バン(七つの大罪)の徹底解説・考察まとめ

バンとは漫画『七つの大罪』に登場する人物である。「強欲の大罪(フォックス・シン)」を背負う不死身の男で、主人公メリオダス率いる最強の騎士団「七つの大罪」の一員。恋人の妖精エレインと死別し、彼女を蘇らせる方法を探していた。
聖騎士達のクーデターで乗っ取られたリオネス王国を仲間と共に奪還し、その後は十戒や魔神王、キャスといった強敵と戦いブリタニア大陸に平和をもたらす。最終的にエレインに自身の不老不死の能力を与える事で、彼女を蘇生させる。その後蘇生したエレインと結婚しランスロットという男子を儲けた。

バンの住むブリタニア大陸には女神族、魔神族、人間、巨人、妖精が存在している。3000年前に女神族、人間、巨人、妖精の4種族と魔神族の間で「聖戦」という全面戦争が起こった。激戦の末、女神族は「常闇の棺」を発動した。常闇の棺は発動者の命を代償に、対象を封印させるアイテムである。魔神族は常闇の棺に封印され、代償に女神族は肉体を失って魂だけの存在となる。

バンはブリタニア大陸のレイブンズという街に生まれる。ここは盗賊やならず者が生活している治安の悪い街である。バンは幼少期より両親から肉体的、精神的虐待を受けて育った。ご飯も碌に与えられなかった為、彼は幼くして生きる為に盗賊になる。過酷な環境で生きていたが、ジバゴと出会ってからは彼を父親の様に慕う。ジバゴは狐の獣人であり、バンの事を息子の様に思っている盗賊の男である。獣人は5種族とは異なる存在であり、その起源は知られていない。また彼等は数が少なく、人間から差別されている。その為彼等は人間の姿に化けて、隠れながら生きていた。バンはジバゴから盗賊のノウハウを学び、彼と共に行動していった。

ジバゴにはバンと同じ位の年の実の息子が居る。ある日、ジバゴは息子を人間達の迫害から守る為、窃盗に失敗してタコ殴りにされるバンを見捨てて姿を眩ませる。これ以降、バンは1人で生きていく様になり「バンデッド・バン」という名の知れた盗賊となった。

不老不死になる

不老不死になったバン

本編より20年前にバンは不老不死を求めて妖精王の森へと侵入し、エレインと出会う。彼女は「聖女」と呼ばれる、生命の泉を守る妖精の少女である。生命の泉はゴブレットに溜まった水の様なものであり、これを飲むと不老不死の存在になれる。彼女から「生命の泉を飲むと妖精王の森が失われてしまう」事を知ったバンは、この泉を潔く諦める。彼はこの時からすでにエレインのことを気に入っており、方便として「妖精王の森に生える木から作られる、エールビールを気に入っていた」という理由で泉を諦めたのであった。その後彼はエレインと恋に落ち、幸せな一時を送った。だが、赤色の魔神に森を襲撃されてエレインと共に致命傷を負う。彼女は自分の命を顧みず、生命の泉をバンに飲ませた。これによりバンは不老不死となり、赤色の魔神を打倒した。だが妖精王の森は消失し、エレインは死亡してしまう。愛するエレインを失ったバンは、彼女を蘇らせる方法を探すようになる。

七つの大罪に加入する

メリオダス(画像左の人物)を怒らせるバン

バンは妖精族と同盟関係にあったリオネス王国の聖騎士達に捕らえられる。聖騎士はリオネス王国を守護する、武術と魔力に秀でた騎士達の事である。リオネス王国の法廷に引き出されたバンは「己の”強欲”がために、王国と友好関係にあった妖精王の森を破壊し”生命の泉”を我が物とし、聖女を殺害した」事により、強欲の大罪(フォックス・シン)を背負わされる。この罪は冤罪であるものの、エレインを失った喪失感で自暴自棄になっていた彼は、否定する事なく受け入れた。またバンはこの頃から自身を「アンデッド・バン」と自称する様になる。

その後リオネス王国の地下牢に収監されていたバンは、メリオダスに勧誘されて七つの大罪に加入した。メリオダスは本作の主人公である。少年の様な姿をしているが、その本性は魔神族であり、異様な強さを持つ。七つの大罪とはメリオダスが組織したリオネス王国の聖騎士団の名称である。そこでバンは既に仲間になっていた妖精のキングと出会う。キングはエレインの兄であり、妖精達を束ねる妖精王である。彼は自分勝手に振る舞うバンとの衝突が絶えなかったが、結局はキングがバンの面倒を見る形となっていた。団長のメリオダスから、バンとキングは「良コンビ」と称されている。その後バンは七つの大罪として活動し、リオネス王国の英雄となった。

