「PSYCHO-PASS」1期と新編集版の違いまとめ！槙島聖護のセリフや過去シーンで読み解かれる物語！【サイコパス】

佐々山 分かったよ。
狡噛 佐々山…ぐはっ。
佐々山 気に入らなければ俺を撃て。それがお前の仕事だ。
－－－「犯罪係数282」「刑事課登録執行官佐々山光留任意執行対象です」

狡噛 行くな佐々山！佐々山！

佐々山 やっぱり狡噛か。
狡噛 現場はギノたちに任せて俺だけ抜けてきた。佐々山お前今どこにいる？GPSは生きてるが地図が真っ黒で何も分からん。
佐々山 抜けてきたってお前…。いいのかよ。
狡噛 お前に言われたくない！とにかく合流しよう。嫌な感じがする。1人で無茶はするな！

佐々山 ハァ…分かった。ただ俺も自分がどこにいるか…。やたらと入り組んだ路地でな。

佐々山 槙島！
狡噛 マキシマ？おい何だ！？
佐々山 悪いが説明は後だ。俺はあいつを追う！
狡噛 おいちょっと待て！どういうことだ！？
佐々山 あいつの行く先に必ず藤間がいるはずなんだ。たぶんあいつは標本事件の手引きを…。

狡噛 おい！佐々山佐々山！
（ノイズ音）
狡噛 くそっ電波が届かん！
（ノイズ音）

宜野座 シェパード2先行し過ぎだ。今どこにいる？
狡噛 ハウンド4が…佐々山が見つからない。
狡噛 どうなってる？あいつはどこに行った？
宜野座 落ち着け狡噛。状況がつかめないいったん戻れ！

狡噛 佐々山を連れ戻す！

狡噛 佐々山…。

あらすじ

会話の微妙なズレから、タリスマンに続きスプーキーブーギーの所有者も殺されていることを見破る狡噛。同級生を巻き込んだことを後悔する朱。

公安局の面々は、コミュニティサイトのアクセスログを解析し、所有者が殺された直後にサイトへのアクセスを止めた（=スプーキーブーギーを乗っ取った可能性がある）ユーザーを割り出す。浮かび上がった容疑者は港区に住む御堂将剛。執行官並びに監視官はすぐさま御堂がアクセスしていたマンションへと向かうが、待っていたのは爆弾だった。単独犯とは思えない、槙島の影を示唆する狡噛。

最後のアクセスポイントであるホテルまで犯人を追い詰める朱、慎也と征陸。「御堂の個性は無」と槙島は彼を切り捨てた。犯罪係数300を超えていた御堂は最後はアバターにも裏切られ、ドミネーターで処分される。

同級生を失った朱を気遣い、宜野座は狡噛が元監視官だったという記録を朱に渡す。

（港区と言えば、新橋が廃墟になってましたが未来では荒廃した地域なのかな）

新編集版第四話（7～8）『紫蘭の花言葉』＆『あとは、沈黙。』

ユーストレス欠乏性脳梗塞でほぼ脳死状態にある王陵 牢一（おうりょう ろういち）の絵を前にしての、槙島の独白。シビュラシステムの普及により結果廃人となった父親の復讐の、さらに向こう側の意義を見出して欲しい、と理香子には関心をもっていた。

大抵の人間は、牛や鳥は殺せても、チンパンジーはそう簡単にはいかないだろう。
少し人間に似ているし、何より絵を描くことができる。

もし魚が絵を描いたとしよう。
何を考えているのかは解らなくても、絵を描く動物は殺し難くなる。
感情があるのではないか？直感的に僕達はそう感じるはずだ。
表現するということには、それくらいの価値がある。

近代に入って、社会は絶対的な価値観の追求を諦めた。
相対的な、偏差値的な世界観を中心に据えるようになった。
しかしそれは、絶対的なものは無用になったからではなく、酸っぱい葡萄だとして切捨てに掛かったに過ぎない。
手に入れ難いから、最初からなかったことにしよう…と。

