機甲界ガリアン(Panzer World Galient)のネタバレ解説・考察まとめ

『機甲界ガリアン』とは、日本テレビ系列で1984年10月から1985年3月まで放送されたSFロボットアニメである。騎士や城塞といった西洋の中世的風景に、巨大ロボットという異質な存在が闊歩する独特の世界観が特徴である。亡国の王子が仇敵に打ち勝つ貴種流離譚を描きつつ、やがて宇宙規模の冒険に発展する非常に壮大なストーリーが展開された。監督を高橋良輔が務め、キャラクターデザインに塩山紀生、メカニックデザインに大河原邦男、音楽に冬木透と、『太陽の牙ダグラム』を手掛けたスタッフが集結している。

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重射兵 モノコット

重射兵 モノコット

プロマキスに次いで出土数が多く、マーダル軍の中核をなす機甲兵。ぐんずりとした恰幅の良い体型に、最大の特徴である瞬光弾を発射する「弾筒」を背負っている。脚部も反動を抑制するための安定版を備えるなど、砲撃戦に特化した「歩く高射砲」である。特質すべきはその射程で、27000メートルという長大さを誇る。これは地平線のはるか先から一方的に砲撃を加えることができることを示している。瞬光弾の威力加わり、地味だが屈指の攻撃力を持つ。作中では着弾観測による誤差修正を行なう場面もある。

一応薙刀を使った自衛戦闘は可能だが接近戦は不得手であり一方的に撃破される場面が多い。緊急時には弾筒を切り離す機能が備わっているが、ひどい時には瞬光弾に誘爆して自爆するなどしている。頭部センサーは普段剥き出しだが、近接戦闘の際はフェイスガードを降ろす。

単体で活躍することはほとんどなく、主に号令を受けて隊列を組み、一斉に瞬光弾を発射するシーンが多く見られた。

水機兵 アゾルバ

水機兵 アゾルバ(右)

半魚人型で水陸両用の機甲兵。水中での活動が得意で、最大深度200メートル、時速47.9キロメートルで航行できるなど、河川や沿岸部で真価を発揮する。水圧に耐えるためか、コクピットの3面モニターは全て丸窓になっており、天井からぶら下がる独特の操縦桿を備える。

武装は「水機銃」と呼ばれる銛と瞬光弾発射管が合体した専用武器と、脇腹に固定武装の魚雷を持つ。

第15話で初登場し、ガリアン鹵獲を目論むハイに率いられて滝壺に向かう。第17話では河川の中で停泊するマーダルの座乗艦を水中から護衛する姿がある。その後も鉄の城を囲む堀の水中に潜んで警備に付いていた。

水機兵 アゾルバ・ジー

水機兵 アゾルバ・ジー

アゾルバの上位機種。頭部形状が若干異なるほか、最大深度や航行速度が向上している。相当な高度から水面に落とされても問題無いほどの堅牢性を誇る。

手持ち武装はアゾルバとは違い長身の矛だが、本機の専用武装かは不明。ビーム砲などは内蔵されていない純粋な格闘武器だが、投擲した際には見えなくなるほど彼方まで飛んで行った。

初登場は第15話で、ハイが搭乗し他3機のアゾルバを率いジョジョに案内させてガリアンの隠し場所に向かった。しかしヒルムカやウィンドウの機転でジョジョの身柄を奪還され、ガリアンに上空へ持ち上げられ水面に叩き付けられる。悔し紛れに投擲した矛はすでに相当な高高度にいたガリアンの至近を掠めて彼方に飛んで行った。それ以降の登場はない。

重歩哨機 シールズ

重歩哨機 シールズ

出土数が限られる機甲兵を補完するために、マーダルがアースト人に工学技術をたたき込んで現地生産した、いわば「現代版機甲兵」。土木重機のような武骨な外見と塔のような頭部が特徴。発掘された機甲兵に比べれば動きは鈍いが、シンプルな構造な分堅牢生は高く、同じシールズを持ち上げて振り回す程度のパワーがある。下半身に前後がなく、腰を基部に上半身を回転させることで、その場での180度方向転換ができる。作中では主に基地や要所の警護に使用され、頭部からサーチライトを照らして哨戒する姿がたびたび見られた。

武装はヘビのように自在に曲がるアームの先端に低出力のビーム砲を備えている。機甲兵相手には威力不足だが、対人制圧用としては過剰な火力がある。格闘武器として両肩にマウントしている重鉄棍(警棒)を備え、使用時には前腕に固定して打突する。

動いてはいないものの第1話からすでに登場しており、アズベスのモノローグにある「マーダルがその不可思議なる力を持って、アーストに興した工業」の象徴としてアップで映し出される。意外と見せ場も多く、第5話であっさり墜落したハイのウィンガル・ジーを尻目にガリアンと一騎打ちとなり、しぶとく押し合いを続けてジョジョを苛立たせた。第14話では鉄の城に潜入したジョジョが奪取し、追っ手のシールズを相手に大立ち回りする活躍が描かれた。

本機はたった十数年で中世レベルのアースト人に巨大ロボットを作らせたという、マーダルが与えたアースト文明への影響の大きさを体現している。

その他兵器・乗り物

本作では機甲兵以外にもさまざまな兵器や動物が登場する。ここに紹介するものの多くはマーダルがもたらした技術をベースに製造されたものだが、アースト原産の動物や、高度文明連合が保有する戦力も含まれる。

ハルバード銃

ハルバード銃を構えるマーダル兵

マーダル兵のうち、特に歩兵や騎兵が標準装備している武器。見た目は着剣した小銃の先に斧を追加したような外見をしている。別体式のエネルギーパックを接続することで穂先から強力なビームを発射できる。人体を簡単に貫通する威力を持つが、アズベスが盾でビームを防いでいる場面もある。もちろん白兵戦も可能。作中の至る所で登場し、剣で戦うアースト人を相手に猛威を振るった。マーダル兵以外にも無重力の谷でヒルムカが発砲しているシーンがある。

瞬光弾「マグネシウムアロー」

炸裂する瞬光弾「マグネシウムアロー」

作中頻繁に使用される特殊弾頭。超高温のプラズマを拡散する前に重力場で封じ込めている。命中すると対象に潜り込み、一瞬遅れて解放された重力波とプラズマが周囲に甚大な被害をもたらす。その威力は戦術兵器としては作中最強といえる。実体弾のため曲射も可能で、重射兵「モノコット」が主に運用し、地平線の向こうから一方的に飽和攻撃する場面が描かれた。その他にもアゾルバの専用武器「水機銃」も小型の瞬光弾が装填されている。反マーダル勢側では「鉄鷲機」がガリアンの危機を救うべく発射したのを皮切りに、白い谷の発掘場で発見された牽引式の「瞬光弾砲」を配備してマーダル軍に対抗した。

瞬光弾砲

瞬光砲の砲塔

白い谷の発掘場から発見された、反マーダル勢が運用する発掘兵器。その名の通りに瞬光弾を発射する。モノコットの高射砲的な運用とは対照的に、有視界の標的を撃破するタイプのようだ。

作中では第2話ですでに登場していたが、白い谷ではどうやって使う物なのか皆目見当が付かない状態だった。その後ヒルムカの指導により次々と搬出・整備され、アースト人による射撃訓練までこぎ着けた。その後反マーダル勢の貴重な戦力として、果ては惑星ランプレートにまで渡ることになる。

ロロップル

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@mynlsurf93

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