傷物語の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ
『傷物語』とは、西尾維新による「化物語」のシリーズ作品の一つ。
主人公「阿良々木暦」の前日譚であり、怪異と呼ばれる怪奇現象に暦が関わることとなった、一番最初のきっかけとなる事件である。
ある日、遭遇した吸血鬼に血を吸われ、暦は吸血鬼となってしまう。そんな中、自分達を退治しにやってくる怪異の専門家たちと戦っていく、暦の春休みを描いたストーリー。
深く重い内容となっており、数々の名言も輩出されている。
吸血鬼ハンターの一人、エピソードとの対決の際に、エピソードが放ったセリフである。
本来、殺すのだから後遺症も何もない。こういった、わざと文法を崩して印象的な日本語を作り出すのは作者の西尾維新の鉄板の一つであり、西尾維新らしさが表れた名言といえる。
お前をないがしろにしてまで人間に戻ろうとは思わないんだよ。
キスショットの奪われた四肢をハンターたちから取り戻す。それによってキスショットは完全回復し、ひいてはそのキスショットの力で、暦も吸血鬼の体から人間に戻れる可能性が出るという。
キスショットは本来化け物であるとしても、力を失ったキスショットはただの可愛らしい子供に過ぎず、現在はハンターに狙われる弱者という立場である。さらに言えばキスショットとは形の上では主従であり、なし崩し的に信頼関係を築いていた暦は、人間に戻るためだけでなくキスショットのためにも、ドラマツルギー、エピソードとの決闘で順調に四肢を取り返していく。
エピソードとの対決の際に羽川を巻き込んで命の危険に晒してしまったことがあり、、暦は今度は突き放すのではなくちゃんとした決意のもと、羽川に「離れていてくれ」とお願いする。その際に続けて述べた、上記のセリフである。それほどまでに羽川に傷ついてほしくない、という想いが感じ取れる。
人間に戻るという願いよりも優先すべき友達ができた、暦の強い意志である。
パンツは返さないけれど、その代わり恩は絶対に返す。羽川にとって必要な時にたとえ何もできなくたって、僕は絶対にそこにいる。恩返しをすることが、今日から僕の生き甲斐だ。
ハンターたちとの戦いが終わるまで離れて見守ることを羽川に了承させ、代わりに「全て終わって、人間として学校に戻ってくるのを待っていてくれ」と暦はお願いする。そんな暦に、羽川はおもむろにスカートの下からパンツを脱いで手渡した。暦がパンツ好きだという理由から、「新学期に返してくれ」という約束の証のような形である。しかしそこで、暦が「家宝にする」などと過剰な反応を見せ、羽川は返却を要求するが、暦は上記のセリフで誤魔化そうとするのだった。
パンツというアイテムと状況でなければ、後半の字面だけ見れば単純に男らしくかっこいい、名言とも迷言とも言われているセリフである。
相手のために死ねないのなら、私はその人を友達とは呼ばない。
芯の強い羽川らしさが表れた、羽川による強烈な一言。
本当に心の底から友達だと思っていても、実際にその人のために死ねると迷いなく断言できる人間は多くはないだろう。そんな中で、その人のために死ねなければ「友達とは呼ばない」とまで断言している羽川は、相当に芯の強い人物であると窺える。
事実、羽川はエピソードと暦の戦いに巻き込まれて死にかけてもなお暦に関わることを辞めなかった。そんな羽川が言うセリフであるためより心に響くものとなっている。
なんじゃ。うぬ、眼鏡で三つ編みのあの携帯食……持って来んかったのか?
三人目のハンター・ギロチンカッターとの戦いに勝利した暦は、キスショットに打ち上げをしようと提案した。食料を調達して戻ってきた暦が目にしたのは、キスショットがあたかも当然のようにギロチンカッターを殺し食べているという凄惨な光景だった。呆然とする暦に、キスショットが追い撃ちのようにこのセリフを投げかけた。
羽川のことを「携帯食」と当然のように呼ぶキスショットに、暦は「吸血鬼を助ける」という行為の意味を自覚した。吸血鬼である自分は圧倒的に人間の敵であり、キスショットを助けてしまった自分が圧倒的に加害者であると自覚させられる。物語が一転する瞬間の一言といえる。
見方によって正義はいくらでも反転する、という教訓をはらんでいる衝撃的なシーンである。
自分の問題だろ。
人間の敵であるキスショットと、人間であろうとする暦は決別し、殺し合いに発展した。しかし、キスショットは最初から暦に殺される腹積もりだった。何百年も生きた吸血鬼キスショットは、ずっと、死にたいと思うほどの退屈の中にいた。日本に来たのもそもそも死に場所を探していた故であり、暦に殺されることを望んでいた。
それを知った暦は、キスショットにとどめをさすのを躊躇う。ここでキスショットを殺せば暦も人間に戻れるのだが、それでも殺せないのが暦という人間だった。
自分じゃどうにも動くことができず、居合わせた忍野に「依頼だ」と言って状況の解決を頼む。渋る忍野に、「金は払う」と言う暦だが、「金の問題じゃない」と返ってくる。そうして、次に忍野が返したセリフが上記のものである。
自分が招いてしまった出来事は、自分で責任もって選択すべきだという、忍野の厳しい一言である。
みんなが不幸になる方法ならある。
忍野に「みんな幸せに終わるために、何とかしてくれ」と頼んだ結果、前述の名言と共に続けて、返ってきたセリフである。
暦がキスショットの吸血鬼としての能力を最大限奪うことでキスショットは最大限弱体化し、故に吸血鬼としての能力を奪った暦は結局人間には戻れず、結果としてキスショットは生きているため人類としても脅威は残ったまま。そういう手段があると忍野が提案してきた。
全員が幸せになるような、都合のいい話はあるわけがない。ならばせめて、全員が傷を負い、全員で不幸を背負うという選択肢もある。何を選んでもバッドエンドにしかならないが、忍野はあくまで暦自身に選ばせる。チャラいだけではない忍野の、厳しい大人としての側面が見える。
一度とは言わない――――従僕らしく、何度でも頭を下げよう。だから格好良く死のうとなんてせず――――無様に生きてくれ。死に場所じゃなくて、生きる場所を探してくれ。
忍野の提案を受けて、キスショットは「殺してくれ」と必死に願う。しかし暦はそれを聞き入れることなく、迷いなく上記のセリフを口にした。
何も知らずに無責任に助けた時とは違い、きっちり責任持って決断した、暦のわがままであり、残酷な言葉である。
ごめんな、キスショット。僕はお前を、助けない。
前述のセリフを言い放ってなお、キスショットは「殺してくれ」と懇願する。そんなキスショットに、続けて暦が放ったセリフ。
自分のわがままのためにキスショットの「救い」を無下にした。その責任を噛み締めるように暦が最後に放った、「傷物語」の代名詞的セリフである。
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目次 - Contents
- 『傷物語』の概要
- 『傷物語』の名言・名セリフ
- 友達を作ると、人間強度が下がるから。
- ざーんねん。友達、できちゃったね。
- 宇宙人がいるかどうかを先に訊け!
- 次の人生じゃ、絶対にうまくやる。要領のいい、人間関係をうまくかわせて、細かいことでいちいち罪悪感を抱かない、悩むことなく無作為に行動できる、我を通すことに何の疑問も抱かないような、嫌なことは全部他人のせいにできる、そんな人間に生まれ変わってやる――だから! 僕がお前を助けてやる――僕の血を吸え!
- 正義の定義は人それぞれさ。他人を簡単に否定しちゃあいけないよ。
- 何かいいことでもあったのかい。
- 僕と友達になってください。
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