そこにシビュラシステムが現れた。
システムは文化や芸術にも介入するようになった。
シビュラ認定芸術家、シビュラ推奨作品…。

ブラックボックス化された独自の判定基準によって、発展に必要な苦悩と対立が減少してしまった。表現することを侮るようなやり方は、やがて社会に致命的な停滞をもたらす。

王陵璃華子の死に際して、最後の台詞だけをカット

念のため、最後に質問しておきたい。王陵璃華子、何故僕を失望させることになったのか、君自身に自覚はあるかな？

---何の話です？

うん、自覚がなければ反省のしようもない。やはり、君にはこれ以上の成長は期待できないようだ。残念だよ。はじめはもっと、前途有望な子だと思っていたんだが。

グソン
いいんですか？あの娘、結構お気に入りだったんでしょうに。
槙島
ああ。もっと面白いおもちゃが見つかったからね。ちょっと、情報を集めて欲しい。昼間学校に来ていた公安局の…おそらくは執行官。狡噛というそうだ。
グソン
そりゃまた、妙な奴に目をつけましたね。
槙島
ああ。あの洞察力と理解力。とても興味深い。

（きっと、楽しませてくれるんじゃないかな。（新編集版ではこの台詞のみカット））

オリジナル第一期にもあった狡噛に初めて興味を抱くシーン。
ただ、最後の「きっと、楽しませてくれるんじゃないかな」という台詞がカットされていることで、人間として興味をもっている雰囲気が強まっている。

あらすじ

噴水で発見されたバラバラ死体は、かつて狡噛が部下佐々山を失い、自身も執行官へと落ちた標本事件と酷似していた。標本事件に拘る狡噛を前線から外す宜野座。

遺体は桜霜学園の葛原沙月という女生徒で、それは標本事件の重要参考人であり消えた藤間の勤務先だった。使われた死体保存液も、標本事件と同じ。

操作から外された狡噛はお目付け役の朱に、「強くて優れた武器を扱うからこそ、その使い手はより強くタフでなきゃいけない。相手を殺すのは、ドミネーターじゃなく、この俺だと」と、トレーニングに励む。朱はそんな狡噛に標本事件について、狡噛の過去を知ってしまったことを告げ、佐々山について知る。

一方で桜霜学園では再び行方不明者が。学生時代の霜月は、関わらないことを決め、友人を突き放してしまう（友人は王陵理香子に相談しにいく）。グソンの協力を得て理香子は次の被害者を保存し、相談してきた幼なじみ（霜月の友人）も殺してしまう。

王陵理香子の犯行の動機は、父親にあった。シヴィラシステムの登場により芸術家としての役目を終え、更にそれがもたらしたストレスケアに耽溺してしまったため、ユーストレス欠乏性脳梗塞に陥り脳死状態に。

死体のモチーフから、王陵 牢一と事件の関係を突き止めた狡噛。学園にその血縁者、理香子がいることを知った朱と狡噛は理香子の元へ。ホロで女子高生に変装したグソンによって理香子はその場を逃れるが、槙島に失望された理香子は泉宮寺 豊久の狩りの獲物にされてしまい殺される。

新編集版第五話（9～10）『楽園の果実』＆『メトセラの遊戯』

第二期でもキーパーソン的役割を期待される、雑賀 譲二（さいが じょうじ）の教授時代の授業を研修として受ける、狡噛と宜野座のシーンが挿入。

後にこの研修を受けた受講生のサイコパス悪化が問題となり、講座の終了、及び雑賀は教授の座を退き隠遁生活にはいる。

雑賀
個人主義の高揚は暴力を助長する。
フランスの社会学者ミシェル・ヴィヴィヨルカの著作からだ。

更にヴィヴィヨルカは主体を奪われた個人が、その不可能性を覆すための暴力もあり得る、と展開した。

私はシビュラシステム運営下で最も恐ろしいのは、そういうタイプの犯罪だと思っている。

何故なら犯罪者は、動機が個人的な欲望から遠ければ遠いほど、刑事にとっては手強い相手となるからだ。

宜野座（つぶやき）
そのための色相チェックや、犯罪係数解析じゃないのか
雑賀
もちろん、犯罪係数を解析すれば一発だ。だが、堤防が決壊する瞬間のように、突発的…かつ、同時多発的に暴力が発生する可能性は否定出来ない。

