機甲界ガリアン(Panzer World Galient)のネタバレ解説・考察まとめ

『機甲界ガリアン』とは、日本テレビ系列で1984年10月から1985年3月まで放送されたSFロボットアニメである。騎士や城塞といった西洋の中世的風景に、巨大ロボットという異質な存在が闊歩する独特の世界観が特徴である。亡国の王子が仇敵に打ち勝つ貴種流離譚を描きつつ、やがて宇宙規模の冒険に発展する非常に壮大なストーリーが展開された。監督を高橋良輔が務め、キャラクターデザインに塩山紀生、メカニックデザインに大河原邦男、音楽に冬木透と、『太陽の牙ダグラム』を手掛けたスタッフが集結している。

目次 - Contents

仮死状態にされているフェリア・ボーダー

CV:泉晶子
ボーダー王の后にしてジョジョの実母。ボーダー王国滅亡時に23歳。作中で12年が経った時点で35歳になっているが、マーダルが施した特殊なコーティングで仮死状態になっていたため、肉体年齢は23歳のままであった。その容姿はアズベスが「この世にふたりといない」と形容するほどで、その美貌にはマーダルですら魅了される。しかし淑やかな所作の内には苛烈な誇り高さを秘めており、マーダルに言い寄られても自らの命と引き換えにして拒絶すると言い放つ。一方目の前で起こる惨劇に心を痛め、我が身を差し出してでも止めようとする慈悲の心を併せ持つ。

第1話冒頭でジョジョ(ジョルディ王子)を出産した直後にマーダル軍の攻撃で最愛の夫・ボーダー王を失う。かろうじて城を脱出したが、追っ手に追いつかれてしまい、護衛のアズベスにジョジョを託して連れ去られる。その後特殊なコーティングで仮死状態にされ、以来12年間マーダルの居城にて飾り物にされる。第22話で蘇生され、我が子をその手に抱く。しかし再び引き離されてマーダルの手に落ちる。力では愛は手に入らないと言い放つも、愛よりも憎しみが欲しいと言うマーダルの思考に慄然とする。惑星ランプレートの虐殺が始めると、我が身を差し出して惨劇を止めようとするが、これもマーダルを動かすには至らなかった。その後「イレイザー」の発動で敗北を悟ったマーダルの手でジョジョに身柄を引き渡され、無事に惑星ランプレートに帰還する。

英雄譚における「囚われの姫君」的立ち位置のキャラクターであり、主人公ジョジョは生き別れの母である彼女を追い求めて何度も大胆な冒険に乗り出す。ステンドグラスのような物質に封じ込められて無表情にたたずむ姿は、本作のキービジュアルともいえ、オープニングにも登場するなど視聴者に強い印象を残した。

ババ

ジョルディ王子を抱き上げるババ(右)

CV:宗形智子
フェリアの出産に立ち会い王子を取り上げた中年女性。ボーダー王を前にしても敬語を使っていないことから、単なる産婆では無いようだが詳細不明。フェリアについて城を脱出するが共に捕らえられる。その後の生死は不明。

ウィリアム

ウィリアム(右)

CV:西尾徳
アズベスと共に王の側近として付き従う騎士。産後で弱ったフェリアを抱えて城外に落ち延びる。しかしマーダル兵の待ち伏せに遭い、背後から射殺された。

高度文明連合

中央惑星「オムガ」を中心に、クレセント銀河全域にその影響力を持つ一大勢力。「ヒルムカ」や「ウーズベン」などの調査官を文明が発生した惑星に派遣し、自滅するような危険な発展をしていないか監視している。その一方、調査官自体にも「異文明不干渉の原則」という厳しい規則を課しており、基本的に監視対象の文明に干渉することは許されていない。

ウーズベン

ウーズベン

CV:井上和彦
高度文明連合の調査員で階級は中尉。ヒルムカの同僚にして恋人。調査員の範囲を超えた行動を取るヒルムカと、高度文明連合の規則との間で板挟みとなる。時にはヒルムカを擁護しその行動の正当性を訴え、時には彼女に銃を向ける。しかしその行動は終始一貫してヒルムカを愛するがゆえのものだった。

