
『機甲界ガリアン』とは、日本テレビ系列で1984年10月から1985年3月まで放送されたSFロボットアニメである。騎士や城塞といった西洋の中世的風景に、巨大ロボットという異質な存在が闊歩する独特の世界観が特徴である。亡国の王子が仇敵に打ち勝つ貴種流離譚を描きつつ、やがて宇宙規模の冒険に発展する非常に壮大なストーリーが展開された。監督を高橋良輔が務め、キャラクターデザインに塩山紀生、メカニックデザインに大河原邦男、音楽に冬木透と、『太陽の牙ダグラム』を手掛けたスタッフが集結している。
マーダル専用の浴槽。ガラス容器の両端にアームが接続され、宙に浮いている。マーダルはこの中に全裸で入水する。実際にはこれは浴槽では無く、「世界観測装置」とでもいうべきものである。肉体的な緊張を解いて感覚を鋭敏にすることで、世界の動勢を察知することができる。同時により深く思考するための補助にもなる。クレセント銀河の果てから迫りくる強大なパワーを感じ取ったこともあった。おそらく星系除去装置「イレイザー」の存在を感じ取っていたと思われる。
ボーダー王国

ボーダー王国
3000年前より存続する辺境の小国。四方を丘陵に囲まれた盆地に国土を築いており、巨大なボーダー城を中心に河川を挟んで城下町が広がっている。本来平和で牧歌的な土地らしく、防壁や堀など外界と領土を隔てる障壁が見当たらない。しかしそれがあだになり、マーダル軍の奇襲を許すことになる。作中冒頭にて機甲兵の猛攻を受け滅亡し、3000年の歴史に終止符が打たれた。なお作中描写を省いている関係で誤解を招きそうであるが、ボーダー王国自体はあくまでアーストに群雄割拠し林立していた国々のひとつである。
ボーダー城

ボーダー城
ボーダー王国の中心にある丘の上に築かれた巨大な城。城下町と見比べると異様に巨大で、外見は城と言うよりも要塞に近い。この建築物が古代アースト文明の遺産なのか、近代になって建造されたのかは作中語られていない。マーダル軍によって陥落した後は、マーダルの居城「鉄の城」に徹底改装された。
白い谷

白い谷の石垣。渓谷の入り口を塞いで城塞都市としている
反マーダル勢の拠点。元はダルタスの父が鉄巨人ガリアンを求めて始めた発掘の現場だったが、やがて噂を聞きつけた有志が集い一種の城塞都市となる。渓谷の入り口に石垣を積み重ねることで要塞化されている。その防御力は絶大で、機甲兵をもってしても突破は至難の業となっている。作中では指導者「ダルタス」の元、士気旺盛な兵士が襲い来るマーダル軍を相手に果敢に迎撃している。物語序盤でガリアンが戦力に加わり、後半になるとヒルムカの指導で出土した古代兵器を整備して戦力に加える。さらには「ドン・スラーゼン」の率いる機甲旅団や、マーダル軍から転向した「ジムルセン・ランベル」の機甲兵を戦力に加える。やがてマーダル軍相手に善戦していると噂が流れると、各地から反マーダルの民衆が集まり一大勢力となる。マーダル自らが率いる軍勢を撃破するという快挙を成し遂げるが、マーダルが持ち出した重力制御装置の攻撃によってついに谷自体が崩壊する。
クレセント銀河

クレセント銀河
イラスタント太陽系などを含む銀河系。高度文明連合が全域にわたって影響下においている。
惑星アースト

惑星アースト
イラスタント太陽系第5惑星。高度文明連合の記録ではかつて「機甲界」とも呼ばれていたらしい。荒涼とした大地が広がり空には常に月のような天体が複数見える。古典的な君主国家が群雄割拠し騎士が剣を掲げる、まさに中世的世情が溢れる世界となっている。しかしこれは一度頂点に達した高度文明が滅びた成れの果てであり、2万年前は機甲兵をはじめとした巨大兵器が闊歩し、超技術に溢れた文明が華開いていた。彼らは飽くなき戦争を続け自ら滅びる寸前までになっていた。しかし跳空間転移技術により外宇宙探索の道が開けると、機甲兵などの戦争の道具を地中に埋葬して旅立っていき、やがてランプレート人となった。作中現在のアースト人はその時取り残された一握りの人々が、原始レベルまで逆行した後に中世レベルまで文明を築き上げた姿である。つまりアースト人とランプレート人は共通の祖先を持っていることになる。アースト人は地球人に酷似しているが、出産直後から嬰児の目が開いているなど一部生態が異なる。
惑星ランプレート

惑星ランプレート
マーダルの故郷で高度文明連合が作り出した人工天体。クレセント銀河の中央星域にある。ここに住まう人類種が「ランプレート人」と呼ばれる。極度に争いを恐れる高度文明連合の手により、超管理体制下におかれている。その結果ランプレート人は感情を抑制され、隣で同類が惨殺されても呆然と見つめるだけという、異様な無気力状態になっている。かつてマーダルはこの「生きていても死んでいるのと同じ」状態を打破すべく反乱を起こす。しかし失敗して惑星アーストに逃亡した。アーストから帰還したマーダルは、恐怖と怒りの感情を取り戻させるべく、ランプレート人に対する無差別攻撃を敢行する。やがてランプレート人にも変化が起こり、鉄パイプを握りしめて機甲兵に向かってくるほどになる。しかし事態を重く見た高度文明連合が星系除去装置「イレイザー」を発動した結果、恒星系ごと消滅した。直接の描写は無いがクレセント銀河には同様の人工天体が他にも存在する模様。
中央惑星オムガ

