゲルディという女性職員のメールアドレスや個人情報を入手した。彼女を通して入館証を手に入れた彼らは、情報局の建物内に侵入し、連携して中枢部への経路を開いていった。コンピューターの操作を担当したベンヤミンは、仲間にも内緒で、局員リストのデータを盗み始める。
情報局にクレイが侵入し、プリンターが操作されたというニュースは大きく報道された。マックスたちはクラブで祝杯を上げていたが、ベンヤミンはマックスとマリがキスしているのを目撃してしまう。
打ち上げを機に3人と決裂したベンヤミンは、自分を馬鹿にしたマックスを見返そうと、盗んだデータをMRXに送信する。ところが、このデータとともにフレンズの一員であるクリプトンの遺体が発見されるという事件が起こった。結果、彼らがロシアのサイバーマフィアや殺人に関与しているのではないかと疑われてしまう。
ベンヤミンは、密かにデータを盗んだことと、それをMRXに送ったことを3人に打ち明ける。全て自分の責任だと反省した彼は、MRXの正体を突き止めることを決めた。
ベンヤミンは、「フー・アム・アイ」という名義を使ってMRXと接触する。一方、ハンネたちは、ベンヤミンの正体を追っていた。しかしハンネはベンヤミンを取り逃がしてしまい、停職処分となる。
MRXは、ユーロポールのコンピューターに遠隔操作で捜査を監視することのできるアクセスポイントを仕込むよう、ベンヤミンに指令を出した。ベンヤミンは、MRXがユーロポールのシステムに入った瞬間、こちらもMRXの端末に侵入できるというシステムを仕込み、MRXの正体を暴くことを決め、マックスたちもベンヤミンに協力してくれることになった。彼らは証拠を全て隠滅するため、ベンヤミンの家を燃やしてしまう。
ユーロポールへの侵入は困難を極めたが、マックスは何とか穴を見つけ、偽のアクセスポイントをユーロポールの食堂に設置した。ところが、MRXは彼らの企みを見抜いており、逆にベンヤミンの正体が暴かれてしまう。ベンヤミンはロシアのサイバーマフィアに追われる身となり、3人の仲間たちは惨殺されてしまう。
ベンヤミンの企み
ベンヤミンは、MRXやフレンズの情報と引き換えに、証人保護を適用してほしいとハンネに頼み、ハンネはその取引に応じると答える。ベンヤミンは、MRXのプライドを傷つける作戦に出て遂に正体を暴き出した。逮捕されたのは、ニューヨークに住む、19歳の大人しそうな青年だった。
ベンヤミンの証人保護適用まで数時間。ハンネは「奴の話には大きな穴がある」という同僚の言葉を思い出していた。そして言葉通り、ベンヤミンの自供が全て作り話だったことが発覚する。ベンヤミンには遺伝性の多重人格障害が疑われ、3人の仲間たちも、ベンヤミン自身が作り上げた人物だと判断された。精神疾患者の証人保護は認められていないため、ベンヤミンの証人保護は取りやめになってしまった。
それでもベンヤミンのおかげで手柄を上げ、復職の決まったハンネは、密かにベンヤミンをコンピュタールームに入れ、証人保護のプログラムを自ら操作させてやった。ハンネは新しい名前を手に入れたベンヤミンを、自身の独断で逃がしてやった。ベンヤミンは金輪際ハッカーをやめると約束し、晴れて自由の身となる。
別人として生まれ変わったベンヤミンは、髪を金髪に染め、とある船上にいた。そばにはマリやマックス、そしてシュテファンとパウルもいた。ベンヤミンは最初からこのつもりで、全てのトリックを入念に仕込んでいたのだ。
ハンネを含む警察関係者がそれに気づいた時には、すでにすべてが手遅れだった。
『ピエロがお前を嘲笑う』(映画)の登場人物・キャラクター
CLAY(クレイ)のメンバー
ベンヤミン
演:トム・シリング
日本語吹き替え:河西健吾
冴えない風貌をした、非常に大人しい青年。父親が失踪、母は自死したことから、アルツハイマー気味の祖母と共に暮らす孤独な少年時代を過ごした。14歳からコンピューターにはまり、ハッキングの素質を開花させた。ハッカー界のスター「MRX」に憧れているが、彼と真っ向から対立することになっていく。
マックス
カウンターに手をついている男性がマックス
演:エリアス・ムバレク
日本語吹き替え:木内秀信
大学で罰として与えられた奉仕活動の際、ベンヤミンと知り合った青年。自信家で、野心とカリスマ性がある。ベンヤミンのハッキングの素質を見抜き、彼と自分自身を含めた4人で、ピエロのお面をトレードマークにした「CLAY」(クレイ)というハッカー集団を結成する。
シュテファン
画像左がシュテファン
演:ヴォータン・ヴィルケ・メーリング
日本語吹き替え:根本明宏
CLAYのメンバーのひとり。ハッキングの腕は確かで、プログラムの穴を見つける天才。肉体もしっかりと鍛えおり、ストイックだが無謀な一面もある。全身タトゥーだらけの風貌が特徴。
パウル
画像左側に立っている、髭で長髪の男性がパウル
目次 - Contents
- 『ピエロがお前を嘲笑う』(映画)の概要
- 『ピエロがお前を嘲笑う』(映画)のあらすじ・ストーリー
- 出頭したハッカー
- ハッカー集団「CLAY」(クレイ)の結成
- 連邦情報局への侵入
- ベンヤミンの企み
- 『ピエロがお前を嘲笑う』(映画)の登場人物・キャラクター
- CLAY(クレイ)のメンバー
- ベンヤミン
- マックス
- シュテファン
- パウル
- その他
- ハンネ・リンドベルク
- マルティン・ボーマー
- マリ
- 『ピエロがお前を嘲笑う』(映画)の用語
- CLAY(クレイ)
- ダークネット
- 欧州サイバー犯罪センター
- 『ピエロがお前を嘲笑う』(映画)の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 視聴者の警戒網を巧みに掻い潜る巧妙さと演出
- 『ピエロがお前を嘲笑う』(映画)の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 本作のモデルとなったのは実在のハッカーによる逸話
- 『ピエロがお前を嘲笑う』(映画)の主題歌・挿入歌
- 主題歌:ロイヤル・ブラッド 「Out of the Black」
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