明智吾郎（ペルソナ5）の徹底解説・考察まとめ

「P5主人公」を殺したと思った明智は、獅童から与えられた「自分が（総理大臣の）選挙に当選するまでに、今後の政治活動にじゃまになりそうな輩を殺せ」といった司令に従いながら、表ではまた「探偵」としての業務に務める日々を送っていた。だが、その傍らで事件の真犯人である獅童正義を改心させようと動いていた怪盗団達が出した声明により、彼の生活は一変する。死んだと思われていた「心の怪盗団」による、渋谷をジャックしての犯行声明。自身の仕事が失敗したこと、怪盗団に騙されていたことに気づいた彼は怒り、怪盗団を捕まえる為に獅童のパレスで怪盗団を待ち伏せすることにする。

しかし奮闘もむなしく、彼は怪盗団に敗北。仲間との絆を手に戦う「P5主人公」や自身の正義をかざす怪盗団メンバーの姿に激しい怒りを覚えた明智は、自分のペルソナ使いとしての力を暴走させる形で、新たなペルソナ「ロキ」を召喚し怪盗団との2戦目を開始する。だが結局怪盗団に敗北してしまう。そうして力つきかけた彼の前に現れたのは、獅童の認知から生まれた明智だった。

明智は認知の自分から、獅童が全てのことが終われば明智のことも始末するつもりでいたことを告げられる。さらにそこで実は明智が獅童の愛人の息子であり、「望まれない子供」として生まれてしまった事に対する復讐を行う為、彼の下で働きながら復讐のチャンスを狙っていたこと、だが本心では「父親に愛されたい」「認められたい」といった想いもあったこと、明かされる。獅童の方は最初こそは明智の正体に気づいていなかったようだが途中からは気づいていたもよう。自分が使い捨ての駒であった事を知った明智は、最後の力を振り絞ってパレス内の仕掛けを使い、自分と認知の自分を2人だけの空間に閉じ込める。その場から追い出されたことに驚く「P5主人公」達に、明智は父である獅童の「改心」は任せたと告げ、認知の自分との戦闘を開始する。その後、場に響いた銃声とナビ係である双葉からのパレスから明智の反応が消えたという知らせにより、「P5主人公」達は彼がどうなったかを悟る。しかし、結局のところだ誰もその瞬間や明智の遺体を見たわけではないことから本当に明智が死んだのかはわからぬまま、明智は消息不明となってしまうのだった。

明智吾郎の名言・名セリフ／名シーン・名場面

「あれ、違ったかな。美味しそうなパンケーキ…とか聞こえたから。」

明智の数あるセリフの中で、一番ファンの間で話題に取り上げられる明智のセリフ。
P5主人公達が明智と初めて邂逅した時に彼が述べたセリフであり、後々にこのことがきっかけで彼の「裏切り」が発覚する事にもなる。物語内における大事な伏線建てであると同時に、「心の怪盗団」に明智が敗北することが決まった瞬間でもあり、明智にとっては本作中最大の「失敗」といっても過言ではないセリフだといえる。その事が起因してか、ニコニコ動画でアニメ『PERSONA5 the Animation』が放送された際には、このセリフを明智が口にした瞬間、「勝った」「勝確定」「俺達の勝利」といった赤字コメントが画面内を埋め尽くすこととなった。
またこの印象的な失敗から、明智には「パンケーキ」といったあだ名がつけられることにもなった。「パンケーキ好き」なキャラクターにも取られかねないあだ名だが、明智本人は特にパンケーキ好きでもなんでもなかったりする。明智自身を代表するセリフと言っても過言ではないセリフとなっている。

「救うんだろ？」

新島冴のパレスにて、ラスボスである新島冴のシャドウと戦うその前に、明智が真に向かって口にした言葉。この頃はまだ「心の怪盗団」のメンバーのフリをしていた明智は、姉のシャドウを前に戸惑う真の肩に手を乗せながら、彼女の背を押すようにこのセリフを口にする。
一見するとメンバーの心を思うセリフだが、明智の本性を知っているととても薄っぺらい言葉に見えるようになる。ファン間でも「いけしゃあしゃあとしやがって」「よくそんな心にもないことを言えたものだ」と言った言葉が飛び交っている。しかし本性を隠しながら、ここまで「怪盗団の味方である」といった態度を見せつける明智の演技力には感服するものもある。「探偵」として世間の目を欺き続けてきた明智だからこそできた「演技」と見れば、これまでの彼の過酷な人生を垣間見ることができるものがあるといえよう。

「これが…くだらない正義の成れの果てだ」

警察に取り押さえられ取調室にいれられた「P5主人公」を殺しにやってきた明智が、「P5主人公」に銃口を向けながら放った言葉。明智の「本性」が初めて「P5主人公」の前にさらけ出された瞬間でもある。
「くだらない正義」という言葉からは、彼がいかに「心の怪盗団」というものを心の底では下に見ていたかがわかるといえよう。セリフを述べる際に浮かべる笑みも「ゲス顔」の一言につきる表情となっており、これまでプレイヤーの中にあった明智吾郎というキャラクターの概念、印象が一気に覆されることになったセリフである。

「なんで俺より、ゴミの貴様が『特別』なんだよォォォ!?」

獅童正義のパレスで行われた明智との戦闘で、明智が吐き出した言葉。この明智戦を通して怪盗団達は、明智が獅童正義の愛人の子どもであること、そして『望まれない子ども』として育ってきたこと、そのことで獅童に復讐する為に彼の部下になったことを知る。
恵まれない人生を歩んできた彼は、「探偵」の皮を被ることで世間の人気者となったが、本当の友情や愛情といったものには縁がないまま人生を歩み続けてしまった。だというのに人気者でもなんでもない、それどころか「前科者」として周囲から白い目を向けられている筈の「P5主人公」が、自分が得られなかった友情や愛情を受けている。そんな「P5主人公」の姿に対してわいた明智の怒り、嫉妬心が顕になったセリフとなっている。
一見すると傍若無人なセリフにも見えるが、他者との関わりが希薄であった明智の人生を垣間見せられるセリフともなっており、明智吾郎というキャラクターについて改めて深く考えさせられるセリフだといえよう。