真実(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『真実』とは、2019年の日仏共同制作のヒューマンドラマ映画。2018年にカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した是枝裕和監督の作品。代表作は『万引き家族』『誰も知らない』など。主演には、フランスを代表する大女優カトリーヌ・ドウーヴを起用し、すべての撮影をフランスで行った監督の初の国際共同製作映画ということで、世界から注目を浴びる。『真実』の出版を機にベテラン女優ファビエンヌとその娘リュミールが心に秘めている真実、彼女たちを取り巻く人々の思いが暴かれてゆく。
ファビエンヌ・ダジュヴィル(演:カトリーヌ・ドヌーヴ)
吹き替え:宮本信子
本作の主人公でパリ在住のフランス人ベテラン大女優。自伝本『真実』の出版を記念して自宅に娘家族を招く。新作映画の撮影も進行中で大女優の貫録を見せつける。母親業より女優業を優先してきたと娘に話すくらい女優業に専念してきたため娘との仲はギクシャクしている。現在、新しい映画『母の記憶に』を撮影中で73歳のエイミー役(ファビエンヌの新作映画の役柄)を演じる。
リュミール(演:ジュリエット・ビノシュ)
吹き替え:宮崎あおい
ファビエンヌの娘。ニューヨーク在住の脚本家。女優業に忙しい母にかわり親友サラに母親代わりとして育てられた。現在は夫のハンク、娘のシャルロットと共にニューヨークで生活している。小さい頃は女優を目指したこともあったが挫折している。母親が自伝本を出版する機会にパリの実家へ一家で戻るが、母親との確執が今もなお続く。長年公私ともに母親の世話をしていた個人秘書が出て行ってしまったためニューヨークへの帰国を延期し母親のそばで世話をすることとなる。
その他
ハンク・クーパー(演:イーサン・ホーク)
吹き替え:佐川和正
リュミールの夫。売れないアメリカテレビ俳優。アルコール依存症で現在は禁酒しているが、家族との集まりでついついアルコールを口にしてしまう。妻とともに義母ファビエンヌの自伝本出版を祝してパリへ行く。
アンナ・ルロワ(演:リュディヴィーヌ・サニエ)
吹き替え:実川貴美子
ファビエンヌが撮影中の映画『母の記憶に』の中の38歳時のエイミー役(ファビエンヌの役柄の若い時役)。愛犬家で撮影現場にも連れてくるほど。
シャルロット(演:クレモンティーヌ・グルニエ)
吹き替え:佐々木みゆ
リュミールとハンクの娘。ファビエンヌの孫。現在7歳だが大女優の孫だけあり、すでに演技の才能を発揮し始めている。祖母の撮影現場では見栄を張るため自分も祖母のように子役女優でハリウッドで活躍していると言い切り同じ年の子役女優に嫉妬させる。また母親から言づけられたセリフを祖母に伝えると、演技とはまったく悟られずうまく取り入るシーンは見もの。
マノン・ルノワール(演:マノン・クラヴェル)
吹き替え:松岡依都美
ファビエンヌが撮影中の映画『母の記憶に』の中のエイミーの母親役。サラの再来といわれているがそのことに本人もプレッシャーを感じる日々。ファビエンヌはマノンがこの映画に出ることを知り出演を受けたという。彼女の存在は、ファビエンヌとリュミールとの絆を結ぶのに一役買っている。
リュック(演:アラン・リボル)
吹き替え:伊藤和晃
ファビエンヌの公私共に長年世話をしている個人秘書。ファビエンヌが過去に答えたインタビュー、過去に出演した映画などすべてを把握している。長年ファビエンヌの屋敷に一緒に住んでいるが、自伝本に自分の存在が全く出てこないことから落胆、辞任して家を出ていく。が、しばらくして舞い戻ってくる。ファビエンヌは彼無しでは日常生活もままならない。息子が一人おり、息子夫婦はノルマンディー地方に家を建てて住んでおり孫が6人いる。
ジャック(演:クリスチャン・クラエ)
Related Articles関連記事
ガタカ(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『ガタカ』とは1997年にアメリカで製作されたSF映画。 遺伝的優劣によって人生が左右される近未来社会の中で、遺伝的問題を抱えた1人の青年が不屈のチャレンジ精神で人生を切り開き、夢を叶えようとする姿を描いている。遺伝子がすべてと言われる世界の中で、当り前である概念を打ち砕き、不可能を可能としようとする姿に周囲が心動かされていくヒューマンストーリーでもある。現実感のある設定と名言の詰まったセリフの数々は、見る者の心に訴えかけ、今もって語り継がれる作品となっている。
