機甲界ガリアン(Panzer World Galient)のネタバレ解説・考察まとめ

『機甲界ガリアン』とは、日本テレビ系列で1984年10月から1985年3月まで放送されたSFロボットアニメである。騎士や城塞といった西洋の中世的風景に、巨大ロボットという異質な存在が闊歩する独特の世界観が特徴である。亡国の王子が仇敵に打ち勝つ貴種流離譚を描きつつ、やがて宇宙規模の冒険に発展する非常に壮大なストーリーが展開された。監督を高橋良輔が務め、キャラクターデザインに塩山紀生、メカニックデザインに大河原邦男、音楽に冬木透と、『太陽の牙ダグラム』を手掛けたスタッフが集結している。

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マーダルが「邪神兵」を見出したのをきっかけに地中から蘇らせた伝説の「機甲兵」達。テレビ版とは違い、その出自は全く語られない「伝説の怪物」のように描かれている。

『鉄の紋章』に登場する機甲兵はテレビ版を元にしながらも、出渕裕により全面的にリファインされている。「中世的風景に出現した神話的存在」といった印象の強い絵となり、設定も細部に渡り変更されている。ちなみにテレビ版で頻繁に見られた「撃破されて爆発」する描写が無くなり、今作の機甲兵は切り裂かれようと刺し貫かれようとその場で崩れ落ちるだけとなっており、よりリアルさを増している。

鉄巨神 ガリアン

鉄巨神

邪神兵の復活と呼応するように出現した伝説の「鉄巨神」。無敵の装甲と全てを切り裂く剣を持つ。封印された機甲兵の監視者であり、蘇らせた人間もろとも全ての機甲兵を地に戻す使命を持つ。依り代としての操縦者を必要としており、ジョルディが選ばれる。竜巻の中から現れ、むらがる機甲兵を屠っていく。邪神兵との戦いは一進一退となるが、砕けた剣が無数の刃となって邪神兵を切り刻むことで決着をつけた。その後全ての機甲兵は地底に戻っていった。

テレビ版の「鉄巨人 ガリアン」に相当する主役メカだが、より神秘的な存在として「鉄巨(神)」とあらためられている。登場が作中の最終盤であることもあり、伝説以外の情報が全く語られない謎の存在として描かれた。デザインにも相当手が加えられ、変形や合体分離機構は無くなっている。さらに曲線を取り入れたより「甲胄騎士」に近い姿になった。眼窩がつり上がった悪魔的な顔と相まって、殺意溢れる殺陣を披露した。

邪神兵(じゃしんへい)

邪神兵

物語冒頭でマーダルが発見したはじまりの機甲兵。半身半蛇の姿をしており、死に神の鎌のような武器を携えている。邪神兵の発見以来導かれるように次々と機甲兵が出土する。邪神兵に不吉なものを感じていたのか、マーダルは「邪神兵の館」を設えて人を遠ざけていた。マーダルが感じていたように邪神兵そのものに邪悪な意思が宿っており、心に闇を持った「ハイ・シャルタット」を依り代に選ぶ。たびたびマーダルを刺し殺す幻覚を見せつけて精神的な均衡を崩し、ついにハイを取り込むことに成功する。復活が近づくと他の機甲兵から怪しいオーラが立ち上っていたのを見ると、他の機甲兵は邪神兵の眷属のようだ。機甲兵が全滅するとヘビのような尾と鎌を武器に、鉄巨人と一進一退の攻防を繰り広げる。しかし鉄巨人の無数に分裂した刃に全身を切り刻まれ、止めの袈裟切りを受けてついに沈黙する。同時に屍と化した機甲兵達も天変地異の中、地の底に還っていく。

邪神兵は『鉄の紋章』のために新規にデザインが書き下ろされており、「鉄巨人」と並ぶ看板機体として用意された。デザインを担当した出渕裕によると、テレビ版でも登場していた半身半馬の「プロマキス」に着想を得たとのこと。音感から「邪神」と「蛇神」のダブルミーニングとされた。テレビ版では登場させるのが難しいヘビ状の下半身を渾身の作画で動かし、存分に活躍させていた。

飛甲兵(ひこうへい)

飛甲兵

ハイが駆る機甲兵。テレビ版での「ハイ専用ウィンガル・ジー」に相当する。輝く白銀の装甲に天使のような翼を持つ、大変優美な外見が特徴。作中では唯一飛行能力をもち、翼を羽ばたかせることで自在に飛行する。さらに翼に生えている羽根状のパーツひとつひとつが細かくスイングすることでホバリングも可能。武装は腰に差した曲剣。鳥一族の族長「ヨダ」を容赦なく叩き切った後、虐殺を号令する。飛行できることを活かして脱出を図る鳥一族に追いすがるが、ジョルディの横やりで取り逃がす。

テレビ版のコンセプトを昇華させたまさに「鳥人」的なデザインとなり、細かい演出で翼の動きを再現していた。作中他に飛甲兵は登場しないため、設定上「ハイ・シャルタット専用」の表記は外されている。

人馬兵(じんばへい)

人馬兵

半人半馬の機甲兵。テレビ版での「プロマキス」に相当し、多数の機体が登場する。細かくデザインが変更されているが、半身半馬のシルエットは変わっていない。白兵戦時はフェイスガードを下げる描写がある。武装は長槍と固定武装のビーム砲。作中では複数登場し、鉄巨人にビーム砲を射かけ槍で突きかかるもあっさり撃破されるなど、ヤラレ役として場面を盛り上げた。

マーダル専用 人馬兵

マーダル専用人馬兵

マーダル専用の人馬兵。見るものを威圧するように黒い巨躯を誇り、通常の人馬兵より一回り大きいが、元からこの仕様だったのかマーダル軍が改造したのかは不明。腰に直剣を携えるが作中では戦闘シーンが無いため、戦闘能力のほどは不明。

ジョルディ専用 人馬兵

ジョルディ専用人馬兵

ジョルディが駆る赤い人馬兵。装甲の形状が全体的に変更されている。すれ違いざまの剣撃を想定したらしい曲剣を装備するが、戦闘シーンが無いためハイを止めるために投擲された以外は使用されなかった。腹部にビーム砲の砲口らしきものも見えるが発射シーンが無いので搭載しているのかは不明。

機甲猟兵Aタイプ

機甲猟兵Aタイプ

ハイ配下の武将が駆る機甲兵。外見の違う2種が登場し、設定上便宜的にA・Bで区別される。Aタイプはトサカのような兜飾りが特徴。武装はドリルのように刀身を回転させて破壊力をアップさせる「回転剣」。他に大型の盾を持つ。鉄巨人に対してがっぷり四つに組んで回転剣で顔面を削るなど奮闘する。しかし邪神兵に邪魔とばかりに排除されて退場する。

機甲猟兵Bタイプ

機甲猟兵Bタイプ

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