ウィッシュ（ディズニー映画）のネタバレ解説・考察まとめ

『ウィッシュ』（ディズニー）の概要

『ウィッシュ』とは、2023年にウォルト・ディズニー・カンパニー創立100周年記念作品として制作されたアニメ映画である。監督はクリス・バック、主演はアリアナ・デボーズ（日本版声優は生田絵梨花）。世界的には2023年11月22日に劇場公開され、同時上映として短編映画『ワンス・アポン・ア・スタジオ -100年の思い出-』も公開された。日本での公開は、ウォルト・ディズニーの命日である2023年12月15日。ランキング初登場1位、動員数は約221万人、興行収入は約30億96万円であった。

どんな願いも叶うと言われている “ロサス王国”に暮らす少女・アーシャが、とあるきっかけから国王の裏の顔を知り、彼の陰謀を阻止するために奮闘する物語である。横暴な王の支配に対して、民衆が力を合わせ、願いの強さで立ち向かっていく姿が見どころである。

『ウィッシュ』（ディズニー）のあらすじ・ストーリー

ロサス王国の少女・アーシャが抱いたマグニフィコ王への疑念

物語の舞台は、なんでも願い事が叶うと言われているロサス王国。
かつて魔法を学ぶために世界を旅していた若者・マグニフィコが、妻・アマヤが見つけた地中海の島に建国した王国である。そこでは、国民は18歳になると自身の願い事をマグニフィコ王に差し出し、善良な行いを続けていればいつかは叶えてもらえるものだと信じて暮らしていた。
17歳の少女・アーシャもまた、願いを叶える力を持つマグニフィコ王を敬愛していた。彼女は、祖父・サビーノの「マンドリン奏者になる」という願いを、彼の100歳の誕生日に叶えてもらえるのではないかと期待していたのだ。サビーノの誕生日が、ちょうど願いの儀式の日と重なっていたからである。また、アーシャは同日に、マグニフィコ王の弟子を選ぶための面接に臨むことになっていた。王妃であるアマヤは、誰に対しても分け隔てなく優しいアーシャを高く評価しており、アーシャがマグニフィコ王の側近となることを望んでいた。
面接は順調に進むが、アーシャがサビーノの願いを叶えてほしいと要求すると、マグニフィコ王は拒絶する。マグニフィコ王は、「マンドリンの演奏によって人々にインスピレーションを与えたい」というサビーノの願いが、人々を扇動することが目的であり彼の権力に対する脅威になりうると判断したのだった。
マグニフィコ王に願いを預けると、人々はその願いの内容を忘れてしまい、空虚な気持ちを抱えて生きていかねばならない。願いを叶えてもらうためには、願いの儀式の日にマグニフィコ王に指名される必要があり、人々はただその日を待ち続けているのだった。
「自分にとって都合の悪い願い事は叶える気がない」というマグニフィコ王の発言を聞いたアーシャは、彼のやり方に疑問を抱く。

アーシャの願いとスターとの出会い

アーシャは、叶えるつもりのない願いは人々に返すべきであり、マグニフィコ王のしていることは人々から願いを奪うことだと訴えた。マグニフィコ王はアーシャの言葉に気分を害し、アーシャの弟子入りも、サビーノの願いを叶えることを拒否したのだった。
アーシャは自宅に戻り、サビーノと母・サキーナに「マグニフィコ王は国民を騙している」と告げるが、2人はアーシャの主張を受け入れなかった。それどころか、サビーノは「孫娘が心を壊した」と言ってアーシャを非難する。
ショックを受けたアーシャは、亡くなった父との思い出の場所である願いの木に逃げ込み、満天の星空に向かって、「あきらめることのない願い」「誰もが叶えられる願い」がマグニフィコ王から人々に返してもらえるようにと強く願った。
すると、アーシャの願いを聞き入れたかのように、空から光の玉が降りてくる。アーシャはそれを「スター」と名付け、マグニフィコ王に立ち向かうため、スターの助けを求めることにするのだった。
スターの魔法によって、アーシャの相棒の子ヤギであるバレンティノをはじめ、森の動物たちは言葉が喋れるようになった。
やがてスターのことは王国中の人々に知れ渡り、マグニフィコ王も脅威を感じるほどだった。国民たちが王への不信感を募らせる中、自身の権力を確固たるものとするため、マグニフィコ王は禁断の闇魔術に手を染めるのだった。

