封神演義(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『封神演義』とは1996年から2000年まで『週刊少年ジャンプ』にて連載されていたSFバトル漫画、およびそれを原作としたアニメ作品。作者は藤崎竜。中国最古の王朝・殷。名君であった紂王は仙女・妲己に誘惑され、国は悪しき仙人によって支配された。成す術のない人間たちの事態を重く見た仙人界は、妲己たちを封印する「封神計画」の発動を決意。「仙道のいない真の人間界をつくる」壮大な計画を託された道士・太公望は仲間と共に過酷な戦いへと挑む。

『封神演義』の概要

『封神演義』とは1996年から2000年まで『週刊少年ジャンプ』にて連載されていたSFバトルアクション漫画、およびそれを原作としたアニメ作品である。
作者の藤崎竜にとって同作品が出世作となり、累計発行部数2200万部を記録した。その後の代表作として、漫画版『屍鬼』や漫画版『銀河英雄伝説』の作画などを手掛けている。

中国の古典怪奇小説『封神演義』を原作にしているが、多くの翻案や改変が加わっており、ギャグ要素、SF要素、メタ発言や、時代錯誤な演出が乱発し、少年漫画らしく娯楽漫画に徹した作風になっている。しかし最終局面では、それらの要素全てを裏付けしていくかのような展開で物語が進んでいき、多くの読者を驚かせた。
1999年には『仙界伝 封神演義』としてアニメ化、2017年には『覇穹 封神演義』として再アニメ化され、続く2018年には本編の続編および外伝として『封神演義 外伝』が短期集中連載されている。

舞台は3000年前の古代中国、殷の王朝時代。仙女であり殷の皇后である絶世の美女、妲己の悪政により、人間界は乱れきっていた。そんな人間界を救うべく、三大仙人の一人である元始天尊(げんしてんそん)は、悪の仙道を神界に封じ込め、人間界に新たな王朝を作る計画「封神計画」の遂行を、弟子である太公望に一任する。宿敵である妲己を倒すため、人間界に平和をもたらすために、太公望は優秀な頭脳と人格を活かし多くの仲間を集めて封神計画を進めていく。しかし物語が進むにつれ、封神計画の内容に多くの矛盾点が生じ、次第に明かされていく新事実に太公望と仲間たちは翻弄されていく。

『封神演義』のあらすじ・ストーリー

封神計画発動

霊獣の四不象(スープーシャン)に乗って人間界へ向かう太公望

古代中国、殷の王朝時代。第30代皇帝の若き紂王(ちゅうおう)は文武両道に長けた明君だった。しかし邪心を持つ仙女の妲己(だっき)を皇后に迎えて以来、彼女の術に掛かり、紂王は変わってしまった。彼女たちは毎日パーティーを開き贅沢三昧。逆に民は重い税を課せられ、貧困のどん底に落とされる。国は乱れてしまった。

そんな中、天空に浮かび多くの仙人や道士たちを養成している崑崙山脈で、修行をサボり居眠りを続ける道士の太公望(たいこうぼう)。彼はある日、師匠であり崑崙山の教主でもある元始天尊(げんしてんそん)に呼び出される。元始天尊はサボり気味の太公望に対し、修行の特別メニューと称して「封神計画」と呼ばれる計画の遂行を任せる。
封神計画とは人間界で好き勝手に暴れている妲己を中心とした仙人や妖怪たちを倒し、封神台と呼ばれる装置に魂を封じ込めることで、人間界に平和を取り戻す為の計画である。太公望が渡された巻物「封神の書」には、封神すべく365人分の仙人や妖怪たちの名前が書き連ねてあるという。
元始天尊は太公望に”封神計画をやらねば破門”と言い渡し太公望に計画の実行を命ずる。嫌がる素振りを見せつつも太公望は計画の遂行を承諾。実は太公望は妲己に対し深い因縁を持っていた。