Read Article
ダンサー・イン・ザ・ダーク(Dancer in the Dark)のネタバレ解説・考察まとめ
『ダンサー・イン・ザ・ダーク』とは、2000年公開のデンマーク映画。監督はラース・フォン・トリアー。世界的に知られる歌手・作曲家のビョークが主演を務めた事で話題になった。どこまでも救いようの無いストーリー展開とショッキングなラストも相まって、公開後10年以上経った今も尚「後味悪い系、鬱映画」の代表として君臨し続けている。また、作中の楽曲もビョークが手掛けており、その中でも「I've Seen It All」はゴールデングローブ賞、アカデミー賞ともにノミネートされるなど高評価を得た。
Read Article
いまを生きる(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
ニューイングランドの全寮制名門進学校「ウェルトン・アカデミー」を舞台にした1989年のアメリカ映画(日本公開は1990年)。 同校へ型破りな英語教師ジョン・キーティングが赴任してきた事をきっかけに、生徒たちが自主性に目覚め夢を持つようになる物語。 1989年アカデミー賞脚本賞、同年英国アカデミー賞作品賞・作曲賞など数々の賞を受賞。 ニューイングランドの初秋から冬にかけての風景も魅力的。
Read Article
万引き家族(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
万引き家族(英題:Shoplifters)とは、2018年に公開された日本映画である。監督は『そして父になる』などで知られる是枝裕和。主演はリリー・フランキーと安藤サクラ。 第71回カンヌ国際映画祭において最高賞のパルム・ドールを獲得するなど、国内外で高い評価を受けた。 貧困のなか、万引きによって生計を立てながら身を寄せ合う家族6人の姿を描く。
Read Article
そして父になる(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『そして父になる』とは、”赤ちゃん取り違え事件”を扱った、2013年制作の日本映画。TVドキュメンタリー出身の是枝裕和が監督・脚本・編集を担当し、主演の福山雅治が初の父親役を演じた。第66回カンヌ国際映画祭では見事に審査委員賞を受賞し大きな話題となった。ある日、突然6年間育てた息子が病院で取り違えられた他人の子どもだったと知らされた対照的な2組の夫婦が、過酷な決断を迫られ、それぞれに葛藤を繰り返す中で本当に大切なものを学んでいく姿を描く。
Read Article
歩いても 歩いても(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
兄の命日に久々に実家に集まった横山家。しかし次男の良多は父と折り合いが悪く、気が重い。食卓には母の作った手料理が並び、思い出話に花が咲く。そんな何気ない会話の中に、家族それぞれが抱えた事情が見え隠れする。どこにでもある家族の夏の一日を静かに繊細に描いた、是枝裕和監督の思いが詰まったホームドラマ。
Read Article
デイブレイカー(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『デイブレイカー』とは、オーストラリア出身のスピエリッグ兄弟の監督・脚本によるSFアクション・ホラー。人口の9割以上がヴァンパイアと化した近未来を舞台に、人間の減少により血液不足に陥った状況を解決するために代用血液の開発を進めていたヴァンパイアの男が、人間とヴァンパイアの双方を救う新たな道を探ろうとする。09年・オーストラリア・アメリカ製作。
Read Article
海街diary(実写映画)のネタバレ解説・考察まとめ
「海街diary」とは、「そして父になる」「誰も知らない」などで国際的にも評価の高い是枝裕和監督により映画化、2015年6月に公開された。原作は吉田秋生による漫画作品である。鎌倉を舞台に、異母妹を迎え4人となった姉妹の、共同生活を通して家族としての絆を紡いでいく1年の物語。
Read Article
