狡噛慎也（PSYCHO-PASS）の徹底解説・考察まとめ

狡噛慎也の概要

狡噛慎也（こうがみしんや）とは、アニメ『PSYCHO-PASS』シリーズに登場するキャラクターであり、公安局刑事課一係に所属する執行官。元々は監視官であったが、作中6話目の「狂王子の帰還」から遡り3年前の「標本事件」を捜査中に犯罪係数が急上昇したことをきっかけに執行官に降格。
「標本事件」は解決されおらず、狡噛は事件について調べ続けている。新人の監視官である常守朱とは考え方の違いなどから衝突することもあるが、共に行動する内に連帯感が生まれ、息のあったコンビとして活動する場面も多い。
泉宮寺豊久との交戦シーンでは、相手が武器を所持しており、自分は常守の友人を抱えながら丸腰であるという圧倒的不利な状況であった。しかし狡噛は置かれた状況を瞬時に把握し、冷静に物事に対処することによって泉宮寺を倒している。このことから、狡噛は洞察力に優れていることが伺える。また、物語の黒幕である槙島聖護とは因縁が深く、槙島は「標本事件」にも関与している。狡噛は「標本事件」について調べ続けており、物語の中盤で槙島が黒幕であることを見抜いていた。その後ノナタワーにて対面するが、直前に槙島の手先である3人の敵を相手にして負傷していたこともあり敗れてしまう。しかし、2度目の交戦中に槙島に怪我を負わせ、とどめを刺すことに成功している。

狡噛慎也のプロフィール・人物像

生年月日：2084年8月16日
血液型：B型
年齢：28歳
身長：180cm
体重：66kg
趣味：タバコ、読書
担当声優：関智一

頭脳明晰であり、冷徹かつ冷静。犯人を特定するために躊躇なく危険な行動を起こすなど、事件解決に対しての執念が強い人物である。元々は監視官であったが、「標本事件」の捜査中に犯罪係数が急激に上昇。セラピーの治療よりも捜査の続行を優先し、犯罪係数が規定値を超えたため、執行官に降格。
格闘技術に優れており、スパーリングのプログラムが最高レベルに設定されたロボットを難なく倒すほどの実力である。また読書好きでもあり、物語の黒幕である槙島聖護とは、哲学者であるパスカルやオルテガの名言を引用した会話のシーンが見られる。

他の刑事課メンバーである征陸智己や縢秀星とは仲が良く、特に征陸とは協力して犯人を追い詰めるシーンが多い。しかし、かつての同僚である宜野座伸元とは犬猿の仲であり、衝突するシーンが度々見られる。

狡噛慎也の能力

強靭な肉体

アニメ7話目の「紫蘭の花言葉」にて、狡噛がスパーリングロボットと対戦し、圧倒するシーンが映し出される。このスパーリングロボットはプログラムが最高レベルに設定されており、そばで見ていた常守が「本当に人間ですか？」と聞き返すほどである。この問いかけに対し狡噛は、「ああ それでもパラライザーで撃たれれば気絶する只のヤワな人間だ」と、少しユーモアを交えながらも、謙虚な返答をした。その直後、狡噛の筋骨隆々な上半身が映し出され、常守は見とれてしまう。また、常守の「ドミネーターほど強力な武器が支給されるのに、ここまで過剰な戦闘訓練が必要なんですか？」という問いかけに対しては、「必要だ。強くて優れた武器を扱うからこそ、その使い手はより強くタフでなきゃいけない」と返答しており、狡噛の刑事としての、犯人を必ず捕まえるといったような強い信念が伺える。実際に事件が発生し犯人と交戦するシーンでは、狡噛が苦戦するシーンはほとんどなく、唯一敗れた経験がある相手は槙島聖護だけである。この槙島に敗れたシーンに関しても、狡噛はその直前に3人の優れた格闘技術を持った相手と交戦しており、満身創痍に近い状態であった。その後2回目に槙島と交戦した際には、狡噛が槙島を打ち負かしているため、狡噛がいかに強靭な肉体をしているかが伺える。

非常に優れた洞察力

狡噛はほとんどの事件で犯人逮捕に貢献しており、その度に優れた洞察力を発揮している。1番顕著に狡噛の洞察力が表れたシーンとして、王陵璃華子の猟奇殺人事件が挙げられる。この事件は、遺体をバラバラにし、まるで芸術作品のような状態にして公園などに晒すというものであり、狡噛が調べ続けている「標本事件」と酷似していた。そのため、狡噛以外の刑事は「標本事件」を起こした犯人と今回の事件が同一犯であるという線で捜査を進めていた。しかし狡噛だけは、「標本事件」の時の犯人とは違い今回はオリジナリティやメッセージ性が無いことに気付き、他の刑事に説明することによって犯人逮捕に繋がった。また、この狡噛達のやり取りを盗撮し映像を見た槙島は、狡噛の犯人像に対する優れた指摘を聞き、満足そうに微笑む。

狡噛慎也の来歴・活躍

八王子ドローン工場での事件

八王子ドローン工場で、テスト中のドローンによってバラバラにされた死体が発見される。この工場で死傷者が出るのは1年間で3人目であり、明らかに異常な事態であるため常守以外の刑事は事故ではなく殺人を疑っていた。事件の真相は、ハッキング対策のため日頃からオフラインとなっている工場内で、その憂さ晴らしのためにいじめられていた職員（金原祐治）が起こした、いじめ加害者への復讐による殺人事件であった。その可能性にいち早く気付いた狡噛は、金原が人を殺せる人間かどうか確かめるために、わざと彼を挑発する。トイレで食事をしていた金原を強引に引っ張り出し、「人殺しの後の飯は美味いか？えぇ！？どうなんだ！！！」と詰め寄ったのだ。さらに、「ネットに言いふらしてやるよ。金原はPSYCHO-PASSの濁った人殺しだってな」と脅す。これにより金原は、狡噛を始末するためには前回と同じドローンによる殺人を行うしかなくなり、その通りに行動したため犯罪が立証された。

