
『機甲界ガリアン』とは、日本テレビ系列で1984年10月から1985年3月まで放送されたSFロボットアニメである。騎士や城塞といった西洋の中世的風景に、巨大ロボットという異質な存在が闊歩する独特の世界観が特徴である。亡国の王子が仇敵に打ち勝つ貴種流離譚を描きつつ、やがて宇宙規模の冒険に発展する非常に壮大なストーリーが展開された。監督を高橋良輔が務め、キャラクターデザインに塩山紀生、メカニックデザインに大河原邦男、音楽に冬木透と、『太陽の牙ダグラム』を手掛けたスタッフが集結している。
CV:沼本輝枝
黒い大鳥を連れた老占い師。第17話で忽然と現れ、「二つの星がぶつかり、若い星を助けて一つの星は砕け散る」と予言した。それを聞いたアズベスは自分の死期が近いことを悟った。さらに第18話でマーダル軍を空城の計にはめるために囮として一人残る。その際マーダルにも予言をもたらした。
シュラブ

シュラブ
CV:峰恵研
白い谷の鍛冶職人。チュルルにガリアンが眠っている場所の噂を流した張本人。ダルタスから仕事を依頼されている様子や、白い谷で発掘作業にいそしんでいる場面が描かれた。
ボーラント

ボーランド
CV:郷里大輔
ダルタスとは旧知の仲である男。第13話で白い谷がマーダル軍を相手に善戦していると聞き、村を捨て軍勢を率い参上した。彼らの合流で反マーダル勢は本格的な軍勢となり士気が高まった。
ブライ

ブライ
CV:戸谷公次
ボーランドと共に軍勢を率いて白い谷に来た男。彼もダルタスと旧知の仲らしく、妻子の様子を聞かれていた。
マーダル軍
マーダルが興した強大な国家。発掘兵器「機甲兵」などを用いて強大な軍隊を構築し、中世の惑星アーストを瞬く間に征服した。一般兵士すらも光線銃を装備しており、剣と盾しか持たない反マーダル勢の兵士を圧倒する。マーダルの配下には、共に惑星ランプレートから落ち延びた同志以外にも、滅ぼした国から集めた優秀な人材も多数いる。
マーダル・テレートン

マーダル・テレートン
CV:加藤精三/柴田秀勝(『スーパーロボット大戦BX』)
惑星アーストに突如現れた征服王。53歳。一人称は「余」。絶対的なカリスマを放つ偉丈夫。刃向かう者には容赦ない一方で、能力の高い者は積極的に登用する度量も持つ。捕らえたフェリアを仮死状態にし、居城に飾り付けるなどの猟奇性も見せる。機甲兵を用いた強力な軍隊を作り上げ、凄まじい勢いでボーダー王国を滅ぼしアースト各地を征服していった。さらに超越的な科学知識を持って産業革命を起こし、ほんの十数年程度で数百年分に匹敵する技術革新を引き起こした。
外見的な特徴としては、禿頭で特徴的なアーモンド状の頭骨をもつ。成人男性の襟首を掴んで片手で持ち上げる怪力を有するが、肝臓が悪いのか眼には黄疸が出ている。
その正体は逃亡者「個体識別番号 b 6101327 管理統制離脱者 d 指数100惑星ランプレート人男」。科学者として工業や機械工学に通じているが、本来は社会学者および思想家であるらしく、「闘争を乗り越えた先の平和でなくては意味が無い」との思想を貫く。その最終目的はランプレート人を含めた無気力に生きる人々を恐怖と怒りで目覚めさせること、そして活気を取り戻した彼らの上に君臨することであった。そのあまりにも純粋で強烈な思想は、後に現実志向に傾いたローダンらとの亀裂を生んだ。
物語開始の20年以上前に惑星ランプレートで反乱を起こすも失敗し、仲間とともに惑星アーストへ逃亡した。「機甲兵」を発掘して強力な軍隊を築き、ボーダー王国を含むアーストのほとんどを制圧、短期間で工業化を進める。しかし、その急激な発展は高度惑星連合の調査官「ヒルムカ」に察知され、計画に狂いが生じる。配下の失敗を受けて自ら白い谷を攻撃するも敗退。重力制御装置で白い谷を崩壊させた後、超空間転移基を回収して再びランプレートへ渡る。悲願のランプレート人覚醒を成し遂げたかに見えたが、高度文明連合の「イレイザー」によって全てが無に帰すと知る。敗北宣言をした後にフェリアをジョジョに託し、自らはランプレートと運命を共にした。彼の思想は潰えたが、急速な工業的発展が消えない足跡としてアーストに残った。
本作のもう一人の主人公と言える。アニメ『巨人の星』の星一徹役で有名な加藤精三の怪演もあり、その奇特なキャラクター性は視聴者に強烈な印象を残した。
ハイ・シャルタット