中央惑星オムガ
高度文明連合の本拠地である人工天体。彼らの最高意思決定機関である「最高評議会」はここに設置されている。
その他
鳥一族
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目次 - Contents
- 『機甲界ガリアン』の概要
- 『機甲界ガリアン』のあらすじ・ストーリー
- 伝説の鉄巨人
- 謎の女の暗躍
- 王子の帰還
- マーダルの秘密
- もうひとつのアーストもうひとつの物語(OVA『鉄の紋章』より)
- 『機甲界ガリアン』の登場人物・キャラクター
- 主人公と仲間たち
- ジョジョ/ジョルディ・ボーダー
- チュルル
- ヒルムカ
- レッド・ウィンドウ
- アズベス
- ダルタス
- ローナ
- ドン・スラーゼン
- スミオン
- ジルムセン・ランベル
- ウーメン
- シュラブ
- ボーラント
- ブライ
- マーダル軍
- マーダル・テレートン
- ハイ・シャルタット
- ローダン・テイキョーン
- プロッツ
- ビルセン
- オートリ
- ザバ
- イーツ
- ディッカ
- リーベン
- ボーダー王国
- ボーダー王
- フェリア・ボーダー
- ババ
- ウィリアム
- 高度文明連合
- ウーズベン
- 評議会議長
- 査問官
- 検事
- OVA『機甲界ガリアン 鉄の紋章』の登場人物
- マーダル
- ジョルディ
- ハイ・シャルタット
- チュルル
- ヨダ
- ヒルムカ
- オデビ
- 『機甲界ガリアン』の用語
- マーダル軍
- マーダル兵
- 鉄の城
- 鉄の都
- 鉄の塔
- 重力制御装置
- 無重力の谷
- 発掘現場
- 浴槽
- ボーダー王国
- ボーダー城
- 白い谷
- クレセント銀河
- 惑星アースト
- 惑星ランプレート
- 中央惑星オムガ
- その他
- 鳥一族
- 『機甲界ガリアン』の登場兵器・メカニック
- 機甲兵
- 鉄巨人 ガリアン
- ガリアン飛装型
- ガリアン重装改
- ガリアン飛装改
- ガリアン自走改
- 人馬兵 プロマキス
- 人馬兵 プロマキス・ジー
- 巡航遊撃人馬兵 プロマキス・ヴィー
- 飛甲兵 ウィンガル
- 飛甲兵 ウィンガル・ジー
- ハイ・シャルタット専用ウィンガル・ジー
- 飛甲兵改 ツウィンガル
- 機甲猟兵 スカーツ
- 機甲猟兵 ザウエル
- 重射兵 モノコット
- 水機兵 アゾルバ
- 水機兵 アゾルバ・ジー
- 重歩哨機 シールズ
- その他兵器・乗り物
- ハルバード銃
- 瞬光弾「マグネシウムアロー」
- 瞬光弾砲
- ロロップル
- 巨大車両
- 攻城塔
- ジェットパック
- 携帯型重力制御装置
- 光る船(パトロール艇)
- パトロール隊母艦
- イレイザー
- OVA『機甲界ガリアン 鉄の紋章』の登場兵器・メカニック
- 鉄巨神 ガリアン
- 邪神兵(じゃしんへい)
- 飛甲兵(ひこうへい)
- 人馬兵(じんばへい)
- マーダル専用 人馬兵
- ジョルディ専用 人馬兵
- 機甲猟兵Aタイプ
- 機甲猟兵Bタイプ
- 重弩兵(じゅうどへい)
- 重装兵(じゅうそうへい)
- 『機甲界ガリアン』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ボーダー王「ジョルディ王子よ、お前は未来を照らす光だ!」
- マーダル・テレートン「フェリアよ、あいも変わらずそなたは美しい」
- ジョジョ「強そうな谷だな」
- マーダル・テレートン「世界の震えを聞き分けられるようになるのだ」
- ドン・スラーゼン「王子には絶対に負けられん大義があった!」
- アズベス「ジョルディ王子よ!わしの役目は終わった」
- マーダル・テレートン「お前を育て、逞しく鍛え上げたのは悪の力なのだ!」
- フェリア・ボーダー「顔を、よく見せておくれ」
- マーダル・テレートン「後はジョルディ王子、お前に委ねるだけだ」
- 『機甲界ガリアン』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 後の創作に大きな影響力を及ぼした「ガリアンソード」のアイデア
- 実は本作が先だった「ジョジョ」という名のキャラクター
- ガリアンのデザインだけが異質な理由は大河原邦男の多忙が原因
- 『機甲界ガリアン』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):EUROX「ガリアン・ワールド -Run For Your Life-」
- ED(エンディング):EUROX「星の1秒」