太公望の因縁

およそ60年前太公望が人間として生きていた12歳のころ、羌族の統領の息子だった太公望(この時は呂望と名乗っていた)は、妲己の気まぐれで故郷の村を滅ぼされてしまう。家族も何もかもを失った太公望は、原因である妲己や悪い仙人は「人間界に居るべきではない」と強く心に刻む。
その後、元始天尊にスカウトされ仙人を目指す道士となった。素質があった太公望は30年足らずで仙人級の実力をつけるも修行をサボりがちになる。後に元始天尊は、この時の太公望の振る舞いに対し、「人間界で修行をさせてもらう為の計算」だったと推察している。

最初の封神

元始天尊より、仙人専用の武器である宝貝(パオペエ)の1つである打神鞭(だしんべん)と、四不象(スープーシャン)と呼ばれる霊獣をお供の乗り物として譲り受けた太公望は人間界に降り、封神計画を実行に移す。そして、妲己からの命で人狩りの為に軍を率いていた、妖怪仙人の陳桐(ちんとう)と会敵する。己の知力を活かした戦略と罠で一人の犠牲者を出すこともなく陳桐を倒し、見事最初の封神を果たす。

妲己に挑むも敗退

妲己の義妹である王貴人(おうきじん)は、陳桐が倒されたことを知り太公望を迎え撃とうとするも、逆に太公望にやられ妲己への人質とされる。太公望は封神の書に記されている仙人たちを全て倒す必要はなく、頭である妲己のみを倒すことで、無駄な犠牲者を出すことなく封神計画を終わらせようと考えていた。人質である王貴人をネタに、妲己と紂王の住む殷の王宮「禁城」へ入り、「宮廷音楽家」として雇われることに成功。妲己を倒すべく隙を伺い続けるも、結果はあえなく惨敗。その罰として数多くの奴隷を道連れとした処刑が執行される。殷で最高位の官職である「武成王」の黄飛虎(こう ひこ)の助けで何とか一命をとりとめた太公望であったが、数多くの犠牲を出してしまったことに深く傷つき、己の弱さを知ることとなる。

味方を求めて

妲己との敗戦から、味方の存在が必要と感じた太公望は、その後各地を巡る旅に出ることにした。哪吒(なたく)、楊戩 (ようぜん)、雷震子(らいしんし)、武吉(ぶきち)と、着実に仲間を増やしていく。そして最終的には「西岐」という広大な地域をも味方につける事になる。

聞仲の帰還

そのころ殷では、崑崙山と双璧をなす金鰲島出身の道士で殷王朝の軍師である聞仲(ぶんちゅう)が、北海の反乱を鎮圧し禁城へ帰還する。武成王である黄飛虎と旧友である聞仲は力を合わせ、悪政によりボロボロとなっている殷の立て直しを図ろうとする。しかし妲己の策略によって聞仲は再び地方の反乱を鎮圧しに遠方へ、黄飛虎は人質として囲われていた妻と娘を亡くし、殷を造反する事態になってしまった。その後黄飛虎は太公望と合流。殷や聞仲とは敵対関係となった。

殷周戦争

眠りにつく姫昌、その息子の姫発

殷の中心地「朝歌」を攻めるための準備を進める太公望。しかしそんな中、過去のトラウマからの拒食症により衰弱していた姫昌(きしょう)が、その生涯に幕を降ろすことになる。姫昌の死を受け、太公望は西岐を「周」と改め建国。そして姫昌の次男であった姫発(きはつ)を周の初代国王とし、武王と名乗らせることにした。これにより「紂王 VS 武王」「金鰲島 VS 崑崙山」という図式が出来上がった。

仙界大戦の幕開け

朝歌への進軍を続ける周軍を率いる太公望に対し、聞仲は金鰲島を操縦し崑崙山への直接攻撃を開始する。それを受け崑崙山では、エリート仙人の集まり「崑崙十二仙」が集結。対する金鰲島側では「十天君」が集まり、全面戦争が勃発する。

聞仲の最後、大戦の終わり

双方ともに多大な損害を受ける中、黄飛虎は命がけで聞仲を説得を試みるも力尽き死亡する。友である黄飛虎を失った聞仲は、自分が本当に求めていたものが「今の殷」ではなく、黄飛虎が居たころの「かつての殷」だったことに気付く。失意の中、太公望との一騎打ちとなるが連戦により満身創痍となっていた聞仲は、人間界を太公望に託すと、最後は自ら崖に身を投じ封神された。

殷周戦争の決着

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