バンは団長のメリオダスとは仲が良かったものの、彼の持っていた常闇の棺の欠片に触れようとした事でその逆鱗に触れてしまう。メリオダスは魔神族の力である「獄炎」を使用し、バンを本気で攻撃した。不死身でどんな傷でも一瞬で治癒するバンであったが、この時首に受けた傷は治癒せず傷跡が残った。

リオネス王国を追われる

串刺しにされたザラトラス(画像上の人物)

本編より10年前、バン達七つの大罪はリオネス城に招集される。そこで当時の聖騎士長ザラトラスが串刺しにされて殺害されている現場を目撃した。その後、バン達七つの大罪はザラトラス殺害の濡れ衣を着せられ、聖騎士達から包囲されてしまう。バンや他の団員達は、リオネス王国を脱出して方々に散った。これにより七つの大罪は解散する。

ザラトラス亡き後、聖騎士長にドレファスとヘンドリクセンが就任する。ドレファスはザラトラスの弟である。ヘンドリクセンは女神族を信仰する人間の一部族のドルイド出身の騎士で、ドレファスの弟子であり無二の友でもある。二大聖騎士長達は「聖戦が始まる」という王の予言を受け、クーデターを決行した。これにより穏健派だったバルトラは捕えられ、聖騎士達は「聖戦に備える」という大義名分の元、平民達から搾取を始める。バルトラはリオネス王国の国王であり「千里眼(ビジョン)」という必ず当たる予言が出来る。物語本編は王城からエリザベスが逃げ出し、七つの大罪に助けを求めるべく、メリオダスと出会った所から始まった。エリザベスはリオネス王国の第3王女である。エリザベスとメリオダスは散り散りとなった七つの大罪のメンバーを集めリオネス王国を奪還するべく、行動を開始した。

バステ監獄に幽閉される

バステ監獄から自力で脱出したバン

聖騎士長ザラトラス殺害の冤罪で七つの大罪が解散して5年後、バンは「生の実感が欲しかった」という理由でワザと聖騎士に捕まり、バステ牢獄で拷問を受けていた。この時のバンは親友のメリオダスの生死が解らなくなっていた事もあり、自暴自棄気味であった。その5年後にメリオダスがバステ牢獄を訪れた事で、バンはメリオダスの生存を知り、自力でバステ牢獄を抜け出す。以降は七つの大罪に再加入し、メリオダス達と共に行動した。

尚、バステ監獄脱出の際にバンはジェリコとの因縁を持つ事になる。ジェリコは年若い女性の聖騎士見習いであり、自力で監獄を脱出した裸のバンに自身の剣技をいなされた挙句「服が欲しい」という理由で服を剥ぎ取られて全裸にされた。この屈辱から彼女はバンに対し、執念を燃やすようになる。

キングに襲撃される

石化したバン

七つの大罪解散後、妖精王の森に戻ったキングは、自身が守らなければならなかったはずの妖精王の森の消失と、エレインが死んでいたことを知る。彼の留守の間に森は焼かれ、生命の泉は何者かに飲み干されていたのであった。エレインはキングの妹であり、彼の不在の間に妖精王の代理を務めていた。キングはバンが生命の泉を飲み干して不老不死となった事を悟り、彼が森を焼き払ったと断定する。キングは「森やエレインを守れず、妖精王としての役割を果たせなかった”己の怠惰”」を責めて涙を流し、バンへの復讐を誓った。

バン達七つの大罪はキングの情報を元に「死者に会える」と噂される死者の都へ赴く。死者の都でバン達はキングと再会したものの、彼はバンに敵意を向けた。その後魂だけの存在となったエレインが現れ、キングを説得する。これにより彼は一旦バンへの敵意を引っ込め、七つの大罪として共に行動する事となった。

リオネス王国を奪還する

戦いを終えたバンと七つの大罪の面々

ヘンドリクセンは聖騎士達を利用し、魔神族の復活を目論んでいたのであった。実は10年前の聖騎士長ザラトラス殺害の首謀者はヘンドリクセンとドレファスであった。ドレファスは兄ザラトラスの才能への嫉妬からヘンドリクセンと共謀して彼を殺害し、聖騎士長の座を奪ったのである。ヘンドリクセンがドレファスに協力した理由はこの時点では何も明かされておらず、何かしらの裏がある様子であった。その後聖騎士の派閥はザラトラス派とヘンドリクセン派の2つに分かれ、ヘンドリクセン派は密かに魔神族の血液を用いた人体実験を繰り返し始める。尚この人体実験に使われた魔神族は、かつてバンが倒した赤色の魔神であった。バンに執念を燃やすジェリコもヘンドリクセンの指示でこの血を取り込み「新世代聖騎士」という強力な聖騎士として覚醒している。一見すると部下に力を分け与えた様に見えるヘンドリクセンであるが、彼の真の目的は新世代聖騎士の取り込んだ魔神の血液を暴走させる事であった。これにより新世代聖騎士達は「理性を失った破壊兵器」として暴れ回る怪物になってしまう。リオネス王国奪還の戦いにおいて、ヘンドリクセンは魔神の血液を暴走させる。これによりジェリコも魔神として暴走し、暴れ回った。バンはジェリコを魔神化させているコアを破壊し、彼女を救い出す。