GODZILLA ゴジラ(モンスターバース)のネタバレ解説・考察まとめ
『GODZILLA ゴジラ』とは、2014年に公開されたアメリカの怪獣映画。日本を代表する特撮である『ゴジラシリーズ』に、ハリウッドが本気で取り組んだ意欲作である。監督はギャレス・エドワーズで、キャッチコピーは「世界が終わる、ゴジラが目覚める。」。興行収入5億ドルを超える大ヒットを記録し、アメリカ版怪獣映画シリーズ『モンスターバース』の最初の作品ともなった。略称は「ギャレゴジ」。 日本で巨大生物ムートーが復活。これを追うように怪獣たちの王ゴジラも活動を開始し、両者の戦いに人類は翻弄される。
Read Article
ベイビー・ブローカー(是枝裕和)のネタバレ解説・考察まとめ
『ベイビー・ブローカー』とは2022年に公開された韓国映画である。監督は日本人である是枝裕和。2022年5月に行われたワールドプレミアでは、上映終了後12分間にも及ぶスタンディングオベーションが起こった話題作だ。赤ちゃんポストに入れられた乳児をこっそり連れ出し子どもを望む夫婦へ違法に売る2人の男。ひょんなことから赤ちゃんを置き去りにした母親が現れ、一緒に養父母を探すことになる。養父母を探す旅に出た彼らを現行犯逮捕しようと、2人の刑事が尾行していた。それぞれが複雑な状況を抱え物語は進んでいく。
Read Article
ハリウッドや海外女優のビフォーアフター画像まとめ
美貌と演技力でファンを魅了する海外女優たち。そんな彼女たちも平等に年を取るものです。ここでは彼女たちの若かった頃と年老いてからの画像を交互に並べました。少女時代とベテラン時代、それぞれの魅力を堪能してくださいね!
Read Article
後味の悪いバッドエンド映画10選【ダンサー・イン・ザ・ダークほか】
世の中にはあらゆるジャンルの映画が存在し、中には観た者の気分を憂鬱の底に叩き落す強烈な鬱映画も存在する。ここではバッドエンドを迎える映画や後味の悪くなる映画を10本選んで紹介する。単純に「つまらない」と評価される映画やホラー映画は除外している。
Read Article
目次 - Contents
- 『真実』の概要
- 『真実』のあらすじ・ストーリー
- プロローグ
- 自伝本に書かれている「真実」
- ファビエンヌの撮影現場
- 秘書リュックとファビエンヌ
- サラを想うファビエンヌ
- サラを想うリュミール
- ファビエンヌの心情
- 母娘の歩み寄り
- 言葉にする「真実」、言葉にしない「真実」
- 『真実』の登場人物・キャラクター
- 主人公
- ファビエンヌ・ダジュヴィル(演:カトリーヌ・ドヌーヴ)
- リュミール(演:ジュリエット・ビノシュ)
- その他
- ハンク・クーパー(演:イーサン・ホーク)
- アンナ・ルロワ(演:リュディヴィーヌ・サニエ)
- シャルロット(演:クレモンティーヌ・グルニエ)
- マノン・ルノワール(演:マノン・クラヴェル)
- リュック(演:アラン・リボル)
- ジャック(演:クリスチャン・クラエ)
- ピエール(演:ロジァー・ヴァン・フール)
- 『真実』の用語
- 自伝本『真実』
- サラ
- 『母の記憶に』
- 『ヴァンセンヌの森の王女』
- セザール賞
- 『真実』名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 名言・名セリフ
- ファビエンヌ・ダジュヴィル「真実なんて退屈だわ」
- ファビエンヌ「ひどい母親で下手な女優であるより、ひどい母親、ひどい友人でも大女優のほうがましでしょ。あなたが許してくれなくてもファンは許してくれるから」
- ハンク「本当は、嫉妬させたかったんじゃないの?」
- リュミール「これはママの魔法?」「ママを許しそうだから」
- ファヴィエンヌ「あなたがいなくなってとても孤独だった」
- 名シーン・名場面
- ファビエンヌとリュミールの母娘和解のシーン
- 『真実』裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 「1日8時間」のルール
- 小道具
- 白い三角形の物体
- シャルロットのカメラ
- 言葉の違い、文化の違い
- 監督の日常へのこだわり
- 『真実』の主題歌・挿入歌
- ED(エンディング):アレクセイ・アイギ『La famille de Lumir』