イチケイのカラス(漫画・ドラマ・映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『イチケイのカラス』とは、浅見理都(あさみりと)による裁判官を主人公とした日本のリーガル漫画。『モーニング』で2018年から連載された。主人公・坂間は、武蔵野地方裁判所第一刑事部、通称「イチケイ」に配属される。そこで型破りな判事・入間みちおに出会う。入間は「ただ裁判官は判決を下すのみ」と思っている坂間とは違い、実際の事件現場を訪れたり、気になることは徹底的に検証したりするタイプだった。被告人の人生まで考える入間と関わるうちに、坂間も裁判官として、そして人として成長していくヒューマンリーガル作品。

岡山地方裁判所の裁判官。司法修習生時代の教官は駒沢。自由な入間に振り回される。

赤城 公子(あかぎ くみこ/演:西野七瀬)

岡山地方裁判所の裁判官。入間の真実を求める姿勢に惹かれ、自分自身も正義を追い求めるようになる。

『イチケイのカラス』の漫画とドラマの違い・相違点

原作とは違うキャラクター達

実写ドラマ版『イチケイのカラス』のキャストたち。

『イチケイのカラス』の実写ドラマ版では、坂間を黒木 華(くろき はる)が演じており「坂間 千鶴」という名前で性別も女性に変わっている。また、入間に関しても小太りの中年メガネ男性というキャラクターから、ダンディーな細身の男性に変わっている。作者の了承を得てまで、坂間と入間を原作と違うキャラクターにしたのには、ドラマのプロデューサーである後藤 博幸(ごとう ひろゆき)の直感からだ。
後藤は配役に迷っていた時、竹野内の人情味溢れる入間と、演技力に定評がある黒木に頑固な坂間を演じてもらえれば面白くなると感じた。そのため、「わざわざ坂間を女性にしよう」と思ったわけでもなく、入間に関しても竹野内の優しい人柄が入間を連想させると感じメガネもかけなかった。
他にも検察官の井出も、原作では強面の無口なキャラクターであった。しかしドラマでは井出 伊織という名前で登場し、元高校球児のイケメンとして山崎 育三郎が演じている。

原作の漫画とはまた違うリーガルドラマとして描き、石倉と千鶴の恋模様や、坂間と入間の掛け合いが面白いと視聴率は平均で12%以上と高い数字を記録した。

実写ドラマ版ではオリジナルの話が満載

立ち上がり、「職権を発動します」と宣言している入間。

原作とさらに違う点では、ストーリーがかなり異なっている。例えば、原作で坂間がイチケイにやってきたのは単なる異動だ。しかし、実写ドラマ版では、「イチケイの事件処理数が少なく、それを改善するため上司の命令で赴任してきた」になっている。そこで一つ一つの裁判を、坂間にしてみれば無駄な時間をかけて吟味している入間と対立するような構図になっている。
他にも、原作の話はほぼドラマに登場しない。漫画版で入間が担当したホームレスの事件や、入間や駒沢や坂間3人で担当した田端の事件などもドラマ版にはない。
唯一、潮川の万引き事件はドラマ版でも描かれているが、ほたるが恵子の代わりに被害者へ直接謝りに行くなど設定が変わっているところがある。
そのため、ドラマ版ではオリジナルの話が多く、我が子を虐待した母親の話や駒沢が過去に減刑した被告人の再犯事件など、漫画にはない裁判の話も楽しめるようになっている。

また、原作にはない入間と坂間の決めセリフも存在する。
入間が実際に事件の現場を訪れたり、犯行時の検証を行いたい時には「職権を発動します」と宣言する。また坂間も犯罪を犯した被告人に対して「恥を知りなさい!」と一喝する決めセリフが存在する。

『イチケイのカラス』の用語

裁判用語

裁判官(さいばんかん)

黒一色なのが特徴的な法服。

裁判官とは、裁判を行う者の総称。最高裁判所の最高裁判所長官や下級裁判所の判事、判事補などをまとめて「裁判官」と呼ぶ。
ちなみに判事補とは、裁判官になって10年未満の者を言う。判事補は判事と異なり、1人で裁判を行うことは出来ない。そのため、通常は裁判官3人で行う「合議(ごうぎ)」でしか裁判を行えない。
ただし作中では坂間が裁判官になって10年未満なので判事補に当てはまるが、坂間は「特例判事補(とくれいはんじほ)」に任命されており、特例判事補になると1人でも裁判を行うことが出来る。
また、裁判官が来ている黒い服は「法服(ほうふく)」という名前である。

刑事裁判(けいじさいばん)

検察に起訴された被告人を、有罪か無罪か決める裁判のこと。有罪の場合には、被告人に対しどの程度の刑罰が適切かまで決定する。
坂間たちがいるイチケイは刑事裁判の専門なので、作中では主に刑事裁判が描かれている。

裁判員裁判(さいばんいんさいばん)

裁判員は6名で構成されている。

国民の中から無作為に裁判員6名が選ばれ、刑事裁判に参加する裁判のこと。
裁判員裁判を行う目的として、国民の日常や感覚を裁判に取り入れることや国民の司法への理解を促すためである。選ばれた裁判員は「陪審員(ばいしんいん)」と呼ばれ、参加は強制ではないが辞退するためには適切な理由が必要となる。参加した場合には、その時に合った日当などが支給される。
陪審員に選ばれた場合、守秘義務の観点から裁判が終わるまで自分が陪審員に選ばれたことを不特定の人に教えてはならない。また法廷で見聞きしたことは家族や友人に話しても良いが、陪審員たちの評議に関しては話してはならない。ただし、裁判後は陪審員としての体験や感想をSNS等にあげても良いことになっている。

書記官(しょきかん)

裁判に関する記録や手続きの作成、保管などを行う者のこと。裁判での事務的なサポートをする役割である。作中では石倉がこれに該当する。

検察官(けんさつかん)

被疑者の起訴、裁判で被告人に対し正当な処罰を求める仕事をする職業。
処罰だけではなく、処罰を受けた被告人の社会復帰の支援も仕事の一つである。作中では、井出がこれにあたる。

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