機甲界ガリアン(Panzer World Galient)のネタバレ解説・考察まとめ

『機甲界ガリアン』とは、日本テレビ系列で1984年10月から1985年3月まで放送されたSFロボットアニメである。騎士や城塞といった西洋の中世的風景に、巨大ロボットという異質な存在が闊歩する独特の世界観が特徴である。亡国の王子が仇敵に打ち勝つ貴種流離譚を描きつつ、やがて宇宙規模の冒険に発展する非常に壮大なストーリーが展開された。監督を高橋良輔が務め、キャラクターデザインに塩山紀生、メカニックデザインに大河原邦男、音楽に冬木透と、『太陽の牙ダグラム』を手掛けたスタッフが集結している。

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CV:平野文
白い谷にふらりと現れた、怪しい色香をまとった謎の美女。18歳。マーダル軍との戦いの裏で暗躍するが、当初その目的は謎に包まれていた。あらゆる機械を整備し操作できる工学知識を持ち、高い身体能力に加えて光線銃を使いこなす戦闘力の高さを見せる。その正体は「高度文明連合」の調査官「B39」。任務でマーダルの正体とその動向を調査していた。規則を犯してでも決定的な証拠を得ようとする。しかしジョジョ達と共に戦ううちに任務を超えた使命感に目覚め、自ら追われる身となりながらも反マーダル勢に全面的に加担する。

初登場は第2話。ガリアン発見に立ち会い、ジョジョに操縦用の催眠学習を施す。その後ガリアンを無重力の谷にぶつけるためにチュルルを誘拐する。その後ドサクサに紛れてマーダルの発掘現場を偵察、「跳空間転移基」発掘現場を目撃する。その後危機に陥ったガリアンを救うためやむなく「光る船」の武装を使用すると、上層部の不評を買い査問会に招集される。脱走同然で白い谷に舞い戻ると、ガリアンの強化や発掘兵器の整備を指揮し白い谷の防備を固める。最終決戦でマーダルが去ると無事に惑星ランプレートから帰還し、恋人の「ウーズベン」と別れ、アースト人として生きていく決意を固める。

レッド・ウィンドウ

レッド・ウィンドウ

CV:千葉繁
自称「ちっとは知れた」泥棒。17歳。ムチとシミター(曲剣)の使い手で、後に「ガリアン自走改」の操縦も担当する。特にムチの扱いは達人級であり、ジョジョの危機を何度も救う活躍を見せた。飄々としたムードメーカーで、ジョジョ一行の中ではそのサバイバル能力の高さから糧食を用立てるなどした。当初は金目当てでジョジョと手を組むが、やがて白い谷の中心人物として反マーダルの戦いに身を投じた。

第4話から登場。無重力の谷で危機に陥っていたジョジョを救い、それぞれの目的のために手を組む。当初はジョジョを「無愛想なヤツ」と嫌っていたが、共に危機を乗り越える内に仲間意識が芽生える。合流したヒルムカの色香に釣られ、そのまま一行と行動を共にする。白い谷に帰還すると、口八丁で「ジョルディ王子」の権威を笠に着ようとするが面が割れており失敗。その後は持ち前のコミュニケーション能力で白い谷に溶け込み、谷の防衛隊を指揮して敵の機甲兵を撃破するなど随所で活躍を見せた。惑星ランプレートでの最終決戦では、死を目の前にしても無気力な住人達に苛立ちながらも避難誘導に励む。マーダル敗走後、無事に惑星アーストに帰還した。

アズベス

アズベス

CV:小林修
ジョジョの育ての親。第一話で白い谷を訪れた時点で54歳。ボーダー王の側近で、アースト中にその名の響く剣豪でもある。王の付き添いとはいえ王妃の寝所に立ち入りを許されるほどの信頼を得ていた。亡国の際に赤子であった「ジョルディ王子」を連れて脱出する。王子を自分の孫「ジョジョ」として男手一つで育て上げ、物心ついてからは戦士として厳しく鍛え上げた。人望も厚く白い谷帰還時は民衆から大歓声を受けた。その円熟した戦闘知識で的確な助言を発しつつ、みずからも大剣を振るう。

第1話冒頭から登場。王子誕生の直後、ボーダー王国がマーダル軍の侵攻を受け、王の命で王妃「フェリア」と王子を連れて脱出する。しかしフェリアが連れ去られ断腸の思いで王子を抱えて逃亡する。その後王子を自分の孫「ジョジョ」として男手一つで養育しながら、伝説の鉄巨人探索の旅に出た。7年ぶりに戻った白い谷で、長年探し求めていたガリアンをジョジョと共に発見する。その後はジョジョの戦いを見守りながら、豊富な戦闘経験を活かし、白い谷の指導者「ダルタス」に助言を与え続けた。しかし占い師の「ウーメン」のお告げで己の死期が近いことを知ると、最後の命を燃やしマーダルを追い詰める。ハイの横やりで取り逃がすも、ジョジョの未来のために礎となったと信じて炎の中に消えていった。彼の人生を物語る傷だらけの大剣は、最終回エンディングにて成人したジョジョが掲げて見せた。

