借りぐらしのアリエッティ(ジブリ映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『借りぐらしのアリエッティ』とはメアリー・ノートン著書の『床下の小人たち』を原作として、米林宏昌が監督のスタジオジブリ制作アニメーション映画である。最終興行収入は92億5000万円で2011年に日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞。とても美しい映像は劇中の音楽とよく合い、見ている人を夢中にさせた。人間に見られてはいけない小人が、人間の家で物を借りながらどのように隠れて暮らすのか、そして短い間に築かれていく小人であるアリエッティと少年の翔との友情と絆を描く。
アリエッティ像が完成したきっかけは髪留めの洗濯バサミ
可愛らしく、手のひらに乗っているような小人だと、翔と対等なキャラクターにならない為、アリエッティと翔を画面の中で対等な関係のキャラクターにするのがテーマだった。そして、主人公らしいキャラクターの個性に悩んでいた時に、最初に思いついたのがアリエッティが髪留めとして使用している洗濯バサミである。洗濯バサミを使用して髪をアップにしている絵が描けた時、初めてアリエッティ像が完成した。
本作のロケ地は小金井市の「はけの小路」
スタジオジブリの近くにある小金井市の「はけの小路」という場所は、関係スタッフが訪れ湧き水が流れている小さな溝やその周りに生えている植物などをアニメーション制作の参考にした。他にも最後の翔とアリエッティが会話するシーンや引っ越しの手段として使用した川などにも参考にされた。また、同市にある「野川」は「はけの小路」から下った所にあり、アニメーション映画の中と似たような風景を見ることができる。
主題歌に起用されたセシル・コルベルは鈴木敏夫宛にCDを送っていた
スタジオジブリの作品に影響を受けていると考えたセシル・コルベルは、スタジオジブリの鈴木敏夫にCDを送った。鈴木敏夫が『借りぐらしのアリエッティ』の曲を考えている時にセシル・コルベルから送られてきたCDを聞いて、イメージとピッタリということもあり起用した。最初はフランス語で歌っていたが、日本語で歌って欲しいとジブリが要望し日本語版ができた。
他に適任が居なかったから米林宏昌を監督として起用した
「監督をする人が他にいなかった」そして「単なる感だ」という風に宮崎駿監督は語っている。
本作は宮崎駿監督が20代の時に映画化しようとしていた
宮崎駿監督が20代の頃は、アニメーション界はオリジナルの物ではなく、皆がよく知っている内容でないと受け入れられない時代であった。そんな時に出会った原作『床下の小人たち』は、とても新鮮に感じられ、そういう物が映画にならないだろうかと考えていた。しかし、その時代では絶対に企画が通らないと思い、映画化を断念したのだった。
本作の舞台を原作と変えた理由は若者に今暮らしている隅々を見つめ直して欲しいから
原作はイギリスだが、「現代の日本を舞台にしないとお客さんが見に来ない」という理由で舞台を現代日本へ変更した。また宮崎駿監督は、「現代の人は私が若い頃に比べて他国の文化に対して憧れがなく、それ以外のことに対しても好奇心に欠けている。人が暮らしてきた歴史や、物を作る使うだとか食べることや、自分たちの先祖のことに対しても好奇心を失っているため、映画を作る土俵を自分たち自身で小さくしている」と語り、それならば、イギリスよりも日本の古い屋敷や中身、壁の間から縁の下など、そういった自分たちが住んでいる隅々を、もう一度見つめ直してほしいと思ったこともきっかけであると語っている。
宮崎駿監督から見る米林宏昌監督は人徳がある人間
宮崎駿監督は、「米林宏昌監督はクイックアクションレコーダーを使いこなした人間」という風に語っている。クイックアクションレコーダーとは、原画や動画を描いた物の動きをチェックするための機械であるが、宮崎駿監督は点検したいところやタイミングなどの判断に悩んだ際にクイックアクションレコーダーを使用する。しかし米林宏昌監督は、最初からクイックアクションレコーダーを使用する。当初は宮崎駿監督もそんなことをするなと注意をしていたが、米林宏昌監督の良いところを無くしてしまうことになるため、注意することを辞めた。宮崎駿監督は、「麻呂は飾らないで油断したまま生きているからみんな結構、麻呂のこと好きなんですよ。そういう人徳な部分がある」と語っている。
麻呂というあだ名でカオナシのモデルである小林宏昌監督
1973年7月10日に石川県で生まれ、現在は47歳。会社では「麻呂(まろ)」というあだ名で呼ばれている。新人歓迎会の時に何故か「お前は麻呂だ」と言われ、それ以降このあだ名が定着している。『借りぐらしのアリエッティ』の監督をしてくれと言われたとき、監督というのは、世間に対して考えや言いたいことがある人がやったほうが良いと思っていたため「無理だ」と伝えたが、「原作に全てヒントが入ってるから大丈夫だ」と言われるがまま監督を引き受けることになった。ちなみに『千と千尋の神隠し』のカオナシのモデルである。
『借りぐらしのアリエッティ』の主題歌・挿入歌
OP(オープニング):セシル・コルベル『The Neglected Garden(荒れた庭)』
ED(エンディング):セシル・コルベル『Arrietty’sSong』
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目次 - Contents
- 『借りぐらしのアリエッティ』の概要
- 『借りぐらしのアリエッティ』のあらすじ・ストーリー
- 初めての借り
- 小人の存在
- 引っ越し先の検討
- アリエッティから翔へ引っ越しの報告
- ホミリーの誘拐
- 引っ越しとお別れ
- 『借りぐらしのアリエッティ』の登場人物・キャラクター
- 小人
- アリエッティ
- ポッド
- ホミリー
- スピラー
- 人間
- 翔
- ハル
- 貞子
- その他
- ニーヤ
- なつみ
- 『借りぐらしのアリエッティ』の用語
- 借り
- 借りぐらし
- 獲物
- 『借りぐらしのアリエッティ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 名言・名セリフ
- ポッド「決して、手を出してはいけないよ」
- ポッド「お前は家族を危険にさらしているんだぞ」
- 翔「君たちは滅びゆく種族なんだよ」
- アリエッティ「守ってくれて嬉しかった、いつまでも元気でね」
- 翔「君は僕の心臓の一部だ」
- 名シーン・名場面
- アリエッティが初めての獲物を見つける
- アリエッティと翔の目が合う
- カラスが網戸に挟まり大騒動
- 小人を捕獲するために鼠取りの業者を探す
- ハルが小人を見つけてしまう
- 目で会話するアリエッティと猫のニーヤ
- 『借りぐらしのアリエッティ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 裏話・トリビア・小ネタ
- 小物だけではなく、ガスや水も借りていた
- アリエッティの住む家は全てポッドの手作り
- エピソード・逸話
- アリエッティ像が完成したきっかけは髪留めの洗濯バサミ
- 本作のロケ地は小金井市の「はけの小路」
- 主題歌に起用されたセシル・コルベルは鈴木敏夫宛にCDを送っていた
- 他に適任が居なかったから米林宏昌を監督として起用した
- 本作は宮崎駿監督が20代の時に映画化しようとしていた
- 本作の舞台を原作と変えた理由は若者に今暮らしている隅々を見つめ直して欲しいから
- 宮崎駿監督から見る米林宏昌監督は人徳がある人間
- 麻呂というあだ名でカオナシのモデルである小林宏昌監督
- 『借りぐらしのアリエッティ』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):セシル・コルベル『The Neglected Garden(荒れた庭)』
- ED(エンディング):セシル・コルベル『Arrietty’sSong』