バン達七つの大罪はリオネス王国奪還の為、活動していく。一行はリオネス王国に乗り込み、ヘンドリクセン率いる聖騎士達と戦った。その際バンはリオネス王国に保管されていた「ケルヌンノスの角笛」を使用する。これは魂だけとなった女神族と交信する為の道具であり、彼は女神族にエレインの蘇生を頼もうとしていた。女神族はエレインを蘇生させる代わりに、バンにメリオダスを殺す様依頼する。彼は葛藤を抱えつつもメリオダスに戦いを仕掛けた。だがヘンドリクセンが十戒を復活させようとしていた為、メリオダスは彼に「成すべき事を成せ」と団長命令を下す。これによりバンはメリオダスとの戦いを止め、七つの大罪の一員としてヘンドリクセンと戦った。

バン達七つの大罪はヘンドリクセンを追い詰める。だが彼は「赤色の魔神」の上位存在である「白色の魔神」の血液を取り込み、禍々しい姿となった。圧倒的な力を手に入れたヘンドリクセンの前にバン達は苦戦するも、死闘の末に彼等はヘンドリクセンを打倒する。

このリオネス王国奪還の戦いの際、キングは妖精王の森を焼き払ったのが赤色の魔神である事を知る。これによりバンへの誤解が解け、彼との関係が改善した。

七つの大罪を離脱する

ジバゴ(画像右の人物)と語り合うバン

バン達七つの大罪により打倒されたかに見えたヘンドリクセンであったが、彼は生き延びていた。そして常闇の棺の封印を解き、十戒を解放する。十戒とは魔神族の精鋭10人の総称である。煉獄に住む魔神王から分けられた、「戒禁」という10の力を、それぞれが個別に与えられている。各々が強力な力を持っているが、その戒禁に逆らうと敵味方関係無く何らかのペナルティを負ってしまう。これは戒禁を持つ当人も例外では無く、自分の戒禁に逆らった感情や行動を取ると、自身にもペナルティが課されてしまう。これは魔神王が十戒達に反乱を起こさせない様にする為の措置であった。

ヘンドリクセンは十戒の復活と同時に人間へと戻り、理性を取り戻す。そしてドレファスが現れ、十戒のメンバーに加わった。全ての黒幕はヘンドリクセンでは無く、ドレファスであったのである。彼には十戒のメンバーの1人で3000年前の常闇の棺の封印を逃れていたフラウドリンが憑依しており、ドレファスとヘンドリクセンを操っていた。本編より10年前にフラウドリンはドレファスの肉体を乗っ取り、ヘンドリクセンを魔力で洗脳したのであった。フラウドリンは七つの大罪を追い詰める為、聖騎士長ザラトラスをドレファスとヘンドリクセンに殺させ、メリオダス達に濡れ衣を着せる。これが10年前の事件の真相であった。

リオネス王国奪還後バンはメリオダスを殺そうとした引け目から、七つの大罪を離脱して別行動をする。バンは妖精王の森へと赴き、自身の血液を森の大地に吸わせた。「生命の泉を飲んだバンの血液」を吸収した森は蘇り、再び広大な森となっている。森を甦らせた事でバンは一時的に妖精達から「妖精王」と慕われていた。また先の戦いでバンに命を救われたジェリコは、彼に惚れて行動を共にする様になる。彼女はバンに積極的にアプローチするものの、エレイン一筋の彼は相手にしていなかった。だが、真っ直ぐな性格のジェリコの事を、バンは少しだけ気に入っている。

バンはエレインを蘇生させる方法を探し、旅を続ける。そして「死者が蘇った」という話を聞き、故郷のレイブンズへと向かった。そこでバンはジバゴと再会する。彼は病気になっており、最期が近かった。ジバゴはかつて息子を救う為に、幼いバンを見捨てた事を後悔していた事をバンに語った。バンは元から恨んでいなかった旨をジバゴに伝え、2人は旧交を暖める。そしてバンは親友のメリオダスを殺そうとしてしまった事をジバゴに語った。バンの悩みを聞いたジバゴは、彼に仲直りをする様に助言をして息を引き取った。

ジバゴと再会したバンはメリオダスと和解する事を決意する。

十戒と戦う

十戒のガラン(画像左の人物)と戦うバン

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