CVの小林修は、同役そのままで冒頭の導入ナレーションも担当している。これは本編中で彼が戦死した後も続き、最終話も彼の語り口で終幕を迎える。

ダルタス

ダルタス

CV:筈見純
白い谷の指導者でチュルルの父。32歳。アズベスとは旧知の仲で彼を「様」と敬称をつけて呼ぶ。ジョジョの出自について事前に知っていた数少ない人物でもある。戦いにおいては指揮を執りながら先陣を切る勇猛さを見せる。アズベスの助言を受けながら白い谷や反マーダル勢の大軍を率いて最後まで戦い抜いた。伝説の鉄巨人「ガリアン」を求めて父の代から白い谷を発掘していたが、ジョジョがガリアンを発見するまで、彼自身はガリアンの実在性に懐疑的になっていた。1人娘のチュルルには愛情があるものの、指導者としての仕事に忙殺されて妻のローナに任せきりになっているようだ。これがチュルルの度を超した奔放さの一因になっていると思われる。

第2話から登場し、アズベスとジョジョの帰還を迎える。次々と押し寄せるマーダル軍の攻勢を、皆を鼓舞しつつ自ら剣を振るい戦い抜いた。重力制御装置で白い谷を崩壊させられるも反マーダル勢を立て直す。鉄の城に進撃するも、跳空間転移に巻き込まれて惑星ランプレートへ飛ばされる。状況を理解できず狼狽えるも、ランプレートの民を虐殺し始めたマーダル軍に敢然と立ち向かう。マーダル敗走後、無事に惑星アーストに帰還する。

ローナ

ローナ

CV:横尾まり
ダルタスの妻でチュルルの実母。年齢は不詳だがダルタスと同年代と思われる。指導者として多忙を極める夫ダルタスを内助の功で支えている。チュルルの奔放さを心配しており、ガリアンの居場所を知っているとのチュルルの発言を、「きっとクラックの巣穴かなにか」と頭ごなしに否定した。しかし彼女の行動を全く制御できていないようで、チュルルが姿をくらます度に血相を変えて捜し回る姿が描かれた。

ドン・スラーゼン

ドン・スラーゼン

CV:兼本新吾/楠見尚己(『サンライズ英雄譚』シリーズ、『スーパーロボット大戦BX』)
機甲猟兵「スカーツ」を駆り、「機甲旅団」を率いる豪放磊落な男。46歳。ボーダー一族の遠縁に当たる血筋で、ジョジョの親戚に当たる。スラーゼン「卿」と呼ばれていることから爵位を持つようだが詳細は不明。ボーダー王国の地方豪族であったが、王国滅亡と共にマーダル軍に下っていた。彼や機甲旅団が運用している機甲兵はその時に下賜されたもの。しかし登場の一年前ほど前にマーダルの元を離反して潜伏していた。ガリアンの危機を救い、反マーダル勢に合流する。

登場は第11話から。ローダン軍の策略にはまって絶体絶命のガリアンを間一髪で救う。ガリアンとザウエルの一騎打ちに立ち会い、敗れたランベルに「ジョジョの勝因は背負ったアーストの未来」と説いた。ジョジョを新たな君主と仰ぎ、改めて忠誠を誓う。そして白い谷に迎えられ、マーダルの正体について語る。その後、機甲旅団を率いて白い谷の貴重な戦力として活躍する。惑星ランプレートでの戦いでは、愛機スカーツが半壊する中、ジョジョのために血路を開くべく獅子奮迅の戦いを繰り広げた。

スミオン

スミオン

CV:佐藤正治
ドン・スラーゼンの従者。スカーツのコパイロットであり、スラーゼンがスカーツを離れて鉄鷲機で行動するときにはスカーツの操縦を担当する。大変寡黙な男で、作中ではスカーツの機内でスラーゼンと必要最低限のやりとりをする以外、会話をしている場面自体が無い。

ジルムセン・ランベル

ジルムセン・ランベル

CV:屋良有作
マーダル軍でも随一の騎士。31歳。作中でも屈指の強力な機甲猟兵「ザウエル」を駆る。多くを語らず任務に忠実な男。初登場時はローダン将軍の配下だった。ローダンの評価も高く、「ハイ・シャルタットに爪の垢を煎じて飲ませたい」とぼやくほどだった。一方で戦士の誇りや約定を重視する面がある。正々堂々とした振る舞いは白い谷の民にも好印象を与えていた。後に白い谷に加勢して反マーダル勢の中心人物になる。

初登場は第8話。ローダン将軍の配下として命令を受け出撃、僚機のウィンガル数機と共に逃走中のガリアンを追い詰める。ローダン軍の白い谷後略にも参加し、疲弊したガリアンを一方的に痛めつけた。ガリアン重装改の威力を目の当たりにしてローダン将軍に手出し無用と確約させて一騎打ちに出る。ガリアンと互角の戦いを繰り広げるが、ローダンの騙し討ちに憤り剣を引いた。ローダン敗走後にあらためてガリアンと戦い優勢になるが、捨て身の攻撃を受け敗北、捕虜として囚われた。その際にジョジョの誠実な人柄に触れ、フェリア存命の情報を漏らす。第16話でガリアン不在の白い谷を、ハイ率いるウィンガル部隊から守るべく出撃する。その後は本格的に反マーダル勢に加わり、作戦会議にも出席するなど中心人物となっていく。惑星ランプレートでの戦いにも参加し、ハイの猛攻を押し返す活躍を見せた。マーダル敗走後、無事に惑星アーストに帰還したと思われる。

ウーメン

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mynlsurf93
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