狡噛
すみません、堤防を決壊させるには、何らかの方法で、シビュラシステムの監視をくぐり抜ける扇動者の出現が、絶対条件であるように思えたのですが。

ふむ。きみぃ、狡噛慎也監視官だったね。

はい

そんな煽動者が現れた時、今の公安局は有効な対策をこうじることが出来ると思うか？

第一期版10話部分冒頭、槙島の独白

君なんだな。僕の犯罪に発生した、現時点最大の摩擦は。

君の持つコンパスは正確か？
僕はこの世界において、限りなく罪と罰から遠い場所に立っている。
通常の手段で僕に追いつくことはできない。
そのためには、君は…頭の中に、とても正しいコンパスと地図を持っていなければいけない。

昔から、一人遊びが苦手だった。
僕はどんな時でも、二項対立を欲しがった。
戦うこと、競うことを思い切り楽しんでから、脱構築主義者みたいに、二項対立そのものをずらしていく作業が好きだ。
（狡噛の静止動画をみながら）君は、どの程度なんだ。

時々、自分がどの程度なのかを確かめたくなる。
自分の位置と、自分の強さを、試したくなる。

手伝ってくれるんだろう？公安局執行官どの。

前述の「犯罪の摩擦がどんな形で現れるのか。個人だとすればそれは僕たちにとてもよく似ているはずだ」とあわせて考えれば、この時点で槙島は「自分とよく似た、戦える（遊べる）相手」として狡噛を意識しているかのような台詞。

新編集版第六話（11～12）『聖者の晩餐』＆『Devil's Crossroad』

狡噛と泉宮寺 豊久（せんぐうじ とよひさ）の対決を見守りながらの独白

西部劇的、いや、古典英雄譚的決闘と言うべきかな。
錆臭い地下の、例えるならディストピアのベオウルフ

生まれる時代も場所も、すべて間違えて、それでも僕たちはここにやってきた。
僕たちは、間違った社会に生まれた。
それでも、歩む道は間違えなかった。

もったいない。
泉宮寺さんも、僕が思っていたよりずっと摩擦に対する対処能力が高い。
今からあの二人が、突然仲良くなったりしないものか。

一度は殺しあったけど、はい、握手で仲直り。全部水に流しましょう、って。

まずいな、少し楽しみすぎてる。
自分がやっていることが綱渡りだということを、忘れるべきじゃない。

第一期では、泉宮寺氏も狡噛をテストするための手駒のようだった。
が、「あなただって、いずれ槙島先生が飽きたら棄てられるのよ」という王陵 璃華子の最後の言葉は、最後まで槙島の本質を理解していなかったことが分かる。飽きたから捨てられたのではなく、失望したから捨てられたのだ。

半ば泉宮寺の敗北を予想しながらも、彼に対して「もったいない」と敬意と親愛を示す人間らしい一場面。

泉宮寺は捨てたのではなく、彼自身の意思でデュエリストとして狡噛と決着をつけることを望んだ「人間」だった。

完璧な計画とは、全てが想定内に進むことではない。
トラブルが起きても柔軟に対応できる…そんな可塑性があってこそ完璧な計画となる。

公安局監視官、彼女への失望は想定内といえなくもない。
だけどどうだろう狡噛慎也。

お前はどういうレベルのトラブルなんだ？
どれくらいのカオスなんだ？

矛盾しているのか対立しているのか、どちらでもいい。
お前は僕に相対する概念であるはずだ。

（立ち止まり、上空を見上げ）君たちには僕が無害に見えるだろ？
虫一匹殺せない、シビュラシステムの善良な構成員の一人に。

僕のやり方に気付いたときには…もう遅い。

舩原 ゆきを朱の前で殺害、逃走後町を歩きながらの独白。