祖父の願いの奪還と友人の裏切り

アーシャは、サビーノの願いを取り戻すため、スターと共にマグニフィコ王の書斎に忍び込む。危機一髪でサビーノの願いを奪還することに成功したアーシャは、サビーノに願いを返すことで、祖父の心をよみがえらせることができた。大喜びのアーシャは、母・サキーナの願いも必ずや取り戻すと心に誓う。
一方マグニフィコ王は、自分だけのものだった願いを叶える魔法をスターも使うことができると知り、スターの存在に恐れを抱くようになっていた。スターを召喚したのがアーシャだと知ったマグニフィコ王は、アーシャとスターを指名手配し、情報収集を呼びかける。マグニフィコ王はすでに闇魔術によって堕落しており、スターの力と人々の願いを利用して強大な力を手に入れようと画策していた。サキーナの願いはその野望のために打ち砕かれ、マグニフィコ王の暴走から逃れるため、人々は逃亡を余儀なくされる。サビーノとサキーナは近くにある別の島に避難し、アーシャ、スター、バレンティノは逃げ遅れた住民を解放するためにロサスに留まった。
そんな折、アーシャの友人の内の1人であるサイモンが、「騎士になる」という願いを叶えてもらうのと引き換えに、アーシャたちの居場所をマグニフィコ王に明かしてしまう。さらにマグニフィコ王は、闇魔術を使ってサイモンを操り、アーシャたちを捕獲するための手下にしてしまう。
アーシャと他の友人たちは、サイモンの裏切りによって居場所を知られてしまい、恐怖に震える。

暗黒の杖を手にしたマグニフィコ王との戦い

マグニフィコ王は、人々の願いの力を取り込むことで闇魔術の力を増強していき、ついには強力な魔力を発揮する杖まで作ってしまった。
アーシャは、友人のダリア、バジーマ、ダリオ、ガーボ、ハル、サフィを結集させ、スターとともにマグニフィコ王に対抗しようとする。これまで何度も王を制止しようとしたものの、ついには聞き入れてもらえなかったアマヤも、アーシャたちの仲間に加わった。
アーシャたちは、人々の願いを解放し、マグニフィコ王の統治を終わらせるための方法を模索する。まずスターとバレンティノが王の書斎に侵入し、アーシャがマグニフィコ王の気を逸らしている間に友人たちが願いを解放するために天井を開けようとするが、操られたサイモンによって阻止されてしまう。しかし動物たちが加勢に駆けつけ、ついにはサイモンを倒すことができた。
しかしマグニフィコ王の魔力は絶大で、ついにはスターが魔法の杖によって封印されてしまう。黒い雲が立ち込めて星空を覆い隠し、人々の間には絶望の空気が広がっていった。
それでもアーシャはまだ諦めてはいなかった。「国民全員で王国の未来を変えることを願おう」というアーシャの呼びかけにより、国民たちは力を合わせて願い始める。結集されたことで願いの力は強大になり、マグニフィコ王の闇魔術の力を圧倒。ついにはスターの封印を解くことに成功する。願いの力はさらにマグニフィコ王を苦しめ、最終的にマグニフィコ王は杖の中に封じ込められてしまったのだった。

アマヤの国王就任と希望を持って生きる人々

マグニフィコ王の支配が終わったロサス王国には、平和な日々が訪れた。国王にはアマヤが就任し、人々が願いを叶えられるよう手助けをしてくれることになった。
奪われていた願いを取り戻した人々は、願いは叶えてもらうものではなく、自分たちの力で叶えるものだということに気が付く。
アーシャは友人のダリオに「フェアリー・ゴッドマザーになってはどうか？」と提案され、バレンティノは「全ての哺乳類が幸せに暮らせる世界を作る」という願いを抱くようになっていた。また、マグニフィコ王の策略に嵌められてアーシャたちを裏切ってしまったサイモンは自分の罪を謝罪し、再び友人としてアーシャたちに迎え入れられていた。サビーノは、自分たちを救ってくれたスターへの感謝の意を込めて、マンドリンで『星に願いを』を演奏した。
願いを搾取され希望を失っていた人々は、支配から解き放たれたことで、未来への希望を持って暮らしていくようになった。

『ウィッシュ』（ディズニー）の登場人物・キャラクター

主要キャラクター

アーシャ

CV： アリアナ・デボーズ（生田絵梨花）

ロサス王国に暮らす17歳の少女。正義感が強く優しい性格である。
人々の願いを叶えてくれるロサス王国の国王・マグニフィコ王に弟子入りし、100歳の誕生日を迎える祖父・サビーノの願いを叶えてもらいたいと願っていた。
しかしマグニフィコ王の弟子になるための面接の日に、王の裏の顔を知ってしまったことで追われることとなる。
人々の「願い」を取り戻すために仲間と共に立ち上がり、マグニフィコ王にも果敢に立ち向かう。

マグニフィコ王

CV：クリス・パイン（福山雅治）

かつて地中海の無人島にロサス王国を築き上げた国王であり、人々の願いを叶えてくれるといわれる魔法使い。
国民は18歳になると自分の願いを王に預けて叶えてもらえるのを待つことになるが、実はマグニフィコ王は本作におけるヴィラン（悪役）であり、人々の願いを支配して希望を奪う存在であった。
禁断の闇魔術に手を染めたことで強大な魔力を手にし、アーシャたちを追い詰める。

バレンティノ