ハイ・シャルタット
CV:速水奨
マーダル親衛隊の隊長。17歳。マーダルへ尋常では無い忠誠心を抱く。元は戦災孤児だが、その能力を高く評価したマーダルから取り立てられ英才教育を受けて育った。それゆえエリート意識が非常に高く、他の将軍達の命令をないがしろにする傾向がある。戦闘ではサーベルでの剣術に加え、彼専用の飛甲兵「ウィンガル・ジー」を巧みに操りガリアンと互角の戦いを繰り広げる。しかし若さ故に血気盛んで視野が狭く、眼前のことに囚われやすい。最初は子供と侮っていたジョジョを取り逃したことで執着して暴走気味になる。しかしマーダルは数々の失態も若気の至りと一笑に付し彼を重用する。
初登場は第3話。ザバに切り捨てられそうになった侍女を華麗な剣さばきで救うも、マーダルの居室前を血で汚したくなかっただけのようで、侍女からの感謝は平然と無視する。マーダル直々の命令で、ガリアンの操縦者を突き止めるために白い谷に向かう。その途中でガリアンを補足し、「無重力の谷」で戦闘になる。ジョジョを取り逃がして頭に血の上った末に、無重力状態を解除するという暴挙に出る。マーダルから叱責を受けた後、ローダンの指揮下に入り、マーダル軍の発掘現場に現れたガリアンの足止めを命じられる。しかし雪辱を果たすことに執着して乱闘を繰り広げた挙げ句にガリアンを取り逃す。命令無視に業を煮やしたローダンにガリアンもろとも爆撃され、ボロボロになって拘束される。密かに始末されかけたところを仲間の親衛隊員達に助け出され帰還を果たす。その後マーダルから銀河を股にかけた野望を聞かされると、さらに彼に心酔し新たに忠誠を誓う。ローダンの反乱時にはマーダルの危機に駆けつけ、親衛隊長としての面目を果たした。惑星ランプレートに辿り着いた際には、マーダルの理想実現のために率先してランプレート人を攻撃した。マーダルが敗北を宣言して消えゆくランプレートと運命を共にしようすると、彼の復活を信じて後を追った。
身寄りの無い戦災孤児でありながら温室育ちのエリートとして育てられた故、柔軟な思考ができずに失敗を重ねる彼のキャラクターは、亡国の王子でありながら野で育ち、たくましく成長した主人公・ジョジョと対の存在として描かれている。
ローダン・テイキョーン

ローダン・テイキョーン
CV:阪脩
マーダル軍中最強の軍団である「ローダン軍」を率いる将軍。戦略眼に富んだ知将で、統率の乱れを何よりも嫌う。ゆえに命令を聞かずに先走るハイを非常に嫌っている。また目的のためには平気で約束を反故にし、騙し討ちや裏切りを仕掛ける卑劣漢でもある。後にそれが原因で配下であった「ジムルセン・ランベル」の離反を招く。その正体はマーダルと同じ逃亡してきたランプレート人である。マーダルとは同志の関係であり、二人きりで話すときは忖度無しで対等に話す。その一方マーダルの覇道を「皇帝ごっこ」と皮肉っており、強烈な信念で理想実現に邁進するマーダルとの温度差をうかがわせる。
第6話から登場。白い谷後略を重要視したマーダルの命令により出撃する。その後マーダルの発掘現場襲撃の報を受け防衛のために転進し、到着までの間指揮下に入ったハイに防衛を命ずる。しかし身勝手な自己主張を繰り返すハイに業を煮やし、ガリアンもろとも爆撃する。たまらず逃亡しようとするガリアンを巧みに追い込み、とどめを刺す寸前まで追い込むも、ヒルムカの横やりで取り逃がす。その後本来の任務であった白い谷攻略に向かうが、強化された「ガリアン重装改」の威力の前に後退を余儀なくされる。ランベルを差し向けて一騎打ちで決着をつけると見せかけ、奇襲部隊に爆弾を仕掛けさせる。ガリアンの動きを封じて勝利を確信していたが、「ドン・スラーゼン」が率いる機甲旅団の横やりで総崩れとなり敗走する。その後惑星アーストでの生活が惜しくなり、本気でイラスタント銀河征服を目指すマーダルを暗殺しようと、プロッツやビルセンらと共謀する。しかしハイの活躍で阻止され、最後は炭化するほどビーム砲を照射され死亡する。
プロッツ