狡噛は迫り来るドローンと素手で交戦し、その時行動を共にしていた常守に、ドミネーターを室内で使えるようにするため、外からケーブルを引っ張って来ている他の執行官の元へ急がせる。その後狡噛の所へドミネーターが届き、金原をノンリーサル・パラライザーにより気絶させ、ドローンはデストロイ・デコンポーザー（対象の完全排除）により破壊された。

桜霜学園生徒による猟奇殺人事件

優秀な生徒が集まる全寮制の女子高校である桜霜学園にて、遺体をバラバラにし、まるで芸術作品のような状態にして公園などに晒すという猟奇殺人事件が起こる。この事件では、死体に樹脂を浸透させて保存可能な標本にする技術であるプラスティネーションが活用されており、その内容は狡噛が3年前から追っている「標本事件」と酷似していた。犯人である王陵璃華子は、この事件の裏で手を引いている槙島の仲間である泉宮寺豊久によって処分される。

その後、狡噛は常守の友人である船原ゆきを囮に、まるで対戦ゲームのステージのような地下広場へと連れ込まれ、そこで待機していた泉宮寺との殺し合いを余儀なくされる。船原を庇いながらであり、他の刑事が駆けつけるまでドミネーターを使えないというかなり不利な状況であったが、狡噛は泉宮寺を倒すことに成功した。しかし狡噛自身も重症を負ってしまい、泉宮寺を倒した直後に現れた槙島とは会話すらままならず、相手の姿形の認識も不鮮明であった。

槙島はその後船原を連れ出し、途中駆け付けてきた常守と対峙する。船原を殺そうとする槙島にドミネーターを向ける常守だったが、信じられないことに彼のPSYCHO-PASSはクリアカラーのままであり、ドミネーターでは裁くことが出来ず、常守は目の前で友人を殺されてしまう。この事件をきっかけに、槙島は200万人に1人の確率で発生しうる、犯罪を犯してもPSYCHO-PASSが濁らない特異体質である「免罪体質者」だと判明した。

槙島聖護との対峙

厚生省ノナタワーでの交戦

街中の病院にて、怪しいヘルメットを被った男が向精神作用の薬物を要求し、それを拒絶した職員を刃物で殺害するという事件が発生した。この事件の不可解な点は、すぐ近くに設置されていたスキャナが、この犯人のPSYCHO-PASSを終始クリアカラーと判定していたことであり、これは異常の事態である。刑事課は犯人が被っていたヘルメットに犯行の秘密が隠されていると判断し、すぐに捜査に乗り出した。しかし似たような事件が街で頻発し、ついには一般市民とヘルメットを被った集団が互いに殺し合う暴動にまで発展する。

狡噛は、このヘルメットに関して、普通の人間は「シビュラシステムを無効化する装備を作ってみよう」と思った時点で色相が濁ると考え、作ったのは免罪体質者である槙島だと判断する。さらに、この騒動を公安局が対処している内に、槙島達はシビュラシステムの中枢である厚生省ノナタワーを襲撃するだろうと考え、槙島達がノナタワーに移動しているのを追うようにして、狡噛達も向かった。ノナタワーに到着後、狡噛は常守と共に最上階にいるであろう槙島の所まで向かう。
途中、相手側が用意した精鋭の敵の攻撃に負傷しながらも、狡噛はついに槙島と対峙することとなった。狡噛は出会い頭、「この場で殺してやる」と意気込み槙島に挑んだが、返り討ちにあってしまう。あと一歩のところで殺されそうになるも、後ろから追ってきた常守がヘルメットで槙島の後頭部を強打し、彼が気絶したため事なきを得た。その後槙島は身柄を確保されヘリコプターにて厚生省に向かうが、道中にシビュラシステムの一員にならないかと勧誘してきた局長の提案を断り、殺害されそうになった所を返り討ちにし、ヘリコプターから脱出している。

ウカノミタマウイルスの管理センターにて

狡噛は、槙島が日本の食料自給を崩壊させるため、単独でバイオテロを仕掛けるだろうと考え、ウカノミタマウイルスの管理センターへと向かう。狡噛の後を追って来た他の刑事課のメンバーも程なくして到着し、槙島のバイオテロを阻止することに成功する。しかし槙島は刑事課との交戦中に執行官である征陸智己を死に至らしめ、監視官の宜野座伸元にも重症を負わせた。その後狡噛は槙島とノナタワー以来2度目の対峙をする。序盤では槙島に押され気味の狡噛であったが、機転を利かせて槙島を負傷させることに成功。そのままとどめを刺そうとするも、すんでの所で常守に阻止される。

狡噛は常守に「槙島はパラライザーで麻痺させるだけ」と言われドミネーターを渡される。そして常守とともに槙島を確保するために動き出すが、近くでトラックに乗り、息を潜めていた槙島が車を急発進。危うく轢き殺される所であったが、狡噛はギリギリで躱し、常守はトラックにしがみついた。常守はそのまま、携帯していた拳銃でタイヤを撃ちパンクさせることに成功し、トラックは横転する。槙島は頭から血を流しながらトラックから脱出し、麦畑の方へ走っていった。

槙島聖護の最後