第9話で初登場。査問会に出頭したヒルムカに励ましの言葉を掛ける。その後脱走したヒルムカの前に再三にわたって現れて戻るように説得し、あげく銃まで突きつける。しかしアーストの歴史を見届けたいというヒルムカの思いをくみ取り、今度は高度文明連合の上層部への説得工作を始める。やがて重い腰を上げた上層部の承諾を取り付けて、惑星ランプレート上でヒルムカ及び反マーダル勢の援護に回る。ランプレートが混乱に包まれる中、「イレイザー」接近の情報を入手し、ヒルムカを強引に連れて脱出しようとする。しかし彼女に脚を撃たれて取り逃がす。その後マーダルにイレイザーの正体を知らせ、惑星アースト帰還を説得する。これがきっかけとなってマーダルは敗北を悟った。アースト帰還のめどが立った時、ヒルムカの元に現れるが、その時にはすでに彼女との離別が避けられないと悟っており、別れの挨拶に手を振り去っていった。

骨太な中世的ロマン漂う本作において、線が細く中間管理職的な苦悩を見せるウーズベンのキャラクター性は異彩を放っていた。

評議会議長

評議会議長

CV:飯塚昭三
高度文明連合の中央惑星「オムガ」に設置された評議会の議長。第23話で惑星ランプレートに侵攻してきたマーダルに対抗する手段がないと結論づけ、全会一致で星系消去装置「イレイザー」の発動を決定する。しかし彼自身、イレイザーがどんなものなのか知らなかった。

査問官

査問官

CV:銀河万丈
第9話で開廷されたヒルムカへの査問会に立ち会った冷徹な査問官。ヒルムカの必死の訴えを一蹴し、許可無しの発言を続けた場合、退廷を命ずると警告する。その規律にしか興味の無い態度はヒルムカを苛立たせた。

検事

検事

CV:飯塚昭三
第9話で開廷されたヒルムカへの査問会で進行役を務めた検事。淡々と議題を読み上げる形式張った態度にヒルムカの苛立ちは頂点に達する。

OVA『機甲界ガリアン 鉄の紋章』の登場人物

『機甲界ガリアン』のOVA第3弾として制作された『機甲界ガリアン 鉄の紋章』はテレビ版から大幅に設定が変更され、共通しているのはほぼ世界観だけである。ここで紹介するキャラクターは、同名であっても作中における出自や背景は全く異なる。

mynlsurf93
mynlsurf93
@mynlsurf93

Related Articles関連記事

装甲騎兵ボトムズ(VOTOMS)のネタバレ解説・考察まとめ

装甲騎兵ボトムズ(VOTOMS)のネタバレ解説・考察まとめ

装甲騎兵ボトムズ(Armored Trooper VOTOMS)とは、日本サンライズ(現・サンライズ)制作のロボットアニメである。テレビシリーズが1983年4月1日から、1984年3月23日までテレビ東京系で放送された。テレビシリーズは全52話である。 テレビシリーズの後日談や、サブエピソードを描いた小説、漫画、OVA作品が制作、発表され続けている。 アーマードトルーパー(通称AT)と呼ばれる、大量生産の安価なロボット兵器が、主役機、敵機、関係なく次々と撃破されていく姿は、圧巻である。

Read Article

メタリックルージュ(Metallic Rouge)のネタバレ解説・考察まとめ

メタリックルージュ(Metallic Rouge)のネタバレ解説・考察まとめ

『メタリックルージュ』とは、2024年に放送されたボンズによるオリジナルアニメ。スタッフには出渕裕、堀元宣、川元利浩といった実力派がそろっており、同時期のアニメ作品の中でも特に注目されるものとなった。 人類が火星に移住し、ネアンと呼ばれる人造人間を労働力として使うようになった時代。ネアンの少女ルジュ・レッドスターは、「インモータルナイン」こと“政府に敵対する9人のネアン”の殺害という密命を胸に、相棒のナオミ・オルトマンと共に旅を続けていた。標的を探す彼女の旅路は、様々な事件を巻き起こしていく。

Read Article

装甲騎兵ボトムズ入門(ロボット・キャラクター)

装甲騎兵ボトムズ入門(ロボット・キャラクター)

1983年にサンライズにより制作された、「装甲騎兵ボトムズ」はガンダムと並ぶ、サンライズのリアルロボの傑作であり、高橋良輔監督の代表作と言えるだろう。アニメファンなら、是非見ておきたい作品であるが、とっつきにくさを感じさせる部分も多いと思われる。そんな、装甲騎兵ボトムズを「キャラ」「メカ」の視点から、シンプルに紹介したい。

Read Article

目次 - Contents