プロッツ
CV:石森達幸
マーダル軍の筆頭技術者で「無重力の谷」にそびえる「無重力の塔」の管理人。彼も惑星ランプレートから逃れてきた同志だが、ローダンとは違いマーダル相手には敬語を使う。
第5話で暴走したハイに谷を崩壊させられそうになるなど災難が多い。惑星アーストでの生活に満足しており、第21話でローダンの謀反に加担するもあえなく失敗。牢獄送りになる。そのままランプレートに渡り、反マーダル勢が超空間転移基を選挙した際は、装置の扱いに苦戦していたヒルムカに代わって操作し、無事にアーストに帰り着く。
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目次 - Contents
- 『機甲界ガリアン』の概要
- 『機甲界ガリアン』のあらすじ・ストーリー
- 伝説の鉄巨人
- 謎の女の暗躍
- 王子の帰還
- マーダルの秘密
- もうひとつのアーストもうひとつの物語(OVA『鉄の紋章』より)
- 『機甲界ガリアン』の登場人物・キャラクター
- 主人公と仲間たち
- ジョジョ/ジョルディ・ボーダー
- チュルル
- ヒルムカ
- レッド・ウィンドウ
- アズベス
- ダルタス
- ローナ
- ドン・スラーゼン
- スミオン
- ジルムセン・ランベル
- ウーメン
- シュラブ
- ボーラント
- ブライ
- マーダル軍
- マーダル・テレートン
- ハイ・シャルタット
- ローダン・テイキョーン
- プロッツ
- ビルセン
- オートリ
- ザバ
- イーツ
- ディッカ
- リーベン
- ボーダー王国
- ボーダー王
- フェリア・ボーダー
- ババ
- ウィリアム
- 高度文明連合
- ウーズベン
- 評議会議長
- 査問官
- 検事
- OVA『機甲界ガリアン 鉄の紋章』の登場人物
- マーダル
- ジョルディ
- ハイ・シャルタット
- チュルル
- ヨダ
- ヒルムカ
- オデビ
- 『機甲界ガリアン』の用語
- マーダル軍
- マーダル兵
- 鉄の城
- 鉄の都
- 鉄の塔
- 重力制御装置
- 無重力の谷
- 発掘現場
- 浴槽
- ボーダー王国
- ボーダー城
- 白い谷
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- 惑星アースト
- 惑星ランプレート
- 中央惑星オムガ
- その他
- 鳥一族
- 『機甲界ガリアン』の登場兵器・メカニック
- 機甲兵
- 鉄巨人 ガリアン
- ガリアン飛装型
- ガリアン重装改
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- ガリアン自走改
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- 人馬兵 プロマキス・ジー
- 巡航遊撃人馬兵 プロマキス・ヴィー
- 飛甲兵 ウィンガル
- 飛甲兵 ウィンガル・ジー
- ハイ・シャルタット専用ウィンガル・ジー
- 飛甲兵改 ツウィンガル
- 機甲猟兵 スカーツ
- 機甲猟兵 ザウエル
- 重射兵 モノコット
- 水機兵 アゾルバ
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- 瞬光弾砲
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- 携帯型重力制御装置
- 光る船(パトロール艇)
- パトロール隊母艦
- イレイザー
- OVA『機甲界ガリアン 鉄の紋章』の登場兵器・メカニック
- 鉄巨神 ガリアン
- 邪神兵(じゃしんへい)
- 飛甲兵(ひこうへい)
- 人馬兵(じんばへい)
- マーダル専用 人馬兵
- ジョルディ専用 人馬兵
- 機甲猟兵Aタイプ
- 機甲猟兵Bタイプ
- 重弩兵(じゅうどへい)
- 重装兵(じゅうそうへい)
- 『機甲界ガリアン』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ボーダー王「ジョルディ王子よ、お前は未来を照らす光だ!」
- マーダル・テレートン「フェリアよ、あいも変わらずそなたは美しい」
- ジョジョ「強そうな谷だな」
- マーダル・テレートン「世界の震えを聞き分けられるようになるのだ」
- ドン・スラーゼン「王子には絶対に負けられん大義があった!」
- アズベス「ジョルディ王子よ!わしの役目は終わった」
- マーダル・テレートン「お前を育て、逞しく鍛え上げたのは悪の力なのだ!」
- フェリア・ボーダー「顔を、よく見せておくれ」
- マーダル・テレートン「後はジョルディ王子、お前に委ねるだけだ」
- 『機甲界ガリアン』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 後の創作に大きな影響力を及ぼした「ガリアンソード」のアイデア
- 実は本作が先だった「ジョジョ」という名のキャラクター
- ガリアンのデザインだけが異質な理由は大河原邦男の多忙が原因
- 『機甲界ガリアン』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):EUROX「ガリアン・ワールド -Run For Your Life-」
- ED(エンディング):EUROX「星の1秒」